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有権者の脳死認識、臓器移植法の基盤が崩壊した
2007年6月14日に「臓器移植法」改悪に反対する市民ネットワークが主催した「脳死」を人の死とする『臓器移植法』改悪を考える緊急院内集会(衆議院第2議員会館)において、「脳死から回復、長期生存の子ども達」と題して報告しました。以下は、その報告の元原稿に相当するものです。
「脳死や臓器移植に関する議論は、普通の人には難しい」と言われます。それは、初めて聞く理解できない医学用語や抽象的・観念的な用語の多いことが原因だと思います。例えば、国会議員が「脳死の問題は、死生観にかかわる問題だから党議拘束を外して議論しようと思う」と話す。「死生観」という言葉はほとんどの成人は知っているでしょうけれども、自らのこととして真剣に考えたことがあり、しかも脳死判定の現状も踏まえて判断ができる人は、1万人のうち1人いるのでしょうか。
私が経験した実例を話しますと、私の自宅に電話がかかってきました。「守田さんは脳死・臓器移植に反対する運動をされていますね。なんでこんなことをしているんですか。私はドナーカードを持っています」といきなり喰ってかかられました。そこで、私は法的脳死判定の9例目、福岡徳州会病院で臓器が摘出された時の様子について、「麻酔」という雑誌の50巻6号(p694)に書かれていたことを話しました。ドナーから臓器摘出する前に「ベクロニウムという筋弛緩剤を4mg静脈注射した。臓器摘出手術の開始直後に一時的に高血圧となったため、ニトロプルシドという血管拡張薬とイソフルランというガス麻酔0.5%を数分間投与した」と。そうしたら電話をかけてきた人は即座に「えぇ!それって、もしかして殺人じゃないですか」と言われました。
わずか100字程度の情報を得ただけで、それまでの判断を正反対に変えることが迫られたという実例です。このことから、死生観など大げさで抽象的なことをいう以前に、皆さん現実を知らないのではないかと懸念しています。そこで、今日この場では、「わが国の平均的な有権者が、脳死をどのように認識しているのか」について確認してから、それが現実とどのように異なっているのか情報を提示します。
内閣府の臓器移植に関する世論調査は「脳死状態とは」の説明を「呼吸などを調節している部分も含め、脳全体の機能が停止し元には戻らない状態。人工呼吸器などの助けによって、しばらくは心臓を動かし続けることもできるが、やがては心臓も停止する」としています。有権者の脳死についての認識は、これと同じとみることができるでしょう。
臓器移植も含む認識については、日本臓器移植ネットワークが子ども向けに作った絵本リーフレットhttp://www.jotnw.or.jp/studying/reef.htmlに書かれていることが、おおよその共通認識と思いますので引用します。「ある日突然、交通事故で頭を強く打ったり、頭の中の血管が病気によって破れたりして、脳の中の働きが全部なくなってしまうことがあります。これが「脳死」という状態です。「脳死」になると、薬や機械を使っても何日か後に心臓も止まってしまいます。このように、もう二度と元にもどらない時にまだ働きが残っているからだの一部分をあげて、他の人のいのちを救おうと考えられているのが「臓器提供」です」。
「脳死と植物状態って同じなんですか?」という問いに、答えはこう書いています。「脳死は、頭の中の大脳も小脳も脳幹も働きがなくなってしまった状態で二度と元に戻りません。自分で呼吸ができないので人工呼吸器という機械をつけますが、それでも何日か後に心臓が止まってしまいます。植物状態は、脳幹の働きが残っていて自分で呼吸できることが多くあります。治る可能性もあります」。これを絵にして日本臓器移植ネットワークはホームページのなかで、このようにhttp://www.jotnw.or.jp/studying/07.html表現しています。
こちらは(↓)日本移植学会のパンフレットの最初に載っている図を拡大コピーしたものです。
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これも脳死になると心停止する、一方で植物状態は死なないことを表現しています。この共通認識で確認しておくべきことは、脳死は、普通の人の死に対する理解、「死んだら動かなくなり、やがて体が冷たくなり、そして全身が腐敗してゆく」という状態に、漏れなく必ずつながると理解されている。植物状態とはよくない表現で日本移植学会はこのような認識しかない、意識障害またはコミニュケーション障害と書くべきですが、植物状態とは違うと理解されています。では、このような理解が現実とどう異なっているのか、これから確認します。
昔から「脳死になると1〜5日のうちに心臓もとまる、数日のうちに心臓もとまる」といわれてきました。そこでまず脳死と判定されてから、心停止されるまでの期間をみます。
