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2014年9月26日 法的「脳死」臓器移植患者の死亡は累計137名
心臓1名、肝臓3名、腎臓は1ヵ月で8名の大量死?
2014年9月12日 第50回日本移植学会総会  シンポジウム「脳死下臓器提供数増加のための方策」
厚労省移植医療対策推進室の阿萬氏:臓器提供選択肢提示にかかる負担の軽減、ルール緩和
日本医科大学救急医学教授の横田氏:脳死判定以外にかかる時間が長く臓器提供施設の負担
聖マリアンナ医科大学脳神経外科の小野氏:人員、教育、臓器提供に向けたドナー管理も不十分
   

20140926

法的「脳死」臓器移植患者の死亡は累計137名
心臓1名、肝臓3名、腎臓は1ヵ月に8名の大量死?

 日本臓器移植ネットワークは、2014年9月26日に更新した移植に関するデータページhttp://www.jotnw.or.jp/datafile/offer_brain.htmlにおいて、法的 「脳死」臓器提供にもとづき臓器移植を受けた患者の死亡例が本年8月 26日更新時と比べて、心臓で1名増加、肝臓で3名増加、腎臓で8名増加したことを表示した。
 法的「脳死」臓器移植患者の累計死亡者数は、心臓15名、肺43名、肝臓42名、膵臓1名、膵腎同時8名、腎臓23名、小腸5名の137名に達した

 これまでの臓器別の法的「脳死」移植レシピエントの死亡情報は、当Web内では臓器移植死ページに掲載 している。腎臓移植患者が1ヵ月間に8名も死亡したことが公表されたのは初めて。

 


20140912

第50回日本移植学会総会  シンポジウム「脳死下臓器提供数増加のための方策」
厚労省移植医療対策推進室の阿萬氏:臓器提供選択肢提示にかかる負担の軽減、ルール緩和
日本医科大学救急医学教授の横田氏:脳死判定以外にかかる時間が長く臓器提供施設の負担
聖マリアンナ医科大学脳神経外科の小野氏:人員、教育、臓器提供に向けたドナー管理も不十分

 

 2014年9月10日から9月12日まで、第50回日本移植学会総会が京王プラザホテル(東京都新宿区)で開催された。以下は10月23日付のMedical Tribune、15面に掲載された臓器横断的シンポジウム「脳死下臓器提供数増加のための方策」における注目される発言。

 

*厚生労働省健康局移植医療対策推進室の阿萬哲也氏

 (前略)同氏は、今後の臓器移植対策の方向性として以下の3点を柱として進めていくことを強調した。
@移植医療に関する国民への普及啓発(事故などで命が助からないような事態になった場合に臓器提供という選択肢もあることについて国民の理解を進める)
A臓器提供に対応する医療機関の体制整備など(臓器提供者の家族に対する選択肢提示にかかる負担の軽減、現場の意見を踏まえて実態と比べてルールが必要以上に厳しくなっていないかどうか検証)
B日本臓器移植ネットワークのコーディネーターの質のさらなる向上など(あっせん業務に当たって臓器提供者の意思を最大限に生かせるよう万全を期す)
 同氏はまた,臓器移植対策関係の予算について触れ、「来年度の概算要求は7.9億円で今年度予算の6億円に比べて大幅アップの要求をしている」と述べた。「特に『臓器提供施設における選択肢提示対応支援』と『レシピエント検索システムの改修』に対する新規の予算を確保していきたい」と述べ、「予算の使途に関しても現場のご意見を聞きながら具体的なことを考えていきたい」とまとめた。

 

当Web注:日本臓器移植ネットワークのコーディネーターは、すべてのドナー候補者家族に、臓器摘出目的の抗血液凝固剤ヘパリンの投与について正確に説明していない。野田総理大臣は説明文書の改定を確約したが、2014年4月現在では実施されていない
 2006年に開催された第28回群馬移植研究会学術講演会において、群馬大学医学部付属病院の脳外科医は「コーディネーターのコーディネートが不完全で安心して任せられない、死体腎移植では法律の規定がなく主治医の判断が非難にさらされる可能性がある、その判断の中で特に腎臓保護の目的で出血性疾患にヘパリンを使用する事、・・・脳外科医としてはリスクばかりが増えてしまうので出来れば関わりたくない」と発表し た。

