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死体・臨死患者の各種利用(医師のトレーニング、適合試験ほか)

臨死患者

死体

2013

2012

2011

2010

2009

2008

2007

2006

2005

2001

このページの主旨

 順天堂大学医学部卒の山中 修氏は「失敗しても文句を言わない死に逝く患者は研修医の格好の練習台であった。今でも現場では同様の行為が続けられている」という。
 「献体を医師のトレーニングに使うことが法律上、認められるかどうか」については千葉大学の佐伯氏が書いているとおり暖昧だ。しかし既に行っているのは10大学以上と札幌医科大学の村上氏はいう。献体登録者の同意について、同氏は献体登録者1,256名のうち706名から手術演習目的の解剖について同意を得たと報告した。
 医師の研修目的の利用に献体登録者の過半数は賛同するようだが、埼玉医科大学の永島氏は「解剖体を用いた模擬手術は,困難な手術のリハーサル,新たな手術手技や手術材料の適合試験など,外科学の研究にも応用可能である」と用途拡大に言及した。千葉大学の佐伯氏は「教育・研究を目的とした献体の利用は大学の持つ権利であり,大学のみが素晴らしい教育教材である献体を所有し,それを使った手術トレーニングコースを施行しうる」と大学の利益を意識している。欧米では、美容手術の研修さらには自動車事故におけるダメージ実験などにも死体が使われている。死体の従来にない(病理解剖、司法解剖、解剖実習以外の)各種利用は、有用性が期待される一方で、目的により、また利用者の範囲により、献体する本人や家族の意思・理解とは懸け離れたものになる恐れがある。
 トレーニング用献体の処理法について、札幌医科大学の南田氏は「死後6〜24時間経過した新鮮死体を解体して頭部のみを切断し脳外科用に−20度の冷凍庫に保存する・・・」と述べる。さらにリアルな出血に対処できる研修までしたくなった時は、「脳死」生体解剖または無用の手術がなされる恐れもある。
 このページでは、主に日本国内における 生体、死体を使った研修、手術トレーニング、手術リハーサル、手術手技や手術材料の適合試験、これらの目的のための死体処理についての情報を記録する (整形外科における献体を用いた解剖学的な検討の報告は多いが掲載していない)。

臨死患者

山中 修(ポーラのクリニック):延命治療 最後の選択、メディカル朝日、1、88−89、2007

 (前略)“敗北の死”と言えば、何も知らない研修医の頃、先輩の指示とはいえ患者の最後の段階におぞましい行為を繰り返したものである。
 癌終末期のやせ細った老人の臨終に、「できるだけのことをやってみますので、ご家族は部屋の外でお待ちください」とうそをつき、家族を病室から追い払い、本来、患者と家族が究極の別れの時間を共有すべきであった部屋の中では「医師研修」という名目で、患者にとって全く不必要な蘇生行為が繰り返された。気管内挿管、中心静脈確保、心腔内注射、馬乗りになって肋骨を折ってまでの心臓マッサージなど、失敗しても文句を言わない死に逝く患者は研修医の格好の練習台であった。射水市民病院問題よりもはるかにレベルの低い、医師の傲慢さが招いた恥ずべき行為であったとひたすら反省しているが、驚くなかれ、今でも現場では同様の行為が続けられている。(後略)

当サイト注:山中 修氏は順天堂大学医学部卒業、順天堂大学医学部病院、国際親善病院を経てポーラのクリニック。路上生活者の支援活動も行っている。横浜中法人会によるインタビュー記事はhttp://www.hohjinkai.or.jp/news/5448/interview/interview.html

 

 

清水 健太郎、小倉 裕司、中堀 泰賢、早川 航一、吉矢 和久、鵜飼 勲、池側 均、田崎 修、塩崎 忠彦、鍬方 安行、杉本 壽(大阪大学医学部附属病院高度救命救急センター)、松嶋 麻子(社会保険中京病院救急科):CTを用いた心肺蘇生時の胸骨圧迫による臓器血流に関する検討、脳死・脳蘇生、21(2)、63−66、2009

背景
 心肺蘇生後に、蘇生後脳症のみならず激しい下痢、下血、門脈ガス等の腹部臓器合併症がしばしば見られる。腸管を主体としたこれらの合併症は、心肺蘇生時に生じる腹部臓器の虚血が一因と考えられ、腸管バリアの破綻から菌血症に至るケースも報告されている。
 現行の胸骨圧迫による血行動態に関する臨床的知見は乏しく、特に腹部臓器血流、頚部血管血流の評価はほとんどされていない。今回、我々は、造影CT検査を用いて胸骨圧迫時の腹部臓器血流および頸部血管血流を評価したので報告する。

方法
 心肺蘇生終了時に患者家族へCT施行の主旨を説明し、承諾が得られた院外心肺停止患者4例に対して造影CT検査を実施した。4例の平均年齢は68.0±12.3歳、性別は男性3人、女性1人であった。300mg/mlの造影剤イオパミドール注射液(イオパミロン100)100mlを大腿静脈より投与して胸骨圧迫を100回施行した後に頭部、胸部、腹部CT検査を施行した。同様に200回の胸骨圧迫後にもCT検査を施行した。造影CT検査では、腎静脈、腎動脈、肝静脈、門脈、右心房、上行大動脈、上腸間膜動脈、右内頸静脈、右総頚動脈の9箇所における血管内のCT値を計測した。

結果
 61歳男性の症例を提示する。建築現場で倒れているところを発見され当院へ搬送された。当院到着後、心肺蘇生術を継続するも心拍再開は得られなかった。家族に同意を得た上で造影CT検査を施行した。(中略)いずれの症例においても胸骨圧迫100回後の造影CT検査では,下大静脈が上行大動脈や他の動脈と比較して強く造影された。門脈が強く造影されている症例も一例存在した。また,内頸静脈は,総頸動脈よりも強く造影された。

結論
 心肺蘇生時には,胸骨圧迫による静脈系(上大静脈,門脈,内頸静脈)への著明な逆行性血流が存在した。蘇生時の逆行性血流と蘇生後に見られる合併症との関連性に関しては今後の検討を要する。

 

当サイト注

  1. 生存中?死亡宣告後?の生体実験
     この論文には、院外心肺停止患者4例に対して死亡宣告が行われたのか否か、記載されていない。心肺蘇生が断念せざるをえない患者が発生し、その後に死亡宣告が行われたとしても、その患者の肉体を使った研究は許されるのか?誰がみても回復不可能と思われる状態に至った人体であっても、胸骨圧迫などにより血流を再開するのならば、部分的に機能を回復する可能性がある。新潟大学の動物実験では、脳血流を完全に遮断し一時間後に血流を再開したところ、55%から6分後に脳神経細胞の活動を測定した(最新医学35巻6号p1174−p1180、1980年)。蘇生不可能として死亡宣告を行い、蘇生断念の判断が了解されるとしても、血流再開により三徴候死の状態ではなくなるため生体実験になるのではないか?
     
