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「心停止後臓器提供」の終焉

  1. 中断された3徴候死
     
    人工呼吸による酸素供給、
    心臓マッサージによる血流維持
     
    人工心肺による
    酸素加された血液供給
     
  2. 心臓が停止した後に、
    いつまで蘇生が可能か


    A.自然蘇生例

      a1.心臓の自然運動再開例

    B.常温・20分間心停止
    C.20℃・20分間循環停止
    D.軽度低体温・約25分間循環停止 
    E.27.1℃・約40分間の心肺停止
    F.人工心肺ほか・1週間の心拍停止

     

  3. 心臓マッサージだけ、
    人工呼吸器なしでも蘇生する

     
  4. 各種血流条件における
    脳波の回復程度

     
    1. 完全虚血の15分後に
      血流を再開した実験
    2. 体外からの心臓マッサージに近い血流条件で行なわれた実験
    3. 1時間の完全虚血実験
    4. 幼弱動物の低酸素・虚血実験
    5. 抗凝固療法を併用した蘇生実験
       
  5. 心臓死の死亡宣告も、
    臓器摘出要件を充たさない

     
  6. 運用面から見た
    「心停止後」臓器提供の虚構

      
  7. ヒトは何時から死体になるのか

このページの要旨

 「心臓が停止した死後の臓器・組織の提供」あるいは「心停止後の提供」と称して、日本国内では主に腎臓・角膜の摘出が、年間ドナー数にして100例前後が行われてきた。

 「心停止後の臓器・組織提供は、脳死体からの臓器提供とはまったく異なり、自然に死亡した人から臓器や組織が提供されている」と思い込んでいる人も多い。ところが、自然死後の臓器提供ならば、緊急手術ばかりになるはずだが、実際には予定手術で心臓が停止させられている

 心臓が拍動している間に、臓器摘出目的の投薬、カテーテル挿入、臓器の冷却灌流などが行なわれる。心停止後も心臓マッサージが行われ心停止の実体がないのに、なぜ心停止後といえるのか。人工心肺で循環が維持された状態からの臓器摘出も行われ、生理的に死体ではない状態で臓器が摘出されている。

 腎臓移植の第一人者である太田 和夫氏は、呼吸、循環を維持しつつ臓器を摘出したり、カテーテルを挿入した症例を脳死摘出としており、移植医としても「心停止後と称する臓器摘出が、本当は脳死臓器摘出である」との明確な認識がある。臓器摘出時の移植医の行為を 、移植医なりに正当化するためという倒錯した表現になるが、日本で初めての「脳死」体からの臓器摘出は、和田心臓移植よりも2年早く、大阪大 学で実施されたことになる。移植の成功例からは、日本の臓器移植医療は実質上、小児「脳死」ドナーからの臓器摘出により始まったことになる。

 虚血や低酸素状態に対する脳の耐性は、従来、考えられてきたよりも高いことが、心停止後の蘇生例や虚血実験により明らかになってきた。「心停止後の臓器・組織提供」に不可欠なものとして行なわれる心臓マッサージなどは、蘇生過程にある人からの生体臓器摘出になっている可能性がある。生理学的に完全な脳死が証明されていなければ、ドナーとされた人に断末魔の苦しみを与えている可能性が高い。

 侵襲性のある臓器摘出目的の処置は、生前に提供意思表示をした法的脳死ドナーに限定しなければ、臓器移植法の理念さえも損なう。このような臓器摘出を長年にわたり「脳死」臓器摘出ではないかのように、世間を欺き、騙し続けてきた関係者の反省が求められる。

 従来、死の3徴候が数分間継続したことをもって死亡が宣告されているが、これでは臓器摘出が容認される死体であることを宣告するには不適切になってきた。臓器摘出が容認される死体とは「24時間以上にわたり、心臓の拍動停止、瞳孔の散大固定、呼吸停止が継続していること」と定めることが求められる。

 

1.中断された3徴候死

人工呼吸による酸素供給、心臓マッサージによる血流維持

*太田 和夫:わが国における死体腎提供の現況と問題点、移植、21(2)、152−158、1986

 ベンチレータを「つけたまま」すなわち呼吸、循環を維持しつつ摘出した例と、ベンチレータを外して呼吸が無いのを確かめたが、心拍動がなお完全に停止しないうちに手術をはじめたとするもの、この両者がいわゆる脳死状態における摘出に該当するものと考える。

 

太田 和夫:わが国における死体腎提供の現況と問題点(1984年〜1988年)、移植、25(4)、457−461、1990

 ベンチレータをつけたままで臓器を摘出しているもの、これにベンチレータを外して無呼吸確認後、この2群に脳死でバルーンカテーテルを大腿動脈より挿入し、心停止前後で冷却灌流を開始した症例を加えて脳死群とし・・・・・・

 

楠 隆光、園田 孝夫(大阪大学泌尿器科学教室):同種腎移植の臨床報告  自験例について、移植、2(1)、28−33、1967

 第1外科教室より、32歳の男子(AB型)で、脳腫瘍患者の屍体腎提供の承諾を得たので、人工呼吸および心マッサージのもとに左腎摘出を行い、これを受者(慢性腎不全末期の26歳男性)に移植した。死亡より血流再開までの腎虚血時間は269分を要したが、移植後4分にて尿分泌が認められた。術後5日間にわたって、レシピエント300mlないし700mlの尿排出が認められたが、5日目に突然、脳出血のため死亡した。移植腎は触診上、正常と考えられたが、解剖は拒否された。

 p33記載の表によると、移植年月日は1966(昭和41)年10月10日、これは1968(昭和43)年8月8日の和田心臓移植事件よりも約2年前のことになる。わが国の移植医療第一人者、太田氏の定義に従うと、日本初の脳死体からの臓器摘出は大阪大で行われていたことになる。

 

岩崎 洋治(千葉大学第2外科):死体腎移植の問題点、日本移植学会雑誌、4(1)、16−17、1968

 8歳ドナーの偏腎を16歳に移植した。温阻血時間は30分。心停止後2時間にわたり心マッサージを施行した。

 上記は「日本で最初の死体腎移植成功例」という人もいる。いまだ「小児脳死ドナーはない」との前提で、臓器移植法の改悪が検討されているが、日本の臓器移植医療は実質上、小児「脳死」ドナーからの臓器摘出により始まっていたことになる。

 

園田 孝夫、四方 統男、稲生 綱政:屍体腎摘除術、腎移植臨床の実際、協同医書出版社、110−111、1970

 死の瞬間あるいはその直後から、できるだけ腎機能が維持されるべき手段を講ずるのが適当である。すなわち、いわゆる脳波その他による死亡の確定後、直ちに気管確保による強制呼吸の維持、並びに心臓マッサージの維持が必要で、また、500ml低分子デキストランおよび200mgへパリン溶液を静脈内に注入し、血管系の保持および血液の凝固を防止する。これらは屍体腎摘除終了まで、続けられねばならない(図8阪大・恩地式心マッサージ器)

 この資料は、術後の尿量と輸液(p144〜p150)の段落においても「しかし、何といっても、如何に早く、良い屍体腎を求めるかが問題であり、これはdonorの死亡確認後腎臓を摘出するまでの屍体の状態によって左右される。屍体腎移植ではrecipientとともに、donor側の死後管理も大切である」と書いている。

 

人工心肺による酸素加された血液供給

*小山 勇(埼玉医科大学第1外科):心停止ドナーからの臓器を移植に用いるための人工心肺下コアクーリング法、献腎移植における経験、移植、33(総会臨時号)、133、1998

 携帯型人工心肺を用い、心停止による死亡宣告後、大腿動静脈よりベッドサイドでカニュレーションを行う。血液を酸素化しながら全身を徐々に冷却、静脈血が15℃以下になったところで人工心肺を中止し、ユーロコリンズを大腿動脈より自然落下させる。ドナーを手術室に運び、腎を摘出し・・・17例の心停止ドナーに応用した。平均温阻血時間は32分。

 

會田 治男、樺澤 寛二、大木 康則、小塚 アユ子、高橋 克弘、見目 恭一、小川 辰二、小山 勇(埼玉医科大学付属病院):Core Cooling 法による屍体腎摘出における陰圧脱血法の有用性、体外循環技術、31(2)、165−168、2004

1987年11月〜2003年10月までにCore Cooling 法による屍体腎を摘出した28例、ドナー腎提供施設は県内24例(当施設4例を含む)、県外4例である。

 

*浅居 朋子(日本臓器移植ネットワーク中日本支部):PCPS装着下で摘出された3献腎症例の移植経過、今日の移植、17(2)、325、2004

【症例1】 48歳、男性、急性心筋梗塞、CPAOA、第2病日に心停止、心停止後もPCPSにて循環維持、35分後に灌流液に変更、総灌流量22,000ml。両腎生着。

【症例2】 60歳、男性、急性心筋梗塞、第1病日に心停止、WIT2分、総灌流量15,300ml。左腎は灌流不良で移植せず、右腎生着。

【症例3】 67歳、男性、急性心筋梗塞、第1病日に心停止、WIT6分、総灌流量81,000ml。右腎は動脈硬化が著明で移植せず、左腎生着。

【結語】 これらの症例は、ドナーソース拡大の可能性や新たな灌流法を考える参考になると思われる。

腎移植・血管外科23巻2号p61によると、腎臓の摘出年月は48歳男性は2002年7月、60歳男性は2002年11月、67歳男性は2003年10月(岡崎市民病院例)と見込まれる。