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1974年の日本脳波学会アンケート調査では、脳波が10分間以上、平坦またはほとんど平坦だった患者84名は、10日以内に死亡されています(日本医事新報2636、31-34)。
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1985年の厚生省脳死に関する研究班報告書では、日本脳波学会の脳死判定基準を満たし人工呼吸を継続した167例のうち、脳死と判定されてから心停止までの期間は平均して4.3日。7日以上生存が18%です。この報告は成人が中心です(日本医事新報3187、104-106・3188、112-114)。
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子供については、2000年の厚生省小児における脳死判定基準に関する研究班報告書が、6歳未満の症例を報告しています。人工呼吸器停止が心肺停止以後であることが明記された116症例のうち、無呼吸テスト2回以上実施、神経学的検査を2回以上行った20人のうち7日以上生存が14人(70%)、30日以上生存が7人(35%)です(日本医師会雑誌124巻11号、1623−1657)。
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2004年 日本小児科学会が行った小児脳死の実態と診断についての全国医師アンケート結果では、15歳未満の脳死(疑い例含む)で人工呼吸器を止めるなどしなかった49例のうち、最終の脳死診断後死亡確認までの時間が8日以上は28例(58%)、30日以上16例(33%)です。生存中も2例あります(日本小児科学会雑誌108巻11号、1434-1437)。昔から生存中の脳死患者の報告は、個別の医師からは稀にありましたが、全国レベルの調査結果でも報告されるようになったのが新しい傾向でしょう。
法医学は、人の死型として心臓死、肺臓死、脳死があると分類しています。血液の循環機能が停止する心臓死、呼吸機能が停止する肺臓死がある。また脳の機能が停止することによって呼吸が止まり血圧も下がることはあるので、それで実際に心停止に至った後ならば脳死というべきと思いますが、現実の脳死判定基準を満たした患者がすべてそうではありません。
こういうと反論があるかも知れない。「いや、2004年の日本小児科学会アンケートでも生存中は2例だけで、他の方は死んでいる。成人でも大方は数日以内に死ぬ」という反論ですが、そう言うのは現実を知らない人です。というのは脳に重大なダメージを受けた患者が心停止するまでに、人為的に死を早められた方、創られた脳死患者がいるからです。
例えば2004年の小児脳死アンケート結果では、脳死診断後に「薬物量や人工呼吸設定をゆっくりさげていった」が5例あり、「その時点以上に薬物量や人工呼吸器設定をあげなかった」が21例あります。
家族が治療を求め続けたにも関わらず、病院が治療水準を下げているところもあります。これは第20回日本看護学会集録−小児看護−という学会誌から拡大コピーしたものです(81−84)。
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←これによると1988年9月19日、交通事故に遭った7歳の男の子は、関西医科大学病院・救命救急センターに入院します。入院3日目までバルビツレート療法という麻酔で脳を休ませて、昏睡状態にして回復を図る治療をしていたので、脳波が停止し、つねっても痛みを感じない、反射のテストをしても反射がないのが当然なので脳死判定をしたらいけないのですが、医師は「脳波フラット。脳機能停止し、よびかけても本人には全くわからず、いずれ心停止きたす」と説明している。
脳の一部分が溶解して、管から出てきたので医師らは治療をあきらめたのではと想像しますが、そのような状態でも長期生存されている方はおられます。脳梗塞で脳の半球が消失しても社会生活は可能なので、部分的溶解だけでは判断できない。
家族もあきらめないで6日目に昇圧剤の増量を要求します。ところが救命救急センターは、この日にステロイド・脳圧降下剤を中止した。同じ時期に入院していた脳死患者の家族から「脳死が蘇生した例がある」と聞いたので、その事を9日目に医師に質問しています。ところが救命救急センターは、その日に抗生剤・昇圧剤を中止し維持輸液のみに変更し、人工呼吸器の酸素濃度も60%から21%へ落としています。酸素濃度21%とは、この部屋の空気と同じです。病院側の一方的な治療撤退にもかかわらず、男児は19日目まで生きて10月7日に亡くなられました。
この救命救急センターの医師が救急医学という雑誌(13巻5号、619−624)で、1988年まで3年間の脳死患者24名に対して、脳死判定後に輸血漿は87%で施行せず、中心静脈栄養は75%で中止、検査は50%で中止、抗生物質は37%で中止、昇圧剤は29%で中止と報告しています。つまり、早期に生命維持まで中止され、死を余儀なくされた患者が3割以上と推定されます。
臓器提供が考慮されるケースでは、さらに深刻です。これは高知赤十字病院が行った法的脳死判定第1例目ドナーの病状経過です。