  2. 患者家族への説明と承諾は、正しく行われたのか?
     生体実験になる可能性があるならば、患者の家族は承諾しない。大阪大学医学部附属病院高度救命救急センターは、患者に対して予定している行為を正しく説明したか?患者家族は「死後の単なるCT撮影」とのみ理解して承諾したのではないか。
     
  3. 大阪大学の倫理委員会の承諾は得た実験か?
     この研究は生体実験になりうる要素があるが、大阪大学内の倫理委員会の承諾は得たのか。得たのならば、倫理委員会は「死亡宣告を曖昧にする行為であること」「生体実験の倫理性・危険性」「研究の必然性」について、どのように評価したのか。 
     この清水論文は、豚の心肺停止モデルを使った以下の2文献を紹介している。Resuscitation. 2008 May;77(2):229-234掲載のCerebral cortical microvascular flow during and following cardiopulmonary resuscitation after short duration of cardiac arrest.抄録は
    http://www.resuscitationjournal.com/article/S0300-9572(08)00007-5/abstract Resuscitation. 2003 Nov;59(2):255-260掲載のBrain metabolism during cardiopulmonary resuscitation assessed with microdialysis.抄録は
    http://www.resuscitationjournal.com/article/S0300-9572(03)00211-9/abstract
     先行する動物実験があり、清水論文は人体で追試し、動物実験の結果を人体で証明したように思えるが、それならば人体実験の必然性・不可欠性はあったのか?
     
  4. 論文審査の?  
     倫理面に配慮がない論文の掲載は、以後も同様の研究を容認したことと同じになる。

 


死体

2013

*近藤 喜太(岡山大学病院低侵襲治療センター):外科専門教育における献体を使用した臨床応用解剖実習および多視点多層解剖映像の有用性、医学教育、45(Suppl),158,2014

 2015年度から厚生労働省による「実践的な手術手技向上研修事業」が開始となっており、本学も対象校に指定されたことを受け、研修医を対象に臨床応用解剖実習を施行した。
 外科手術における解剖学的知識習得と技術向上を目的として、2014年3月1日・2日に一般腹部外科領域での第二回臨床応用解剖実習セミナーを開催した。参加者は岡山大学関連の中四国ネットワークを通じて広く公募し、食道、胃、大腸、膵臓の4領域に後期研修医を中心に1年目の初期研修医から6年目の外科レジデントまでを含む計22名の参加者を得た。それぞれの領域で多視点多層解剖教材を利用した講義とThiel固定による献体を使用したサージカルトレーニングを施行、研修後にアンケート調査を行った。
 受講者全員からアンケート回答を得た。満足度と有用性についてはそれぞれ5点満点として、講習全体の満足度4.88点、講義の満足度4.76点、実習の満足度4.84点、多視点多層解剖教材の有用性4.63点といずれも高い評価を得た。現在、講習受講後の達成度について追加調査を行っている。

 

*青木 光広(北海道医療大学リハ科学):日本手外科学会で実施された献体を用いた手術技術研修の成果と展望、日本整形外科,学会雑誌、88(3),S875,2014

 日本手外科学会では、札幌医科大学整形外科が主催し日本手外科学会が共催の形式を採用し札幌医科大字倫理委員会の承認を受け2012年12月1日(土)・2日(日)に第1回日本手外科学会カダバーワークショップを解剖実習室で実施した。受講者は応募し選考された卒業6年以上経過した37名の手外科字会会員で、講師は教育研修委員10名であった。
 手関節・CM関節鏡手術グループ(9名)では、上肢牽引装置を導入して手関節および母指CM 関節の関節鏡操作ならびに手術手技を実習し、手・前腕・下肢皮弁手術グループ(24名)ではマイクロフィルを充填された上・下肢の皮弁拳上を行い、肉眼解剖グループ(4名)では解剖アトラスをもとに上・下肢の機能解剖を習得した。
 特殊なホルマリン・アルコール・エチレングリコール固定法(Thiel法))で処理された標本は柔らかく、実際の手術に近い感覚で手技を行うことが可能であった。

 

鈴木 祟根(千葉大学大学院環境生命)、高橋 和久(千葉大学大学院整形):日本におけるclinical anatomy lab普及に向けた提言、日本整形外科学会雑誌、87(8)、S1529、2013

 千葉大学大学院医学研究院では、2010年9月に献体されたご遺体を用いて医師の教育・研究を行うクリニカルアナトミーラボを正式に立ち上げ、2011年5月から運用を開始した。利用実績は2011年申請17件、参加医師99名、2012年は申請11件、参加医師271名であった。

 

折田 純久ほか(千葉大学大学院整形):新鮮凍結死体を用いた脊椎手術手技教育 clinical anatomy lab(CAL)の秘める可能性、日本整形外科学会雑誌、87(8)、S1356、2013

 対象は初期研修を終え、本学整形外科に入局した3年目医師(千葉大学大学院整形外科シニアレジデント)であり、臨床の場では脊椎外科の執刀医となる機会の極めて少ない学年の医師である。クリニカルアナドミーラボへの倫理申請にもとづき、新鮮凍結死体を用いた手術手技セミナー(解剖・手術手技に関する講義、手術手技実習(胸椎・腰椎除圧術、ペディクルスクリュー刺入、椎間板摘出))を行った。本セミナーは2012年度を初年度とし、参加レジデントは第1回6名、第2回9名であった。

 

松岡 弘芳(杏林大学消化器一般外科):Cadaver modelを用いた薄筋置換陰部神経吻合による新肛門再建術の試み、日本大腸肛門病学会雑誌、66(7)、563、2013

 3体のライヘを用い、薄筋を用いた神経吻合を伴う新肛門形成術を施行した。大腿から薄筋および薄神経とともに置換し、薄筋は肛門に巻きつけ新肛門とし、薄神経は陰部神経と吻合した。手術開始から吻合終了まで平均2時間45分であった。

 

延與 良夫(和歌山医大附属病院整形):腰部椎間孔狭窄の外側開窓術における新鮮死体を用いた力学的検討 椎間関節もしくは関節突起間部はどの程度切除可能か、日本整形外科学会雑誌、87(2)、S117、2013

 ヒト新鮮死体の第3腰椎から第4腰椎、第5腰椎から第1仙椎をそれぞれ6体ずつ使用した(男性3例、女性3例、平均年齢84.3歳)。実験1は、段階的に左側椎間関節を椎間孔外側より25%、50%、75%、100%切除し、実験2は、.段階的に左側関節突起間部を椎間孔外側より25%、50%、75%、100%切除し、それぞれの段階において正常モデルと同様の剛性に対する力学的評価を行った。
 今回の研究より、腰部椎間孔狭窄に対する外側開窓術において術後不安定性を惹起させないためには、椎間孔外側からの片側椎間関節切除もしくは片側関節突起間部切除は50%以下にすることが必要であると考えられた。

 

伊藤 博之(東京医科大学耳鼻咽喉科):頭頸部領域におけるdaVinci手術支援ロボットの臨床応用、日本気管食道科学会会報、64(1)、1−7、2013

 当院では2006年に第1世代のdaVinci standardサージカルシステムを導入し、心臓外科、泌尿器科、婦人科が中心となって臨床応用してきた。さらに2009年に第2世代のdaVinci Sサージカルシステムを導入してから消化器外科と呼吸器外科が加わり、それぞれ臨床応用を開始している。