 

岩田 尚(岐阜大学医学部附属病院第一外科):心肺停止状態後にPCPS補助にて蘇生後,臨床的脳死となり心臓死臓器提供された一例、日本救急医学会東海地方会誌、7(1)、64、2003
森 義雄(岐阜大学医学部救急部):心臓死臓器提供の申し出を得た来院時心肺停止の2症例の検討、日本救急医学会雑誌、14(10)、659、2003

 48歳男性、PCPS開始3分後に心拍再開、自発呼吸がみられた。約6時間後に自発呼吸消失、尿崩症。翌日、臨床的脳死と判定。家族の承諾のもとカテコラミンを中止。心停止の確認後、腎臓提供のためPCPS補助下で手術室に入室した。腹部正中切開にて開腹後、腹腔内の局所冷却を行った。左横隔膜を切開し、下行大動脈の遮断後、PCPS側より4度Cラクテートリンゲル液(総量10L)注入した。灌流液は、PCPSの脱血管より廃液した。心停止後PCPS補助下に局所冷却および冷却液灌流を開始するまでの時間は35分。PCPSによる心肺補助により腎機能は維持されており、両腎とも移植後腎機能は良好である 。

 年齢・性別・疾患・経過・灌流液への変更時間から、今日の移植17巻2号の浅居報告にある48歳男性(腎臓の摘出年月は2002年7月)とみられる。

 

山本 英樹(岡崎市立岡崎市民病院医療技術局・臨床工学室):PCPS装着例における心停止後腎臓摘出3症例の経験、体外循環技術、33(2)、171―173、2006
*山本 英樹(岡崎市立岡崎市民病院医療技術局・臨床工学室):PCPS装着例における心停止後腎臓摘出3症例の経験、体外循環技術、32(3)、343、2005
*西分 和也(岡崎市民病院医療技術局臨床工学室院内移植コーディネーター):PCPS装着例における心停止後腎提供の経験、移植、40(2)、p167、2005、2006

 症例1:急性心筋梗塞の67歳男性は入室直後に心室細動となり挿管、血行動態破綻しPCPS(経皮的心肺補助循環)装着・IABP(大動脈内バルーンパンピング)挿入、家族よりPCPS停止の申し入れあり(年齢・性別・疾患・片腎の提供理由から、今日の移植17巻2号の浅居報告にある67歳男性とみられる)。
 症例2:急性心筋梗塞の67歳男性は血行動態破綻し、PCPS装着・IABP挿入、ICU帰室後心破裂、PCPS継続困難のため、家族に説明が行われ同時に主治医よりオプション提示、家族の承諾後に心停止後の腎臓摘出を行った。
 急性心筋梗塞の67歳男性2名については、心停止後直ちにIABPを拡張しPCPS回路の脱血側を離断し、腎灌流回路を接続、約4度に冷却した乳酸リンゲル液にて灌流を行なった。

 症例1、2の結果より、(症例3)臨床的脳死判定後心停止の20歳女性には心停止直後より摘出時の温阻血時間を短縮し、温阻血障害の軽減を目的に酸素供給と冷却を考え,PCPS回路を利用して血液による全身灌流を行い、その後通常の乳酸リンゲル液による灌流を行った。心停止後直ちに送血側を離断し、熱交換器(心筋保護回路)を装着して酸素化血を冷却し臓器保存を行なった。潅流速度は毎分0.4〜2L、潅流温度3.8〜5.2度(血液温12〜18.6度)、総潅流量49L。

 下記の山田論文によると、腎臓の摘出年月は症例1の67歳男性は2003年10月、症例2の67歳男性は2004年2月、症例3の20歳女性は2004年6月。

 

山田 伸(岡崎市民病院泌尿器科):PCPS装着患者からの献腎摘出法、腎移植・血管外科、23(2)、56−62、2011

 2009年5月の4例目の68歳男性は、意識消失状態で発見され、心室細動で搬送された。PCPS装着、緊急PCI施行、IABPを装着された。胃・十二指腸のびまん性びらんからの出血が始まり、輸血するも出血が止まらず、Hb4.1で血圧が不安定の状態が続いた。輸血継続の希望がなく、Hb3.0の状態から14時間後に死亡された。体内灌流は症例4と同様に行ったが貧血があまりにもひどく灌流脱血後の様な薄い状態のため、すぐ冷却灌流液で還流した。

現在の方法
 心停止後、IABPのバルンを膨らませ、再度ヘパリン化した上で少しの間PCPS回路を再開し、人工肺で酸素化し冷却システムで温度を下げた血液を遠心ポンプにて送血する。これにより腎保護と家族のお別れができる時間的余裕もでき、ゆっくりと手術室への搬送の準備ができる。

  1. 酸素化した血液を送血したことは、心臓死により死亡宣告が行なわれた(心臓が不可逆的に機能停止した、血液循環の停止により全細胞死に至るので死亡宣告は妥当とした)患者において、その血液循環を再開した状態で「心臓死を遂げている死体」として、家族は「死者」とお別れをしたことになる。
  2. p60には症例3の20歳女性患者の時間経過後との脱血温、送血温、流量が掲載されている。0分の時点で、脱血温は摂氏23度弱だったが、それから約1分後には29度台に回復している。同時刻に送血温18度で送血が開始され、約18分後に送血温12度、同時刻の脱血温20度に低下、さらに37分後頃に冷却灌流液に交換して送血温4度とし、脱血温は9分後に13度、33分後に7.5度まで下げられた。
     脳低体温治療により意識を回復した患者のなかには、意識不明とされていた時期に、医師による開眼や応答の指示を聞いたものの、応答する気がなく「非常に気持ちよく眠っていた」患者もいる。人工心肺、PCPSを使用した低体温管理、さらに臓器摘出直前の血液循環再開、低体温管理の開始時期には同様の状態を経過し、その直後に凍死をさせられる経験、生体解剖となる可能性も考えられる。

 

2.心臓が停止した後に、いつまで蘇生が可能か

  下記のA.自然蘇生例の報告にあるとおり、正確な継続的記録下において、心臓の拍動が停止・心静止となっても、心停止が数分以内であれば、自然に心臓の拍動が再開し、その後、意識を回復したり後遺症無く生存可能な人のいることが報告されている(正確な継続的記録が無い症例では、さらに長時間経過後の自然蘇生・意識回復例が報告されている)。a.心臓の自然運動再開例は、心電図モニターによる心臓死死亡宣告の危うさを示す。
 心臓の拍動が停止して、血液が凝固しはじめる30分近く経過しても、心臓マッサージなど蘇生努力をすれば回復可能な患者のあることが、下記のB〜Eの4例から理解できる。これは心臓マッサージ等を行う「心停止後」臓器提供が、臓器摘出時に内的意識・人格が保たれている人からの、生体臓器摘出となっている可能性のあることを示す。

A.自然蘇生例

院外事例

*吉村 史(吉村クリニック):ホルター心電図装着中、5分27秒の心停止を生ずるも自然蘇生した1例、循環科学、15(1)、1140−1144、1995
   62歳女性は1975年頃より心臓病といわれ通院、1987年12月に1回失神を起こす。12月27日朝、ホルター心電図を装着して帰宅。午後4時ごろ、土蔵の中で意識不明で倒れているのを発見され、救急車にて搬送される。ホルター心電図を再現してみると、15時53分07秒から突然停止し、6秒後とさらに8秒後に1回ずつ異所性と思われるQRSが出現、その後15時58分48秒まで5分27秒の間、全くQRSは出現しない心停止の状態であった。失神前日と当日の記憶喪失はあるが、知能や言語、運動能力にまったく問題ない。

院内事例

年齢性別 心肺蘇生の断念から
自然蘇生までの時間
自然蘇生時の
モニター
意識回復の
有無
最終転帰 出典
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55歳男性 7分間 心電図 記載無し
(散大していた瞳孔は、心拍再開後に縮小した)
3日後に死亡 W.Voelckel(Department of Anaesthesia and Intensive Care Medicine, Leopold-Franzens-University of Innsbruck):Unexpected return of cardiac action after termination of cardiopulmonary resuscitation,Resuscitation,32(1),27-29,1996
93歳女性 5分間 心電図 記載無し 記載無し Raed S. Abdullah(Department of Anesthesiology and Critical Care Medicine, University of Pittsburgh):Restoration of Circulation After Cessation of Positive Pressure Ventilation in a Case of “Lazarus Syndrome”,Anesth Analgesia,93(1),241,2001
76歳男性 5分間 心電図 記載無し 24日後に死亡 Robin G. MacGillivray(Director of Intensive Care; Department of Anesthesiology; The American Hospital Dubai; Dubai, United Arab Emirates):Spontaneous Recovery after Discontinuation of Cardiopulmonary Resuscitation,Anesthesiology,91(2),585-586,1999
67歳女性 5分間 心電図 回復 9日後に死亡 Michael Arnold Frolich(Department of Anaesthesiology and Intensive Care Medicine,University of Ludwig Maximillians,Grosshadern Clinic):Spontaneous Recovery after Discontinuation of Intraoperative Cardiopulmonary Resuscitation: Case Report,Anesthesiology,89(5),1252-1253,1998
80歳男性 5分間 心電図 回復 35日後に後遺症無く退院 N.Letellier (Department of Intensive Care Medicine.Centre Hospitalier de Dreux):Recovery after discontinued cardiopulmonary resuscitation,Lancet,1(8279),1019,1982
63歳女性 3分間 心電図 回復 12日後に死亡 Mariam A. Al-Ansaria(Salmaniya Medical Complex, Ministry of health, Kingdom of Bahrain):Return of spontaneous circulation after cessation of cardiopulmonary resuscitation in a case of digoxin overdosage,Clinical Intensive Care,16(3/4),179-181,2005

a1.心臓の自然運動再開例

  「心停止」後の臓器提供では、ドナーへの心臓死の死亡宣告は、心電図モニター上の心室細動の継続または心静止で行われることが多い。しかし、心電図で短時間の心静止を確認しても、その後に自然に心臓の拍動が再開していることがある。

