戻る • ホーム • 進む

人工呼吸の停止後に脳死ではないことが判ったケース

人工呼吸停止・死亡の歴史、年間症例数

脳死ではないことが判ったケース

臓器摘出術中止例  
臓器提供同意撤回例 
人工呼吸器停止同意撤回例
患者死亡後に誤診(担当医の無知)発覚例

脳死または終末期の判断、そして倫理が疑われるケース

射水市民病院  山口赤十字病院  千葉県救急医療センター  淀川キリスト教病院  千葉大学

筑波大学  長崎大学、国立病院長崎医療センター関連施設  福井医科大学  山梨医科大学   大阪大学 京都大学

このページの開設趣旨および概要

 2007年9月12付のインターネット版英国BBCニュースhttp://news.bbc.co.uk/1/hi/health/6987079.stmで 、University of BathのAllan Kellehear教授が「脳死患者の生命維持装置のスイッチを切っても1000人に1人は生きている」とコメントしている。自発呼吸能力があるに もかかわらず、誤って脳死と判定されている患者の一定割合は、当然のことながら人工呼吸を停止されても生存可能とみられる。

 ここで語られていないことも想像しなければならない。人工呼吸器をはじめとする生命維持装置を切られても生きている人の背景には、人工呼吸を停止されて息苦しくなって呼吸をしようと努力したけれども、十分な息ができずに呼吸困難の苦悶 ・恐怖・怒りのなかに死を強要された患者が、これまで何人いたのか?ということを。
 このページでは、人工呼吸の停止後に脳死ではないことがわかった症例の後に、脳死判定等に疑問のある資料を掲載 する。

人工呼吸停止・死亡の歴史、年間症例数

 2006年3月に発覚した射水市民病院事件から、人工呼吸器をはじめとする生命維持の停止についてマスメディアの報道が増加した。終末期医療ガイドラインが各医学会・施設から発表されるなど関心を高めているが、人工呼吸等を停止する行為の妥当性は、その装置・手段が実用されて以来の問題であった。日本国内において人工呼吸を停止され死亡した患者が、年間どれだけ発生しているかは不明だが、部分的に様子を伺わせる資料はある。

  1. 1985年の厚生省脳死に関する研究班報告書(日本医事新報3187、p104〜p106、3188、p112〜p114)は、1984年3月1日から8月31日までの6ヵ月間に、713施設で脳死判定された718例のうち人工呼吸を停止され死亡した患者数は142例(19.8%)であると報告している。
     
  2. 脳死判定基準を満たしうる患者の年間発生数推計は、数千名レベルで幅がある。長谷川 友紀(帝京大学公衆衛生学)らは、1992年に日本医事新報(3565、p51〜p54)で年間3,160人〜7,900人(脳死発生割合を0.4〜1%と仮定)と推計している。
     
  3. 脳死判定基準を満たしうる患者以外にも人工呼吸器は使用されており、非脳死患者における人工呼吸停止後死亡患者の統計は存在を確認できていない。
      
  4. 太田 和夫(東京女子医科大学)らは1990年に日本移植学会雑誌「移植」25巻4号、p457〜p461)において、1984年1月から1988年末までの5年間に行われた429例の死体腎摘出のうち、67例(15.6%)が人工呼吸器を外して無呼吸を確認後 に腎臓を摘出、133例(31.1%)が人工呼吸器を外して心停止を待ち腎臓を摘出したとを報告している。
      
  5. 日本臓器移植ネットワークは、2004年にNEWS LETTER Vol.8のp9http://www.jotnw.or.jp/datafile/newsletter/vol.8/P9.pdfで、1995−2003年の約9年間でレスピレーターオフ後の臓器摘出 した腎臓移植が280件あったと報告している。
     
  6. 「心停止後」と称する膵臓摘出・膵島採取のために、1997年9月29日、公衆衛生審議会難病対策部、臓器移植専門委員会は人工呼吸器の中止を含む「心停止下における膵ドナーの摘出条件」ガイドラインを策定し、すでに実施している。

 以上の資料1から「1980年代以降、脳死判定基準を満たしうる患者においては、2割前後が人工呼吸器を停止され死亡している」ことは指摘できるであろう。人工呼吸器停止・死亡患者数は 、資料2から「脳死判定基準を満たしうる患者に限定しては年間数百〜千数百名」と推定することも可能だろう。

このページの上へ

 

 

脳死ではないことが判ったケース

臓器摘出術中止例

*マーガレット・ロック著「脳死と臓器移植の医療人類学」(みすず書房・2004年)p196〜p197
 
 マーガレット・ロックが面接した医師5名のうち1名が、研修医時代の経験として以下のように語った。「私たちには、移植用の臓器を確保しなければならないというプレッシャーがあったと思います。私たちは無呼吸テストを30秒間行いましたが、自発呼吸はみられませんでした。それで、私たちはその患者(子供)をドナーとして手術室に送りました。ところが、手術室で人工呼吸器が外されたとき、彼は呼吸しはじめたのです。私たちは、ICUに戻されてきた彼のケアに努めました。結局彼は、 2ヵ月後に死亡したのですが、私たちは悪夢を見ているような気がしました。弁解の余地のないこの事件が起きたのは、脳死に関するはっきりしたガイドラインのなかった70年代初めのことです。私はいつも研修医たちにこの話をし、けっして性急に判定を下してはならないと注意しています。」 

 

