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補助検査のウソ、ホント
厚生科学研究費補助金「ヒトゲノム・再生医療等研究事業」平成14年度総括・分担研究報告書に、法的脳死判定が行えない重症脳不全患者も脳死判定・臓器摘出が実施できるように、補助検査を追加して脳死判定しようという横田論文が掲載された。今後、この方向で検討される可能性が高い。
また過去に立花 隆氏らが「脳血流停止を証明できれば神経細胞レベルの死を証明できる。脳幹反射の検査など要らなくなる、放射性同位体を使うPETで代謝停止を測定すれば確実だ」と主張した。欧米における脳死判定のレポートや一般向けのノンフィクション翻訳本、また日本国内の脳死判定においても「脳血流停止を確認した」などの表現がみられ、患者家族への説明に使う医師がいる。
しかし脳血流測定、PETともに、多くの場合、低血流や低い物質代謝の状態は測定できるものの、脳死判定で重要な脳幹部において神経細胞死が確実な状態を証明するのは難しいのが現実だ。測定限界以下や測定限界に近い低血流状態を含めて「脳血流停止」と称していることについて一般人は認識がなく、脳血流測定・脳代謝測定・電気生理学的検査に過大な期待が流布されている。
補助検査には有用なものもあるが、採用を推奨する専門家にさえ検査の限界、精度、短所に認識のない者がいる(特に中枢神経抑制剤の影響に認識がない)。そもそも、検査で脳の機能停止が確認されても、その状態が「一時的に機能停止してはいるが、回復可能な状態」なのか、それとも「回復不可能で壊死せざるを得ない状態」なのか、区別のつかないことが忘れられている。眼で診て脳細胞が完全破壊されていることを確認するならば話は別だが。
そこで脳死判定と補助検査、剖検、薬物の相互関係を検討するために、資料要旨を表形式でまとめxls形式ファイルとした。(最新のファイルは2007年2月12日現在、A列〜N列・
183行・2シートあり262KBです。ここをクリックしてData20070212をご覧下さい。旧ファイルはtest20050604)。
ファイルに関する注意事項
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折り返し表示シートと1行表示シートは、同一データである。折り返し表示シートも、全文を表示できていない文献がほとんどのため、各セルをクリックして読んでいただきたい。
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前回作成のファイルより、新規追加文献は黄色塗りつぶし、記述追加or修正文献は緑色塗りつぶし(Data20070212には記述追加or修正文献はありません)をしてある。
作成者の注記は(守田注:・・・)とした。
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脳死判定を支持するだけの補助検査結果を報告した文献は、掲載していない。血液成分や心電図と脳死判定を関連づけた論文もあるが、現時点では有用性が低いと判断されるので掲載していない。調査対象文献のすべては
収集できていないので、傾向をみるためにご覧ください。
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非脳死患者や動物実験における検討を掲載した文献も掲載している。タイトルや本文から非脳死患者や動物実験であることがわかりにくい資料は、文中に付記した
(なお脳死とは不正確な用語であり、重症脳不全と表現すべきと考える)。
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同一研究者、施設の報告で、後年の論文に包含される文献は掲載していない。しかし一部の文献は、参考になる記述があるため掲載した。複数執筆者による文献も、大部分は筆頭執筆者名のみ記載した。