 頭頸部領域では2008年後半より臨床応用の準備を開始するにあたり、ロードマップを作成した。第1段階はロボット手術の基礎的訓練、第2段階はcadaverによる解剖学的知識の再確認と従来の甲状腺手術や咽頭癌部分切除などの経験を積むことである。第3段階はロボット手術認定資格の取得とその後の術式に応じたシミュレーション手術を行うことである。そして第4段階は適応基準作成と臨床応用とした。それぞれのステップを確実に施行したとき初めて臨床応用の開始が安全確実にできると考えた。

 第2段階は、われわれは医学生解剖実習の際に献体の甲状腺部を水平方向から観察し、反回神経の同定、甲状腺摘出のシミュレーションを行なった。
 第3段階は、筆者らは韓国延世大学病院のアドバンスコースを受講し、cadaverによる経腋下甲状腺手術と臨床症例見学を経験した。2009年にコース受講を申請し、2009年に資格を取得した。
 臨床手術見学は延世大学病院ロボットセンターのラボでIntuitive社公認の経口腔ロボット支援手術アドバンスコースを見学し、fresh cadeverによる実際の操作手順、鉗子の挿入法、コツなどを会得した。この経験をもとに当院ロボットセンターで繰り返し予備練習を行い、臨床応用を開始した。
 その後、当院では大学医学倫理委員会および病院臨床倫理委員会で倫理的妥当性を検証し承認され、第4段階の臨床応用を開始している。
 2011年1月からロボット支援甲状腺手術を、2011年8月から経口腔ロボット支援手術の臨床応用を開始しており、安全性と有効性を詳細に検討している。

 

2012

今西 宣晶(慶応義塾大学医学部解剖学教室)、相磯 貞和、高沖 英二、平形 道人(慶応義塾大学医学部医学教育統轄センター):卒後臨床医のための解剖学教育・研究施設Clinical Anatomy Laboの概要、医学教育、43(Suppl)、78、2012

 当大学においては2003年サージカルシュミレーションラボが設立され脳外科を中心に臨床医に対して解剖学教育が行なわれてきた。2007年には「医師に対する献体を用いた臨床解剖教育および臨床研修の実施」で大学倫理審査を通し2008年からはClinical Anatomy Laboと称し本格的に臨床解剖教育、研究を開始した。現在では脳外科のほかに整形外科、婦人科、救急科、放射線科、耳鼻咽喉科などが積極的にこの施設を利用し、年間40体前後解剖させて頂いている。また教育コンテンツとしても活用できるように画像は3Dで保存するようにしている。

 

田口 博一(東京医科大学八王子医療センター救命救急センター)、本間 宙(東京医科大学救急医学講座)ほか:解剖用人献体を用いた外傷手術臨床解剖学的研究会開催の試み、日本外傷学会雑誌、26(3)、355−361、2012

 本学ではすでに脳神経外科・口腔外科が人体構造学講座協力のもとに解剖用人献体を用いた手術研究会を開催していた実績があったことから、その開催過程を手順を参考にした。個人の意思の尊重、遺族の承諾の点については本学の解剖献体組織に協力を得た故人の生前の意思により「大学における人体解剖学教育・研究に役立てるため、自分の遺体を無条件・無報酬で提供すること」という点で同意を得ている。」
 2007年6月に第1回の外傷手術臨床解剖学的研究会を開催し、その後、2008年10月まで計3回の同研究会を開催した。3回の研究会とも、解剖用人献体の確保数は2体で、医師2〜3名に1体の割合となった。計3回の研究会に参加した救急医学講座所属医師は延べ12名であった。
 研究会終了後の参加医師のアンケート結果では、臨床現場ですでに経験のあるa)輪状甲状靱帯切開、b)左開胸大動脈遮断はもちろんであるが、経験したことのない応用手技、d)肺門部クランプ、e)心臓損傷止血術、f)開腹ガーゼ・パッキング、g)大腿動脈血管修復・吻合、h)(血管コンパートメント症候群に対する)下肢筋膜切開に関しても、緊急時には自ら施行する意欲が、後期研修医を除く参加者全員より窺えた。後期研修医は臨床上未経験の応用手技を自分のみで行なうことは困難であると応えた。
 今後は学内連携の強化、公的authorizeに向けての取り組み、生体(ブタ)の併用、などを検討することでさらなる普及の可能性が示唆された。

当サイト注:本間らは、2011年の日本救急医学会雑誌に「外傷手術臨床解剖学的研究会を2007年より計6回開催」と発表した。すでに6回開催した研究会を3回と少なくして、脳神経外科・口腔外科からの手術研究会の報告もなく、さらに「人体解剖学教育・研究に役立てるための献体」を行なった故人の意思・家族の承諾を、そのまま「外傷手術トレーニングに役立てるための献体についても同意を得た」と流用してしまうことは、日本外科学会と日本解剖学会が2012年4月に公開した「臨床医学の教育及び研究における死体解剖のガイドライン」http://www.jssoc.or.jp/other/info/info20120620.pdfに反する。

 

松岡 弘芳、正木 忠彦、小林 敬明、阿部 展次、森 俊幸、杉山 政則(杏林大学消化器・一般外科):薄筋置換陰部神経吻合による新肛門再建術 a cadaver study、日本外科学会雑誌、113(臨増2)、531、2012

 新肛門に直腸肛門角を形成するために検討として、cadaverを用いた新肛門形成が可能か検討した。2柱の薄筋を用いた新肛門形成が可能かを検討した。大腿から薄筋および薄神経とともに置換し、薄筋は肛門に巻きつけ新肛門とし、薄神経は陰部神経と吻合した。手術完遂率は2柱の両側大腿の合計4本すべてで薄筋の置換と神経吻合は可能であった(4/4:100%)。各々の手術開始から吻合終了まで平均2時間45分であった。薄筋置換陰部神経吻合による新肛門再建術は、手技的に可能であり臨床応用も示唆される。

 

佐々木 幹人、名越 智、加谷 光規、岡崎 俊一郎、舘田 健児、小助川 維摩、大西 師史、山下敏彦(札幌医科大学大学院整形):人工股関節全置換術に用いるanterolateral approach(modified Watson Jones)は筋腱温存が可能か Cadaver study、日本整形外科学会雑誌、86(3)、S350、2012

 今回、われわれは未固定凍結人体を用いて実際に手術で使用するレトラクターを用いてAnterolateral approachを実践し、短回旋筋群の損傷の有無を検討した。対象は5標本、8股関節、全例男性、平均年齢82.9(72〜96)歳、右4体、左4体であった。上双子筋、内閉鎖筋の損傷が8股中おのおの7股で生じていた。内閉鎖筋と上双子筋の損傷が高率に生じていることがわかったことから、大転子内側の展開に工夫を要する。

 

Ishiguro Shigeo(Oyamada Memorial Spa Hospital):Selective femoral nerve block: Suitable for post-operative analgia in total knee arthroplasty using mid-vastus splitting approach?: Cadaver study(選択的大腿神経ブロック mid-vastus splitting approachを用いた膝関節全置換術における術後鎮痛に適しているか? 死体を用いた検討)、日本整形外科学会雑誌、86(3)、S366、2012