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←これは臓器移植専門委員会報告書に掲載されている図ですが、日本救急医学会雑誌10巻5号にも、看護教育40巻12号にも同じ図が載っています。これも麻酔剤を投与してから脳死判定している。2月22日、23日、24日とそれぞれ中枢神経抑制剤フェノバールピタールを投与しているので、そもそも脳死判定してはいけない患者です。高知赤十字病院救急部の西山 謹吾氏は高知市医師会雑誌(5巻1号、2−9)で「傷害脳における脳波や脳幹反射の消失に与える薬剤の血中濃度は文献などない。この問題に対し厚生省は個々の症例ごと厚生省に判断を仰ぐよう指示している」と書いているのですが、不勉強なだけです。日本法医学雑誌では1994年、1995年、1997年と連続して、脳組織に麻酔剤が高濃度に溜まり、血液中の薬物濃度とは数倍から数十倍の濃度差になることが報告されています。つまり、治療中に中枢神経抑制剤・麻酔剤を投与していたら、脳死判定が不可能になる、脳死判定をしてはいけないということです。
高知赤十字病院では2月25日の夜から、尿が大量に出る尿崩症があったので治療のためにピトレッシンという抗利尿ホルモンと輸液2000mlが投与されています。抗利尿ホルモンの投与量が多すぎたのか輸液との相乗効果か、2月26日午後に血圧が220mmHgくらいに急上昇しています。
くも膜下出血の再出血が、偶然、この時に発生したのでしょうか?臓器移植専門委員会報告書には、そのような記述はありません。血圧を下げておくべきクモ膜下出血患者を、
抗利尿ホルモンと輸液によって高血圧にしたから(くも膜下出血の再出血を引き起こしたから?)最初は脳死と判定されなかった患者が、2回目のやり直し判定で脳死と判定されたのではないか。
臓器移植専門委員会報告書は、この部分について「循環動態は適切にコントロールされた」としています。しかし、本当は「脳死判定基準を満たさない瀕死患者を臓器ドナーにする目的で、循環動態はコントロールされた。クモ膜下出血患者の救命目的でなされた処置ではなかった」と報告すべきではなかったのでしょうか。
2001年8月に新潟市民病院で行われた17例目法的脳死判定の検証結果は、いまだに厚生労働省から公表されていませんが、新潟市民病院医誌(23巻1号、67−72)によると、脳出血の40歳代男性は2つの反射、冷水を耳に入れて眼球が動くかどうかをみる反射と、ノドの奥をつついて吐くような動きがあるか否かをみる反射は消失していなかった。しかし、主治医は患者の妻に「脳死に近い状態」と説明し臓器摘出目的で血圧を維持する昇圧剤を投与しました。反射が消失するのは、昇圧剤を投与した翌日のことです。高知赤十字病院のように、過度に血圧を上げなかったのか懸念します。
2000年4月杏林大病院が行った法的脳死判定7例目は、明らかに違法な脳死患者づくりだった判断されます。脳動脈瘤破裂によるクモ膜下出血の58歳女性は2000年4月25日 8時15分に法的に脳死と判定されたのですが、法律上脳死が確定する約22時間前から、移植用臓器のダメージを減らすために昇圧剤の変更や輸液の増量などを行っています。このことは担当医がICUとCCU集中治療医学(25巻3号、155−160)という雑誌で、法的脳死の確定以前から臓器提供目的の処置を行ったことを明確に書いています。
なぜ、脳死になる前から臓器提供目的の処置を行ってはいけないかというと、医学的には脳不全患者の救命に反し、法的には傷害致死になるからです。外傷や内出血、窒息などで脳にダメージを受けた患者は、脳の腫れがひどくならないようにして脳を蘇生させるために脱水気味で管理するなどします。しかし、脱水気味で管理していくと、尿量は減って腎臓は働かなくなる。昇圧剤を大量に使うと、心臓が疲れてしまい移植しても機能しない確率が高まる、血圧が低いと臓器全般の機能が低下して、移植に適さなくなるなどの事情があるため、脳を蘇生させるための治療と、臓器提供者として良好な状態に保つことは両立しないからです。
脳にダメージを受けた患者だからこそ脳を蘇生させる治療に専念しなければならないのに、適当に切り上げて脳蘇生に反することをされたら脳不全が悪化して、本当は重症でもないのに脳死判定基準を満たす状態にさせられることまで起こりえます。
医師が投薬や点滴、手術などを行いますが、それはあくまでも治療にやってきた患者さんのために行う限りにおいて許されていることです。もしも治療にやってきた患者さんのためではなくて、その患者さんを死なせてから臓器を切り取り、よその患者に移植するために行ったら傷害致死になります。そのような罪に問われないように、移植を待つ患者目的の処置は、法律上脳死が確定してからしなさいとなっているのに杏林大病院は脳死以前からしてしまった。
