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「季刊 福祉労働」127号 参考文献
このページは、現代書館発行の「季刊 福祉労働」・127号(2010年6月25日発行)p142〜p148掲載「優生政策か、基本的倫理の堅持か」に関連する参考文献を掲載しています。
凡例
1、太文字が本文における表現、=以下が資料名または詳細資料へのリンクです。
2、雑誌、学会誌は、執筆者名:論文タイトル、誌名、巻(号)、掲載ページ、発行年を示す。
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(リンク先ページの存在は2010年6月21日に確認)。
4、「表示されるはずの情報やページが見当たらない」などの、不具合やお気付きの点がありましたらお知らせください(メールアドレスはホームページの下部に記載)。
5、別ページに「季刊 福祉労働」120号参考文献があります。
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欧米では、新生児をドナーとした心停止後の心臓の摘出・移植も再開された。=世界初の小児の心臓移植の報告は、Adrian
Kantrowiz(Departments of Surgery, Maimonides Medical Center and State of New
York Downstate Medical Center):Transplantation of the heart an infant and an adult,The American Journal of Cardiology,22,782-790,1968
この資料には、1967年12月4日に他院から搬送されてきた無頭蓋症(無脳症)の新生児が、12月6日早朝に心拍が不規則になったため午前3時45分から氷水に入れて体外から冷却し、抗血栓剤ヘパリンを投与。午前4時25分に体温27度で心拍停止、即座に開胸して心臓を摘出した。心臓は1967年11月18日生まれの白人の新生児に移植されたが、移植当日の午後12時15分に心停止し、蘇生に成功しなかったことが報告されている。
この後、脳死ドナーの時代に入り、心停止後の心臓摘出・移植は、後ほど紹介する米国のデンバー小児病院における2004年から再開された。
一九九七年に臓器移植法が制定された後、腎臓移植の第一人者である太田和夫氏は、「法律というのは、基本的には後追いでできるもので、まず最初に事実をつくる必要がある、と法律家にいわれました。私たちが脳死で腎臓移植を始めたのはそのためです。しかし心臓移植や肝臓移植をやって事実をつくると大変なことになるので、現在行なわれている腎臓移植でもって事実を積み上げていったらいいかと思い、実質的には百数十例ぐらいやりました」と発言した。臓器移植法の制定前から、脳死臓器摘出を行なってきたと明言したのだ(今日の移植一〇巻六号p八〇五〜p八二〇)。=http://www6.plala.or.jp/brainx/1997.htm#19970929
すでに脳死臓器摘出を行ないながら、東京女子医大の医師が対外的には、心停止後の臓器摘出の範囲で行なっていると受け取られる発言をしたケースはhttp://www6.plala.or.jp/brainx/beating_NHBD.htm#198409
「心停止後」と称する臓器提供の現実
表一は、一九八五年に太田氏らが全国九二施設に調査して日本移植学会雑誌「移植」に発表した、一九八〇年一月から一九八五年三月までの間の「死体」腎提供における腎臓摘出の時期と人工呼吸器の関係だ。=http://www6.plala.or.jp/brainx/1990.htm#19900810
人工呼吸器を外して直ちに腎臓摘出が二一例(六.七%)だった。=腎臓移植を受ける患者
(レシピエント)側と、臓器提供者(ドナー)側に対する処置が、時間経過とともに示された詳細な報告はhttp://www6.plala.or.jp/brainx/beating_NHBD.htm#19840823を参照
願います。1984年8月23日に滋賀医科大学病院で行なわれた25歳男性からの腎臓摘出手術では、臓器提供者の心停止は「ヘパリン投与、生体解剖、脱血・冷却灌流、人工呼吸停止」の後であることが報告されてい
ます。
しかし、これ以外にも人工呼吸器を外す決定をした一二二例(三八.九%)は、脳死判定にもとづく病状説明が行なわれ、終末期医療の選択をしたケースが多いと見込まれる。=