 最も適切な神経ブロックのレベルを明らかにするために、死後24時間以内の死体で検討した。4体の8肢を使用した。

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2011

本間 宙、金子 直之、内田 康太郎、河井 健太郎、新井 隆男、織田 順、三島 史朗、太田 祥一、行岡 哲男(東京医科大学救急医学講座)、寺山 隼人、伊藤 正裕(東京医科大学人体構造学講座):Acute Care Surgery教育における解剖人献体を用いた外傷手術 臨床解剖学的研究会の有用性、日本救急医学会雑誌、22(8)、389、2011

 我々は人体構造学(解剖学)講座の協力の下、解剖人献体を用いた外傷手術臨床解剖学的研究会を2007年より計6回開催している。各種欧米コースを受講後、本学での研究会を、倫理面の配慮および正式手順を経て、1日間の日程で開催した。研究会の内容は、a)血管損傷関連:大腿部・頚部血管露出と修復術 b)胸部:左開胸・大動脈遮断・Clam shellや胸骨正中切開による開胸術、肺門部遮断、肺部分切除、心房・心室修復術 c)腹部:外傷緊急開腹術、ガーゼパッキング、Pringle's法、脾摘、マトックス操作およびカテル・ブラーシュ操作、腎摘、小腸器械吻合等を検討。
 参加者は、救急医学講座所属医師延べ31名(うち後期研修医12名)、他施設救急科所属医師11名、他施設外科所属医師1名。研究会後のアンケートでは、参加者の76%に臨床応用できる手術手技項目数の増加が認められた。

 

渡辺 邦太郎、吉松 貴史、森山 久美、窪田 靖志、巌 康秀(杏林大学医学部附属病院麻酔科学教室)、柴田 康之(名古屋大学医学部付属病院麻酔科学教室):ホルマリン固定解剖用死体を利用した超音波ガイド神経ブロックの技術習得、日本ペインクリニック学会誌、18(3)、337、2011 http://www.jstage.jst.go.jp/article/jjspc/18/3/300_2/_pdf/-char/ja/
 
 超音波ガイド神経ブロックの技術習得には、解剖用死体を使って超音波局所解剖と穿刺技術を習得することが最も良いとされる。超音波画像の視認性の点で、ホルマリン固定より新鮮解剖用死体のほうが適している。しかし、新鮮解剖用死体を(原文のママ)利用は本邦では困難である。われわれは、ホルマリン固定解剖用死体を使って超音波ガイド神経ブロックのワークショップができないか検証したので報告する。本研究は当該施設にて承認を受け死体解剖資格者のもと行なった。ホルマリン固定解剖用死体2体を使用して、下肢では大腿神経ブロック、閉鎖ブロック、大腰筋溝ブロック、体幹では胸部傍脊椎ブロック、TAPブロック、腹直筋鞘ブロック、肋骨神経ブロックを行い、薬液にアニリン塩酸液を使用した。
 下肢は大腿神経、閉鎖神経は観察できなかったが、腰神経叢は観察できた。体幹部はすべての部位で描出可能であった。体幹部の神経ブロックはホルマリン固定解剖用死体によるワークショップで技術習得は可能である。

 

筒井 求、花村 浩克(あさひ病院整形外科)、酒井 忠博、光山 浩人(名古屋大学医学部整形外科)、良田 洋昇(総合上飯田第一病院整形外科)、塚原 隆司(朝日大学歯学部付属村上記念病院整形外科):鏡視下前十字靱帯再建術における前内側ポータルからの大腿骨骨孔作製に関する屍体研究 ガイドピン刺入による腓骨神経損傷の可能性について、JOSKAS、36(3)、407−410、2011

 前内側ポータルからの大腿骨骨孔作成を行なう経ポータル法は、従来の経脛骨骨孔法に比べ前十字靱帯の解剖学的付着部への骨孔形成が容易といわれるが、一方で腓骨神経を損傷する可能性を挙げる報告が散見されている。本研究では、実際の生体に近い状態を維持している新鮮非凍結屍体膝を用いて、大腿骨作成時に刺入するガイドピンと腓骨神経との最短距離を測定し、ガイドピンが腓骨神経を損傷する可能性を検証した。
 新鮮非凍結屍体9膝を用いた。刺入部位別の平均距離は、屈曲120°で前内側線維束は平均4.7cm、後外側線維束は平均3.5cm、屈曲90°で前内側線維束(3膝)は平均4.7cm、後外側線維束(4膝)は平均3.6cm。腓骨神経から誘導糸までの距離は、いずれの症例においても前内側線維束誘導糸の方が、後外側線維束誘導糸よりも長かった。同一膝では屈曲120°に比べ、屈曲90°で前内側線維束、後外側線維束ともにガイドピン刺入経路が腓骨神経に接近する傾向を認めた。経ポータル法による大腿骨孔作成において、屈曲90°以上で深屈曲位に保つことにより腓骨神経損傷の可能性は低いと思われた。

 我々が用いた新鮮非凍結屍体膝では、ホルマリン固定死体や新鮮凍結死体のものと比べ神経・筋・腱・靱帯を含む関節周囲組織がほとんど変性していないためその伸張性が保たれていると考えられる。従って、手術時の肢位変化に伴う各組織の位置変化は生体に近い状態を反映しているため、今回得られた測定結果は、これまでの報告に比べ実際の手術に近いものであると考える。

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2010

力石 辰也、佐藤 雄一、宮野 佐哲、佐々木 秀郎、中野 透、工藤 浩也、江東 邦夫、相田 紘一朗(聖マリアンナ医科大学腎泌尿器外科学)、平田 和明(聖マリアンナ医科大学解剖学):Cadaverを用いた献腎摘出術トレーニングの経験、移植、45(総会臨時号)、343、2010

 当院では移植医療支援室の設置に伴い、心停止後の腎臓の提供症例が増加している。献腎の摘出は技術的に難度が高く、時間的な制約や失敗が許されないため、経験者が次世代の術者を育成するのが難しいと考えられる。そこで、解剖学講座のご協力を頂いて、医学部の教育・研究用に献体された御遺体を用いた献腎摘出術のトレーニングを行なった。
 死亡後ホルマリンで固定・保存され、1年以上経過した80歳代の御遺体(男性1体、女性1体)を使用させて頂いた。ホルマリン固定のため、術野の展開が困難であることを予想し、皮膚切開は肋骨弓下から下に凸のU字型切開として腹壁弁を頭側に挙上した。腹腔内に入った後は、通常の献腎摘除術と同様の手技で両側腎臓をen blocに摘出することを試みた。術者1は献腎摘出の経験がない日本泌尿器科学会指導医、術者2は同じく日本泌尿器科学会専門医で、献腎摘出の経験がある日本臨床腎移植学会腎移植認定医が指導した。
 術者2は約50分で両側腎臓をen blocに摘出したが、左腎動脈が頭側から分岐していたため、これを起始部で損傷した。術者2は約70分で両側腎臓をen blocに摘出したが、右腎静脈に損傷が起こった。
 解剖用御遺体を用いた献腎摘出のトレーニングは、臓器全体が硬直しているものの、実際の手術とほぼ同じ手技を行なうことができるため、極めて有用と考えられた。