厚労省の検証会議報告書は7例目について、こう書いています。「2000年4月25日 8時15分法的に脳死と判定される。ドナー候補者はドナー管理に入る。この時間を持って死亡宣告」と。ところが担当医は「本来ドナー管理は、法的脳死が確定してから行われる管理を示す言葉ではあるが、実際の臨床の現場では、むしろ法的脳死が確定するまでの間の管理こそ、本当の意味でのドナー管理がなされるべきであることを実感した」とICUとCCU(p160)に書いているのです。この時の厚生労働省検証会議の医学的検証作業グループは、6名のうち2名が杏林大学の教授です。検証会議では自施設関係者は除くという当然の規定をしています。ところが、この規定も無視したというムチャクチャな「検証」です(参照:脳死になる前から始められたドナー管理)。
以上のように、患者家族や担当医が優生思想を強く持っていたり、病院として医療資源が乏しく重症患者に対する万全の治療が行えない、あるいは臓器提供に強い誘引、思惑が働くところでは、重症患者の長期生存は困難になります。厚生労働省検証会議も、脳不全患者への救命治療を尽くして人権を守るという臓器移植法の理念に一切かまわずに、臓器ドナーをいかに多く獲得するかを目的に、世をたぶらかす「検証モドキ」をしている。多くの有権者は「脳死になると、何日か後に心臓も止まる」と思い込んでいるのですが、脳不全患者の生存は非医学的要因にも左右される。このため、脳死判定基準を満たす重症患者が長期に生存できる可能性は、実際は現状より高いと見込まれます。
このような事情から、長期に生存するほど非医学的要因で早期死亡を余儀なくされる患者が増えると危惧されます。また、昔から「脳死になると1〜5日のうちに心臓もとまる、数日のうちに心臓もとまる」と言われてきたことから、心停止して死亡するまで7日間以上生存した15歳以下の子どもさんが、何人おられるかを1980年代以降の国内医学文献で調査しました。「7日間以上生存」以外に、「脳死判定基準の必須検査項目に反応があった」、「脳死判定の補助検査に反応があった」、「脳血流検査以外の方法で脳血流を認めた」以上のいずれかに該当した症例を「小児脳死判定後の脳死否定例」として調査したところ、今年1月までに約220例ありました。これは脳死判定例と臨床的脳死例の合計です。このうち脳血流再開または血流の存在を示したお子さんが9人おられました。1から9まで配布資料のとおりです。
- 徳島大学:高アンモニア血症の5歳男児、前額部と前胸部の体温差が変動、24日間生存(厚生省精神・神経疾患研究平成元年度研究報告書
発育期脳障害の発生予防と成因に関する研究、141―145)
- 〃 :ライ症候群の5歳女児:前額部と前胸部の体温差が変動、18日間生存(同上)
- 〃 :急性脳症の1歳女児、前額部と前胸部の体温差が変動、20日間生存(同上)
- 〃 :劇症肝炎の11ヵ月女児、前額部と前胸部の体温差が変動、8日間生存(同上)
- 〃 :痙攣重積の1歳女児、50病日のCTで頭囲が拡大、頭蓋骨縫合の離解がみられ脳内残余循環を示唆、135日間生存(厚生省精神・神経疾患研究62年度研究報告書 発育期脳障害の発生予防と成因に関する研究、57−61)
- 犬山中央病院:頭部外傷の1歳男児、33日後に脳内血流、134日間生存(小児の脳神経、19巻4号、317−322)
- 都立神経病院:溺水の1歳男児、15日目にCTの高吸収域拡大、109日間生存(日本小児科学会雑誌、90巻10号、2139−2149)
- 都立神経病院:無呼吸発作の1歳児、33日目にCTで高吸収域、死亡まで60日間(同上)
- 高知市民病院:乳幼児突然死症候群の2ヵ月男児、脳死診断の翌日に大脳皮質に脳血流、82日間生存(脳死・脳蘇生、16巻、50−56)
このように脳血流が再開するならば、脳死判定を覆すお子さんもいるわけで17人おられました。
- 公立高畠病院:脳死判定基準を満たした後に、自発呼吸、脳波、聴性脳幹反応あり、生存中(臨床的脳死例・
日本小児科学会雑誌99巻9号p1672−p1680、1995年)
脳死判定検査を、すべて同じ日に行っていないようなので臨床的脳死例と書いていますが、ちゃんと無呼吸テストまで行っているので脳死判定例としたほうがいいかもしれません。11歳男児は、
1993年10月20日 発症、テンカン発作で心停止。厚生省脳死判定基準(1985年)により脳死状態と考えられた。
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←これが日本小児科学会雑誌に掲載された脳波記録です。1994年1月12日には平坦だったが、音刺激をすると反応があった。そして3月10日に脳波が認められました。6月以降は音刺激による脳波も消失したそうです。聴性脳幹反応という音を聞かせて神経系の反応をみる検査では、それまで反応がなかったのに3月6日に右側に頭蓋内血流があることを示す波形が出現。5月19日には左側に波形が出現しています。8月22日
失調性呼吸が認められ数日持続。30分間無呼吸テストで規則的な自発呼吸が出現、9月22日 再び失調性呼吸となり消失と報告されています。
- 大阪府立病院:竹内基準満たしても視床下部ホルモン分泌、脳血流17日後も確認(脳死判定例・日本救急医学会雑誌4巻p655、1993年)