 2014年7月12日付の日本医事新報(4707)はp75、“医師として遭遇した「不思議な体験」”のなかで、氏名記載なし(東京、内科)からの投稿として「患者の心電図モニターが不整→細動→平坦となり家族に死亡を告げた。しばらくしてモニターを見ると、呼吸も心音もなく脈もふれないのに、洞調律でしっかり拍動するECGを示している。慌ててモニターの電源を切った」と掲載している。

 この内科医師のように、心電図の観察を続けず、単に自らの死亡宣告の誤りを隠蔽してしまうだけでは、いつまでたっても「不思議な体験」にとどまり、生理現象の科学的理解には至らない。

 Eelco F.M Wijdicksらは、Electrocardiographic activity after terminal cardiac arrest in neurocatastrophes(Neurology62巻p673〜p674、2004年)において、米国メイヨークリニックとワシントン医科大学で、人工呼吸器の取り外しを含む生命維持手段の撤退12症例 に、心静止から10分間以上の心電図測定を行なったところ、2人の患者で心静止から1分23秒後と6分後に心拍再開があったこと(ただし血圧変化は記録されず)、また4人の患者でリズムはない不明瞭な複合波が心静止から5分後、7分後、9分後、10分後に記録されたことを報告している。

 林田 建男(杏林大学教授・外科学)は1970年のジュリスト466号p48〜p64(座談会 心臓移植事件の不起訴処分をめぐって)において、「解剖室へ連れていっても、心臓がまだ実際にゆるく動いていることがある。解剖のときに、心臓がまだ波うっているのを私はみたことがあります。病理の先生もみんな経験をしていると思います。そうかといって早いうちに解剖をやらないと、腎臓などの臓器がだめになって、全然医学材料にならないのです」と発言した(p59)。

 死後硬直・死斑のみられた「死」後約12時間経過後の司法解剖例において、心臓が自動運動を行なっていた症例を、東京大学医学部法医学教室の正木 信夫氏が報告している( 正木 信夫:稀有なる死体解剖例、日本犯罪学雑誌、14、306−307、1940)。
 上記の正木報告に心臓自動運動の継続時間は記載されていないが、科学警察研究所長の古畑 種基氏は「ぼくがまだ東大におる頃のことだが、解剖を始めた。胸腔を開いたところが心臓が動いている。私はちょうど教授会にいっていましたが、助手が呼びに来て、飛んでいったら心臓が動いているのだ。私は生きている人を切ったのじゃないかと思って、よく見ると屍体現象が現れている。屍班はあるし屍後硬直もある。もう確実に死んでいるということがわかったので、−−−それを見ておったら数時間動いていました」としている。その間、司法解剖は一時中止したとのこと(座談 死のあれこれ、産婦人科の世界、23(5)、507−516、1971)。

 

B.常温・20分間心停止

  • 大久保 一浩(刈谷総合病院麻酔科・集中治療部):20分にもおよぶ心停止後生存退院できた1例、蘇生、18(3)、203、1999  #19991023

[症例および経過]
 50歳男性、動悸、全身倦怠感を主訴に来院、心房細動・心不全で入院した。入院時の精査により甲状腺機能更新症が基礎疾患として認められた。入院6日目早朝突然VFにより心停止をきたしたが、20分後看護婦が気づきCPRを開始した。この間のモニター記録上VF(VFib:ventricular fibrillatipn:心室細動)が持続していた。発見時は呼吸停止、瞳孔散大していた。・・・蘇生は成功した。30分後には洞調律への回復、瞳孔の縮小および自発呼吸が認められ、CCUにおいて軽度低体温療法を導入し、全身麻酔下で5日間維持した。・・・・・・退院まで6ヶ月を要した。退院時はfull recoveryに近いものの軽度高次脳機能障害を認めた。

[考察およびまとめ]
 院内におけるモニタリング患者の心停止で発見が遅れたことは反省すべき点であるが、・・・・・・偶発性低体温における蘇生限界時間の延長はときに認められるが、正確な記録下で心停止20分経たものの脳蘇生した症例は珍しく、また回復の程度・時間から心停止時間の限界を示唆するものと考えられた。

 

C.20℃・20分間循環停止

  • 井上 信博(大分県立病院):20分間の全脳虚血にもかかわらず完全社会復帰しえた1例−術中施行された逆行性脳灌流と術後亜急性期から投与されたBifemelane Hydrochloride及びIbudilastの併用効果、薬理と治療、25(5)、1395−1401、1997

 44歳男性患者は、20℃の超低体温下に胸部大動脈瘤を切除し人工血管を置換吻合したが、頸静脈からの出血が多く20分間の全脳虚血(循環停止)を余儀なくされた。術後より高度の意識障害と精神障害が認められ、術後亜急性期よりibudilast(ケタス)及びbifemelane hydrochloride(セレポート)を連日投与した。意識障害・精神障害は,約3ヵ月の間に徐々に改善され、1年経過した現在、神経脱落症状なく元の職場に復帰している。

 

D.軽度低体温・約25分間循環停止

  • 横尾 倫子(山形県立日本海病院麻酔科):25分間の実質心停止のあと、高度の視力障害を起こした一手術例、蘇生、18(3)、211、1999

症例:61歳、男性。病名;転移性肺腫瘍

[術中経過]
 左肺全摘術中特に問題なく経過していたが、左肺動脈にテーピング中に、左本幹を損傷した。出血のため、止血操作は進まず、約5分で3500ml近く出血した。観血的動脈圧波形で脈圧は消え、10−20mmHgの静水圧となった。脈拍は40台まで落ちたが、停止はしなかった。そこで初めて損傷部を縫合し止血できた。以後急速輸血を行い、血圧の圧波形は出るまでに約25分を要した。循環停止直前の膀胱温は34.9℃、回復後は33.5℃だった。圧が回復した時、瞳孔は散大していた。対光反射もはっきりしなかった。・・・出血量の総計は7666mlだった。

[術後経過]
 集中治療室入室時、瞳孔は縮瞳していた。対光反射もみられた。・・・第5病日に見が見えないと患者が訴えた。両目1.0の術前視力が検査時は眼前手動を認識するだけだった。視力障害以外のはっきりとした神経学的、精神的な症状はみられなかった。視力はその後第26病日には左目は0.07に回復した。視神経に異常はなく、障害は視中枢レベルのものとの事だった。

[まとめ]
 術中25分間の循環停止にも関わらず、意識は回復した。視中枢の障害によると思われる高度の視力低下が起こった。脳組織レベルでも低酸素に対する感受性に違いがある事が示唆された。

 

E.27.1℃・約40分間の心肺停止

  • 古家 信介(国立病院機構香川小児病院小児科):池への転落により心肺停止となったが良好な予後を得た1歳児の一例、国立病院総合医学会講演抄録集64回、302、2010

 1歳4ヵ月男児は、4月某日18時半頃、母親と乗用草に乗っていたが、誤って草ごと自宅近くの池に転落。母親は自力で車外に出て通行人に救功されたが、患児はレスキュー隊に救功されるまでの間約40分間車内に閉じ込められていた。救出時CPAのため心肺蘇生されながら当院搬送となった。
 来院時CPA、体温27.1度。気管内から水があふれ、挿管したが初めは換気不能であった。自己心拍再開まで1時間以上を要し神経学的予後も不良と思われたが、通常の呼吸循環管理に加え体温33度で72時間の低体温療法を行ったところ、第10病日には人工呼吸器を離脱、第22日には経口摂取可能となり、座位可、第36病日には立位可能となり第47病日には定期内服もなく退院した。以降は精神発達のフォローを継続しているが、経過は良好である。
 低体温療怯に関しては成人と新生児においてエビデンスが確立されているが、小児科領域においては症例報告や総数の少ない検討があるにとどまっておりエビデンスが確立されたとは言えない。本症例では神経学的予後が不良と思われたが、溺水が低温の淡水であったことや低体温療法などが良好な予後に関与したと思われる。

 

F.30.3℃・60分以上の心肺停止

  • 池田 頌子(山梨県立中央病院救命救急センター):体外式心肺補助装置を用いた神経集中治療により60分以上の溺水・心停止から意識を回復した一例、日本救急医学会雑誌、24(8)、701、2013

     16歳男性、氷の張った湖の氷上より水温5℃の水中に転落し、湖底に水没した。覚知61分後に救助されたが、心肺停止状態で初期波形は心静止だった。現場に医師を派遣しACLSを行い、心電図波形は心室細動に変化した。膀胱温は30.3℃で、ECLSを導入した。循環停止時間は104分だった。復温後、電気的除細動を施行し自己心拍再開した。血液検査では、予後不良因子と報告されている高K血症、高乳酸血症、代謝性アシドーシスを呈していた。大量の輸液・昇圧剤投与に反応せず循環不全が継続したため、36℃の積極的平温療法に変更した。第3病日にECLS離脱、第14病日に人工呼吸器を離脱した。第33病日に意識回復し、指示動作可能となった。第40病日にリハビリテーション病院に転院した。