臓器提供同意撤回例

McMaster University Medical Center:無呼吸テスト時間延長で自発呼吸

*Simon D.Levin(McMaster University Medical Center):Brain death sans frontiers、The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE、318(13)、852−853、1988
 
 37週で出生した2530グラムの女児が、生後41時間後にカナダの脳死判定基準を満たした。動脈血二酸化炭素分圧を54mmHgまで上昇させて、自発呼吸がなかった。米国の移植組織により 心臓の利用が検討され、60時間後に米国の脳死判定基準(無呼吸テスト時に動脈血二酸化炭素分圧を60mmHgまで上昇させる)にもとづいてテストされた。この女児は動脈血二酸化炭素分圧が59mmHgまでは無呼吸だったが、その後64mmHgに上昇するまでsteadilyな(しっかりとした)呼吸をした。臓器提供の同意は、両親により撤回された。

 

人工呼吸器停止同意撤回例

Little Company of Mary Hospital  脳死宣告後、人工呼吸器停止予定患者が咳をした

要旨*南アフリカのヨハネスブルグ大学2年生のAnthony Bowden(20歳)は、2011年2月12日に交通事故に遭い、14日に脳死宣告、翌15日の午後2時に人工呼吸器を止めることとなった。家族や友人が男性に最期の別れをし、牧師が別れの儀式を行った。友人らが病室を去ろうとしたその時、男性は咳をした。
 家族や友人、医者までもが驚き、人工呼吸器を止めることを撤回した。その後、回復の見込みへの希望を込めて数週間様子を見ることになった。

原文:Shock as brain dead man coughs
News24,2011-02-16 09:23 http://www.news24.com/SouthAfrica/News/Shock-as-brain-dead-man-coughs-20110216

Hilda Fourie, Beeld
 Pretoria - A student who was hit by a car during the University of Pretoria's (UP) rag festivities on Saturday, coughed moments before the machines that were keeping his heart beating were to be switched off.
 Anthony Bowden, 20, a second-year hospitality management student at the University of Johannesburg, had been connected to life support since the accident. This would have been switched off at 14:00 on Tuesday afternoon.
 "We had already said goodbye to him and the priest had already prayed for him. When we walked out, Anthony coughed," said Robbie Parker, Bowdon's cousin, on Tuesday.
 Parker said Bowden's family decided right there not to switch off the machines.
 "We want to give him a few weeks to see if he will recover," said Parker, a first-year BCom student at UP.

Rag procession
 Bowden had gone to visit Parker on Saturday and accompanied him to the rag procession. They pitched a tent on the pavement in Queen Wilhelmina Avenue, where they hung out the whole day.
 At 17:55, after the floats had passed, Bowden and Parker walked across the road.
 "Someone called Anthony and he turned around. That was when the car hit him," said Parker.
 "His head hit the vehicle's bonnet before he flew through the air and hit the tar road.
 "A policeman who did the reconstruction of the accident said Anthony had travelled about 17m through the air. He sustained serious brain injury."
 Parker said there was a doctor among the rag-goers who helped Bowden. An ambulance arrived 20min later and Bowden was taken to the Little Company of Mary Hospital in Groenkloof.

Brain dead
 "Anthony was declared brain dead on Monday. Now that he has coughed, we suspect however that there is still brain activity," said Parker.

(後略)
 

このページの上へ

 

 

射水市民病院:脳死判定基準外であるのに判定、死亡後誤診(担当医の無知)発覚例

*中島 みち:「尊厳死」に尊厳はあるか、岩波新書、2007

 人工呼吸を停止された80代前半女性(胃瘻造設術後、肺炎、心肺停止後蘇生)は、縮瞳しているのに脳死と判定されていた。 人工呼吸を停止された50代前半女性(胃ガン、癌性髄膜炎、慢性硬膜下血腫)は、脳外科医が「脳死に近い状態」と説明していた。人工呼吸を停止された60代前半男性(胃切除術後肺炎、心肺停止後蘇生)は、代謝性障害(糖尿病)であったのに脳死と判定された。人工呼吸を停止された70代後半男性(膵臓ガン開腹術後、呼吸障害)は、呼吸器停止日の午前に対光反射あり、処置に対して顔をしかめていた。(射水市民病院は下記にも他のデータあり)

このページの上へ

 

 

脳死 または終末期の判断、そして倫理が疑われるケース (心停止まで10分間〜20分間、血圧50mmHg〜70mmHgを判断基準に仮定して)

 以下では、「人工呼吸の停止後に心停止まで長時間を要した症例、または生存している症例」「血圧が正常または高血圧であるが、人工呼吸器を停止された症例」をとりあげる。

 脳死患者は自発呼吸能力がないことでも脳死と判定されている。自発呼吸能力がなければ、人工呼吸の停止により体内の酸素を消費し尽くした後は、心臓死を迎えるはずである。ところが、数十分を経過しても心臓の拍動が停止しない症例がある。 その一部に長期間、自力で生存可能な患者や断末魔の苦痛・恐怖・怒りを感じつつ死を強要された患者が含まれる。

 呼吸停止後に心停止までの時間は、兵庫医科大学麻酔学教室の動物実験(麻酔32巻1号p38〜p42、1983年)で気管挿管したイヌ20頭の気管内チューブを遮断した場合7〜8分間だった。人間を対象に行われた大阪医科大学麻酔学教室の無呼吸テスト(大阪医科大学雑誌52巻1号p10〜p16、1992年)では、低酸素血症を防止するために事前に純酸素で30分間以上換気し、無呼吸テスト中にも純酸素を投与しながら動脈血中の二酸化炭素の貯留状況をみたが、10分間の無呼吸テスト(31回)で動脈血pHは7.13に低下し、二酸化炭素 分圧は95.1mmHgに上昇した(データはこちら)。血液pH7.2以下は赤血球のヘモグロビンから酸素が切り離されにくくなり、動脈血中の二酸化炭素が70mmHg以上になると呼吸抑制が、80〜90mmHgでは意識消失が生じる水準だ。