5歳11ヵ月男児は、第8病日に竹内基準を満たした。抗利尿ホルモンは第13病日まで分泌。第14病日に超音波検査で脳血流停止が観察されたが、第25病日に造影CTで脳血流が確認された。抗利尿ホルモンは、大部分は脳の視床下部で作られます。このホルモンが分泌されないと、尿が大量に出て血圧が下がって心停止にいたることがあります。
以下は読んでもらえばわかるところは説明を省略して、主要なところを説明します。
- 藤田学園保健衛生大:臨床的脳死の1ヵ月後に自発呼吸、178日間生存(臨床的脳死例・救急医学12巻9号S477−S478、1988年)
4歳男児は、脳波、 聴性脳幹反応は完全に消失するも1ヵ月後に一時的ながら自発呼吸を認めた。
- 関東圏の大学病院:快・不快の表情を示す、生存中(脳死判定例・日本看護学会誌25巻4号p13−p21、2005年)
2歳男児は「脳死の状態」と早い段階から一貫して説明されていた。入浴時に気持ちよさそうな顔をする。嫌なときは眉間をしかめて嫌そうな顔をしている。
- 兵庫県立西宮病院:聴性脳幹反応全波消失後も視床下部に血流、抗利尿ホルモン分泌、約20日間生存(臨床的脳死例・
日本救急医学会雑誌2巻4号p744、1991年)
1歳1ヵ月女児は、第2病日に瞳孔散大、脳幹反射はすべて消失、聴性脳幹反応はT〜X波が消失、脳波平坦化。第14病日に視床下部付近にわずかながら血流を認め、抗利尿ホルモンおよび副腎皮質刺激ホルモンが微量ながら分泌されていた。
- 近畿大学:脳死判定の10日後から自発呼吸、4年3ヵ月生存(脳死判定例・脳死・脳蘇生19巻1号p55、2006年)
5ヵ月男児は、第20病日と第24病日に脳死診断を行った。すべての反応は認めず聴性脳幹反応も認めなかった。第30病日頃から微弱な自発呼吸の出現を認めた。
この脳死判定は、無呼吸テストが変則的とか難癖をつけられ一旦発表された後に取り下げられていますが、たとえ臨床的脳死であっても、医師が脳死と診断した事実までも抹消することは不適切なため、ここに紹介します。
- 高知市民病院:脳死状態と診断したが生存中、脳血流あり(臨床的脳死例・脳死・脳蘇生16巻p50−p56、2004)
4ヵ月男児は、蘇生6日後の時点で、脳幹反射消失、脳波ECS、ABR波形認めず、脳死状態と診断した(無呼吸テスト施行せず)。蘇生6日後に施行したSPECT像では、大脳皮質の一部、基底核部、PCA(posterior
cerebral artery)領域に脳血流を認めた。蘇生90日後、植物状態で生存している。
- 広島大学:脳死と判定した後に脳血流、聴性脳幹反応が再開、脳死後22日間生存(脳死判定例
・日本救急医学会雑誌8巻6号p231−p236、1997年)
3ヵ月男児は、第5、6病日に脳死と診断。第9病日にSPECTにて若干の脳血流の存在を、経頭蓋骨的ドプラー法でほぼ正常な波形を認め、さらに第12病日には潜時の延長を認めるものの、第X波まで確認できる聴性脳幹反応が得られた。
- 大阪大学:40日後に自発呼吸出現、脳死後69日間生存(脳死判定例・
日本救急医学会雑誌2巻4号p744〜p745、1991年・Pediatrics96巻3号p518〜p520、1995年)
3ヵ月女児は、第3病日以降、脳死状態。第19〜22病日の頭部CT、脳血管造影では、脳の自己融解がみられず、脳循環はほぼ正常。第27〜33病日には、視床下部、下垂体機能の残存が確認。第43病日、自発呼吸が発現した。
- 北里大学:完全な誤診、異常なく9日後に退院(臨床的脳死例・
日本産科婦人科学会神奈川地方部会会誌41巻2号p167、2005年・神奈川医学会雑誌33巻1号p34、2006年)
胎児脳死と強く疑われた女児は、頭部CTや脳波検査をしたが、神経学的異常所見は認めず、経過良好で日齢9に退院した。
ほとんどの方はご存知ないと思いますが、胎児の脳死判定を行う産婦人科医もいます。ところが北里大では、胎児脳死判定の4例目で、完全に誤診したという報告です。
- 奈良県立医科大学(臨床的脳死例・小児の脳神経26巻4号p303、2001年)
生後4日目に脳室内出血をきたした男児は、以後人工呼吸管理、運動反応なし、深昏睡状態。2ヵ月半後の脳血流検査で大脳血流なく、3ヵ月後も同様の所見。臨床的脳死と判定したが、脳波検査で発症後
1.5ヵ月、2ヵ月後にも脳波を認めた。1歳8ヵ月時の脳波検査で脳活動残存。2年3ヵ月まで生存されました。
この奈良県立医科大学の男児のケースで、脳血流検査の精度の悪さがわかると思います。よく「脳血流の停止が確認されれば、それで他の検査は省略してもいい」と言う救急医がいます。しかし、この男の子の場合には生後2ヵ月半の時には血流がないとされた。しかし、長期に生存され1歳8ヵ月の時に脳波が測定されたのです。
- 兵庫医科大学:抗利尿ホルモンを中止したが心停止せず、身長が伸びる、脳の一部融解あり、脳死後312日間生存(脳死判定例
・日本救急医学会雑誌11巻7号p338−p344、2000年)
生後11ヵ月の男児は、身長74cmでした。第15病日に成人用脳死判定で無呼吸テストも行い脳死状態となり、第219病日に「小児における脳死判定基準に関する研究班」の基準案を満たした。第245病日に抗利尿ホルモンは中止したが心停止せず、第253病日に身長82pまで増加した。経過中に脳の一部融解漏出あり、脳死後312日間生存されました。