人工呼吸器を外す決断が可能な状態は、脳死判定にもとづく病状説明が行なわれたと見込まれる。
*http://www6.plala.or.jp/brainx/beating_NHBD.htm#19840823では、腎臓移植を受ける患者
・レシピエントが、臓器提供者・ドナーの脳死確認・腎提供同意の翌日に入院して、透析などを受けたことが報告されている。
複数の腎臓移植待機患者に連絡して、移植手術を受ける同意をとり、来院を求めて移植手術が可能か検査し、移植手術の前に透析をうけるために、計20〜30時間を要する。そして腎臓を摘出後に、移植するまでに長時間を要すると、移植しても腎機能が発揮できない場合がある。このため、臓器提供者の心臓
が、いまだ拍動している段階で、腎臓移植待機患者への連絡を開始する必要がある。
*柏原 英彦(国立佐倉病院):死体腎移植システム 第2報、移植、15(4)、248−249、1980
この資料は、1977年〜1979年の「ドナー情報は44回で、19死体(43%)より36例の死体腎移植が行なわれたこと。ドナー通報より死亡までの期間は1.9日間
であること、原疾患は脳血管障害および頭部外傷が82%を占めていること」を報告している。
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心停止直後は、心臓が自然に蘇生する可能性がある。臓器摘出時にドナーは痛みを感じる可能性もあるため、生体解剖の危険性が消えない。=
自然蘇生例
*吉村 史(吉村クリニック):ホルター心電図装着中、5分27秒の心停止を生ずるも自然蘇生した1例、循環科学、15(1)、1140−1144、1995
この報告は、62歳女性が5分27秒の心停止の後に、自然に蘇生したケースの心電図も掲載している。
*マーガレット・ロック著「脳死と臓器移植の医療人類学」、みすず書房
この資料はp47〜p49において、外科医のリチャード・セルツァー自身がICU入室の23日目に心停止した。蘇生措置が施されたが、4分半経っても心電図はフラットなまま、脈も血圧もなく死亡宣告され、カルテに死亡時刻が記入された。そして10分後には硬直が認められたが、不意に体が震動して吸気が始まった。心電図に波形が戻り、規則的な呼吸がはじまったことを記載している(巻末の参考文献はSelzer,
Richard A.1993.Raising the Dead: A Doctor's Encounter with His Own Mortality .
New York:Viking.)。
*死産児では、数時間後の蘇生・退院が報告されている。http://www6.plala.or.jp/brainx/NHBD.htm#死産とされ紙に包まれていた新生児が動き出し蘇生、生存し退院
臓器摘出時に痛みを感じる可能性
たとえ自力で自然に蘇生することがなくとも、臓器摘出目的の処置により、生体解剖と同様になっている可能性を考える必要がある。例えば、臓器摘出目的で心臓マッサージを行なうことは、臓器提供者の脳蘇生効果が予想される。http://www6.plala.or.jp/brainx/NHBD.htm#4.各種血流条件における脳波の回復程度をみると、1時間の完全虚血実験でも、血流を再開させると55%から脳細胞の活動が認められた。
*竹内 一夫(杏林大学医学部脳神経外科):脳死をめぐって、現代医療、20、753−757、1988
竹内氏は「電気生理学的検査ではしばしば雑音の混入に悩まされることがある。例えば心停止後の被験者から一見脳波活動と思われるような記録を得ることさえある」と書いている
(竹内氏は、その脳波記録を掲載した論文も発表している。ただいま資料紛失のため、後日、資料名を掲載する)
心臓マッサージを行なわない心停止後の臓器・組織摘出例もある。しかし、京都大学は死後6時間で摘出したヒト神経を移植して再生を認めた。移植して再生しうる神経があるのであれば、もとの所有者であるヒトから切断・摘出される時に、切断される侵害刺激を、ある範囲に伝達している可能性がある。
一九六九年に開催された第一回腎移植臨床検討会(移植四巻一号p一〜p五六)において、東大第二外科の稲生氏は「死体といいましても生体に近い状態でやっております」とliving
cadaverからの臓器摘出を報告した。=http://www6.plala.or.jp/brainx/1969.htm#19690117