 

*日本医科大学救急医学教授の横田裕行氏

 (前略)「脳死判定以外の手続きにかかる時間が長く、臓器提供施設の負担となっている」と報告した。
 法改正後の脳死下臓器提供のポイントは@手順が決まっているA年齢に応じた対応B記録が必要C後に検証を受ける−であるため、施設は受け入れに当たっての負担が大きいと感じている。横田氏は「マニュアルに準じて臓器提供を行えば社会的批判を浴びることはないが、解決すべきことが多く、臓器提供施設はハードルが高いと思うのが現状である。また、脳死下臓器提供は日常医療とは異なり、救急医が、なかなか選択肢の提示を切り出せないという問題もある」と述べた。
 (中略)JOTによると、法改正後の脳死下臓器提供に関わる時間は平均62時間57分である。同氏は「脳死判定は正確に行うために時間がかかるものだが、施設はそれ以外の手続きに取られる時間を短縮したいと考えている。時間短縮のためには、手続きの変更も必要ではないか」と述べ、「臓器提供数増加のためには、施設の負担(感)の改善、支援体制の強化と併せて、事前意思、生前意思の表明(学校教育、社会啓発)などを総合的に行うことも必要となる」と結論付けた。

 

*聖マリアンナ医科大学東横病院脳神経外科の小野元氏

 (前略)小野氏らは、同院における2002年から2014年4月の臓器提供事例情報(308例)について検討したところ、実際に臓器提供を行ったのは23例(脳死下5例、心停止下18例)で、臓器提供率はわずか7%であった。同氏は「問題は、なんらかの理由で提供に至らなかった事例が181例(非成立率58%)に上ることだ」と指摘した。
 2009年からの情報別提供成立率を見てみると、意思表示カードや申し出では高いが、選択肢提示に関しては低い。同氏は「選択肢提示ではなぜ臓器提供が成立しにくいのか」との疑問を持ち、医療者と患者の双方に意見を聞いた。
 その結果、医療者からは@上長の意向で臓器提供に反対A治療優先、通常業務で精一杯B生命予後が短い場合の医学的適応の判断が困難C救急外来で初対面の家族へは気が引けるD末期医療としての延命治療は行わない方針E臓器提供や管理は不可能F気管内挿管、呼吸器、昇庄薬も使用しないことが多い−などさまざまな理由が挙げられた。
 一方、患者家族の側は@本人の希望や移植医療について考えたり話し合った経緯がないA医療者からの話が唐突で戸惑うB悲嘆のまま意思を示すことなくバイタルが悪化C医療行為についての選択に加え臓器提供の選択まで押し付けられる−などであった。同院では2006年から移植医療支援室を立ち上げ、ドナー側の支援を続けているが、「それでも臓器提供が進まない」と同氏は話す。
 (中略)職員(医師、看護師、事務員)の意識調査の結果を紹介した。小児科、救急部、脳神経外科のほとんどで、人命救助のため臓器提供は良いことだと答えているが、ドナー候補特定の知識はないという。多数がドナー候補発生への迅速な対応、提供の話を家族に切り出すことは非常に重要だと感じており、病院の支援も重要だと答えた者は8割に上った。
 現在、医療機関のインフラや人員配置、コーディネーターへの十分な教育などが整備されないまま臓器提供医療が行われている。同氏は「法改正や移植医、日本臓器移植ネットワークによる働きかけだけでは臓器提供数は今後も増加しないであろう」と述べ、「提供可能な医療機関は、リビングウィルの確認だけでなく、臓器提供に向けたドナー管理にも十分に配慮する必要がある。現状では行政も学会も現場すらも対策が不十分である」と主張した。

 

当Web注:「悲嘆のまま意思を示すことなくバイタルが悪化」を避けるために、死亡宣告前から臓器獲得目的のドナー管理を開始すると、第三者目的の傷害行為になる。また、バイタル(生命徴候)悪化を避けることが可能ならば、厚労省の阿萬氏がいう「命が助からないような事態」よりも、軽症な患者を「死体」臓器提供候補者としていることになる。

 


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