 

出沢 明、西良 浩一(帝京大学医学部附属溝口病院整形外科)、脊椎内視鏡低侵襲手術における屍体を用いた訓練の動向、JOSKAS、35(4)、141、2010

 2006〜2009年の4年間で、13回の脊柱内視鏡手術トレーニングコースに、日本の脊椎を専門とする医師が参加して米国のメンフィスのMERI(Medical Education & Research Institute)に43人(日本から参加講師9人)、そしてソウルのSeoul St.Mary's Catholic Universityに40人(日本から参加講師9人)がドイツへDusseldorf大学での屍体標本を用いたトレーニングに参加している。いずれの施設でもレ線透視が可能であり、新鮮凍結標本を用いている。またトレーラの中に、全ての機器を搭載した簡易型トレーニング装置が開発され実用化されている。費用は各国により異なるが、屍体の調達費用はヨーロッパで1500〜2000USドル、米国では施設の利用を含めて4000USドルが必要となる。
 

注:上記の出沢報告は、韓国のSeoul St.Mary's Catholic UniversityとドイツのDusseldorf大学との関係が不明である。

 

今泉 督(沖縄県立中部病院形成外科)、野村 紘史(獨協医科大学形成外科学):Fresh cadaver flap dissection course for reconstructive surgeryの経験、日本マイクロサージャリー学会会誌、23(2)、110、2010

 今回、6th annual Duke fresh cadaver flap dissection course for reconstructive surgeryに参加し、さまざまな皮弁を見学し実際に挙上した。このコースは一般的な再建外科コースと手の外科コースの2コースが用意されている。
 2日間にわたり従来の皮弁から穿通枝皮弁まで、ほぼ全身の代表的な皮弁挙上を見学または実際に行なった。一体の新鮮死体に4〜5人の世界各地からの実習生が配置され、各分野の指導者19人以上が各グループに1〜2人ずつローテーション指導してくれる。
 このコースで私の施設ではあまり行なわれない皮弁に触れることができ、さらにその特徴を実際に触れて実感することができた。

野村 紘史、朝戸 裕貴、倉林 孝之、尾野村 麻以(獨協医科大学形成外科学)、今泉 督(沖縄県立中部病院形成外科)、松野 健二郎(獨協医科大学解剖学マクロ講座):皮弁挙上操作の研修におけるfresh cadaver dissectionの役割、日本マイクロサージャリー学会会誌、23(2)、110、2010

 筆頭演者は、2008年、Duke university主催のFresh cadaver FLAP Dissection Courseに参加し、皮弁挙上操作の研修における未固定凍結保存標本解剖(fresh cadaver dissection)の有用性を実感した。
 この経験をもとに、所属施設に申請し、2009年3月、獨協医科大学において、ご遺族の同意と生命倫理委員会の承認を頂き、fresh cadaver dissection行なう機械を得た。実際には、2日間で、頭頚部・胸部・腹部・四肢における23皮弁を挙上した。
 fresh cadaver dissectionはホルマリンで固定されていないため、硬度・色調や、結合組織の透明度は生体とほぼ同様で、皮弁栄養血管はもとより、皮膚穿通枝・神経なども明瞭に確認でき、剥離操作も生体組織における剥離と非常に近似していた。出血しないことを除けば、ほぼ生体と同じ条件のもとに皮弁を挙上することが可能であった。

 

*山崎 元靖、松本 松圭、清水 正幸、船曳 知弘、北野 光秀(済生会横浜市東部病院救命救急センター・慶応義塾大学医学部救急医学共同研究員)、関根 和彦、栗原 智宏、佐藤 幸男、並木 淳(慶応義塾大学医学部救急医学):未固定献体による臨床解剖学教育、日本外傷学会雑誌、24(2)、228、2010

【背景】体幹部外傷外科手術例の減少および外傷外科手術の多様性から解剖献体による臨床解剖学教育の試みが始まっているが、未固定献体を用いた臨床解剖学教育についての報告は少ない。
【目的】未固定献体を用いた胸腹部の臨床解剖学教育の有用性を検討すること。
【方法】慶応義塾大学解剖学教室に献体され、ご本人およびご家族の承諾の得られたご遺体をClinical Anatomy Laboratoryにて計2体解剖した。解剖は1体に対して約3時間程度行なった。参加者は、講師2〜3人(日本救急医学会指導医)、被教育者は4〜5人(救急科専門医、後期・初期研修医)。
【結果】未固定献体であるため、剥離操作等は臨床患者に対する手術と同様に行なうことが可能で、視野展開や実質臓器の解剖については有用であった。一方、腸管については壊死や腸管壁の菲薄化、悪臭のため、詳細な解剖を行なうことは困難であった。献体が冷蔵されているため参加者の手も冷たくなり、長時間連続して行なえないことや、解剖が可能な期間が限られるため、計画的に開催することが困難であることも指摘された。
【考察】未固定献体を用いた臨床解剖学教育は様々な制約はあるものの、計画的に行なえるようになれば臨床医にとって有用であると考えられた。

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2009

山崎 元靖(済生会横浜市東部病院救急部)、関根 和彦、並木 淳、相川 直樹(慶応義塾大学医学部救急医学):解剖献体を用いた臨床解剖学教育 外科的気道確保について、日本外傷学会雑誌、23(2)、153、2009

 解剖学的な理解が外科的手術手技施行には必須だが、外科的気道確保を行うような緊急の臨床現場では、研修医が十分な指導を受けることは困難である。マネキンによる修練にも一定の限界があると推察される。
 慶応義塾大学医学部クリニカルシミュレーションラボにてマネキンを用いて輪状甲状靱帯穿刺・切開、気管切開の修練を行い、引き続きクリニカルアナトミーラボにて、解剖献体を用いて各手技に関する臨床解剖学教育を行った。講師2人(救急医学会指導医)、受講者は研修医4人(初期3人、後期1人)、マネキン1体、献体2体で時間は計210分。
 直後に1、解剖の知識が深まったか?2、スキルの理解に役立ったか?3、臨床に役立つか?の3項目について受講者アンケートを行った。A、マネキンでの修練のみの場合、B,献体による臨床解剖教育を付加した場合を5段階で評価・比較した(5が最良)。
【結果】平均評点は、質問1:A3.1、B4.6、質問2:A3.4、B4.9、質問3:A3.3、B4.0。
【考察】解剖献体を用いた臨床解剖学教育は有用と考えられる。

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2008

11月28日 第11回日本内視鏡低侵襲脊椎外科学会

* 八木 省次会長(高松赤十字病院整形外科)の挨拶 http://www.doc-japan.com/jesmiss/welcome.htm

 (前略)現在、日本整形外科学会主催の脊椎内視鏡下手術・技術講習会や各地で模型を使ったハンズオンセミナーなどが行われていますが、最近、各科の外科手術において、Cadaver trainingの必要性が論議されるようになってきました。これらを踏まえ、Cadaver trainingの導入の可能性も含めて、低侵襲手技の技術の向上や継承を如何にするか、幅広く討論したいと思います。
 また、Foley先生 (University of Tennessee)をお招きし、米国、メンフィスのMedical education and research institute (MERI)におけるCadaver trainingについて講演して頂くことといたしました。(後略)