 動物実験における種差を考え、また無呼吸テストでは酸素を投与されながらも10分間無呼吸テスト後には生存に危機的状況に陥るというデータから、人工呼吸停止後に10分間以上生存の場合は、微弱な自発呼吸をして酸素を補っていた、あるいは呼吸困難の苦悶の体動がガス交換に寄与していたことが考えられ 、脳死ではなかった可能性が生じる。呼吸困難の苦悶があるならば、人工呼吸停止の倫理も一層疑われる (脳死判定の無謬性を信じる人には、「ラザロ徴候や脊髄反射がガス交換に寄与する」という仮定もあろう)。この時間を長めに考える場合は、人工呼吸停止・死亡患者の心臓死までの平均時間 =千葉県救急医療センター非腎提供171例の平均)の22分間が、最も多数の人工呼吸停止症例の報告であることから 参考になるが、脳死誤診患者の長期生存時間も含んで長時間になっている恐れがある。

西邑 信男(日本医科大学麻酔学教室):末期における心循環系の変化、麻酔、34(4)、489−492、1985
 西邑論文は、人工呼吸を完全な心停止状態になるまで続けた脳死11症例(平均54歳)の心循環系のパラメーターを報告している。動脈収縮期圧と血液pHは、昇圧薬点滴中が115±12mmHg・pH7.26±0.05、昇圧薬中止後10〜20分が66±7mmHg・pH7.26±0.05、完全な心停止の10〜20分前が38±4mmHg・pH7.19±0.05だった。

 西邑論文も踏まえると、人工呼吸の停止後に心停止までに10分間から20分間以上を要した症例は、終末期や瀕死の診断に疑問を呈される水準と思われる。

 また人工呼吸停止時の血圧についてみると、正常または高血圧の症例もみられる(参照:千葉県救急医療センター)。血圧が高いほど、心停止までの所要時間は長い。古くから「 脳死と判定されると、数日のうちに心停止を迎える」とされてきた。正常値100mmHg前後の血圧であれば、全身状態の維持の困難な瀕死患者・終末期患者といえる事情は、 直接患者を治療していた医師以外には不明になる。臓器ドナーとされていた患者が血圧が70mmHg以上の場合には、血圧や臓器機能維持のために昇圧剤の投与や輸液がなされた可能性、そのドナー管理が患者の蘇生可能性を破壊する可能性のあることも想像しなければならない。また法的に脳死ではない状態で、ドナー管理することは違法行為になる。

 従って、「血圧の維持が困難で数日のうちに心停止を迎える」という終末期・瀕死患者としては 、腎臓血流量の自動調節機能が働かなくなる70mmHg以上、「人工呼吸停止による呼吸困難や栄養・水分補給停止による餓え・渇きなど苦痛のうちに死亡させることを回避する」場合は、脳血流量の自動調節機能が働かなくなる50mmHg以上が、終末期や瀕死の診断に疑問を呈される水準 と仮定する。

注1: 「窒息実験や無呼吸テスト」と「死を予定する人工呼吸停止」では、記録の正確性や無呼吸開始時の生理的状態が大きく異なるため、単一の時間や血圧を絶対的な判断基準に設定することは難しい。

  • 記録の正確性に関しては、例えば看取りに先立って心電図を停止する施設もあり、心停止の確認が数分間遅れる可能性がある(死亡までの時間が、実際より長い記録が生じる)。
  • 無呼吸開始時の生理的状態に関しては、例えば無呼吸テスト開始前には、被験者の血中炭酸ガス圧や体温を一定範囲に揃える等がなされる。一方、死を予定する人工呼吸停止では、個々の患者の生理的状態は大いに異なる。耐久力に個人差 もある。さらに「近親者が揃う時間を待つために蘇生薬を投与」「臓器ドナーとして管理され輸液その他の薬剤投与」など行われている場合がある。
  • 従って、判断基準は「心停止まで10分間以上あるいは人工呼吸停止時に血圧50mmHg以上で、人工呼吸停止の判断に疑問が生じる。20分間以上あるいは70mmHg以上で、疑問が 強化される。 心臓死までの時間や血圧だけでなく、個別症例の情報も考慮して判断されるべき」という性格を持つ。
     
    • 心臓死までの時間や血圧だけで判断が難しい実例(千葉医学雑誌67巻4号p193〜p199、1991年より)
       脳幹梗塞の54歳男性は1991年9月11日午後5時半に人工呼吸器装着、9月17日脳死判定(血圧134/72mmHg)の第一回の無呼吸テストで腹直筋に不随意収縮がみられ判定を保留した。第二回(血圧142/82mmHg)も同じ収縮を生じたが自発補助呼吸でなく,脊髄性ミオクローヌスと診断し、脳死状態と判定した。第三回(血圧168/93mmHg)の無呼吸テストでは脊髄性ミオクローヌスは出現せず、脳死状態と判定した。9月18日午後9時2分、人工呼吸器の作動を停止、9時22分心停止を確認し死亡を宣言した。死後1時間10分での剖検で、脳は脳幹・小脳から大脳底面にかけて広範囲に軟化、壊死に陥り、崩れて現状を留めなかった。

