戻る ] 上へ ] 進む ]

2002年12月31日 法的脳死判定24例目からの臓器移植手術は、心臓と腎臓のみ
年末の非医学的事情も影響?自粛の東京女子医大が心臓移植
2002年12月30日 法的手続き下では「脳死」判定24例目、臓器摘出23例目
2002年12月 5日 法的脳死移植レシピエントの死亡9例目(10例目?)

20021231

法的脳死判定24例目からの臓器移植手術は、心臓と腎臓のみ
年末の非医学的事情も影響?自粛の東京女子医大が心臓移植

 法的脳死判定24例目ドナーからの臓器移植手術は、心臓は東京女子医大病院で30代男性に、腎臓は岐阜大病院で50代女性と50代男性に移植された。東京女子医大病院は心臓手術で女児を死亡させた事件で、8月から心臓移植手術を自粛していたが、今回の患者は自粛前に登録され事件後も同病院での移植を希望していたという。

 他の臓器も当初、肝臓は北海道大病院で50代女性(原発性胆汁性肝硬変)に、膵臓・腎臓も北海道大病院で40代男性(糖尿病性腎症)に、腎臓は岐阜大学病院で50代女性(慢性糸球体腎炎)に、移植される方向でコーディネート作業が始まった。

 そして30日中に膵臓・腎臓が北海道大病院で30代男性(糖尿病性腎症)に、膵臓・腎臓は九州大病院で30代男性(糖尿病性腎症)に、腎臓は岐阜大学病院で50代女性(慢性糸球体腎炎)に、それぞれ移植することが決定したと発表された。

 しかし、翌31日には、再度レシピエントの変更が発表され、九州大病院における膵腎同時移植は見送られた。結局、今回は肺、肝臓、すい臓、小腸は移植が行なわれなかった。

 以下は日本臓器移植ネットワークの発表資料

 

平成14年12月31日
社団法人 日本臓器移植ネットワーク

 

[レシピエントの選択及び移植実施施設等の決定について]

  • 心臓移植実施施設及びレシピエントについて
     
    • 心臓移植は東京女子医科大学病院で移植希望の30歳代の男性で、原疾患名は薬剤性心筋症の方に決定。
       
       
  • 腎臓移植実施施設及びレシビエントについて
      
    • 腎臓移植は岐阜大学医学部附属病院で移植希望の50歳代の女性で、原疾患名は慢性糸球体腎炎の方に決定。
       
    • 腎臓移植は岐阜大学医学部附属病院で移植希望の50歳代の男性で、原疾患名は慢性糸球体腎炎の方に決定。
       

[提供臓器について]

  • 膵臓・腎臓移植について
     
    医学的理由により膵臓移植を断念。

 


20021230

法的手続き下では「脳死」判定24例目、臓器摘出23例目

 岐阜市民病院で30代男性患者が30日午前10時10分、法的手続きをした症例としては24例目の法的脳死と判定された。30日中に臓器摘出手術が行われる予定で臓器摘出は23例目になる。

 以下は日本臓器移植ネットワークの発表資料

 

平成14年12月30日
社団法人 日本臓器移植ネットワーク

[第24例目の脳死下での臓器提供事例について]

 

  • ドナーの方は岐阜市民病院に入院中の30歳代の男性の方。
     
  • ドナーの方は、臓器提供意思表示カードに脳死下での臓器提供の意思を表示。提供臓器として心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓、小腸、その他に○があった(「その他」の項目は、記載されていない)
    ご本人の署名がある。記載時期は、平成12年4月。
     