 

G.人工心肺ほか・1週間の心拍停止

  • 河合 勇介(福山市民病院循環器科):心拍停止から1週間後に心拍再開し、救命しえた劇症型心筋炎と考えられた一例、Circulation Journal、72(Suppl.II)、958、2008
  • 河合 勇介(福山市民病院循環器科):心拍停止から1週間後に心拍再開し、救命しえた劇症型心筋炎と考えられた1例、心臓、40(Suppl.3)、127―131、2008
     
     67歳男性、急激な呼吸困難、全身倦怠感にて救急搬送された。心エコー上高度の心機能低下を認め、カテコラミンを開始したが血圧は徐々に低下傾向。冠動脈には病変なかったが、心室細動を繰り返し、人工呼吸を開始。経皮的人工心肺(PCPS)を挿入。ICUに帰室した時には心室細動であった。電気的除細動を3回行ったが心室細動は停止せず、その後はモニター上心停止状態であった。その後も自己の心拍は停止状態であり、体外式ペースメーカー、IABPでのサボートも開始。尿量も少なくなり 第3病日に持続入工透析も開始した。γ-グロブリン5g/日の投与も開始した。第5病日よりステロイドパルス療法(メチルプレドニゾロン1g/日)を3日間施行。第6病日より徐々に血圧が上昇し始め、第8病日に心拍の再開を確認することができた。第9病日にPCPSから離脱、第16病日には人工呼吸器から離脱した。

 

3.心臓マッサージだけ、人工呼吸器なしでも蘇生する

 「心停止後」臓器摘出においては、心臓マッサージのみ行われて人工呼吸は行なわれないケースもあろう。その時の「蘇生」効果を検討するには、心臓マッサージだけでサルを蘇生した実験が参考になる。

  • 織田 俊介(大分医科大学医学部麻酔学教室):心肺蘇生は人工呼吸を行なわないで出来るか?、蘇生、17(3)、202、1998

[実験方法]
 ニホンザル5頭にケタミンを筋注して就眠させた後、気管内挿管を行った。・・・60Hz・70Hzの交流を通電して心停止を起こし、4分間はそのまま放置し、その後6分間閉胸式心マッサージを行い、心停止から10分後50ジュールで除細動を行った。

[結果]
 5匹とも蘇生に成功した。4匹は除細動後に、1匹は7分30秒の心臓マッサージ中に蘇生した。5匹とも神経学的には何ら障害を残していないようで翌日には餌を食べた。心停止2分後よりgasping呼吸があり、心マッサージ中も持続した。

[考案]
 蘇生中に人工呼吸を行わない蘇生法は、電気的に心停止を起こした実験モデルにおいては蘇生することが示唆された。今回は気管内挿管を行っていることより確実な気道確保とニホンザルの胸郭形状などより成績がよいと思われた。顔面損傷や感染を恐れ口対口人工呼吸に嫌悪感がある時には気道確保と心マッサージだけでも行ってもらう方が蘇生にとってよいと示唆された。

 

Bystander による早い心臓マッサージは心停止患者の社会復帰に有効

  • 伊藤 竜康(秋田市消防本部):院外心原性心停止患者における Bystander による心臓マッサージの有効性、日本臨床救急医学会雑誌、4(2)、255、2001

 秋田市において1994年から1999年までの6年間に市民が目撃した院外心原性心停止218例のうち、113例に Bystander CPR が実施されていた。社会復帰率は、人工呼吸と心臓マッサージが行われたCPR群が20.93%(18例/86例)、心臓マッサージのみ群は18.52%(5例/27例)と、両群には社会復帰率に有意な差は見られなかった。虚脱から Bystander CPR 開始までの時間は社会復帰群が非社会復帰群に比べ有意に短かったが(2.83±1.34分VS5.79分±4.89分)、CPR群と心臓マッサージのみ群間には有意な差は認めなかった。Bystander による早い心臓マッサージは院外心原性心停止患者の転帰に有効である。

 

 

4.各種血流条件における脳波の回復程度

A:完全虚血の15分後に血流を再開した実験

  • 明星 康裕(金沢大学 麻酔蘇生学講座):イヌにおける完全脳虚血後の聴性脳幹反応及び脳波の回復に及ぼすプロスタグランジンE1総頸動脈内投与の影響、金沢大学十全医学会雑誌、106(6)、606−613、1997

[実験方法]
 完全脳虚血は、大動脈鉗子を用いて上行大動脈を起始部よりできるだけ遠位の腕頭動脈分岐部で遮断し、同時に上および下大静脈を前もって準備しておいたテープで絞扼する方法を用いた。遮断中は人工呼吸数は5回/分に減じた(吸入ガスは0.2%ハロセンと酸素のみ)。脳波は頭頂部および前頭部に針電極を刺入し、双極誘導法で得られたもの。

[結果]
 MAP(mean arterial pressure:動脈圧平均値)は大動脈遮断と同時に急墜し、15分間の完全虚血中、ほぼ20mmHg前後に固定した。ABRは大動脈を遮断してから2分以内に平坦化した。(プロスタグランジンE1が投与されない)対照群のイヌ10頭の血行遮断から脳波が消失するまでの時間は、23.2±8.5秒(平均値±標準偏差値)。15分間後に遮断を解除して循環を再開させたところ、循環再開後平均82.5±36.1分で脳波が再出現した(プロスタグランジンE1が投与された群は、41.5分で脳波が出現している)。

 イヌに対する15分間の血流遮断→解除による脳波・聴性脳幹反応の消失→再出現については、上記の明星論文と大きくは違わないデータが次の論文にも掲載されている。

 杉本 祐司(金沢大学 麻酔蘇生):イヌにおける完全脳虚血後の聴性脳幹反応および脳波の回復に及ぼすイソフルラン吸入の影響、金沢大学十全医学会雑誌、100(6)、1195−1210、1991(対照群のイヌ8頭)は、循環再開から脳波再出現までの時間は、93.4±22.9分であった。

注:上記のほかにも、虚血に対して脳を保護する薬剤の研究や、脳外科手術時の虚血時間の検討などの目的から、各種の薬剤・実験動物で多数実験されている。それらの実験で、薬剤投与などの操作を加えない対照群のデータが参考になると考える。

 

B:体外からの心臓マッサージに近い血流条件で行なわれた実験

  • 溝井 和夫(東北大学医学部附属脳疾患研究施設):虚血脳の可逆性に関する実験的検討 虚血程度とその持続時間、脳と神経、38(9)、877−884、1986

 この実験は大脳半球の脳血流量を、灌流ポンプにより自在に調節できる"完全虚血脳灌流モデル犬"25頭を用いて、正常時血流の10、20、30、40%で行なわれている。脳波測定は、電極を硬膜上に固定した。

  1. 10%虚血群(3頭)においては、虚血開始後、脳波は急速に低振幅徐波化し、5分以内に平坦脳波となった。
     
  2. 20%虚血群(6頭)においても、虚血開始とともに脳波は直ちに低振幅徐波化を示した。虚血1時間においても30μV程度の徐波は残存していたが、2時間後になると脳波は平坦化した。
     
  3. 30%虚血群(9頭)では虚血後直ちにαおよびβ帯域の成分が消失し、高振幅徐波が優位となり、30分以降には低振幅徐波となったが、3時間後でも30μV程度のθ帯域の徐波成分は残存していた。
     
  4. 40%虚血群(7頭)では虚血が開始しても直ちに脳波が変化することはなく、α、β帯域の速波成分が若干減少するものの、虚血4時間まで脳波の total power は60〜80%維持されていた。ただし経過中、突如として一過性に total power が減少し、再び回復するというパターンが7例中4例に認められた。

 

 体外からの心臓マッサージにより実現できる血流量は10%〜35%程度とされている。イヌはヒトよりも虚血に対する耐性は高いとされているので、上記のデータのうち10,20,30%の虚血群データが参考になると思われる。

 臓器摘出において心臓マッサージを始めるタイミングは、相当時間が経過した後になるケースもあると見込まれる。「心停止が数分〜数十分継続した後に、血流量が10%〜35%で再開される」という条件だ。そのような条件設定にピッタリの実験結果は見当たらなかったが、上記の溝井論文では10、20、30、40%の血流を持続した後に、100%の灌流量に戻しているので参考までに紹介する。

  1. 10%虚血群では、1時間後の血流再開によっても脳波の回復は全くみられなかった。
     
  2. 20%虚血群の2時間後血流再開群(3頭)では、脳波の回復はまったくみられなかった。
     
  3. 30%虚血群の虚血1時間後の再開群(3頭)では速やかな脳波の回復がみられ、虚血前と同程度まで回復した。しかし虚血時間が延長する程、脳波の回復は不良となり、虚血3時間後の血流再開(3頭)ではα帯域まで脳波の出現はみられるものの、振幅は100μV以下で、脳波の total power は正常に比し、著しく低下していた。
     
  4. 40%虚血群の虚血後3時間以内に血流再開をした4頭では、直ちに虚血前の正常脳波と同程度に回復した。しかし、4時間後の血流再開の場合(3頭)には、脳波は一過性に改善傾向を示したが、1時間を過ぎると次第に速波成分は減少し、δ−θ域の徐波成分が優位となり、 total power も減少傾向を示した。