皆さん、身長が伸びるということは何を示しているか、お分かりでしょうか。私は
1歳の時に発症され、人工呼吸で脳波は平坦、無呼吸テストは行っていないものの、その他の項目は脳死判定基準を満たしているお子さんが5歳の時に会いました。今は7歳になっておられます。この方も身長が伸び、年齢相応に顔つきが変わってきています。皆さん、身長が伸びて、顔つきも次第に大人びてゆく、これは死体に起こることでしょうか。身長が伸びることは、外から栄養を摂取して代謝しているから可能なことですね。ご家族は、誕生日も七五三のお祝いもされています。これは生理的にも社会的にも生きているからこそ、できることではないでしょうか。
私が行った時に、お母さんが「守田さんがきたから、ご挨拶して!」と言って、足の裏をくすぐると、足を引く。私が手を握ると、暖かい小さな手で、時々人差し指がピクッと動いて私の指を握ってくれました。最後にお母さんはお子さんに「ありがとうね。起してごめんね」と声をかけておられました。皆さんのご家庭でも、お客さんが来た時に子どもに用事を頼むことがあるでしょう。そして用事が済んだら、子どもに「ありがとう」というでしょう。
皆さんのご家庭と同じように、ここにも日常的に親がわが子に愛情を持って話かける言葉がある。お子さんから返ってくる言葉はなく、体の動きは反射かもしれないのですが、私は確かに生きている人であるし、社会のなかで尊重され守られるべき家族関係があると確信しました。
脳死に関する議論で、最悪の用語と思うのが「有機的統合性」です。「脳は、人体の有機的統合性の唯一の中枢である。脳死になると有機的統合性が崩壊するので、脳死は人の死である」などという。しかし、有機的統合性などという抽象的な言葉を理解できる人が100万人に1人もいるのでしょうか。そんな言葉を使う以前に、現実を見れば済むではないか。外から栄養を摂取して代謝しているから身長が伸びる。年齢相応に大人びてゆく。家族も家族として接している。生理的に崩壊していない、社会関係の基本である家族のなかで一体となって生きている。どこに有機的統合性の崩壊があるのでしょうか。
- 〜16.小児脳死の実態と診断についての全国医師アンケート結果(日本小児科学会雑誌108巻11号p1434-p1437)
このアンケートでも、身長が伸びた4例が報告されています。身長が伸びる仕組みには、すべてではないようですが成長ホルモンが大きな役割を果たしています。成長ホルモンは、脳の中の視床下部で作られています。身長が伸びている「脳死」小児の報告に成長ホルモンの測定結果は伴っていませんが、身長が伸びることは長期生存の結果であり、栄養を摂取して代謝しており有機的統合性は崩壊していないので、それだけでも脳死判定を否定することになる。加えて、成長ホルモンの分泌が確認される症例があるならば、その方は視床下部が働いていることになります。
- 奈良県立奈良病院:脳死判定後13日後に脳波と痛み刺激に反応、17日後に脳幹部血流再開、脳死後43日間生存(脳死判定例・
日本新生児学会雑誌35巻2号p290、1999年)
重症新生児仮死の女児は、小児脳死判定基準(暫定基準案)に基づき脳死判定し日齢7に脳死と判定されたが、脳死判定
の13日後に脳波と痛み刺激に反応、17日後に脳幹部の血流が再開した。脳死後43日間生存されました。もしも、この女の子が臓器ドナーとされたら、どのようなことが起こるか考えてみてください。
←左記の絵で説明します。生後7日目に脳死と判定された直後に臓器を摘出するならば、その時はメスを使っても筋肉が反射的に動くだけで、筋弛緩剤を投与するだけで済むかもしれない。しかし脳死判定から13日後に臓器摘出をしたらどうなるでしょうか。もはや痛み刺激に反応しているわけですから、麻酔をかけないと到底、臓器摘出は終えられないでしょう。
脳死患者からの臓器摘出時に血圧が急上昇するため、ガス麻酔をかけていることについて、移植医は「それは脊髄反射です。脳死と判定されたら、大脳や脳幹の機能が失われた状態が確認されたということです。しかし、大脳・脳幹より下の脊髄が機能していても脳死を否定することにはならない。脊髄反射があっても、臓器提供者が痛みを感じる心配はありません」といいます。しかし脊髄反射ならば、すべての脳死臓器摘出で麻酔をかける必要があるのではないでしょうか。
ところが実際には法的脳死判定3例目の古川市立病院や15例目の聖路加国際病院では筋弛緩剤だけで済み、ガス麻酔はかけていません。また、これまで見てきたように脳死判定後に脳機能が再開したお子さんが無視できないほどおられます。となると断定はできませんが、臓器ドナーは耐え難い激痛を、なかには生きたまま解剖される恐怖と絶望まで感じつつ殺された方がいるのであろうと推定します。北米からは、そのような凄惨な臓器摘出が報告されています(参照:臓器摘出時に脳死ではないことがわかったケース)。