  • ドナーの方の原疾患は頭部外傷である。
     
  • 日本臓器移植ネットワーク中日本支部に提供施設より連絡があったのは、12月29日 19時47分である。
     
  • 日本臓器移植ネットワークのコーディネーターが説明を行った上で、12月29日 20時40分にご家族から脳死判定承諾書及び臓器摘出承諾書を受領。
     
  • ご家族からは、心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓の提供についてご承諾を得た。
     
  • 12月29日 21時35分、第一回法的脳死判定を開始。
     
  • 12月30日 01時05分、第一回法的脳死判定を終了。その結果、判定基準を全て満たしていると判定された。
     
  • 12月30日 07時05分より第二回法的脳死判定を開始。
     
  • 12月30日 10時10分に第二回法的脳死判定を終了し、法的に脳死と判定された。
     
  • 提供病院では、臓器提供に係る全ての摘出術が終わった時点で記者会見を予定しているので、それまでの取材・問い合わせはご遠慮願いたい。
     

※下記の事項について厳守いただきたい。

  • 報道に当たっては、プライバシーの保護に十分ご配慮いただきたい。
  • ご家族の強い希望により、移植に関する医師の病院への出入りおよび臓器搬送について、取材撮影することは控えていただきたい。

 

[レシピエントの選択及び移植実施施設等について]

  • 心臓移植実施施設及びレシピエントについて
     
    • 心臓移植の第一候補者は東京女子医科大学病院で移植希望の30歳代の男性で、原疾患名は薬剤性心筋症である。
       
       
  • 肝臓移植実施施設及びレシピエントについて
      
    • 肝臓移植の第一候補者は北海道大学医学部附属病院で移植希望の50歳代の女性で、原疾患名は原発性胆汁性肝硬変である。
       
       
  • 膵臓・腎臓移植実施施設及びレシピエントについて
     
    • 膵臓・腎臓移植の第一候補者は北海道大学医学部附属病院で移植希望の40歳代の男性で、原疾患名は糖尿病性腎症である。
       
       
  • 腎臓移植実施施設及びレシビエントについて
      
    • 腎臓移植の第一候補者は岐阜大学医学部附属病院で移植希望の50歳代の女性で、原疾患名は慢性糸球体腎炎である。
       
☆最終的には各摘出チームの評価の結果を待って決定。

 

[提供臓器について]

  • 肺移植について
     
    医学的理由により肺移植を断念。

 

[臓器の摘出時刻について]

  • 臓器の摘出時刻について
  • 12月30日 21:01 摘出手術開始

 

[レシピエントの選択及び移植実施施設等の決定について]

  • 心臓移植実施施設及びレシピエントについて
     
    • 心臓移植は東京女子医科大学病院で移植希望の30歳代の男性で、原疾患名は薬剤性心筋症の方に決定。
       
       
  • 膵臓・腎臓移植実施施設及びレシピエントについて
     
    • 膵臓・腎臓移植は九州大学医学部附属病院で移植希望の30歳代の男性で、原疾患名は糖尿病性腎症の方に決定。
       
       
  • 腎臓移植実施施設及びレシビエントについて
      
    • 腎臓移植は岐阜大学医学部附属病院で移植希望の50歳代の女性で、原疾患名は慢性糸球体腎炎の方に決定。
       
       

[提供臓器について]

  • 肝臓移植について
     
    医学的理由により肝臓移植を断念。
     

[臓器の搬送子定について]

  • 心臓の搬送予定経路について
     病院 → (タクシー・パトカー先導) → 名古屋空港 → (チャーター機) → 羽田空港 → (緊急車両) → 東京女子医科大学病院
 
  • 膵臓・腎臓の搬送予定経路について
     病院 → (タクシー) → 名古屋空港 → 定期航空便 → 福岡空港 → (タクシー) → 九州大学医学部附属病院
     
  • 腎臓の搬送予定経路について
     病院 → (タクシー) → 岐阜大学医学部附属病院
     

以上

 

☆このFAXで、今回の臓器提供に関する連絡は終了致します。

 


20021205

法的脳死移植レシピエントの死亡9例目(10例目?)

