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20061210

日本移植学会 正会員数、資産は1995年の3分の2に激減
薄弱・劣化目立つ「移植」誌 法改正ワーキング委員会を新設
 

日本移植学会 学会活動の基礎データ

年度

正会員数
(8月末)
収入額
(3月末決算)
正会員
会費納入率
(過年度含む)
「移植」誌
投稿数
Transplantatio
Japonica
投稿総数
1992 3,692 112,980,129 93%
1993 3,838

1994 157,884,791 90%
1995 4,110 115,834,129 92% 10編
1996 3,861 101,805,363 87.8%
1997 3,882 69,892,992 88.5%
1998 3,536 56,103,893 92.7% 10編
1999 3,741 63,165,604 86.7% 40 9編
2000 3,706 51,865,130 85.3% 45 一般投稿4編
第35回移植学会
提出論文32編
2001 3,663 50,156,431 82.9% 33 10編
2002 3,609 33 6編
廃刊
2003 29

2004

29
2005 2,880? 43,643,578 82.7% 26
2006 2,822
(7月31日)
36,253,579
(予算額)
15
(8月25日)
2007 2,634
(予算書)
45,864,040
(予算額)

 日本移植学会雑誌「移植」 第41巻第6号に、会員報告、決算報告、2007年度予算書案、編集委員会報告が掲載された。当Web調査の過去データ(一部欠あり)とともに紹介する。

 正会員数は1995年の4,110名をピークに、ほぼ3分の2に減少し今年は2,600名台の見込みだ。資産額は1995年に1億2,689万円だったが、2006年は7,590万円。

 収入額は、1994年度は太田基金からの繰り入れ5,000万円、1995年度は役員選出積立金取崩収入600万円、1997年度は英文誌論文掲載積立金取崩収入200万円、1999年度は役員選出積立金取崩収入600万円と英文誌論文掲載積立金取崩収入350万円、2000年度は日韓移植フォーラム委員会援助金104万3400円が含まれるため、実質的に収入は1995年以降は一貫して減少傾向だ。

 2005年度予算に寄付金収入は計上していなかったが、決算では企業400万円、会員380万5千円、患者団体76万5千円の合計857万円があった。

 2007年度予算は役員選出積立金取崩収入560万円、前期繰越金475万円増などを計上して4,586万円に増額。2007年度支出では、会議費が全年予算額の565万円から1,055万円への増額が目立つ。このうち450万円は「法改正ワーキング委員会」を新設したことによる。

 日本移植学会雑誌「移植」誌も、質・量・影響力ともに劣化が著し い。「移植」誌の通常号+臨時増刊号の合計ページ数は1993年の1,860ページを最高に、以後は半分〜3分の2に減ページ。年間6回発行されている同誌(B5版)は 、2002年は各号平均60ページ以下になった。一般大衆に知名度が高い団体にも係わらず、医学学術団体が発行する雑誌のなかでは最も薄弱な部類に入る。 投稿規程から、従来は掲載していなかった地方レベルの研究会の記録「中国四国臨床臓器移植研究会」なども掲載して、ようやく体裁を保つ終末期状態だ。

 編集体制も貧弱だ。2002年7月10日発行の「今日の移植(日本医学館発行)」15巻4号に日本医科大学の山本 保博氏、横田 裕行氏による「臓器提供サイドから見た臓器摘出の問題点と解決策」が掲載された。そして同年8月10日発行の「移植」37巻4号にも、両氏による類似内容の「救急施設からみた脳死下臓器提供の問題点」が掲載された。「移植」誌は、著者が法的脳死判定13例目の実施年を4年も間違えたのを、何の訂正もせずに掲載してしまったほど 編集機能が低下している。

 また「移植」誌は、2005年からは全国の医科系大学への寄贈も停止しており、存在感は薄くなる一方だ。日本医学館発行の「今日の移植」誌も部数低下が伝えられる。 

 Transplantatio Japonica は日本移植学会の英文論文誌として TRANSPLANTATION  PROCEEDINGS(Elsevier Science)に掲載してきたが、創刊時より財政面や投稿数の減少など問題を抱え 、2002年に廃刊された。

 


20061201

脳死と考えられる状態が5年以上継続後に在宅人工呼吸療法
家族は患児が「生きている」と感じ法的脳死を懸念 昭和大学

 日本小児科学会雑誌110巻12号はp1680〜p1682に昭和大学医学部小児科の阿部 祥英氏らによる「脳死と考えられる状態が5年以上継続した後に在宅人工呼吸療法に移行した1幼児例」を掲載した。以下は要約。

 この幼児は現在6歳4ヵ月の男児。1歳1ヵ月時に急性壊死性脳症に罹患、痙攣重積のため入院、意識障害は一時改善したが、再度痙攣を認め、この時点から人工呼吸器管理になった。入院1日目、1歳11ヵ月時、5歳7ヵ月時の脳波検査では、感度を2μV/minとしても平坦であった。2歳時、2歳10ヵ月時、3歳9ヵ月時、5歳6ヵ月時の聴性脳幹反応で波形は不明瞭であった。両親が在宅人工呼吸療法への移行を希望したこともあり、4歳7ヵ月時、入院後1,268日目に初めて退院した。その後、9日間から198日間の入院加療を計7回要したが、現在6歳4ヵ月で在宅人工呼吸療法を3ヵ月間継続している。

 現時点でのJapan Coma ScaleはV−300、瞳孔は両側とも中心固定、瞳孔径は両側とも5mm、対光反射、角膜反射、毛様体脊髄反射、眼球頭反射、前庭反射、咽頭反射、咳反射はいずれも認められない。これら7つの脳幹反射のすべての消失を厳密に確認したのは6歳4ヵ月の時点が初めてであった。両親が希望しなかったことと臓器移植を前提としていないことから、無呼吸テストは施行していない。本症例の遷延性脳死と考えられる状態がどの時点から始まったものなのか、明確に定めることはできないが、入院後早期から脳死と考えられる状態にあったものと推測している。

 小児脳死判定基準によって脳死と判定されても、心拍や良好な皮膚色が維持されれば、患児家族は脳死を受け入れられず、患児が「生きている」と考えることが予想される。本患児の両親は、患児が臨床的に遷延性脳死と考えられる状態にあると判断されることを理解しているが、本患児が「生きている」と感じ、以下のことを懸念している。つまり、脳死の状態であっても、「生きている」例があることを知らずに、臓器移植を前提とした法的脳死を宣告されれば、「生きる」はずの患児が家族とともに「生きる」機会を失う可能性があるということである。

 我々は、患児および患児家族と向き合い、患児のおかれている状況、今後の対応などについて何度も議論を重ねた。両親の強い希望があり、近医である往診医の協力が得られたので、在宅人工呼吸療法に移行したが、そのことに対して種々の意見が存在することが予想され、我々の対応に関して統一した見解は得られないと思われる。我々の対応が本邦の小児医療の一般的対応であるとは思わないが、本患児のような症例が存在することは、、脳死を死とする肯定できない立場を支持しうる。

 本症例のような患児に対して、医療従事者がどのような医療を行い、家族が望む医療とのバランスをどのように保つのかなどについて、症例の積み重ねと充分な議論が必要である。

 


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