       しかし、脳が広範囲に軟化、壊死していても、脳死判定が正しいか否かは、これも断定できない。水野 美邦(順天堂大学神経学)は、1970年にノース・ウェスタン大学医学部で深昏睡・呼吸停止患者の剖検30例のうち、平坦脳波であった患者が11例、脳波を残したまま亡くなった方が19例。平坦脳波患者は全例組織学的なrespirator brainの特徴を備えていた。一方、脳波を残しながら亡くなられた患者でも、1例respirator brainの特徴を示していた方がありました・・・」(脳死・脳蘇生研究会誌10巻p1〜p19、1997年)と報告している。

注2:上記以外の窒息実験では、1%酸素ガス・99%窒素ガスを吸引させたイヌ5頭の場合5〜6分間(法医学の実際と研究32巻p135〜p139) だった。しかし、酸素を含まないガスを吸引させて心臓死に至らせる実験は、人工呼吸停止・死亡のメカニズムとは異なる。人体の肺には数リットルの大気があり、呼吸運動は存在しなくとも、拡散を通じてガス交換に利用される。また人間の絞首刑では、心停止まで十数分間とされている(正式な報告は入手できていない)。洋泉社発行「死刑執行」によると、1969年に宮城刑務所の7死刑囚では、死刑執行開始から心停止まで4分35秒〜37分:平均13分58秒だったという。短時間の心停止の原因は「頸部神経の圧迫・牽引あるいは頸髄離断」があり、他方の長時間経過後の心停止には刑具の調整不備など、ともに「脳死」患者には関係のない因子も作用している。

このページの上へ

 

 

射水市民病院 ?脳死判定対象外患者を脳死判定、心停止まで100分間 #imizu

*中島 みち:「尊厳死」に尊厳はあるか、岩波新書、2007(注:下記はp28〜p50より作成) 

人工呼吸停止後、心停止までの時間

症例 人工呼吸器装着につながった原因 心停止までの時間 問題点または注目点
80代前半女性 胃瘻造設術後、肺炎、心肺停止後蘇生 15分 縮瞳しているのに脳死と判定
80代前半男性 胃ガン全摘術後再発、肺炎、心肺停止後蘇生 100分 血圧測定不能後に人工呼吸停止
50代前半女性 胃ガン、癌性髄膜炎、慢性硬膜下血腫      28分 脳外科医が「脳死に近い状態」と説明
90歳男性 肺炎、四肢チアノーゼ、下顎呼吸 13分 人工呼吸器装着を拒否した患者に、9日間装着
60代前半男性 胃切除術後肺炎、心肺停止後蘇生 20分 糖尿病患者を脳死判定
80代前半女性 人工肛門造設術後敗血性ショック、心停止後蘇生 2分 人工肛門造設術の是非
70代後半男性 膵臓ガン開腹術後、呼吸障害 15分 呼吸器停止日の午前に対光反射あり、処置に対して顔をしかめた

このページの上へ

 

 

山口赤十字病院 ?脳死判定1回の47歳男性が心停止まで49分間

*末永 和之:脳血管障害と脳死、日本法医学雑誌、40(5)、619、1986

人工呼吸器除去後、心停止までの時間

症例 人工呼吸器除去
までの時間
心停止までの時間 死因
45女  23時間10分 16分 くも膜下出血
47男       31分 49分
48男  17時間      10分
58女    6日 15分
74男  1時間28分 20分 脳出血

 山口赤十字病院内科にて1980年1月より1985年12月までに自発呼吸停止、死亡した脳血管障害数は111例。自発呼吸停止に際し人工呼吸器を装着するか否かは、生命徴候、神経症状、CT所見、年齢、家族の希望など種々の要因によって異なるが、31例(28%)に装着している。発症後呼吸停止までの時間の短い症例に集中している。人工呼吸器装着後、心停止をきたすまでの時間は、6時間以内9例(29%)、12時間以内11例(35%)、24時間以内15例(48%)で、最長は10日間である。この31例のうち、心停止前に人工呼吸器を外した症例が5例あり、このうち2例は脳死の判定に必要な観察時間6時間以内に除去している。人工呼吸器をはずして、心停止をきたした時間は10分〜49分である(左表)。

 現時点では脳死判定の対象となった場合、積極的に治療を心停止まで続けるか、判定基準を満足する6時間以内に医療行為を中止するかは、ケース・バイ・ケースで家族の希望、医師の判断にゆだねられているのが現状である。

このページの上へ

 

 

千葉県救急医療センター ?心停止まで10分間以上が98%、44分間の患者も

*野口 照義、角田 興一、伊東 範行、渡辺 義朗:単独独立型救命救急センター10年間の実績とその検討、救急医学、18(2)、217−225、1994

血圧と心停止までの時間(千葉県救急医療センター・救急医学18巻2号p222)

 

非腎提供

腎提供

血圧(mmHg) 件数 平均血圧 時間(分) 件数 平均血圧 時間(分)

〜19

 14.0±4.2  8.0± 1.4      
 20〜39 18  24.0±6.4 18.4± 7.7      
 40〜59 47  45.4±5.5 19.1± 9.2      
 60〜79 48  65.5±5.4 21.0± 9.9  64.3±5.4 15.0±7.0
 80〜99 34  83.2±5.5 24.8± 9.1 12  86.3±5.8 18.6±5.9
100〜119 12 105.0±5.4 25.3± 9.0 103.3±5.8 24.0±6.4
120〜139 120  ±10.0 30.3±13.2 121.0±1.4 20.1±8.5
140〜 153.3±23.1 35.7± 6.0 140  ±0 44.0±0