 「脳死」判定22例目、臓器摘出21例目ドナーから両肺の移植を岡山大病院(岡山市)で受けた原発性肺高血圧症の20代女性患者が5日、移植肺の機能不全のため死亡した。臓器移植法施行後に、法的手続きをした「脳死」移植例で死亡は9例目。

 この患者は手術後に元の肺の剥離面からの出血が止まらず、3回の止血手術を受けた。2度目の手術後に、出血は止まり意識もわずかに回復したが、肺に水がたまる重い肺水腫も発症し、心肺機能を補助する部分体外循環装置を装着したまま治療を続けていた。11月下旬から移植された肺が硬くなってほとんど機能しなくなり、脳浮腫も合併して意識不明となり、12月2日には「脳死」状態に陥っていたという。結局、集中治療室を出ることはなかった。

法的「脳死」移植レシピエントの死亡年月日、レシピエントの年齢(主に移植時)←提供者(年月)、臓器(移植施設名)は以下のとおり。 

  1. 2000年11月20日 47歳女性←bP0ドナー(20001105)  肝臓(京都大)
  2. 2001年 5月25日 10代女性←bP4ドナー(20010319)  肝臓(京都大)
  3. 2001年 9月11日  7歳女児←bP2ドナー(20010121)  小腸(京都大)
  4. 2001年12月11日 20代女性←bP8ドナー(20011103)  肝臓(北大)
  5. 2002年 2月 3日 43歳男性←bP1ドナー(20010108)  右肺(東北大)
  6. 2002年 3月20日 46歳女性←bP6ドナー(20010726)  右肺(大阪大)
  7. 2002年 6月10日 38歳女性←a@5ドナー(20000329)  右肺(東北大)
  8. 2002年 9月10日 20代男性←bQ1ドナー(20020830)  肝臓(京都大)
  9. 2002年12月 5日 20代女性←bQ2ドナー(20021110)  両肺(岡山大)

 上記の死亡例に加えて日本臓器移植ネットワークは、11月13日までの「脳死」下臓器提供を記載したData File・「脳死での臓器提供」ページで、2000年3月29日に法的脳死判定5例目ドナーからの右腎臓移植手術を千葉大で受けた50代男性も死亡と記載している。

 


このページの上へ

2015-03 ] 2014-12 ] 2014-10 ] 2014-9 ] 2014-8 ] 2014-7 ] 2014-6 ] 2014-5 ] 2014-4 ] 2014-3 ] 2014-2 ] 2013-12 ] 2013-11 ] 2013-10 ] 2013-9 ] 2013-8 ] 2013-7 ] 2013-6 ] 2013-5 ] 2013-4 ] 2013-3 ] 2013-2 ] 2013-1 ] 2012-12 ] 2012-11 ] 2012-10 ] 2012-9 ] 2012-6 ] 2012-5 ] 2012-3 ] 2012-2 ] 2012-1 ] 2011-12 ] 2011-11 ] 2011-10 ] 2011-9 ] 2011-8 ] 2011-7 ] 2011-6 ] 2011-5 ] 2011-3 ] 2011-2 ] 2011-1 ] 2010-12 ] 2010-11 ] 2010-10 ] 2010-9 ] 2010-8 ] 2010-7 ] 2010-6 ] 2010-5 ] 2010-4 ] 2010-3 ] 2010-2 ] 2010-1 ] 2009-12 ] 2009-11 ] 2009-10 ] 2009-9 ] 2009-7 ] 2009-4 ] 2009-2 ] 2009-1 ] 2008-12 ] 2008-11 ] 2008-10 ] 2008-9 ] 2008-8 ] 2008-7 ] 2008-6 ] 2008-5 ] 2008-4 ] 2008-3 ] 2008-2 ] 2008-1 ] 2007-12 ] 2007-11 ] 2007-10 ] 2007-9 ] 2007-8 ] 2007-7 ] 2007-6 ] 2007-5 ] 2007-4 ] 2007-3 ] 2007-2 ] 2007-1 ] 2006-12 ] 2006-11 ] 2006-10 ] 2006-9 ] 2006-7 ] 2006-6 ] 2006-5 ] 2006-4 ] 2006-3 ] 2006-2 ] 2006-1 ] 2005-12 ] 2005-11 ] 2005-10 ] 2005-9 ] 2005-8 ] 2005-7 ] 2005-6 ] 2005-5 ] 2005-4 ] 2005-3 ] 2005-2 ] 2005-1 ] 2004-12 ] 2004-11 ] 2004-10 ] 2004-9 ] 2004-8 ] 2004-7 ] 2004-6 ] 2004-5 ] 2004-4 ] 2004-3 ] 2004-2 ] 2004-1 ] 2003-12 ] 2003-11 ] 2003-10 ] 2003-9 ] 2003-7 ] 2003-6 ] 2003-5 ] 2003-4 ] 2003-3 ] 2003-2 ] 2003-1 ] [ 2002-12 ] 2002-11 ] 2002-10 ] 2002-9 ] 2002-8 ] 2002-7 ] 2002-6 ] 2002-5 ] 2002-4 ] 2002-3 ] 2002-2 ] 2002-1 ] 2001-12 ] 2001-11 ] 2001-10 ] 2001-9 ] 2001-8 ] 2001-7 ] 2001-5 ] 2001-3 ] 2001-2 ] 2001-1 ] 2000-12 ] 2000-11 ] 2000-10 ] 2000-9 ] 2000-6 ] 2000-4 ] 1999 ] 1998 ] 1997 ] 1996 ] 1994 ] 1993 ] 1992 ] 1991 ] 1990 ] 1989 ] 1988 ] 1986 ] 1985 ] 1984 ] 1983 ] 1982 ] 1981 ] 1969 ] 1968 ] 1967 ] 1966 ] 1964 ]