同年の第二回腎移植臨床検討会(移植四巻三号p一九三〜p二五二では、弘前大学第一外科は一九六八年七月二三日に一四歳の男児を人工心肺装置で冷却し体温三一度で心停止させ、その後に腎臓の摘出を行なったと報告した。大阪大学泌尿器科は患者五名に、死亡後も人工呼吸と心臓マッサージを行いつつ、腎臓を摘出したことを報告した。千葉大学第二外科も心停止後に心臓マッサージを続け、麻酔器をつけて手術場に運ぶと発表した。心臓死の死亡宣告をしたにもかかわらず麻酔器をつける理由は、心臓マッサージで血液循環を維持した生体だからと考えられる。=http://www6.plala.or.jp/brainx/1969.htm#19690717
一九九三年八月二〇日、柳田洋二郎氏(二五歳)から腎臓が摘出された。柳田邦男著・犠牲(サクリファイス)に書かれた移植コーディネーターの説明と心停止に至る描写から、柳田洋二郎氏は、生前に体内に挿入されたダブルバルーンカテーテルの拡張によって引き起こされた、急激な動脈閉塞による人為的ショックで死亡させられたと推定される。=http://www6.plala.or.jp/brainx/beating_NHBD.htm#19930820
小児の「脳死」ドナーからの腎臓摘出も、約二〇〇例実施されたと推計される。=http://www6.plala.or.jp/brainx/pediatric_harvest.htm#小児ドナーからの死体腎移植統計
小児の被虐待児対策を行なったと報告されているのは、北里大学病院の9ヶ月男児例しかない。=林 初香(北里大学医学部小児科)、河島 雅到、相馬 一亥(北里大学医学部救急医学):
腎・心臓弁のドナーとなった9ヶ月男児例、日本小児救急医学会雑誌、7(2)、339−342、2008http://www6.plala.or.jp/brainx/pediatric_harvest.htm#北里大学病院
なお、この9ヶ月男児の受傷の瞬間については、第3者の目撃証言はないと見込まれ、2010年7月以降に施行される被虐待児対策では、臓器ドナーとはされない可能性が高いと考えられる。
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子どもの法的脳死臓器ドナーは年間に一名
VS子どもの心臓移植適応患者は年間五〇名
日本臓器移植ネットワークの統計(グラフ一)によると、九五年四月から〇九年末までの小児「心停止後」腎臓提供は三八件だ。=http://www.jotnw.or.jp/datafile/offer/pdf/syouni.pdf
@〜Bの情報から、子どもの法的脳死ドナーの発生は、年間一例前後と予測できる(成人の法的脳死ドナーについては、年間数十例に増加する可能性がある)。=日本移植者協議会ニュース「臓器移植法改正による変化と今後の課題(2009/12/10)」http://www.jtr.ne.jp/news/091210.htmlは、「平成20年度の心停止後腎臓提供の109件の内、4類型病院で脳死判定後にカニュレーションをされたのが51件あり、これらは脳死提供に移行する可能性が高い。
停止後腎提供の51/109=46.8%が脳死臓器提供になると予測できる。つまり臓器提供が20年度と同程度とすると、平成22年度の脳死臓器提供は13+51=64件程度になると予測できる。即ち、脳死臓器提供は、約5倍になると予想される」としている。
この文章には「平成20年度の心停止後腎臓提供の109件の内、4類型病院で脳死判定後にカニュレーションをされたのが51件」と、脳死前提の行為を法的脳死判定手続をしないで行なったことも明記されている。
一方で、移植医は毎年に新たに約五〇人の子どもが心臓移植を必要とすると見込んでいる(小児科臨床六三巻三号P四一七〜P四二五)。臓器の需給関係から「あくまでも臓器移植を増やしたい」という圧力が強まるならば、生命維持装置によって生存している人を死なせて、「心停止後」に心臓や肺を摘出するか、脳死判定を簡略化するしか方法はない。=2005年4月2日に開催された「心臓移植の課題」座談会において、当時の生前意志表示による法的脳死臓器提供から、大阪大学の白倉 良太氏が「仮に法律改正案が通ったとしても、年間5例のうち3%だったら6年に一度しかないということになります」と発言したことを受けて、国立循環器病センターの越後 茂之氏は「ただ、そのように法律が改正されるのは非常に大きなインパクトがあります。遺族の同意で臓器提供が可能となり、15歳未満の提供も可能となれば、学校教育のなかでの位置付けも重要になっていくわけで、私たちが置く軸足も変わってくる。法律改正は非常に大事なことです。その時期に、提供数の増加は必ずしも楽観視できないなどどいう議論と法律改正の必要性をごっちゃにして考えるべきではなく、いま学会や患者団体が繰り広げている運動の足を引っ張るような印象を与える議論は避けるべきでしょう」などを発言している。
