心臓死から2時間で心臓を摘出 札幌医科大学
2001年3月29日、札幌医科大学はドナーカードを所持していない63歳男性の心臓死死体から、死亡より2時間で心臓を摘出、組織移植用に心臓弁と血管組織を摘出した。
この男性は同日午前7時50分、歩行中に突然転倒、7時55分、救急隊が到着し電気的除細動を施行したが心拍再開を得なかった。札幌医科大学救急集中治療部に搬入後も電気的除細動に反応せず、心電図上心室細動の電位が低下、神経学的回復徴候が認められず、全身のアシドーシスも進行したため蘇生処置を断念、午前10時30分死亡となった。
担当医より家族に遺体の組織提供が可能である旨の説明がなされ、家族より心臓弁および胸部大動脈の提供の申し出があった。午後0時手術室に入室、同院第二外科組織凍結保存チームにより摘出。大動脈弁に石灰化が認められ臨床使用不適と判断し、上行大動脈を切離保存した。
同院第二外科は大学倫理委員会の承認を得て、2000年より心臓弁摘出を開始、2001年3月より死亡退院となった患者家族に組織提供の意思確認を開始した。2001年3月〜2003年1月までに
、ドナーカードを所持していた2例とドナーカードを所持していない3例から組織の提供を得た。
上記63歳男性ドナー以外の死亡から摘出までの時間は、クモ膜下出血の37歳女性が2時間30分、縊首の61歳男性が3時間20分、頭部外傷の35歳男性が3時間、虚血性心疾患の53歳男性が4時間。
出典
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栗本 義彦(札幌医科大学救急集中治療部):医療サイドからのアプローチによりドナーカードを所持していない心臓死の死体から心臓弁および血管組織提供を得た1例、日本救急医学会雑誌、13(7)、389−391、2000
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栗本 義彦(札幌医科大学救急集中治療部):同種凍結心臓弁及び動脈移植の試み、北海道外科雑誌、48(1)、57-61、2003
当Web注:心臓弁の摘出では、心臓全体を摘出した後に弁のトリミングが行われる。
第14例目「脳死」下での臓器提供 日本臓器移植ネットワークの発表資料
平成13年3月19日
社団法人 日本臓器移植ネットワーク
[第14例目の脳死下での臓器提供事例について]
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ドナーの方は近畿地方の医療機関に入院中の20歳代の男性の方。
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ドナーの方の原疾患は急性硬膜下血種・脳挫傷である。
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ドナーの方は臓器提供意思表示カードに脳死下での臓器提供の意思を表示。
提供臓器として心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓、小腸、眼球に○があった,
ご本人の署名あり。記載記事は、平成12年3月。
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日本臓器移植ネットワーク近畿プロックセンタ―に提供施設より連絡があったのは、3月16日14時38分である。
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日本臓器移植ネットワークのコーディネーターが説明を行った上で、
3月18日15時23分にご家族から脳死判定承諾書及び臓器摘出承諾書を受領。
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ご家族からは、心臓,肺、膵臓、腎臓、膵臓、眼球の提供についてご承諾を得た。
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3月18日16時21分、第―回法的脳死判定を開始。
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3月18日20時06分、第―回法的脳死判定を終了。その結果、判定基準を全て満たしていると判定された。
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3月19日02時07分より第二回法的脳死判定を開始。
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3月19日04時47分に第二回法的脳死判定を終了し、法的に脳死と判定された。
※ ご家族および当該医療機関の強い要望により下記の事項について厳守いただきたい。
報道に当たっては、プライパシーの保護に十分ご配慮いただきたい。
摘出された臓器を収納する容器を撮影することは、控えていただきたい。
※
ご家族の強い要望により下記の事項について厳守いただきたい。
ご家族の強い要望により、患者家族に対する取材等は―切行わないでください。
ご家族の強い要望により、病院に対する取材等は―切行わないでください。
ご家族の強い要望により,報道のために他の患者さんの診療や提供病院にご迷惑をおかけしたり、今後も提供しようと思っておられる方が提供しにくくなるので、報道を最小限にしていただきたい。
コーディネ―ション業務に支障をきたす恐れがあるため、(社)日本臓器移植ネットワークのオフィス内(4階、6階及び7階スペース)への報道関係者の入室及び個別の取材はご遠慮願いたい。
[臓器の摘出手術について]
○臓器の摘出手術について 16:08
手術開始
[臓器の搬送予定について]
○ 心臓の搬送経路予定について
・病院 → 緊急車両・パトカー先導 (国立循環器病センター・奈良県警・大阪府警) → 国立循環器病センター
○肺の搬途経路予定について
・病院 → タクシー・パトカー先導 (奈良県警・大阪府警) → 大阪大学医学部付属病院
○肝臓の搬送経路予定について
・病院 → 夕クシー → 電車 → 緊急車両(京都大学) → 京都大学医学部付属病院
○腎臓の搬送経路予定について
・病院 → タクシー → 電車 → 夕クシー → 神戸大学医学部付属病院
・病院 → 夕クシ― → 電華 → タタシー → 大阪医科大学付属病院
[レシピエントの選択及び移植実施施設等について]
○心臓移植実施施設及びレシピエントについて
心臓移植の第一候補者は国立循環器病センターで移植希望の30歳代の男性で、原疾患名は拡張型心筋症である。
○ 肺移植実施施等及びレシピエントについて
肺移植の第一候補者は大阪大学で移植希望の30代の男性で、原疾患名は原発性肺高血圧症である。
○肝臓移植実施施設及びレシピエントについて
・肝臓移植の第―候補者は京都大学で移植希望の10歳代の女性で、原疾患名は二次性胆汁性肝硬変である。
○腎臓移植実施施設及びレシピエントについて
腎臓移植の第一候補者は神戸大学で移植希望の20歳代の女性で、原疾患名は慢性腎不全である。
腎臓移植の第二候補者は大阪医科大学で移植希望の30歳代の男性で、原疾患名は慢性糸球体腎炎である。
[提供臓器について]
○膵・腎同時移植について
リンバ球直接交差試験の結果、陽性のため断念。
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