これまで見てきたとおり、脳死判定基準を満たした状態が心臓死に直結しないだけでなくて、まったく脳死判定を覆すまでに自然に回復する患者が多数おられるのが現実です。つまり、脳死判定基準が捉えていることは、「心停止して全身が腐敗するのが避けられない状態」ではなく「脳活動の永久的停止」でもない。脳死判定が捉えていることは「人工呼吸器その他の医療に依存した生存であり、周囲の者と意思疎通ができるまでは回復できない見込み」に過ぎないでしょう。年齢が低いほど最近になるほど、脳死判定基準を満たしても、それは死の予告ではなく、医療に依存した生と意識障害・コミュニケーション障害に変質してきたと言えます
。
こうした情報を総合して、前出の日本移植学会の図に赤線で書き込むと(下図)、脳死判定は必ず心停止する脳不全患者を判定しているのではなくて、回復しうる患者まで区別できずに判定していること
が判ります。
昨年、脳死判定基準を作った竹内 一夫氏が周産期医学という雑誌の2006年7月号(p837-p841)で「脳死妊産婦管理の問題点」について書いていますが、そのなかにこの表現があります。
「最近の高度集中治療の進歩によって、以前より長く脳死状態を維持することも時には可能になった。もともと種々の合併症に悩まされる脳死判定から心停止までの期間の長短は、すでに廃絶した脳の機能の問題ではなく、全身的要因に左右されることになる。したがって成人に比べて基礎疾患の少ない小児では、脳死の期間が有意に長いことが知られている。(中略)脳死状態でも循環、呼吸、内分泌機能が良好な状態に保たれていれば、心停止は何とか避けることができる。そして多くの臓器はそれぞれ独自のペースメーカーを持っているので、栄養と酸素が補給されている限り機能し続けることができる。」
昔から、良心的な医師は「脳死判定基準を満たしただけでは死なない」と言ってきましたが、もはや脳死判定基準を作製した「権威」でさえ「心停止は何とか避けることができる」という時代です。ここで竹内氏が「内分泌機能が良好な状態に保たれていれば」と書いている部分にも注意してください。生命維持にかかわる重要な内分泌機能は、視床下部が担っています。
脳死判定基準を満たした患者で、外からホルモン(代表的には抗利尿ホルモン)を補充しなくとも内分泌機能が良好な状態に保たれているのならば、その方は脳の中の視床下部が良好に機能していることになる。これは脳死判定が、脳機能のごく一部分しか見ていないことを示します
(近年は成人でも、投薬なしで長期に在宅療養している臨床的脳死の方が報告されています)。
一方、外から人為的にホルモンを投与されることで生存されている方もおられます。これは重症な脳不全患者に対しても、現代の医療は相当な生命維持手段を持っていることを示します。
「脳死になると、薬や機械を使っても何日か後に心臓も止まる。植物状態と違う」という有権者の共通認識は、もはや崩壊したというしかありません。このような実態に知らぬ振りをしたまま臓器移植法を存続させるならば、医療や介護に依存して生活している人々、周囲の者と明確な意思疎通ができない人は切り捨てていく、という選択をしていることになると考えます。
付記1:脳死判定に主観的裁量が介入する。「治療義務の終了」と「生命維持の終了」と「死の宣告」は個別に検討すべき。
唄 孝一(東京都立大学法学部長):死の認定と法律学、第18回日本医学会総会会誌、p845−p849、1971年
「脳死を判定するということは、その脳の機能が、イリバージブル(不可逆的に)機能を喪失しているということを判断するわけでありますが、その方面の学問の現状では、その判断は診断する人、あるいはその施設、あるいはその他の条件・環境により左右される可能性があるものではないでしょうか。つまりそれは一種の予後的判断として少なくとも従来の三徴候説よりも、主観的裁量が多く介入するように思われるのであります。・・・(中略)・・・イリバージブルコーマをもって死と認め(そのこと自体大きい問題を供するものですが)、その時点で明確に死を宣告し、その以後の摘出に道を開こうというもので、(医師の治療)義務の打ち切り時点と、死の概念の変更と二重の論理構成を操作しようとするところに、多くの問題をふくんでいると思うのであります」
- 不可逆的な脳機能を喪失したのか否か、曖昧な脳死判定になる原理(一部)
=@麻酔剤影響下で脳死判定A頭皮上から測定する脳波B刺激→反応を見る無呼吸テスト・神経学的検査の限界
→竹内一夫は、1997年4月8日の衆議院厚生委員会で参考人として「脳死の判定基準の最初に『前提条件』あるいは『除外例』というものが厳重に設定されております」と述べたが、実際には麻酔が投与された患者が脳死判定から除外されていない。脳組織内の薬物濃度を測定する科学的手段が無い。国会論議の見直しが必要になる重大な問題。
- 国によって異なる脳死判定基準
=カナダ基準で脳死、アメリカ合衆国に臓器提供しようと米国基準で判定したら自発呼吸、臓器提供の同意は撤回(The
NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE、318巻13号、852−853)
→死亡宣告基準が国ごとに、施設ごとに異なっていいか? 死んだ人が生き返ることは許容できるか?