このように移植医は、臓器移植法が改定されても、小児の法的脳死臓器ドナーの発生は極めて少ないことを認識している。当時から「学校教育のなかでの位置付けも重要になっていく」など、法律の改定を契機としてドナー増加に取り組む意思を鮮明にしていた。
座談会の詳細はhttp://www6.plala.or.jp/brainx/2005-4.htm#20050402
凄惨な心停止後の心臓・肺提供
米国のデンバー小児病院は〇四年から〇七年にかけて生後四日前後の新生児三例に、鎮静剤を投与して生命維持装置を停止した。心停止の継続を一例は三分間、続く二例はわずか七五秒間観察しただけで心臓の摘出を開始した。移植された患者は生存中と報告している(The
NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE、三五九巻七号P七〇九〜P七一四)。=The NEW ENGLAND JOURNAL
of MEDICINE、359巻7号の各ページ(英語)は、http://content.nejm.org/content/vol359/issue7/index.dtlで公開されている。
p709〜p714のPDFファイルはhttp://content.nejm.org/cgi/reprint/359/7/709.pdf
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鎮静剤を投与されたことで判るように、脳死で臓器を摘出できない「心停止」ドナーは、心停止に至るまでに断末魔の苦しみを強要されて死に至らしめられるケース、あるいは死なずに生き続けるケースが多いと想定される。=カナダ・トロントの小児病院では、生後2ヵ月のKaylee
Wallaceちゃんが心停止心臓ドナーとされて生命維持が停止されたが、死亡しなかったことが2009年4月8日に報道されている。http://www.canada.com/Health/Baby+longer+potential+heart+donor+Doctors/1477619/story.html
生命維持を続ければ生存できる可能性が高い患者であるにもかかわらず、死なせて臓器提供者にすることだ。移植待機患者に心臓を移植すれば、良好に心臓の拍動が再開することがわかっていながら、臓器提供者に対しては、心臓を摘出する目的で心停止を待つことが非倫理的だ=日本医学館が2003年に発行した「小児の心臓移植・肺移植」の「PART6 .ドナー不足解消のための実験的検討 2.Non-heart
beating donor
の心臓移植」(p103〜p106)において、岡山大学大学院医歯学総合研究科心臓血管外科の末廣 晃太郎、佐野 俊二の両氏は、「すべてのNHBDに付きまとう問題であるが、―度自然停止した心臓がつぎに拍動を開始した時に、どの程度の機能を持っているか、やはり予想しがたく再灌流後の心機能評価をすることが望ましい。問題はむしろ倫理的なもので、死亡宣告に先立って移植を前提とした前処置をはじめることが許されるのかどうかという点である。良好な心拍動が再開することがわかっていながら、心臓を摘出する目的で心停止を待つといった状況が、果たして許容されるのかどうかという点は十分議論されるべきであろう。NHBDすなわち移植適応基準ぎりぎりの
marginal donor
といった発想は間違っており、良好な心機能を維持しているものを選択して利用すれば脳死移植と同様の移植が可能である」と指摘している。
心停止の心臓・肺ドナー研究において、日本国内では岡山大からの発表が最も多い。自ら倫理的課題を知悉しながら、どのように実践しようとするのかが注目される。
岡山大学大学院医歯学総合研究科・心臓血管外科の小谷 恭弘氏らは、2005年2月に開催された第23回日本心臓移植研究会http://www6.plala.or.jp/brainx/2005-2.htm#20050226において“死体心移植においてドナーモデルの違いが移植後心機能に及ぼす影響”を発表し、脱血死させたブタから摘出した心臓のほうが、呼吸停止死させた場合よりも心拍出量回復率が良好だったと報告した。この報告どおりに、実際に人を脱血死させて心臓を摘出するならば、明確に殺人と分かる。
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改定された臓器移植法の実施に向けて、今年四月に小児脳死判定基準案が公表された。=小児脳死判定基準案はhttp://www.mhlw.go.jp/shingi/2010/04/dl/s0405-4f.pdf