 より低血流の実験では、東北大学脳研脳神経外科で、脳血流を平常の10分の1=2ml/minとして1時間持続し、その後に注入血流量を20ml/minに復し、頭蓋内脳波を測定した実験がある。

  1. 藤本 俊一:実験的脳虚血における脳保護物質の検討 ビタミンEの効果、脳と神経、35(3)、305−309、1983
     無治療群イヌ7頭のうち2頭に、30分後、2分後に一時的にわずかに脳波活動を認め、3時間後では1頭に30マイクロボルト未満の脳波活動を認めた。
     
  2. 安孫子 尚:虚血脳に対するphenytoinの保護作用およびmannitol,vitamin Eとの併用効果、脳と神経、38(4)、328−335、1986
     無治療対照群イヌ5頭のうち1頭においてのみわずかな脳波活動を認め、3時間後でも1頭に30マイクロボルト未満の脳波活動を認めた。
     
  3. 安孫子 尚:Ca++拮抗剤flunarizineの虚血脳保護作用に関する実験的検討、脳と神経、39(9)、847−854、1987
     無治療群イヌ5頭のうち1頭に、3時間後に30マイクロボルト未満の脳波活動を認めた。

 東北大では脳波活動を認めなかった他の実験もあるため、10%虚血イヌ群全体の脳波再開率は上記よりも低くなるが、いずれにしても10%血流1時間の条件で、脳波活動が回復するイヌがいることは間違いがない。

 

C:1時間の完全虚血実験

  • 小林 啓誌(新潟大学脳研究所 脳神経外科):虚血脳の代謝の回復性、最新医学、35(6)、1174−1180、1980

 ネコとサルの脳血流を完全に遮断し1時間後に血流を再開したところ、約55%が6分後に大脳皮質神経細胞の活動が出現(大脳皮質運動知覚野の電気刺激に対する脳幹部の錐体路反応電位の直接反応)、1.5時間〜3時間で皮質脳波の鋭波などが出現し、約6時間で継続的な基本波がみられる。

 完全に虚血させた場合、不完全な虚血に比べると脳の障害は軽いため、緩徐な経過で心停止する患者においては、この結果は割り引いて考える必要がある。しかし急死体は血液が凝固しにくくなるため、考慮すべき情報となる。

 

D:幼弱動物の低酸素・虚血実験

  • 籠田 仁樹(川崎医科大学 救急医学):幼弱動物における脳の低酸素、虚血に対する抵抗性に関する実験的研究、川崎医学会誌、20(2)、101−108,1994

 川崎医科大学救命救急センターにおいて、来院時心肺機能停止症例のうち完全社会復帰症例では、乳幼児の平均推定心肺停止時間は35.5±7.4分、成人では12.4±3.2分と成人例に比べて乳幼児の平均推定心停止時間が長いことを認めている。マウスによる動物実験でも、幼弱なほど低酸素や虚血に抵抗性を示した。

  1.  無酸素下における生存時間(チャンバーにマウスを入れてから強直性痙攣後の呼吸停止まで)は1日齢では2100±358.6秒、1週齢では200.1±31.5秒、2週齢では83.0±25.0秒、3週齢では41.6±2.5秒であり、それ以降は生存時間に著変を認めなかった(各日・週齢8匹)。
     
  2. 断頭による完全脳虚血における下顎呼吸停止までの時間(Gasping movement time:GMT)は、1日齢では1341.0±101.0秒、1週齢では732.0±77.0秒、2週齢では27.0±3.0秒。5週齢(15.6±0.5秒)以降は、GMTに著変を認めなかった(各日・週齢8匹)。
     
  3. 砂ネズミの一過性脳虚血(20分間の血流遮断)による遅発性神経細胞壊死(delayed neuronal deate:DND)の出現は対照群の海馬CA1細胞のDNDを100%として4週齢84.2±3.4%(細胞数は72.0±2.9個)、5週齢81.8±4.5%(63.0±3.5個)、6週齢19.2±2.1%(16.3±1.2個)と6週齢で急速に減少した(各週齢5匹)。
     
  4. 幼若マウスにおいて抵抗性の消失する時期は、低酸素負荷は3週齢、完全脳虚血に対しては5週齢、砂ネズミの一過性脳虚血による遅発性神経細胞壊死)に関しては6週齢であった。
     
  5. 低酸素抵抗性の要因について生後1日齢、6週齢のマウス各8匹で実験を行い、低酸素下の脳代謝、SOD(superovide dismutase)の反応の違いが関与していると考えられた。低体温は、脳保護効果を示すが、幼弱動物に特異的ではなかった。

死産とされ紙に包まれていた新生児が動き出し蘇生、生存し退院

  • 仁志田 博司(東京女子医科大学母子総合医療センター):新生児の脳死判定及び臓器移植の可能性について、Neonatal Care、12(5)、620−621、1999

 私は、アメリカでのレジデント時代、夜間当直の際に緊急コールで呼ばれ駆けつけた分娩室の片隅で、死産として生まれ紙に包まれていた新生児が、その数時間後に動き出し、私がその紙包みから児を取り出して蘇生し、なんとその児は生存し退院したことを経験している。

死産児を全身氷詰にした後に臓器摘出

  •  東間 紘、高橋 公太、太田 和夫(東京女子医科大学腎臓病総合医療センター)、伊東 央、伊藤 克巳(同小児科):全身灌流による死産児腎保存の試み、移植、14(6)、325、1979

 34週目で死産した先天性水頭症を、死後およそ1時間後にカニュレーション、4℃に冷却したラクテック液を手で加圧しながら注入、全身灌流冷却を行った。アイスボックス内で全身を冷却したまま約3時間保存した後、両腎を摘出した。・・・・・・腎の灌流状態は悪かったため、臨床的に腎移植に使用することは断念した。・・・・・・今後、kidney source の1つとして、十分検討する価値があると考えられる。

 

E、抗凝固療法を併用した蘇生実験

 移植用の臓器に血栓が生じていては、その臓器を移植された患者を即死させる可能性があるため、臓器摘出前に抗血液凝固剤(抗血栓剤)のヘパリンが投与される。ヘパリンを全身にいきわたらせるために、心停止していても心臓マッサージまたは人工心肺を用いて血液循環が図られる。そのヘパリン投与、抗凝固療法が蘇生に貢献する=心停止後臓器摘出の場合は、ドナーを生体解剖に近い状態に保つ。

*一瀬 景輔(熊本大学医学部附属病院中央手術部):長い心肺停止後の犬が生き返る、蘇生、25(3)、166、2006

 犬を用い常温、浅麻酔状態、空気呼吸下に15分間の心室細動を誘発し、軽度低体温を併用したバイバス体外式心肺補助による心肺脳蘇生を研究した。
 へパリンを200U/kg投与し、心停止前 activated coagulation time (ACT )を150秒前後にする群(H200, n=6)の、ヘパリン700U/kg投与し、 ACT を300秒以上にする群(H700,n=6)で心停止前のへパリン投与量が蘇生予後に影響するかを検討した。120時間後の生存率は、H200群が17%、H700群が100%で有意差を認めた。H700群の120時間後の神経学的評価は、ほぼ覚醒レべル、剖検で心筋や腸管に大きな異常を認めなかった。本研究は15分間の常温心停止でも脳の神経細胞は死滅しないことを示している。

当サイト注

 日本臓器移植ネットワークは、「抗血液凝固剤ヘパリンは血液を凝固させないための薬剤なので、外傷患者や脳出血患者に投与すると再出血させるなど致死的可能性があるため、これらの患者への投与が禁忌とされていること、また不整脈の副作用があること」について、ドナー候補者家族に説明していない。血栓の予防目的で投与することのみ説明している。群馬大の脳外科医も、問題点を指摘した。

*日本臓器移植ネットワークのドナー候補者家族に対する説明文書「ご家族の皆様方にご確認いただきたいこと」
http://www.jotnw.or.jp/studying/pdf/setsumei.pdf

6.心臓が停止した死後の腎臓提供について
(1)術前処置(カテーテルの挿入とヘパリンの注入)について
@ カテーテルの挿入
心臓が停止した死後、腎臓に血液が流れない状態が続くと腎臓の機能は急激に悪化し、ご提供いただいても、移植ができなくなる場合があります。
そこで、脳死状態と診断された後、心臓が停止する前に大腿動脈および静脈(足のつけねの動脈と静脈)にカテーテルを留置しておき、心臓が停止した死後すぐに、このカテーテルから薬液を注入し、腎臓を内部から冷やすことにより、その機能を保護することが可能となります。
ご家族の承諾がいただければ、この処置をさせていただきます。なお、この処置は、心臓が停止する時期が近いと思われる時点で、主治医、摘出を行う医師、コーディネーター間で判断し、ご家族にお伝えした後に行います。処置に要する時間は通常1時間半程度です。
Aヘパリンの注入
心臓が停止し、血液の流れが止まってしまうと腎臓の中で血液が固まってしまい、移植ができなくなる場合があります。そのため、脳死状態と診断された後、心臓が停止する直前にヘパリンという薬剤を注入して血液が回まることを防ぎます。

*風間 健(群馬大院・医・脳脊髄病態外科学):死体腎提供患者に関わった脳外科医の思い 脳外科医にストレスのないシステムの構築を目指して、北関東医学、57(1)、112、2007」より (部分)。http://www.jstage.jst.go.jp/article/kmj/57/1/111/_pdf/-char/ja/

  今回、我々は、死体腎提供患者を受け持つ機会を得たので、症例報告を行い、その問題点と脳外科医の本音を述べる。
 症例は60歳、2006年8月23日、意識障害で発症した超重症くも膜下出血患者で、救急外来で脳ヘルニアとなり、自発呼吸停止、蘇生を必要とした。主治医は臨床的脳死に近い状態と判断、家族と話をすると、妻より自発的に、本人が臓器提供の意思を常々語っていた、との話があった。ドナーカードが確認できなかったため、心臓停止後の腎臓提供で話が進んだ。治療の甲斐なく発症3日後の8月26日、死亡確認。その後、腎臓摘出が行われた。
 今回の問題点として、コーディネーターのコーディネートが不完全で主治医が安心して任せられない事、死体腎移植では法律の規定がなく主治医の判断が非難にさらされる可能性がある事、その判断の中で特に腎臓保護の目的で出血性疾患にヘパリンを使用する事、当院でのマニュアルが無く、主治医および脳神経外科主任の最終判断が求められた事、などを感じた。脳外科医としてはリスクばかりが増えてしまうので出来れば関わりたくない、という心情が全く起こらないとは言い難い。

 過去の臓器・組織提供の大部分が、法的に無効な家族の承諾により違法に行われてきた。今も行われ続けているのではないか!