- 時代毎に変わる脳死判定基準
=30秒間の無呼吸テストで脳死と判定、臓器摘出時に自発呼吸があり摘出中止。患者は2ヵ月後に死亡(マーガレット・ロック著「脳死と臓器移植の医療人類学」、196−197)
→現代の無呼吸テストでも基準以上で自発呼吸例あり。後年になって信頼を落とす死亡宣告基準を許容できるか?
付記2:臓器移植の医学的評価がなされていないから、「ドナー不足」扇動が野放し
- 過去2万例の腎臓移植医療を評価することもなく、多臓器摘出・移植を拡大しようとする問題
→生死不明の腎臓移植患者が35%、移植患者の本当の生存率は不明、レシピエントのQOLが向上したか否かも不明、生体腎ドナーの予後も不明。長時間透析療法のほうが、死亡リスク少なく、生存率が高い。腎臓移植は先天性腎不全患者以外は不要。腎臓移植は、患者のための医療ではなく、移植医の業績づくりのために行われてきたのではないか。
→60年代の透析機不足、現代は透析療法が進歩し設備も普及したが医療費節減で透析QOL減退、移植へ追いやる。補助人工心臓で心不全患者の2割は離脱し移植不要。透析療法の負の歴史を、心臓移植に40年遅れで追わせ
てはいけない!
- 臓器移植法が改悪されても小児心肺移植は3〜6年に1例の見込み、これに対し心肺レシピエントは130人。
全年齢の肝臓移植適応患者は年間3万人、これに対して脳死判定は4000〜7000人、ドナー適格1000〜2000人。
→臓器移植医療の医学的成果その一方のリスク、得失も確認しないまま、「ドナー不足!」の扇動に載せられて臓器移植法の制定・改悪を行うことは、「臓器提供のために、年間数万人に死を与える社会」に変質させことと同じではないか。
付記3:心臓死、三徴候死後の臓器提供も実体がない、非倫理的
- 1967年、死亡宣告後に心臓マッサージをされ麻酔器をつけて手術室に運ばれ、臓器摘出された8歳児(千葉大)。
→麻酔が効く、麻酔が必要な状態が三徴候死か。臓器獲得のため医学的に生体として扱うが、法的に死亡宣告した。死亡宣告直後に、行っていいことと、しては行けないことが整理されていない。
- 「心臓が停止した死後の臓器・組織提供(心停止後提供)」と称する虚構
→移植可能な臓器獲得のためには抗血液凝固剤ヘパリンを投与しないと、臓器に血栓が生じて移植患者を即死させたり移植後に臓器が機能しない可能性が大きい。抗血液凝固剤は、血流がないと各臓器までいきわたらない。血流があるならば、三徴候死をしているとはいえない。心臓死後に心臓マッサージを行う場合も、上記千葉大のように生体と同じ状態になるのであるから、「死後」とはいえず、生体からの臓器摘出となる。
- すでに脳死を前提とした小児からの腎臓摘出は約200例行われた。凍死させたり、動脈を閉塞してショック死させてからの臓器摘出
も行なわれてきた。日本臓器移植ネットワークは、臓器摘出にあたり不可欠な術前処置=抗血液凝固剤ヘパリンの投与は、外傷患者や脳出血患者に行うと致死的可能性があることについて、ドナー候補者家族に説明していない(血栓の予防目的だけ説明している)。
→過去の臓器・組織提供のほぼすべてが、無効な家族承諾のもとに行われたのではないか。
以上
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