従来から子どもは、無呼吸テストを二回行った脳死判定例でも三〇日間以上、心停止に至らない患者が三五%と多い。=厚生省“小児における脳死判定基準に関する研究班”平成11年度報告書:小児における脳死判定基準、日本医師会雑誌、124(11)、1623−1657、2000 http://www6.plala.or.jp/brainx/chronic_brain_death.htm#小児脳死患者は、半数しか脳死定義に適合しない
さらには脳死判定後に脳機能が復活した子どもも報告されている。=http://www6.plala.or.jp/brainx/trick_determination.htm#A
このため、新しい小児脳死判定基準案には、心停止に至らない子どもや脳死判定基準を満たした後に黄泉帰る子どもを見分ける対策が期待されたが、改善策は示されなかった。それどころか脳死判定後に脳機能の復活した子どもの存在を隠蔽した。=小児脳死判定基準案研究班メンバーである東京慈恵会医科大学脳神経外科の日下 康子は、小児科臨床63巻7号p1551〜1553の「小児法的脳死判定基準についての検討」において、「小児の呼吸中枢を刺激するPaCO2(動脈血二酸化炭素分圧)閾値をどう考えるかである。PaCO2が60mmHgでは不十分とする考えがあるが、いずれも症例報告で、1998年以降新たな報告はされていない」と書いている。日下らは、脳死判定基準に規定された高炭酸ガス刺激を上回る、60mmHgを超えてから自発呼吸をした症例http://www6.plala.or.jp/brainx/trick_determination.htm#apneaの存在を知りながら、小児脳死判定基準を見直さなかった。さらに2000年の小児脳死判定基準では、無呼吸テストの閾値について「後頭蓋窩病変では治験の集積が望まれる」としていたが、2010年の小児脳死判定基準案では、この注記は削除した。
#ueta
同じく研究班メンバーである静岡県立こども病院・小児集中治療センター長の植田 育氏とみられる人物が、脳死と移植掲示板http://web.kamogawa.ne.jp/~ichi/cre-k/nikki02/nikki.cgi?log=において、ハンドルネームもりけん氏の問いに答えて下記の応答をしている。
脳死判定基準に対する反証となる報告を「科学的な意味はゼロ」と6月28日の投稿2938番で書いたり、聴性脳幹反応が復活した小児について「この方は経過中ずっと昏睡・無呼吸・脳幹反射消失のようですから、脳死と言って良いと思います」と7月8日の投稿2972番で書くなと、小児脳死判定基準研究班が、当初から脳死を人の死とできる判定方法を研究・議論したのではなく、改定された臓器移植法の実施を前提とした脳死判定基準作りだったことが明瞭になった。
加えて脳死判定対象外とすべき中枢神経抑制剤に影響された子どもも、脳死判定対象に含める案を示した。=過去の脳死とされてきた症例の過半数が、脳死判定対象外とすべき中枢神経抑制剤に影響された患者と見込まれること。このため脳死研究が崩壊していることはhttp://www6.plala.or.jp/brainx/trick_determination.htm#Cを参照
始動する臓器提供安楽死、与死の既成事実化
この状況も想定したのか、〇五年に日本移植学会雑誌「移植」四〇巻二号(p一二九〜p一四二)は松村外志張氏による与死(よし)の提案を掲載した。「科学的な根拠に基づき、国会の承認を経て定義された一定の判定基準を満たしている者に対して、遺族あるいは親密な関係者が死を与えることを、本人が生前に遺族に対してそのような判断を委ねている場合には、非倫理的であるとは見なさないとする提案」だ。=http://www6.plala.or.jp/brainx/2005-4.htm#20050410
「ドナー不足」が示す、望ましい選択肢
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しかし臓器移植を成功させる原則を見据えると、移植以外の内科的・外科的治療法をこそ開発普及すべきことが判る。=臓器移植以外の内科的・外科的治療法は心臓移植回避例、肝臓移植回避例、肺移植回避例、腎臓については臓器移植を推進する医学的根拠は少ないを参照
臓器移植を成功させる原則とは、「臓器移植後に長期間にわたり臓器機能を維持するためには、提供される臓器に適合する患者が、多数の移植待機患者の中から選ばれなければならない。このため大部分の移植待機患者には、なかなか臓器移植を受ける機会は巡ってこない」という原則だ。=