 

 

5.心臓死の死亡宣告も、臓器摘出要件を充たさない

 以上の症例および動物実験から、心臓の拍動が停止して、血液が凝固しはじめる30分近く経過しても、心臓マッサージなどの蘇生処置を行なえば、部分的にでも脳の諸機能も回復過程に戻ること。また体外心臓マッサージによる低血流状態でも、脳波活動の維持されることが判明した。

 心臓マッサージや人工呼吸という蘇生技術、そして臓器移植が出現する以前は「心臓が停止したら、その時点ですべてがおわり」と考えても、大きな問題はなかった。しかし現代では、一時的に心臓が停止した患者で蘇生の経過を覚えているヒトがいるように、また心肺停止状態であっても救急医療関係者は蘇生努力をするように、心臓の停止が即座に死体になることを意味しない。心臓の拍動停止あるいは死亡宣告が、医学的・生理学的にも「ヒトがモノ化する」決定的瞬間ではないことが確認できる。

 このことは、心停止から間もないタイミングで臓器を摘出したり、心臓マッサージなどにより血流を維持したり、さらに人工呼吸や人工心肺により酸素加された血液を供給し続けると、生体解剖と同じことになる恐れを示しており、そのような臓器摘出は倫理的にも臓器摘出要件を充たさない。

人工心肺下、心停止後も臓器が酸素を消費

  • 小山 勇、小川 展二、浅野 博(埼玉医科大学臓器移植センター):人工心肺下コアクーリング法による心停止ドナーからの腎摘出、今日の移植、17(5)、646−650、2004

 心停止後、人工心肺を用いた体外循環中に、10℃以下となるまでの動脈および静脈酸素飽和度は明らかに差があり、脱血温が10℃前後になる体外循環開始後20分ほどではじめて酸素消費が同じになる。すなわち、冷却中も酸素が消費されていることが示されている。

 

 

6.運用面から見た「心停止後」臓器提供の虚構

 「心停止後の臓器提供は脳死体からの臓器提供とは全く異なり、自然に死亡した患者から臓器が摘出されている」と思い込んでいる人も多い。この誤解は、心臓が停止するまで、そして心停止後に起こる人体の生理的変化、さらに臓器摘出→移植の実施にともなう医療資源の制約を説明すれば解消するだろう。

 心臓死するまでに次第に脈拍が下がり血圧が下降してゆく、死戦期あるいは臨死期という期間がある。死戦期の長さは、患者により数時間〜数日間となるが、この低血圧状態により臓器機能が障害されてゆく。そして心停止により血流が停止すると、約30分程度で血液が凝固しはじめる。このような段階で臓器を摘出して移植しても、その臓器は機能しないだけでなく、凝固した血液により血管を詰まらせて移植を受けた人(レシピエント)を急死させる危険性が高い。

 この死戦期の低血圧による臓器障害と血液凝固による臓器ダメージを回避するために行われることが、「心臓マッサージ・人工呼吸器の継続・抗凝固剤ヘパリンの投与・心停止前から臓器の灌流冷却(そのためのカテーテル挿入 ・カテーテル挿入時のヘパリン投与)」だ。

 しかし、冷却灌流液を流し込むために管(カテーテル)を挿入することは、瀕死状態の患者に対する傷害になる。血液を凝固させないために投与されるヘパリンは、当然のことながら血流がないと全身に行きわたらないから、心臓が拍動している時に、または心臓マッサージを施行しながら投与されるが、抗凝固剤ヘパリンは内出血のある患者には絶対禁忌の(絶対に使ってはいけない)薬剤だ。ともに臓器提供者(ドナー)の救命に反する行為であり、第三者たるレシピエントのための処置であるため、生前の同意が確認された法的脳死ドナーでな ければ違法行為になる。

 自然死後に臓器摘出する制約は、医療資源にもある。それは自然死する時刻は予測しがたいことだ。臓器摘出手術に直接従事するスタッフだけでも、数人を要する(腎臓以外も摘出するならば約30人にもなる)。さらに移植手術を行なう施設側では、1人のドナーから2腎臓を得て、2施設で移植するだけでも十数人を必要とする。日常の診療業務を抱えた医師・看護師・その他スタッフ、そして手術室などの医療資源が、急患や予定手術への対応も断り数日間も拘束されつづけたら、甚大なダメージを地域医療・病院経営に及ぼす。そして、何日間も待機しつづけた挙げ句、「臓器が使い物にならなくなっていた。手ぶらで帰らなくてはならない」では、移植医療は成り立たない。

手術室にドナーを運び込んでから6時間30分待った

*千代 孝夫(関西医科大学):脳死患者における混合静脈血酸素飽和濃度を用いての管理 心臓死時期予期と無呼吸テスト、今日の移植、5(2)、175−180、1992

 過去の腎臓提供例の手術室入室から心停止までの時間(6時間30分〜1時間2分・平均2時間54分±110分)。6症例において急激な混合静脈血酸素飽和濃度の低下より平均2時間36分後(4時間10分〜1時間30分・平均2時間36分±55分)に心停止が起こり、その予期に有用であった。

当サイト注:心停止まで平均平均2時間54分が、平均2時間36分後になった程度なのに、「その予期に有用であった」とは理解に苦しむ。このような判断で死亡予測を間違ったから、関西医大事件では「持ち直している!」とカルテに書いたのではないか。

 自然死の多くは、深夜〜早朝に起こる。そのような時間帯には、適切なレシピエントがいる移植施設まで臓器を搬送しようにも制約を受ける。病院経営上も、超過勤務コストの負担が増大する。このような事情(臓器ダメージ+医療資源の制約)から、自然に死亡した患者の臓器を移植医療に用いることは現実的ではない。

昔の腎臓摘出のほとんどは、緊急手術で大変でした

*安東 昌夫(千葉大学医学部麻酔教室):腎移植の麻酔管理、臨床麻酔、3(1)、39−45、1979

 1972年1月から1977年10月までの死体腎移植は21例中20例が緊急手術であり、しかも午後6時〜翌朝6時までに14例(66.6%)の麻酔が開始されている。これは麻酔科、看護部、検査部を初めとして病院が最も機能しない時間帯に死体腎移植が行なわれていることを示している。

今は「予定手術」で、心臓を停止させています

*平田 アサ子(大阪大学附属病院看護労組・泌尿器科病棟ナース):重くとらえている泌尿器科の職場、臓器摘出は正しかったか、あずさ書店、88−89、1991

 最初に死体腎という形で腎臓移植がされた時は、アメリカから輸入されてきたんです。そういうことでだんだん進んでいって、その次に日本で死体腎という形で行なわれるようになった時には、腎臓は生体腎に比べて働きが悪かった。長い間働かなかったという意味で。私たちは、そのことが亡くなられた人から取られた腎臓ということで、そのことにもだんだん慣れていって、いつ頃からか、最近、生体腎と同じ条件で、今は取られて腎臓がみんな働くのです。生体腎と同じ条件で働いているのです。
 そういうことが、始まった最初の頃に、何月何日に手術がありますと言われたら、「なぜその人が死ぬということが先生にわかるんですか?」といって、私もいちいち突っかかっていったりそういうこともしてたのですけれども、だんだんシステム化されてしまって、そういうことがわからなくなってしまったんです。

 

1984年10施設が29例の脳死摘出を報告

  •  岡 隆弘(京都府立大第2外科):アンケート調査報告 脳死患者からの腎摘出について、移植、19(6)、4701984

 全国10施設から29例を集計することができた。年度別には昭和56年までに2例、57年8例、58年14例、59年は3月中旬までに5例である。・・・・・・
 提供者の死亡診断書における死亡時刻は、脳死判定時が13例と最も多く、次いで、手術室搬送直前も含め、摘出術開始時が7例、その他、摘出後3例、レスピレーター停止時2例などである。・・・・・・
 脳死と判定されてから腎摘出が開始されるまでの時間は、3時間30分から8日間、平均46.3時間であった。摘出時の血圧は記載のあった26例中21例が100mmHg以上であった。・・・・・・
 温阻血時間がほとんど0分であるため、保存が十分可能であると診断されて、時間的な余裕をもって移植手術が行なわれているものと思われる。実際、42例中7例は緊急手術ではなく、待機手術として行なわれている。42移植腎のうち、手術後すぐに機能を示し術後透析を要さなかった症例は22例と半数以上を占めた。・・・・・・
 脳死状態で摘出された腎では、移植後早期に機能の発現が期待できるといえる。