 

8月16日現在 佐賀大学医学部付属病院

*佐賀大学医学部付属病院臨床研修プログラム(脳神経外科) http://www.med-doctor.info/viewcat.php?categoryid=11 プログラム指導者:松島俊夫 指導医代表者:増岡 淳

後期研修年度:1
研修場所:佐賀大学医学部脳神経外科
研修目標:病棟主治医として術前術後管理ができる。血管撮影ができる。開頭、閉頭ができる。水頭症に対するシャント術ができる。(研究室で血管吻合の練習や死体での外科解剖も短期間勉強する。

 

5月10日

佐伯 直勝(千葉大学大学院医学研究院脳神経外科学):献体を使った脳神経外科手術トレーニング 期待するものと問題点、36(5)、381−382、2008

 2006年,2007年12月に,千葉大学内外の脳神経外科医を対象に,献体を使った内視鏡下手術のトレーニングコース(千葉神経内視鏡ハンズオンセミナー)を開催した.2007年には,学内の医師を対象に顕微鏡下の頭蓋底手術トレーニングコースも同時開催した.献体を使った手術トレーニングから期待するものと問題点を提示する.

 手術トレーニングコースを開催した経緯を述べる.
 脳神経外科手術法のめざましい進歩は,過去30年間のCTスキャン,MRIに代表されるコンビュータを駆使した画像技術の進歩と,顕微鏡下の手術法と周辺機器の発展によるところが大きい.特に手術法の進歩は,一般の脳神経外科医を対象とし,献体を使った講習会が国内外の各地で行われ,それらを利用して手術操作法を習得し手術解剖を習熟するといった地道な努力によるところが多い.
 神経内視鏡手術は1990年代になり普及してきた.神経内視鏡の脳神経外科領域への導入は,画期的な低侵襲手術と.顕微鏡で観察しにくい部分の直視下の操作を可能にした.しかし,その歴史は浅く,安全な手術法として普及するには,本手術法に特有な器具の開発と手術手技の習得が必須である.2006年度より,学会の主導のもと,神経内視鏡の技術認定制度が始動しはじめた.これは,技術レべルの評価制度の確立とレべルの向上が強く社会から望まれていることを示す.
 本トレーニングコースが目指すのは,神経内視鏡下手術を低侵襲でより安全な手術法として普及させ,次世代の本手術法を担う医師を育成することである.1日目は下垂体部手術,2日目は脳室内操作,血腫除去の習得というプログラムで,1年目,2年目とも各25人あまりの参加者があった.献体では,骨組織は死後の変化が少なく,下垂体部・頭蓋底手術のトレーニングには最適だ.一方,出血しない点,軟部組織や粘膜が萎縮・硬直化している点においては,生体とは感触が異なる.
 最終日に,アンケートをとった.内視鏡の手術操作器具に慣れたこと,手術解剖,手術到達法に習熟したことなど,参加者の8割の方から非常に有用との評価を受けた.

 献体を使った手術トレーニングコースが成功裏に開催されるには,以下の5項目の条件が満たされなければならない.

  1. 学内外の医師への手術教育に対する解剖学教室の深い理解と協力
  2. 十分な献体数
  3. 献体されるご本人やご家族の使途への理解と同意
  4. 内視鏡,顕微鏡関連会社の機器の準備と貸借料金を含めた協力体制
  5. 関連各部署の協力体制(トレーニングコース全体を通して脳神経外科医局の協力,特に下垂体部に関しては耳鼻科の協力)

 この手術トレーニングコース開催から期待するものは以下の3項目である.

  1. 2004年度より初期臨床研修制度が義務化され,大学以外に初期・後期研修医教育認定施設が増設された形となった.初期研修医のみならず,専門医を目指す後期研修医の大学離れが懸念されている.教育・研究を目的とした献体の利用は大学の持つ権利であり,大学のみが素晴らしい教育教材である献体を所有し,それを使った手術トレーニングコースを施行しうる.若い医師や学生に,大学がこうした優れた特徴を有する教育施設であることを認識してもらいたい.(2項目は省略)

 現時点での,献体利用の問題点には2項目ある.

  1. 未知の感染性疾患が潜在する可能性
  2. 医師の手術トレーニングに献体を使えるかどうかの法的根拠

 法的根拠に関しては,最近マスコミでも取り上げられており,“日本では医師のトレーニングに献体を使うことが法律上,認められるかどうか,実は暖昧である.遺体を傷つけることは,刑法の死体損壊罪で禁止されている.ただし,死体解剖保存法は,医学生が献体を使う解剖実習などの「正常解剖」,死因などを調べるための「病理解剖」については認めている.厚生労働省(厚労省)は2007年8月,献体を使った医師のトレーニングについて,「(法律が認める)正常解剖,病理解剖のいずれにも該当しない」とした.厚労省としては,あくまで医師の研修を正常解剖と認める,社会的な合意が必要という立場だ.欧米では,医学の発展のために献体を使うことに規制はなく,医師の手術研修は普及している.正常解剖に何を含めるかは行政解釈という見解もある.厚労省は,医師の研修の必要性,それが正常解剖と解釈ができるか,あるいは法的枠組みが必要かを検討するため,日本外科学会など関係学会の意見を聞いているという内容の記事が,2007年9月7日の読売新聞に掲載されていた.

 手術の安全性と確実性を確保するため,脳神経外科医が手術の腕を磨き,患者が実験台にならない環境を整備することは重要だ.私たちはその1つの解決策が,献体を利用した手術トレーニングであると考える.献体の利用に法的な枠組みが必要であれば,行政にはそれを早めに確立してほしい.医療不信をなくす大切なプロセスである.
 私たちは,献体を使った手術トレーニングは有用であり,それを実施できる環境にいることを非常にありがたいと感じている.トレーニングコースを開催し若い医師を育成していくことが,社会貢献につながると信じる.今後とも,千葉大学脳神経外科学教室は,それを実行できるように環境整備に努めていきたい.