合計

171  65.3±29.3 22.1±11.0 25  87.0±20.4 20.8±8.3

 1980年4月の救命救急センター開設以来10年間で、20,423件の新患患者を診療した。343件の脳死例は全死亡例1,996件の17.2%にあたる。脳死例の平均年齢は、一次性脳障害316件で50.3±27.3歳、二次性脳障害27件で31.4±25.7歳。全体の42.8%の147件は、脳死の説明でも家族の希望により心停止にいたるまで人工呼吸器を継続使用した。脳死判定後9日以内に全例死亡した。脳死例の57.2%は人工呼吸器より離脱され、その12.6%(25件)より死体腎の提供があった。41件は脳死の説明で家族の強い希望により人工呼吸器を離脱(脳死日数0.5〜6日)、155件は脳死の説明で人工呼吸器から離脱(脳死日数1〜6日))した。人工呼吸器離脱時に血圧が高いほど、心停止までに長時間を要した(左表)。

 

 千葉県救急医療センター医師の問題コメント

 2005年2月26日のイベント「市民が考える脳死・臓器移植」では、心臓電気生理学の渡部 良夫氏が無呼吸テストの「脳死作成法」的な性格を説明した(http://www.i.dendai.ac.jp/~wakamats/braindeath_doc/Report_A/11c.html)。これに対して、千葉県救急医療センターの小林 繁樹医師は「脳血流停止を確認してから、無呼吸テストを開始しているから、そのような心配はない」旨を発言した。ところが下記の救急医学12巻で小林氏らが発表しているように、同センターで脳血流停止とされた患者から脳波が測定されており、聴性脳幹反応では頭蓋内血流の存在を示す1波が測定されている。自ら脳血流検査の感度が悪いことを知りながら、一般人向けに絶対的に間違いのない検査をしている印象を与える発言はいかがなものか。

*中村 弘、渡辺 義朗、佐藤 章、小林 繁樹、景山 雄介、平井 伸治、古口 徳雄:切迫脳死、脳死239例の検討、救急医学、12(臨時増刊)、S128-S129、1988

 頸動脈撮影は48例(51回)、全例で脳波を、20例でABRを施行後3〜4時間以内に、また臨床的に脳死を疑った時点から14〜56時間後に施行された。48例中3例(6.3%)はnonfillingであったが、2例で脳波上Hockaday4aを、1例でABR上1波を認めた。

 

 また同日、私が小林氏に下記の日本救急医学会雑誌9巻の記載を見せて、私が「あなた方は『臨床的には、脳死判定終了前から脳治療を目的としない徹底した全身管理を行わないと、20%近い症例が失われる可能性がある』と発表したが、法的脳死判定 手続きも無い昔から違法なドナー管理を行ったきたのか?今後も法的に脳死さえ確定していない人権のある患者を、臓器ドナーとして管理するのか」旨を問うたところ、小林医師はまったくの無言のまま立ち尽くした。 長時間、無言のままではイベントの進行に支障があると考えて、私が「千葉県救急医療センターとしては『脳死判定終了前から脳治療を目的としない徹底した全身管理を行わないと、20%近い症例が失われる可能性を指摘しただけで、実際はそのようなことは行っていない』ということにしますか?」と助け舟を出したところ、小林医師は「そうです」と答えてようやく着席できた経緯がある。しかし、上記の表「血圧と心停止までの時間」にも血圧60〜140mmHg以上の患者が人工呼吸を停止され、腎臓を摘出されたことが示されている。血圧59mmHg以下の臓器ドナーはいない。

*佐藤 章、中村 弘、古口 徳雄、小林 繁樹、八木下 敏志行、渡辺義郎:臓器移植法による脳死判定が救急医療現場にもたらす医学的、倫理的諸問題:脳死判定350例の経験から、日本救急医学会雑誌、9(9)、393、1998

  脳死判定は、85年までは脳波学会基準、86年以降は施設基準(厚生省基準+ABR+脳血管撮影)で行った。臨床的脳死に陥った488例中350例(72%)が脳死と診断され、うち230例(67%)で治療中止の相談がなされ、199例(86%)で呼吸器停止の承諾が得られた。しかし全脳死症例中の約18%がvital signsの悪化により呼吸器停止前に死亡した。・・・・・・臨床的には、脳死判定終了前から脳治療を目的としない徹底した全身管理を行わないと、20%近い症例が失われる可能性がある。

 

*佐藤 章、中村 弘、古口 徳雄、小林 繁樹、景山 雄介、宮田 昭宏、八木下 敏志行、渡辺 義郎(千葉県救急医療センター):臨床的脳死後長期治療継続例の検討、脳死・脳蘇生研究会誌、10巻 Page83−84(1997

 我々の施設では、患者が臨床的脳死に陥った場合、可及的早期に脳死判定を行い、脳死の確定診断後は可能な限り家族と延命治療の中止につき相談する方針をとってきた。この方針は、臓器移植や医療の経済効率などへの配慮とは全く関係がなく、患者の状況を家族に正確に伝え診療側の方針を提示した上で、その後の治療につき相談するという、我々の施設における臨床全般に亘る基本的態度を、脳死状態の患者に対しても誠実に行うことの結果として理解され、支持されてきた。その結果、多くの症例が臨床的脳死状態から比較的早期に死亡されている。一方、脳死に至る過程も、それに対応する家族の反応も症例により様々であり、この方針を機械的に適用していくべきでない状況も少なくない。今回は、脳死後長期治療継続例を中心とした生存期間の検討から、脳死後の患者および家族への対応の問題点につき報告する。

