法的「脳死」臓器移植患者の死亡は累計82名
心臓、肺、肝臓、小腸移植患者各1名が死亡
日本臓器移植ネットワークは、3月26日に更新した移植に関するデータページhttp://www.jotnw.or.jp/datafile/offer_brain.htmlにおいて、法的
「脳死」臓器提供にもとづき心臓移植、肺移植、肝臓移植、小腸移植を受けた患者の死亡が、それぞれ1名増加し、法的「脳死」臓器移植患者の死亡は、心臓5名、肺27名、肝臓29名、膵腎同時6名、腎臓12名、小腸3名の累計82名に達したことを表示した。
2011年12月10日付で発行された日本移植学会雑誌「移植」46巻4号に
は、心臓移植を受けた患者の死亡は累計5名であることが掲載されている。日本臓器移植ネットワークは数ヶ月間にわたって、臓器移植
の成績について実際以上に良好に見せかける情報をホームページに掲載していたことになる。
3月29日、厚生労働省のホームページ内http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r985200000266vc.htmlで「脳死下での臓器提供事例に係る検証会議 102例の検証のまとめ」が公表されたが、このなかにも2011年末で心臓移植後の死亡患者数は4名など、古い情報を記載している。
これまでの臓器別の法的「脳死」移植レシピエントの死亡情報は、臓器移植死ページに掲載。
藤田保健衛生大学病院 膵腎同時移植患者が遷延性意識障害
2012年3月17日、18日に宇都宮市の栃木県総合文化センターにおいて、第21回日本有病者歯科医療学会総会・学術大会が開催され、藤田保健衛生大学医学部口腔外科の小林 義和氏らは、脳死下膵臓移植レシピエントに対する口腔衛生管理の実態を発表した。
この発表の詳細が「日本有病者歯科医療学会雑誌」23巻1号p7〜p14に「当院における脳死下膵臓移植レシピエントに対する口腔衛生管理の実態 口腔内所見と医療連携の展望」として掲載された。
これによると、対象は藤田保健衛生大学病院で脳死下膵臓移植を希望し待機中の患者8人と同院で膵臓移植を行った移植後患者7人で、2009年9月から2012年12月までの期間に同院移植外科および内分泌内科から診察依頼があった患者。移植後患者は全7人が膵腎同時移植を受けており、初診時の移植後経過期間は1日(手術翌日)から10ヵ月で平均3ヵ月であった。
病的所見は計13人に認め、同科で治療したのは7人、うち抜歯は3人に行った。4人は全身的問題により必要な歯科対応が行えなかった。他歯科医療機関に定期通院していたのは7人、症状があるときのみ受診する特定の歯科医療機関を持っていたのは3人、4人はかかりつけ医療機関を持っていなかった。1人は移植後に発症した脳出血による遷延性意識障害のため、歯科医療機関受診状況は不明、また歯ブラシの使用状況も不明であった。
p10掲載の「表1 調査結果」によると、7番の膵腎移植後の50歳女性、居住地は関東甲信越、糖尿病罹患歴43年、透析期間20年の患者のみが、1日の歯磨き回数は不明、病的所見の有無が「−」となっている。
2012年12月までに藤田保健衛生大学病院で膵腎同時移植を受けた50歳代女性は、法的脳死臓器摘出87例目(2010年8月10日)、95例目(2010年9月12日)、134例目(2011年5月15日)、137例目(2011年6月6日)、149例目(2011年10月10日)、179例目(2012年8月1日)がある。
このうち法的脳死臓器摘出87例目は、改訂臓器移植法にもとづく家族承諾による法的「脳死」臓器摘出1例目(法的脳死判定88例目)。原疾患は、「整形外科手術の周術期に発症した脂肪塞栓症候群で脳腫脹に陥った」とされ、移植施設のなかには移植用臓器にレシピエントの血管を塞ぐ脂肪塞栓の有無を調べる検査を行った施設もあった。
このページの上へ