ホーム ] 総目次 ] 脳死判定廃止論 ] 臓器摘出時に脳死ではないことが判ったケース ] 臓器摘出時の麻酔管理例 ] 人工呼吸の停止後に脳死ではないことが判ったケース ] 小児脳死判定後の脳死否定例 ] 脊髄反射?それとも脳死ではない? ] 脊髄反射でも問題は解決しない ] 視床下部機能例を脳死とする危険 ] 間脳を検査しない脳死判定、ヒトの死は理論的に誤り ] 脳死判定5日後に鼻腔脳波 ] 頭皮上脳波は判定に役立たない ] 「脳死」例の剖検所見 ] 脳死判定をしてはいけない患者 ] 炭酸ガス刺激だけの無呼吸テスト ] 脳死作成法としての無呼吸テスト ] 補助検査のウソ、ホント ] 自殺企図ドナー ] 生命維持装置停止時の断末魔、死ななかった患者たち ] 脳死になる前から始められたドナー管理 ] 脳死前提の人体実験 ] 脳波がある脳幹死、重症脳幹障害患者 ] 脳波がある無脳児ドナー ] 遷延性脳死・社会的脳死 ] 死者の出産!死人が生まれる? ] 医師・医療スタッフの脳死・移植に対する態度 ] 有権者の脳死認識、臓器移植法の基盤が崩壊した ] 「脳死概念の崩壊」に替わる、「社会の規律として強要される与死(よし)」の登場 ] 「脳死」小児からの臓器摘出例 ] 「心停止後」と偽った「脳死」臓器摘出(成人例) ] 「心停止後臓器提供」の終焉 ] 臓器移植を推進する医学的根拠は少ない ] 組織摘出も法的規制が必要 ] レシピエント指定移植 ] 非血縁生体間移植 倫理無き「倫理指針」改定 ] 医療経済と脳死・臓器移植 ] 遷延性意識障害からの回復例(2010年代) ] 意識不明とされていた時期に意識があったケース ] 安楽死or尊厳死or医療放棄死 ] 終末期医療費 ] 救急医療における終末期医療のあり方に関するガイドライン(案)への意見 ] 死体・臨死患者の各種利用 ] News ] 「季刊 福祉労働」 127号参考文献 ] 「世界」・2004年12月号参考文献 ]