 対象は1980年から1996年に治療した臨床的脳死連続488名(当サイト注:「脳死判定率」「延命治療中止相談率」「治療中止同意率」等は前出の日本救急医学会雑誌9巻9号と同じ)、臨床的脳死状態から死亡までの時間経過は平均約60時間(61.3±81.8)であるが、時間別にみると、60時間以内が324例、68%を占め、120時間以内は94例、20%、240時間以内が45例、10%で、10日以上治療継続例は13例、2.7%ときわめて少数であった。

 13例の治療長期化の理由としては、家族による治療の継続要望が6例、脳幹死で最終判定までに時間を要したものが2例、医療事故に関係した脳障害のため家族および社会的対応を考慮して治療中止を提示しなかったものが2例、その他3例であった。このうち呼吸器停止に同意されたのは脳幹死後脳死1例と、クモ膜下出血による死亡後腎提供された1例の計2例である。

 10日以上の長期治療継続例では、臨床的脳死から死亡までは平均414時間(413.9±186.4)であるが、脳幹死2を除けば、脳死判定までは約88時間(87.8±38.4)と比較的早期に終了しており、脳死確定後の治療が長いことがわかる。家族面談は平均15回(15.2±5.0)行われており、これはほぼ1日1回(0.80±0.32)の面談となり、長期生存例において判定終了後も家族への配慮と説明がきめ細かく行われた結果であると推測された。

このページの上へ

 

 

淀川キリスト教病院 ?心停止まで38分間

*和田 浩、船戸 正久、玉井 普、島田 誠一:小児の脳死判定と倫理的意志決定、脳と発達、32(Suppl)、S176、2000

 米国のTask Force による「小児脳死判定のガイドライン」を基に、過去10年間に脳死判定を新生児を含む小児12例に試みた。乳幼児を含む小児4例はすべて臨床上脳死と判定した。新生児8例中4例に脳死と判定したが、残る4例は脳循環が脳幹部に幾分認められ、脳死とは判定できなかった。脳死と判定したうち小児2例、新生児3例に看取りの医療を適応、最後の判定から看取りの決定まで0日−4ヵ月の日数が必要であったが、人工呼吸器の停止後すべて症例で1時間以内(5−38分)で心臓が停止した。かつ自発呼吸の再現もなかった。

 

 

千葉大学 ?心停止まで30分間

表1 ドナー死亡宣告までの経過別に見た症例数

脳死者の死亡宣告までの経過 時期 ドナー数 腎移植数
 respiratorを装着し続ける
→1〜2週間後に心停止
→死亡宣告→腎摘出
(三徴候死法)
1967−79 46 48
 respirator をはずす
→約30分後に心停止
→死亡宣告→腎摘出
(respirator off 法)
1980−85 37 37
 respirator を装着したまま
死亡宣告→腎摘出
(heart-beating 法)
1983

1967−85 84 86

*落合 武徳、浅野 武秀、鈴木 孝雄、榎本 和夫、永田 松夫、軍司 祥雄、植松 武史、中島 一彰、後藤 剛貞、小高 通夫、佐藤 博(千葉大学第2外科):脳死または三徴候で死の判定がなされた死体腎移植成績の比較、移植、20(4)、328−331、1985

 千葉大学では1967年に死体腎移植第1号を行って以来、1985年までに86例を行った。この18年間に、死体からの腎摘出法は変化した。1980年までは、respiratorを装着し続けた状態が1〜2週間 続いた後に、しだいに血圧が低下し、遂に心停止をきたして死亡宣告された後に腎を摘出 していた。この方法は三徴候に基づいて死の判定がなされたものである。1980年頃からは、脳死の診断後、respiratorをとりはずす施設が増え、respiratorをとりはずした20〜 30分後に、心停止よる死亡宣告が行われたあと腎摘出を行うのが一般的となった。わずか1例であるが、respiratorを装着したままのbeating heartの状態で行った。respiratorのとりはずしは脳死を死とする考え方に基づいており、本質的にはbeating heartの症例と同一である。
 これらの死体腎移植のドナーの死の判定は、すべてドナーの主治医によって行われ、我々移植グループは関与していない。

 

 

当Web注:落合氏らは、1967年から1979年までは「三徴候に基づいて死の判定がなされた」と称するが、1967年の臓器摘出時から死亡宣告後に心臓マッサージを行い、さらに麻酔器をつけたまま手術場に搬入している。一時的に(瞳孔散大・呼吸停止・心臓停止)の死の三徴候が揃った時間帯があっても、その後に心臓マッサージが行われて血液循環を再開し、さらに麻酔が効く(=血液循環がある、ガス麻酔ならば呼吸もある)、そして麻酔が必要な状態に患者がいるのであれば、三徴候死の死亡宣告は反故になっている。 千葉大学の移植医は1967年から、脳死を死とする考え方で臓器摘出を行ってきたと判断される。

このページの上へ

 

 

筑波大学 ?心停止まで30分間

*井口 聖一、湯沢 賢治、大塚 雅昭、余 以彬、平井 みさ子、長田 明、沢野 達哉、河合 勇一、上田 廣、野末 睦、深尾 立、小磯 謙吉、岩崎 洋治(臨床医学系):69歳ドナーよりの死体腎移植の経験、移植、27(1)、107、1992