 

明確に3徴候死後の臓器摘出ではないと自覚

ドナー死亡宣告までの経過別に見た症例数

脳死者の死亡宣告までの経過 時期 ドナー数 腎移植数
 respiratorを装着し続ける
→1〜2週間後に心停止
→死亡宣告→腎摘出
(三徴候死法)
1967−79 46 48
 respirator をはずす
→約30分後に心停止
→死亡宣告→腎摘出
(respirator off 法)
1980−85 37 37
 respirator を装着したまま
死亡宣告→腎摘出
(heart-beating 法)
1983

1967−85 84 86

*落合 武徳(千葉大学第2外科):脳死または三徴候で死の判定がなされた死体腎移植成績の比較、移植、20(4)、328−331、1985

 この資料は、同大学で三徴候死による死亡宣告後に腎臓を摘出したのは1979年までで、以後は「脳死」下摘出だったことを明確に書いている(文章では「1980年までは・・・三徴候に基づいて死の判定がなされた」と記載し、表(右記)では1967−79と記載している)。
 I.緒言、3.ドナーの死亡宣告と腎摘出法、4.腎摘出別にみた移植後経過、W.考按、X.結語 のなかで何回も、respirator off 法とheart-beating 法は「脳死を死とする考え方に基づいており・・・」または「脳死法」であることを記載し、1980年頃から脳死法で腎臓を摘出する施設が増えていることも書いている。

 

玉置 透(東京医科大学八王子医療センター):死体腎提供活性化に向けて(当センターの経験)、腎移植/新時代への展望 臓器提供の活性化・拡大を求めて、メディカ出版、150−156、1992

 当センターは1980年に開設され、1982年に厚生省地方腎移植センターに指定された。現在、2名の移植コーディネーターを配属し、180例の腎移植を行なっており、国内死体腎移植53例、US腎移植40例と、約半数が死体腎移植例であった。・・・(P155の図4 当センターにおける国内死体 腎提供状況と移植成績)心停止前摘出群(N=15)、心停止後死体内灌流摘出群(N=11)、心停止後摘出群(N=27)

 

藤田 民夫、西山 直樹(名古屋記念病院泌尿器科)、松浦 治、大島 伸一(社会保険中京病院泌尿器科)、小野 佳成(小牧市民病院泌尿器科)、絹川 常朗(岡崎市民病院泌尿器科)、佐橋 正文(静岡済生会病院泌尿器科)、平林 聡(成田記念病院泌尿器科):死体腎移植268例の経験、日本外科系連合学会誌、19(1)、55−58、1994

 対象は1978年より1992年までに社会保険中京病院、名古屋記念病院、小牧市民病院、市立岡崎病院、静岡済生会病院、成田記念病院の6施設の泌尿器科にて行なった死体腎移植は268例である。(中略)脳死状態で摘出された症例は24腎臓、心停止の状態で摘出された症例は244腎臓であった。

 

心停止後と称する臓器移植は、医師不信の先延ばし、小手先のこと

 新潟市民病院医局会:脳死シンポジウム、新潟市民病院医誌、12(1)、1−26、1991

 小林 啓志(信楽園病院脳神経外科部長):(p9)例えば、新聞などに、心臓停止後に臓器移植をしましたという文章が出てくると、非常にもてはやされるというか、「ああ、それでいいんだな」ということになる。しかし、その時にいっている心臓停止は、普通に最後まで看取って、心臓がだんだん止まってという自然死に近いものとは異なるということです。脳死が確認されて、まだ心臓が動いている段階で、どう臓器を取り出すか手順が始まるわけです。極端にいえば、手術場に入れて、医師の手で呼吸器を止めて、心臓が止まった瞬間に臓器を取り出す。しかし、「取り出した瞬間は心臓が止まっていたから、これは心臓死で何ら問題がありません」と、こういう考え方を日本の医療の中に導入してゆくということは、結局、医師不信を先に延ばしてゆくというか、小手先のことだけだろうと思うのです。少なくとも、この手順をやるのだったら、その医師は、脳死ということを自分の倫理観として持っていなければならないと私は思います。
 というのは、脳死の段階で既に臓器を取ろうと決心し、手段を開始しているわけで、しかも、最後に自分の手で人工呼吸器をはずして臓器を取るならば、その人が、自分は脳死は信じないといったら、これは非常な矛盾だと思います。

平沢 由平(信楽園病院副院長):(p18−20)(脳死患者2名からの腎臓摘出で、東大PRCより新潟地検に告発されたことに関連して)私どもとしては十分なる誠意と充分なる手続をもって実行したと思っております・・・・・・
 85年に脳死ドナーからの臓器摘出を行なったんです、・・・・・・1988年次いで89年に脳死からの腎移植を行ないました。・・・・・・
 私どもがもう一つ家族の人に了解を得たのは、脳死の状態でいただくということでした。心臓死の状態で、無理すれば移植もできますけれども、それはむしろ死の尊厳を傷つけることになりかねない。その場合は、脳死の状態で手術場に入れまして呼吸器を止め、心臓が止まるのを待つわけですが、それは、私どもにとっても耐えがたい時間である。心臓が止まったら今度は、早く取り出さなければ、臓器が傷んでしまいまして、せっかくくれるという善意になかなか応えられなくなる状態を生む可能性がある。そういう傷んだ腎臓をもらったレシピエントの方が、あるいは逆に迷惑を受けてしまう可能性があるので、脳死の状態でいただきたい。その方が、十分に周囲に配慮した、ゆっくりした手術過程で腎臓摘出ができる。死者に礼をもって対応することができるということでお話をいたしまして、それを了解してもらいました。・・・・・・
 私どもの経験いたしました死体腎移植というのは、脳死の状態で呼吸器をつげたまま腎臓摘出を行いました。・・・・・・
 日本でもかなりたくさん死体腎の移植が実際に行われております。そのうち告発を受けたのは、新聞報道されたり、マスコミで大ぎく取り上げられたところだけで、うまくすり抜けてきたところは、告発の対象になっておりません。私どもはやり方が下手だったと言えばそれまでですが、オーブンにするという原則に立ったつもりであります。

 

心停止後臓器提供における脳死判定はいい加減

移植コーディネーションの問題点、今日の移植、16(2)、169−191、2003

  • 加藤 治:ネットワークの中央評価委員会で症例を通しての見解は、一般的な脳死判定は、竹内基準を満たしていることが言われていたのですが、臓器移植法施行後に一般的な脳死判定と表現されたと思います。
  • 小中 節子:臓器移植法のガイドラインに、一般的な脳死判定について既定してあります。しかし具体的な項目や手順については触れておりません。加藤さんのお話にありましたように、項目や手順を決めないで、その施設における一般的な脳死判定の解釈をすることになっており、コーディネーターとしては、この施設ではこの項目、この施設はこの項目と、関与していくなかでとまどうことも多いと思います。

     p171には、同一病院で最初の67歳男性患者には「法的脳死判定に準ずる判定が必要」との態度で脳死判定せず、心停止「後」にヘパリン投与・カテーテル挿入をしたのだが、その後「心停止後提供では一般の脳死判定を適応する」と施設の判断を変えて、昇圧剤使用で収縮期血圧60〜70mmHgの法的脳死判定できない51歳女性患者に、心停止「前」にヘパリン投与・カテーテル挿入を行ったこと も掲載されている。

 

*6月28日開催、第2回臓器移植に係る普及啓発に関する作業班資料のうち、 福岡における臓器移植に係る普及啓発に取り組み(杉谷参考人提出資料)http://www.wam.go.jp/wamappl/bb13GS40.nsf/0/c672c7ba2035c2254925719c001fbedc/$FILE/20060629siryou4.pdf

 3月16日6時30分に急性心不全、意識不明で発見されてから血圧80mmHgと脳死判定対象外だった62歳男性が、3月17日14時に脳波が平坦とされ、臨床的に脳死状態と判定された。同日20時、九州大学病院のドナー(臓器摘出)チームによって、腎臓に冷却灌流液を注入する目的のカテーテル(管)挿入が行われた。

 

#20020220
*今西 正巳、竹本 喜典、井上 正純、堀井 学、谷坂 恵、橋本 俊雄、本郷 三郎(奈良県立奈良病院救命救急センター)、猪木 正允、中本 和男(奈良県立奈良病院中央臨床検査部):頸椎損傷のため心停止後に臓器提供となった脳死症例、奈良県立奈良病院医学雑誌、7(1)、82−85、2003