 

2月10日 日本移植学会臨時理事会

*日本移植学会臨時理事会議事録要旨:移植、43(3)、巻頭、2008

 卒後教育における「cadaverを用いた技術修練」について、外科学会と外科関連学会評議会より、ワーキンググループに参加してほしい旨の要望通知が送付された。本会としては、オブザーバーとして参加するにとどめ、委員を小林英司理事にお願いした。

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2007

7月7日 第11回臨床解剖研究会

*森山 浩志、大塚成人(昭和大学医学部第二解剖学教室)、島田 和幸(鹿児島大学大学院歯科応用解剖学)、原田 智紀、相澤 信(日本大学医学部機能形態学系生体構造医学分野)、天野 カオリ、松村 讓兒(杏林大学医学部解剖学第一講座):頸部郭清術の肉眼解剖 解剖体での試み http://www.jrsca.jp/contents/records/contents/PDF/8-PDF/p66.pdf

 頭頸部癌の治療において,頸部リンパ節転移の制御は,患者の予後を左右する極めて重要な因子である.根治的頸部郭清術radical neck dissectionは,1906年にCrile が初めて発表し,1951年にMartin らによって確立されたが,根治的である反面,患者にとっては非常に負担の大きい手術である.従って1950年代後半から現在に至るまで,少ない手術侵襲による術後のQOLの重視と,根治性の両立を目指した手術手技が模索されている.このような背景にも拘らず,経験の浅い術者が,頸部郭清術に必要な肉眼解剖学を,解剖体で習得する機会があまりにも少ない現状がある.このような状況を改善するために,演者らの4施設合同で,献体者および遺族の同意を得て,頸部郭清術に準じた方法で解剖した.(後略)

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2006

6月17日 第10回臨床解剖研究会

永島 雅文(埼玉医科大学解剖学)、松居 徹(埼玉医科大学脳神経外科)、白土 修、織田 弘美(埼玉医科大学整形外科):解剖体を用いた模擬手術と適合試験 頭蓋底外科と脊椎外科の試み http://www.jrsca.jp/contents/records/contents/PDF/7-PDF/p04-05.pdf

はじめに
 埼玉医科大学では従来の解剖学実習に加えて,夏期特別プログラムとして「臨床解剖セミナー」を毎年開催している.参加者は2年生以上の学部生が中心であるが,本年度から大学院のカリキュラムとしても運用されている.解剖学教員のほか10名以上の外科系教員がテーマごとに指導に当たり,エキスパートによる模擬手術(simulation surgery)の供覧が大きな教育効果をあげている.また模擬手術は,困難な手術のリハーサル,新たな手術手技や手術材料の適合試験など,外科学の研究にも応用可能である.本研究会では,模擬手術が有効に活用された共同研究として,脳神経外科医による頭蓋底手術と,整形外科医による頸椎の金属内固定術を紹介した.

 頭蓋底手術
 総合医療センター脳神経外科の松居が頭蓋底の模擬手術を行った.(中略)この模擬手術は,グルタルアルデヒド・ベースの固定・中和液を灌流注入した解剖体を用いた.この固定法は組織の硬化を軽減し,皮膚,筋肉,脳などの浸軟性を保つため,フォルマリン固定の解剖体に比べて,実際の手術に近い感触で解剖操作が進行した.(中略)

 脊椎固定術
 整形外科の白土は椎弓根スクリュー(pedicle screw)を用いた脊椎固定術を供覧した.椎弓根スクリューは腰椎の不安定性に対する固定術で用いられ,近年では頸椎の固定にも応用されるようになった.この手術ではX 線透視装置によってスクリューの刺入方向と深さを確認しながら進めるのが一般的であるが,X 線透視の支援なしに刺入する方法(フリーハンド法)が提唱されている.フリーハンド法の精度を検証するために,解剖体による模擬手術を行った上で,頸椎に適切にスクリューが刺入されたか否かをX 線撮影と解剖所見によって判定した.7体の解剖体に対して84本のスクリューを刺入した結果,試行例の88%で適切な位置に刺入されたが,12%でスクリューの一部が椎弓の骨皮質を穿破するなど,不正確な刺入と判断された.この精度は同じ術者がX 線透視装置を用いた実際の手術とほぼ同程度の結果であり,この適合試験(feasibilitystudy)はフリーハンド法が臨床応用可能であることを示した.(後略)

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2005

6月11日 第9回臨床解剖研究会

村上 弦(札幌医科大学医学部解剖学第2講座):教育講演「手術手技の解剖学的評価・再検討を如何に行なうか」 http://www.jrsca.jp/contents/records/contents/PDF/6-PDF/p42-43.pdf

 ホルマリン固定等の薬剤処理標本を用いた手術演習は,脳外科医・耳鼻科医の間では世界中で普及している.しかし,薬剤処理は内臓・筋膜・靱帯等を硬化させ,手術手技通りに解剖できない部位が多い.ことに鏡視下手術の再現は困難であるが,脳室内視鏡手術のように,解剖体を用いた研修を義務付けている分野もある.
 演者らは近年,未固定凍結標本の解剖(fresh cadaver dissection)を通して,手術手技に直結した解剖学的問題提起を行なってきた(1〜7).ご遺族の同意のもと,死後24時間までに大学に到着したご献体から採血を行ない,全身凍結,パーツ分けと梱包,通常の前開き式フリーザーでの保管(−20°C)という準備作業を経る.採血で感染症が確認された場合はパーツ分けせず,通常のホルマリン動脈注入を行なう.
 Fresh cadaver dissectionには,出血しないという欠点がある.しかし一定のレベルに達した中堅の外科系医師であれば,それを承知の上で,自らの手術手技を解剖学的に評価・再検討するための「卒後教育」が行なえると考える.そこでは,生きたブタを用いた手技演習とは次元の違う,純粋に人体解剖学的な思考と技術が求められる.例えば,広汎子宮全摘模擬の後で骨盤内臓神経を,前立腺摘出模擬の後で海綿体神経を,それぞれ適切に剖出できなくては神経温存の評価ができない.札幌医大における卒後教育目的のfresh cadaver dissection には,2003年に他大学からの参加を受け入れて以来,100名以上の外科系医師が研修目的で本州から参加している.
 2005年3月31日,富山における第110回解剖学会全国学術集会において「未固定凍結標本を用いた人体解剖学Fその献体実務から臨床応用まで」と題するシンポジウム(S22)を行い,fresh cadaver dissection を初めて解剖学会各位にご紹介した(解剖誌80: 112−114, 2005).このシンポジウムでは,解剖学会倫理委員会の河野邦雄委員長から,「臨床医が行なう手術演習や組織バンクに特化した新しい献体団体を,従来の白菊会等とは別組織として設けるべきである」というご意見を頂戴した.しかし,すでに脳外科医・耳鼻科医がdissection courseを開催している国内10以上の大学で,献体団体を別に設けるための莫大な労力をかけるであろうか.
 パネルデイスカッションに先立ち,一般演題の中で東北大の食道外科から,未固定凍結胸部標本を用いた鏡視下食道癌手術演習について報告があった.教育講演では,fresh cadaver dissection が外科系医師の技量を評価する上で有効な手段であることを著者は強調した.切断端にどのような神経が存在するか,温存側にしかるべき神経が残されているか―こうした点を模擬手術の後で組織学的に検証する必要性を訴えた.残念ながら,会場内で札医大ないしアメリカのfresh cadaver dissection に参加したことのある外科系医師は,パネラーの1名とフロアの4名だけだった.会場の大部分の皆さんは,1)fresh cadaver dissectionが日本解剖学会から認知されているか,2)学内倫理委員会で承認されているか―この2点に最大の関心があった.また,患者さんの命を助けるべき医師が,薬石効無く亡くなられた人達(ご献体)を手術の研修に用いるという姿勢自体に,「不謹慎」であるというご批判を頂戴した.