 ドナーは69歳男性、広範な脳梗塞による脳死と判定された。ドナーの人工呼吸器停止後、心停止を確認し腎を摘出し、移植した。呼吸停止より心停止まで30分。

 

 

長崎大学、国立病院長崎医療センター関連施設(長崎県下の10施設、北九州の1施設、佐賀県下の1施設) ?心停止まで25分間          #nagasaki

*錦戸 雅春、野口 満、古賀 成彦、金武 洋(長崎大学大学院医歯薬総合研究科腎泌尿器病態学)、松屋 福蔵、林 幹男(国立病院長崎医療センター泌尿器科)、進藤 和彦(国立嬉野病院)、堀 建夫(大村市立病院):心停止ドナーからの献腎移植 献腎摘出、腎機能、予後に関するドナー側因子の検討:西日本泌尿器科、65(5)、259−264、2003

 1983年より2001年までに長崎大学および国立病院長崎医療センターによって摘出された心臓死下献腎ドナー56例(男32例・女24例、15〜70歳)。 クモ膜下出血が29例(52%)、その他脳出血6例、脳梗塞4例、脳腫瘍1例の内因死があわせて71%。脳挫傷9例、脳虚血5例、その他の外因死が29%。提供施設は長崎県内の10施設より37例、長崎県外では北九州市内の関連施設1施設より19例、佐賀県内の1施設から1例。

 献腎摘出の方法であるが、家族の心情に配慮して臨床的脳死が確認されたのちはできるだけ病床に移床して患者と接してもらい、最後は病室でレスピレータをオフしてもらっている。ドナー主治医には十分な輸液と血圧、尿量の確保を御願いした。

 レスピレーターオフから心停止までの平均時間は11.6分(2〜25分)・・・・・・ドナーの家族、ドナー主治医に配慮して心停止前カニュレーションは行なってこなかった。結果として温阻血時間は18.6分、(移植後)平均透析日数も16.6日と長かった。しかし(中略)生着率は国内の他施設と同等の成績であり(中略)レスピレーターをオフすることによってより死戦期のダメージは少なく、腎摘出のタイミングもうまくはかれたことが原因と考える。

当サイト注:第24回九州腎臓移植研究会において、長崎大学・国立病院長崎医療センターの臓器摘出チームが関与した71歳女性ドナーの場合は、抗血栓剤ヘパリン投与後に心停止し、心臓マッサージの行われたことが報告されている。臓器摘出前に、移植用臓器で血液が凝固しないように抗血栓剤ヘパリンが投与され、その薬剤をドナーの全身にいきわたらせるために心臓マッサージが不可欠になる。しかし脳出血等の患者に、血を凝固させない抗血栓剤ヘパリンを投与することは致命傷になりうるため、患者の治療目的では原則的に投与しない。 また千葉大学が1967年から行っているように、ドナーが病室から手術場まで搬送される間にも、摘出予定臓器の鮮度を維持するために心臓マッサージをされることが一般的である 。
 錦戸氏らは、死亡宣告から手術場に搬送して執刀するまでの時間が約10分であることも記載している。心停止が20分間継続しても軽度障害で退院できた症例もあり、 長崎大学・国立病院長崎医療センターによる臓器摘出も、生体解剖である可能性が高い。
 「人工呼吸の停止」「生前から臓器ドナーに仕立てるための十分な輸液と血圧、尿量の確保」、「抗血栓剤ヘパリンの投与」、そして「心臓マッサージ (心停止によって死亡宣告された患者において、血液循環が再開される)」など臓器摘出目的の行為について、ドナー候補者の家族は正確に理解しているのか。法的脳死判定手続きも ない1983年から実行していいのか。臓器移植法施行後も、臨床的脳死診断のみで実行してよい行為なのか。錦戸氏らの「ドナーの家族、ドナー主治医に配慮して心停止前カニュレーションは行なってこなかった」とは、何も知らない素人向けの“配慮”のことであろう。
 またドナー主治医は、患者が心停止した後に三徴候死の死亡宣告をしたのであろう。心臓マッサージによって心停止ではない状態に患者がされたならば、死亡宣告は取り消すべきではないか。

このページの上へ

 

 

福井医科大学 ?死亡まで20分間、無呼吸テストなしで脳死宣告 #19980304

*中川 隆雄、横山 利光、須賀 弘泰、斎藤 雄二、 出口 善純、村岡 隆介(福井医科大学救急部):臓器移植法成立後の死体腎移植について、脳死・脳蘇生研究会誌、11巻、64−66、1999
*中川 隆雄、横山 利光、須賀 弘泰、斎藤 雄二、 出口 善純、村岡 隆介(福井医科大学救急部):臓器移植法成立後の死体腎移植について、脳死・脳蘇生研究会誌、11巻、95、1999

 67歳男性は10年前よりパーキンソン病で加療中で最近は寝たきりの状態であった。1998年2月11日リンゴ誤嚥により窒息、心肺停止状態で搬送。2月12日CT上脳ヘルニア、2月18日無呼吸テストを除く脳死判定を行い、脳死と診断したが、家族の認識が得られず、2月27日に再度脳死判定を行った後に死体腎移植の話をしたところ同意が得られ、泌尿器科、移植コーディネーターによる準備が行われた。

 3月4日午前8時半に突然心停止したため蘇生術を施行、心拍再開後に家族の了解を得て腎灌流用カテーテルを挿入、その後、人工呼吸器を停止し、家族が見守るなか20分後に心停止を確認後、手術室に移し腎摘出を行った。
 

当サイト注: 家族が腎臓の提供に同意していなければ、3月4日に心停止しても蘇生術は施行されなかったのではないか。また腎灌流用カテーテル挿入は、第3者目的の処置であるため法的脳死判定手続き後に行わないと傷害罪に問われるべき行為だ。3月4日に突然心停止したにもかかわらず、人工呼吸停止後に死亡まで20分間と長時間だ。長時間になった原因として、昇圧剤や輸液など第3者目的の違法なドナー管理をなされた可能性も考えられる。パーキンソン病で寝たきり患者状態患者への脳死判定は、妥当か?