「提供される臓器に適合する患者」とは、臓器別に重視する項目が異なるが、特に多数の移植待機患者の中から選ばれる必要があるのは「HLA型のミスマッチ数の少なさ」のことだ。
レシピエント選択基準は、日本臓器移植ネットワークが臓器別に掲載している。腎臓についてはhttp://www.jotnw.or.jp/studying/20.htmlにおいて、優先順位として「提供施設と移植施設の所在地」「HLA型のミスマッチ数の少なさ」「待機日数」「小児待機患者」をあげている。膵臓のレシピエント選択基準http://www.jotnw.or.jp/studying/21.htmlも「HLA型のミスマッチ数の少なさ」を掲げている。他の臓器では掲げていないが、「HLA型のミスマッチ数の少なさ」を考慮する必要がないのではない。その事情は下記の資料が示している。
*Transplant Communicationは、http://www.medi-net.or.jp/tcnet/tc_2/2_3.html#TC_23_04において「心臓、肝臓の移植でHLAの適合を条件としていない理由は、HLAが無視されているわけではなく、他の条件が優先されるためである。すなわち、心臓や肝臓の移植希望者は、移植を受けないと生命が危険になる重症の患者であるから、ドナーが現れれば医学的緊急度を優先してレシピエントを決定する。また同一の移植ネットワークに登録される待機患者そのものが、腎臓の場合のように多くないので、HLA
適合を条件としても、適合度の高い相手が選択できるとは限らない。心臓の場合、世界の何千例という統計をとって調べると、HLAの適合度による成績の差は明らかな結果となっている。肝臓の場合は、臓器の特性によってHLAの重要性はやや低下するが、心臓の場合は、腎臓とほぼ同等の意味を持つと考えられる」としている。
*福嶌 教偉(大阪大学医学部附属病院 移植医療部):心臓移植におけるHLA抗体陽性例に対する治療戦略、今日の移植、20(2)、111−117、2007
この論文は「心臓移植とHLAの関係に関する論文は少なく、症例数が少ないので有意差が出にくいが、心臓移植後の生存率や拒絶反応の頻度などにHLAミスマッチ、特にDRミスマッチが相関しているという報告は存在する。(中略)免疫抑制剤が改良され、HLAミスマッチの影響は軽減したが、HLAの重要性がなくなったわけではない。しかし、ドナー不足の現状を考えると、HLAを適合させるのは困難といえ、ミスマッチであっても移植をしなければならないのが現状である」と書いている。
日本移植学会は昨年三月、仙台市で市民講座を開催、高原副理事長は「移植をできずに死んでいる人、透析患者の年間死亡者数は二万人以上・・・二万人といわないまでも交通事故死者数より多い」と発言した。=
*http://www.mediobank.com/media_workshop/WMVdata/shimin_20090302_02.wmvの9分18秒からが高原副理事長の発言
。
*透析患者の年間死亡者数および死因は、日本透析医学会の図説・わが国の慢性透析療法の現況http://www.jsdt.or.jp/overview_confirm.htmlでみることができる。「2008年死亡患者の死亡原因分類」ファイルをみると、2008年に慢性透析患者は26,901人が死亡しているが、このうち死因が感染症と悪性腫瘍の計29%の死亡患者は、免疫抑制剤を投与される腎臓移植においては、移植待機とされない患者が高率に含まれる。移植手術に耐えることができそうにないという点では、心不全で死亡した24%の透析患者も、移植待機患者とされない可能性が高い。
また2008年に透析を導入された患者の平均年齢は67.2歳、全透析患者の平均年齢は65.3歳であり、年齢および全身状態から、移植待機とされる患者は限定される見込みだ。
ところが高原氏らは、二〇〇三年に大阪透析研究会会誌に「大阪府で行われた腎移植に関する実態調査」を報告し、「HLAミスマッチ数は献腎移植成績に明らかに影響しており、このHLAミスマッチ数を小さくするためにも献腎移植希望登録者は多いのが理想であり、献腎移植希望者に対する経済的な援助が必要かもしれない」と書いた。=小角 幸人(近畿中央病院泌尿器科)、高原 史郎(大阪大学泌尿器科)ほか:大阪府で行われた腎移植に関する実態調査、大阪透析研究会会誌、21(2)、183−193、2003
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