 外科系学会・研究会等の後援・共催と各種補助金を得て,札幌医大の解剖セミナーを大学の公の企画として発展させるため,著者は改めてfresh cadaver dissectionの社会的な環境整備に着手した.従来からいただいていたご遺族の同意に加えて,献体登録者から書面による生前同意(pdfファイルに簡略化したとみられる「札幌医大で使用している同意書」が掲載されている)を集め,8月9日現在,同意706名・不同意34名(生存会員数1,256名中)である.また,7月9日のfresh cadaver dissection(医師50名の参加)では,解剖学会常務理事会による視察が行なわれ,前向きのご評価をいただいた(2005年9 月24日の解剖学会常務理事会記録・解剖誌に掲載予定).しかし,ご好意にも関わらず,同意700余名では少なすぎる.需要を満たすだけの献体数が生前同意によって得られるまでの移行期間について,拒絶意思が明らかでない限り,従来通りご遺族の同意だけで卒後教育目的のfresh cadaver dissectionが行なえるよう,学内倫理委員会に審議をお願いしている.
 札幌医大のfresh cadaver dissectionは,日本の篤志献体制度と共に歩んでいる.そのライバルは,アメリカや韓国で行われている同種の企画ではない.すでに脳外科・耳鼻科演習用の人体標本がネット上で輸入・販売されており,他部位の凍結標本についても日本で「商品」になると分かれば,やがて浸透していくであろう.解剖体を用いた外科系卒後教育の整備は,急がなくてはならない.

 

7月9日

遠藤 格(横浜市立大学消化器病態外科学):Fresh cadaver dissection見学記、外科、68(4)、456−457、2006

 2005年7月9日札幌医科大学解剖実習室で行われたfresh cadaver dissectionに参加した。(中略)Fresh cadaver dissectionは、死後24時間以内までの献体を用いて行われており、篤志献体された方はfresh cadaver用の同意書にも署名されている。海外では公募制で以前から行われているが、学外者が参加できるものとしては、本邦では札幌のみで2003年7月から行われている。
 筆者が午前9時30分に解剖実習室に到着すると、すでに10組くらいの少人数のグループに分かれて行われていた。婦人科の尿失禁手術、胸腔鏡下食道切除、骨盤神経叢の解剖、膝関節鏡手術などのグループに分かれ、各分野のエキスパートの先生の指導のもと進行していた。参加者は札幌医科大学出身者ばかりでなく、日本各地の大学から集まっていた。ガウンテクニンクを行い、手術用グローブ着用で感染症の危険を少なくして行われていた。それぞれの手技は専門外のため詳述できないが、組織はホルマリン固定されていないため、生体とほぼ同じ硬度・色調であり、結合組織の透明度も同じで神経・リンパ管も透見でき、ほぼ生体と同じ条件のもとに行うことが可能である。出血の有無が生体と異なる点であろうか。
 本法の意義は、@内視鏡手術における道具の使い方、視野の出し方を学べること、A解剖学的な位置関係の深い理解が可能であること、たとえば、この膜の奥に何があるのか、生体で確認しようとすると危険なため怖くてみられない部分もみることができること、B自分の行ってきた手術手技に対する自己評価ができること(本当に神経が温存されているのか。どのリンパ節が郭清されずに残るのか)、C新術式の開発などである。標準手術とされる術式はどのように進歩してきたのかを考えるとき、外科手術手技の進歩は、生体を使用した実験的医療という側面を持たなかったであろうか。内視鏡手術にしても、はじめはブタで練習した後に臨床応用されたが、誰でもはじめてヒトに行うときがあるのは事実である。(後略)

 

4月8日 第14回脳神経外科手術と機器学会

*中瀬 裕之、金 永進、平林 秀裕、川口 正一郎、榊 寿右(奈良県立医科大学脳神経外科):Cadavaを用いた脳神経外科手術トレーニング-選択的扁桃体海馬切除術 http://www.med.u-toyama.ac.jp/nsurgery/cnttrounen/summary/1A4-3.html

 我々の施設では、毎年Cadavaを用いた脳神経外科手術トレーニングを行っている。今回は、てんかん外科の手術トレーニング、特に選択的扁桃体海馬切除術についてビデオを用いて報告する。選択的扁桃体海馬切除術は、内側側頭葉てんかんに対して、外側皮質を温存して、扁桃体・海馬・鉤・海馬傍回等の内側構造物のみを切除する手術法である。側頭葉内側に存在する脳腫瘍や脳動静脈奇形にも応用できる。側頭葉内側は、脳幹に近く重要な神経や血管に接しており、側頭葉の立体的解剖に対する十分な知識が要求される。本手術の開発者であるYasargil自身も論文の中で「cadavaを用いた疑似手術」の重要性を強調している。(後略)




南田 善弘、三上 毅、八巻 稔明、寶金 清博(札幌医科大学医学部脳神経外科)、村上 弦(札幌医科大学医学部第二解剖学):脳外科手術トレーニングにおけるcadaver dissectionの役割  http://www.med.u-toyama.ac.jp/nsurgery/cnttrounen/summary/1A4-5.html

目的:手術手技の習得には適切な指導と実際の臨床体験が必要であるが,個人の経験や症例数には限りがあり必ずしも満足すべきトレーニングが受けられないのが現状である.また脳外科手術は,技術的問題が患者の予後に直接反映されるため,トレーニングの場を提供しにくい側面もある.当施設におけるFresh cadaver dissectionによるsurgical training system とsurgical simulation の実際を紹介する.
方法:死後6〜24時間経過したfresh cadaverを解体して頭部のみを切断し脳外科用に−20度の冷凍庫に保存する.解凍する際は0.1%アジ化ナトリウム液に室温で約24時間浸す.頭部をcadaver用の頭蓋固定器に固定しdissectionを行う.
結果:解凍されたcadaverを固定されたものと異なり,皮膚や軟部組織が柔らかく,実際の手術に近いdissectionができることが特徴である.また,脳や神経組織も同様に柔らかいため硬膜内操作のtrainingやsimulationも可能である.(後略)

 


2001

*萩森 伸一(大阪医科大学感覚器機能形態医学講座耳鼻咽喉科学教室):大阪医科大学における耳科手術教育の構築 自らの経験を基に、 Otology Japan、22(3)、214−218、2012

 筆者は1998年〜2000年に米国ピッツバーグ大学耳鼻咽喉科、山藤勇教授の研究室へ留学させていただいた。留学中に大学主催のotology courseに参加する機会を得、cadaver dissectionを初めて経験した。
 帰国後直ちに解剖学教室の協力を得てcadaver dissectionを本学でも開始し、既に10年以上が経過した。cadaver dissectionは手術解剖の理解のみならず、手術器具の扱い方の習熟にも有用である。当科ではdissectionを導入後、手術成績が向上し、他方、合併症は減少した。また耳科手術は大幅に増加した。
 国内外のcadaver dissection courseに参加する方法もあるが高額であり、解剖学教室の協力を得ながら行なう自施設での実習は、医療機関ならではの特徴といえる。今後もこのような利点を生かしながら、耳科手術術者を育成していきたいと考えている。

 


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