 

 

山梨医科大学 ?肘部を中心とする屈曲運動と筋肉収縮が出現、死亡まで18分間

*田中 行夫、前田 宜包、大石 祐道、正宗 大士、駒井 孝行、田草川 正弘、杉山 剛、宇佐美 政英、渡辺 新(救急部集中治療部):ラザロ徴候を呈した臨床的脳死の1症例、山梨医学、29、279、2001

 34歳男性、 泥酔してサウナに入り意識障害、来院時の鼓膜温は40.6度、熱中症。第4病日に脳幹機能が停止、6病日に臨床的脳死判定を行い、家族の希望のもとに人工呼吸器を外したところ、数分後に左上肢の肘部を中心とする屈曲運動と筋肉収縮が出現した。この現象は、十秒近く続き18分後に死亡判定となった。

このページの上へ

 

 

大阪大学 ?心停止まで13分間

*園田 孝夫(大阪大学医学部教授):腎臓移植の実際 完全な臓器置換で社会復帰、大阪府医師会報、204、46−52、1984

 死体提供者の62歳女子は、クモ膜下出血で腎移植の9日前に入院。3日前に脳死判定、18時18分にベンチレーターを止めて、13分後に心停止。

このページの上へ

 

 

京都大学 脳死判定をした患者が自発呼吸、家族には告げなかった

*死の判定 脳死臨調最終答申を前に:朝日新聞1991年11月4日付朝刊30面

 京都大学医学部付属病院にある3階にある集中治療室で、講師だった瀬尾憲正さん(取材時、自治医科大助教授)は声を上げそうになった。4年前の秋のことだ。
 自分が脳死と判定した62歳の女性が横たわっていた。人工呼吸器をはずしてしばらくすると、胸がゆっくり上下し始めた。口元のチューブからかすかな息の音が漏れる。1分間に数回、10分間にわたって、女性の「呼吸」は続いた。
 この2日前、脳死判定は終わっていた。「回復の見込みはありません」と間接的な表現だが<死>を家族に告げた。「『呼吸』をどう理解すればいいのか」。頭が混乱した。
 (中略)瀬尾さんは判定の2日後、「念のために」観察時間を延長して調べ直した。「呼吸」が戻ったのは人工呼吸をはずしてから25分後だった。
 (中略)「呼吸」がいったん戻った女性は3日後に心臓が止まった。その後も家族には、混乱すると思い、自発呼吸のことを告げなかった。

当サイト注:上記症例は、麻酔37巻10S号掲載のバビンスキー反射陽性症例かと考えられる。

 


このページの上へ

   

ホーム ] 総目次 ] 脳死判定廃止論 ] 臓器摘出時に脳死ではないことが判ったケース ] 臓器摘出時の麻酔管理例 ] [ 人工呼吸の停止後に脳死ではないことが判ったケース ] 小児脳死判定後の脳死否定例 ] 脊髄反射?それとも脳死ではない? ] 脊髄反射でも問題は解決しない ] 視床下部機能例を脳死とする危険 ] 間脳を検査しない脳死判定、ヒトの死は理論的に誤り ] 脳死判定5日後に鼻腔脳波 ] 頭皮上脳波は判定に役立たない ] 「脳死」例の剖検所見 ] 脳死判定をしてはいけない患者 ] 炭酸ガス刺激だけの無呼吸テスト ] 脳死作成法としての無呼吸テスト ] 補助検査のウソ、ホント ] 自殺企図ドナー ] 生命維持装置停止時の断末魔、死ななかった患者たち ] 脳死になる前から始められたドナー管理 ] 脳死前提の人体実験 ] 脳波がある脳幹死、重症脳幹障害患者 ] 脳波がある無脳児ドナー ] 遷延性脳死・社会的脳死 ] 死者の出産!死人が生まれる? ] 医師・医療スタッフの脳死・移植に対する態度 ] 有権者の脳死認識、臓器移植法の基盤が崩壊した ] 「脳死概念の崩壊」に替わる、「社会の規律として強要される与死(よし)」の登場 ] 「脳死」小児からの臓器摘出例 ] 「心停止後」と偽った「脳死」臓器摘出(成人例) ] 「心停止後臓器提供」の終焉 ] 臓器移植を推進する医学的根拠は少ない ] 組織摘出も法的規制が必要 ] レシピエント指定移植 ] 非血縁生体間移植 倫理無き「倫理指針」改定 ] 医療経済と脳死・臓器移植 ] 遷延性意識障害からの回復例(2010年代) ] 意識不明とされていた時期に意識があったケース ] 安楽死or尊厳死or医療放棄死 ] 終末期医療費 ] 救急医療における終末期医療のあり方に関するガイドライン(案)への意見 ] 死体・臨死患者の各種利用 ] News ] 「季刊 福祉労働」 127号参考文献 ] 「世界」・2004年12月号参考文献 ]