 症例は20歳代男性、2002年2月中旬、単車(フルフェイスヘルメット着用)で走行中、トラックと衝突し、はね飛ばされて受傷した。心肺蘇生を行いながら当救命救急センターに搬送。心拍再開したが、意識レベル300、瞳孔散大、対光反射無く、自発呼吸は認められなかった。頸椎レントゲン検査で、環椎後頭骨の脱臼骨折が認められた。自発呼吸の出現、さらに脳の回復は望めないことが推測され、家族にこの病状を説明した。このとき家族から患者署名のドナーカードが提示され、臓器提供する意志が示された。第2病日、日本臓器移植ネットワークから頸椎損傷は法的脳死判定が実施できないことが伝えられたが、家族はあくまでも本人の意思を尊重するため、心停止後にも臓器提供を願った。奈良病院脳死判定マニュアルに沿って、第2病日午後2時、臨床的脳死状態と判定した。頸椎損傷のため施行できない眼球頭検査以外の脳死判定を実施し、すべて認められないことを確認し、臨床的脳死状態と判定した。第3病日、腎臓摘出チームによる大腿動・静脈からのカニュレーションが行なわれた。第4病日未明から血圧が低下、午後6時頃心停止による死亡を確認。検視終了後、午後7時ごろ手術室へ移送、腎臓、心臓動脈弁と肺動脈弁、眼球の摘出が行なわれた。

 

*原 美幸、加藤 庸子、神野 哲夫(藤田保健衛生大学救命救急センター):法的脳死判定中止例を経験して、日本臨床救急医学会雑誌、3(1)、159、2000

 上記抄録は、1979年以降の心停止後腎提供187症例のうち、交通事故などによる頭部外傷で法的脳死判定中止例のように、耳出血のあった症例は57例中10例。心停止後献腎ドナーの5.3%は脳死判定を行うに当たって支障と考えられる外傷があったことを報告している。

原 美幸(藤田保健衛生大学救命救急センター)、山口 幸子、明石 克彦、加藤 庸子、神野 哲夫(同脳神経外科)、星長 清隆(同泌尿器科):藤田保健衛生大学救命救急センターにおける脳死判定と心停止後の腎提供の状況、脳死・脳蘇生研究会誌、11、68−69、1999

 臓器移植法施行後の1997年から1998年5月31日までに、当救命救急センターICUにおいて死亡された患者70名を対象に脳死判定と臓器提供の状況について調査した。
 脳死判定は、EEG・ABR等の1回のみの判定だったのは3名、そして2回行った症例は29名であった。そこからさらに無呼吸テストを1回または2回行った症例は16名であった。結果、臨床的脳死判定は、死亡者70名中32名(45.7%)に施行された。その脳死判定者の年齢別と疾患別の割合は、年齢は60代が47%と一番多く、疾患はクモ膜下出血などの脳血管障害が大半を占めていた。
 ドネーション状況については、32名の脳死判定症例中に、ドナー不適応となったのは10名(70歳超7名、HCV抗体陽性2名、CML患者1名)であった。残りのドナー適応者22名で、アレストなどで対応できなかった4名を除いた18名の家族に臓器移植の意向を医療者側から伺った。
 その結果は承諾が7名(承諾率38.9%)で、そのうち脳死臓器移植の意思表示をしている者はひとりもなく、すべて心停止後の腎臓提供が対象となった。生前に夫婦で脳死になったらなんでも提供したいという意向を話し合っていたという1名がいた。従来の登録制の腎臓と角膜のドナーカード所持者が1名いた。それから1名はATLAの感染が摘出直前に判明し中止となった。以上、心停止後の腎提供が6名の12腎、骨提供が2名、眼球提供が4名であった。
 臓器提供の意向の打診が行われた18名においては、脳死判定は、EEG・ABR等の検査は2回行われた。さらに無呼吸テストについては、検査施行予定していたが、アレストをおこし施行できなかった症例が1名。血圧不安定のため、施行を見合わせた症例が1名あった。また、1名は無呼吸テスト施行中に血圧下降のため中止された。それから心電図上に不整脈が出現し10分間は続行できなかったが、その後の血液ガス分析でPaCO2は83.4mmHgまで上昇していてテストをクリアした者が1名いた。(中略)また、脳死判定後から心停止後の臓器提供までの日数は平均4.9日であり、ドナー管理が必要な期間である。

 

島田 明仁、宮本 克彦(島田記念病院)、高橋 進(国立療養所西甲府病院)、小崎 正巳(東京医科大学八王子医療センター):死体腎移植における透析室の役割、日本透析療法学会雑誌、25(12)、1409―1412、1992

  上記抄録は、1990年12月19日に他院(島田記念病院以外の病院)で臓器摘出された交通事故被害者16歳男性KM男が、12月17日の脳波停止をもって家族に「ほぼ脳死状態である」と説明したこと、また脳死判定が1回であったこと、2回目の脳死判定は行われなかったことをタイムテーブルで示している。

 

7.ヒトは何時から死体になるのか

 なにが「心臓死後・心停止後」摘出であるのかを明確にする必要がある。本多 憲児:屍体内灌流腎(福島医大方式)移植6症例について、日本外科学会雑誌、79(11)、1417−1425、1978、そして薄場 彰:屍体内臓器灌流による腎の変化、移植、13(5)、235−239、1978は、14歳小児を含む3人のベッド下に家族から見えないように灌流装置を隠して、温阻血時間0分の腎臓を獲得している。「温阻血時間0分も心臓死後・心停止後の摘出である」ならば、生きている人の誰からでも臓器を盗れるようになるが、そのようなことが許されてよい訳が無い。従って、

  1. 心臓が拍動している時に臓器を摘出した
  2. 3徴候死の不可逆性確認に充分な時間間隔をとらなかった
  3. 3徴候死以前から、臓器摘出目的で投薬・カテーテル挿入など、臓器提供者の救命に反する、または関係のない処置をした
  4. 一過性の心停止後あるいは3徴候死後に、心臓マッサージ・人工呼吸・人工心肺などを行なって人工的に血液循環状態を維持しているため、死体であるとの物質的基盤がない

 以上のいずれかに該当しないものだけを「心臓が停止した後(心停止後)の臓器摘出・提供」と定義すべきで、逆に4項目のいずれかに該当するならば脳死摘出として、法的脳死判定手続に則り行なわれるべきと考える。

 「心停止後」の臓器提供について「一般的な脳死判定後、脳死状態を確認された後で家族の承諾があったら、カテーテル挿入・ヘパリン投与などを行なってもいいと厚生労働省の通達が出されている」、組織摘出についても膵臓全体・心臓全体を摘出しながら、「臓器移植法の対象外」と強弁する医師がみられる。そのようなレトリックを弄して既得権を擁護する行為は、信頼を得つつ進められるべき医療とは正反対の立場と判断される。

 「脳死状態あるいは一般的な脳死判定後のカテーテル挿入、ヘパリン投与」などの処置を、臓器移植法の理念に反して厚生省の通知で許可すること自体が間違っている。また脳死と判定される病態が、2つと作られてよい訳が無い。組織摘出も法的規制が必要である。

 なお、「3徴候死の不可逆性確認に充分な時間間隔をとる」ことについて根拠と定義が必要になる。@心肺停止時の蘇生限界が30分近くなっていることA急死体では血液の凝固が遅れることB小児は低酸素、低血流に耐性があること、以上のデータに安全率を数十倍かけることとして、さらに従来の埋葬に関する法規および自然死についての社会的通念を尊重して「24時間以上にわたり、心臓の拍動停止、瞳孔の散大固定、呼吸停止が継続していること」とすることが適当と考える。ただし、脊髄の中枢機能を尊重する意見もあることから、法的な強制が行なわれてはならない。

 現実問題として、30分間以上〜24時間にわたり、心臓マッサージやヘパリン投与など一切の処置ができないとなると、血液が凝固して臓器の腐敗もはじまり、ほとんどの臓器・組織移植には使うべきではない状態になる。この点からも、「心臓が停止した後、心停止後の臓器・組織提供」は終焉させるべきと考える。 

 

死後2時間以内の腎が移植後機能を営む安全圏内

*中野 武彦、山本 実(弘前大学石川外科) :腎移植に関する実験的研究 屍体腎移植について、日本移植学会雑誌、2(2)、46、1966

 ヘパリンを投与しない頭部外傷イヌの屍体腎は、死後4時間で灌流不能となり、3時間で移植後尿排泄をみない。・・・・・・2時間を越えたものは尿排泄をみても血尿が著明で、肉眼的には髄質の出血が著明で、組織学的にもかなり腎が荒廃している。死後2時間以内の腎が移植後機能を営む安全圏内のものと考えられる 。

 

心臓はヘパリン化後、動脈圧平坦化から15分以内摘出が限界

*目黒 昌(秋田大学心臓血管外科):死体心移植における心摘出までの時間的制限に関する検討、日本心臓血管外科学会雑誌、22(Suppl)、253、1993

 ラットをヘパリン化後に気温25度で窒息とし、動脈圧平坦化から8分後(N=4)、15分後(N=5)、30分後(N=5)に心臓を摘出した。コントロールは心拍動下摘出(N=5)。摘出直後にUW液で灌流、30分間0度で単純浸漬法で保存、37度のKHB液で30分間灌流し、30分間ワーキングモードとした。
 8分後摘出群・15分後摘出群は全例ワーキングモードに移行したが、30分後摘出群は5例中4例が低心機能のために移行しえなかった。移行しえた1例では心機能は不良であった。組織学的検索では、心筋の基本構造が保たれていない領域の比率は、コントルール群9.27%、8分後摘出群13.25%、15分後摘出群21.16%、30分後摘出群81.55%。30分後摘出群は他の3群と比較し有意に高かった。
 死体心をUW液単純浸漬法により30分保存し、移植後充分な心機能を得るには、動脈圧平坦化から15分以内に心を摘出する必要がある。組織学的にも広汎な不可逆性の虚血性変化を避けるためには、動脈圧平坦化から15分以内に心を摘出する必要があると思われた。

 


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