モグリの移植コーディネーターが臓器提供意思登録システムを検索
一部家族の反対を排し52歳男性から腎臓を摘出 静岡県腎バンク
11月17日、第9回 トリオ・ジャパン・セミナーhttp://square.umin.ac.jp/trio/seminar/seminar9.htmがキャピトル東急ホテルで開催された。静岡県院内コーディネーターの大田原 佳久氏は、正式な移植コーディネーターではない獣医だが、クモ膜下出血52歳男性の家族に腎臓提供の依頼をしたところ、一部の家族から「なんだ、腎臓が欲しいということか、腎臓を持っていくということか」と反対されため、静岡県腎バンクのドナー登録データベースを検索。そこに本人の意思表示があったことをもって、腎臓と眼球の獲得に至ったことを発表した。
太田原氏は浜松医科大学医学部泌尿器科学講座の文部科学教官(助手)、自ら「実は私は正式には移植コーディネーターではありません。もぐりです。要するにアウトロー、ただ自分でコーディネーターと名乗っているだけの話であって、何が一番いいことなのかなと思ってやっているだけの話なので、ここにネットワークの人が来ていたら多分怒られるのではないかと思います。・・・・・・日本の場合は、委嘱状を持ったコーディネーターがいないと同意書にサインしてはいけないとか言われていますけれども、私は無視してやっていて、いずれどこかで怒られるのではないかと思っているのです」と発言している。
太田原氏が紹介した静岡県院内コーディネーターの職種別構成員は以下のとおり。
看護婦・看護士 |
20 |
臨床工学技師 |
13 |
MCW・MSW |
9 |
事務職員 |
1 |
文部教官助手 |
1 |
薬剤師 |
1 |
計 |
45 |
所属施設総数34(公立20・私立14) |
静岡県腎臓バンクは腎臓提供者の登録を受付け、登録台帳を作成し、医療機関・臓器移植コーディネーターからの登録検索依頼に応えている。平成16年度事業報告書(1)http://www.process.co.jp/~jinbank/16zigyouhoukoku.htmによると、腎臓提供登録者を含む全登録累計は53,420名(うち提供しない672名)。
提供臓器、臓器摘出手術、臓器搬送予定について
日本臓器移植ネットワークの発表資料
平成13年11月3日
社団法人 日本臓器移植ネットワーク
提供臓器について
心臓移植実施施設及びレシピエントについて
心臓移植の第―候補者は国立循環器病センターで移植希望の20歳代の男性で、原疾患名は拡張型心筋症である。
肺移植実施施設及びレシピエントについて
肺移植の第―候補者は東北大学医学部附属病院で移植希望の30歳代の男性で、原疾患名は原発性肺高血圧症である。
肝臓移植実施施設及びレシピエントについて
肝臓移槌の第―候補者は北海道大学医学部附属病院で移植希望の20歳代の女性で、原疾患名は先天性肝・胆道疾患である。
膵臓・腎臓移植実施施設及びレシビエントについて
膵臓・腎臓移植の第―候補者は九州大学医学部附属病院で移植希望の20歳代の女性で、原疾患名は糖尿病性腎不全である。
腎臓移植実施施設及びレシピエントについて
腎臓移植の第―候補者は千葉大学医学部附属病院で移植希望の40歳代の男性で、原疾患名は慢性糸球体腎炎である。
臓器の摘出手術について
臓器の搬送子定について
心臓の搬送予定経路について
病院 → (救急車) → ヘリポート → (ヘリコプター) → 羽田空港 → (チャーター機) → 伊丹空港 → (国立循環器病センター緊急車両) → 国立循環器病センター
肺の搬送予定経路について
病院 → (タクシー) → 東京駅 → (新幹線) → 仙台駅 → (タクシー・パトカー先導) → 東北大学医学部附属病院
肝臓の搬送予定経路について
病院 → (タクシ―) → 羽田空港 → (定期便) → 新千歳空港 → (タクシー) → 北海道大学医学部附属病院
膵臓・腎臓の搬送予定経路について
病院 → (タクシー) → 羽田空港 → (定期便) → 福岡空港 → (ネットワーク緊急車両) → 九州大学医学部附属病院
第18例目「脳死」下での臓器提供事例 日本臓器移植ネットワークの発表資料
平成13年11月2日
社団法人 日本臓器移植ネットワーク
ドナーの方は関東甲信越地方の医療機関に入院中の30歳以下の女性の方。
ドナーは、臓器提供意思表示カードに脳死下での臓器提供の意思を表示。提供臓器として心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓、小腸に○があった。(「その他」の項目は、記載されていない)
ご本入の署名、ご家族の署名がある。記載時期は、平成11年春。
日本臓器移植ネットワーク関東甲信越ブロックセンターに提供施設より連絡があったのは、11月2日22時01分である。
日本臓器移植ネットワークのコーディネーターが説明を行った上で、11月2日03時10分にご家族から脳死判定承諾書及び臓器摘出承諾書を受領。
ご家族からは、心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓の提供についてご承諾を得た。
11月2日05時30分、第―回法的脳死判定を開始。
11月2日10時01分、第―回法的脳死判定を終了。その結果、判定基準を全て満たしていると判定された。
11月2日16時06分より第二回法的脳死判定を開始。
11月2日18時55分に第二回法的脳死判定を終了し、法的に脳死と判定された。
意識障害18ヵ月続いても、昏睡から離脱する患者あり
適切かつ早期の発見・治療が重要 東海大学神経内科
「臨床神経学」41巻11号はp976に、意識障害が続く患者のなかに、昏睡状態を離脱することが可能な場合のあることを報告する論文を掲載した。
これは東海大学神経内科の永山 正雄氏と篠原 幸人氏による“可逆性遷延性意識障害”の臨床−Prolonged,but
treatable coma-。
1990年以降の“意識レベル3桁(JCS)”が4週間以上持続“且つ”その後1桁以上に改善した自験例(脳外科手術例・sedation例を除く)を、抽出して評価した。該当するのは7例で発症年齢は16〜75歳。90年代後半に増加しており、意識障害の原因は脳炎・脳幹脳炎計4例、非痙攣性てんかん重積2例、薬剤性2例、脳出血1例。昏睡期間は1〜18ヵ月だった。
有効治療はganciclovir+高力価免疫グロブリン2例、抗てんかん薬2例、vidarabine2例、薬剤中止・減量2例ほか。3例で転医あるいは診療チーム変更が治療契機だった。
【結論】意識障害遷延例であっても、綿密な検索と新しい治療法の適用により潜在的に治療可能な例が存在する。その適切かつ早期の発見・治療は極めて重要である。
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