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2008年8月25日 市立札幌病院 法的脳死74例目 薬物で対象外患者を脳死判定か
23日の第1回判定時にアーチファクト 脳死判定中止、25日再判定
無呼吸テスト開始前の血圧142/86mmHg、6分後106/60mmHg
死亡患者を肺移植・肝臓移植候補に 腎臓移植の候補者順位不明
   

20080825

市立札幌病院 法的脳死74例目 薬物で対象外患者を脳死判定か
23日の第1回判定時にアーチファクト 脳死判定中止、25日再判定
無呼吸テスト開始前の血圧142/86mmHg、6分後106/60mmHg
死亡患者を肺移植・肝臓移植候補に 腎臓移植の候補者順位不明

 2008年8月25日、市立札幌病院に入院中の50歳代男性が法的脳死74例目と判定され、8月27日に心臓、肺、肝臓、腎臓が摘出された。

 第74例目の脳死下での臓器提供事例に係る検証結果に関する報告書http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r985200000229yk-att/2r98520000022a23.pdfによると、この50歳代男性は8月21日16:35バイク運転中に単独で転倒し受傷した。
 16:42救急隊到着、17:13当該病院救急外来に搬入。除脳肢位、瞳孔は右5mm、左2mm、対光反射は両側とも消失していた。気管挿管行い調節呼吸を開始。頭部CTで両側硬膜下血腫、脳内血腫、くも膜下出血及び右中大脳動脈瘤領域にクリッピングを認めた。脳槽の消失、脳室の縮小、正中偏位認め、一部皮髄境界不明瞭であった。3D-CTAにて右中大脳動脈M1-2に脳動脈瘤術後のクリップを認め、M2方向に辺縁不整な造影剤のPoolingを認めた。動脈瘤の破裂後に事故を起こした可能性も考えられた。全身CTでは左鎖骨骨折認めた。瞳孔不同であり、脳ヘルニアの進行を認めたため、穿頭血腫ドレナージ術施行したところ硬膜切開時に高圧に血液の流出が見られた。また同時に右後頭部裂創に対して縫合術を行った。術後若干の瞳孔散大の改善を認めたが、間もなく両側瞳孔散大となった。

 8月22日(発症2日目)7時には、咳反射消失した。同日12時に頭部CT、びまん性に脳腫脹を来しており、脳室、脳槽は消失していた。21:49眼球頭反射以外の脳幹反射消失を認めた。8月23日(発症3日目)頸部MRIにて頸髄損傷ないことを確認した上で、眼球頭反射消失を確認し、再度11:00より高感度脳波にて平坦脳波(ECI)を確認し、12:20に臨床的に脳死と診断した。同日、17:21第1回法的脳死判定開始したところ、脳波検査時に筋電図と考えられるアーチファクトを認めたため、脳死判定を見送った。8月25日(発症5日目)11:45に第1回法的脳死判定、19:41に第2回法的脳死判定を終了した。

 報告書は「救急外来にて気管挿管時にミタゾラム、ロクロニウム臭化物、フェンタニル使用しているが、いずれも中止後42時間が経過しており、脳死判定には影響はないと判断した」「前提条件をも満たしている。(中略)脳死判定を行えると判断したことは妥当であったと言える」と評価した。

当Web注:報告書は、中枢神経抑制剤の中止から42時間後であるため脳死判定の前提条件を満たすとしているが、経過中に脳が腫れ、脳ヘルニアが進行したのならば、それ以前から投与された中枢神経抑制剤は脳内に滞留し排出されていない可能性がある。中枢神経抑制剤に影響されている可能性のある患者として、脳死判定から除外すべき症例ではないか。

 第1回脳死判定 無呼吸テスト開始前の血圧は142/86mmHg、4分後に動脈血二酸化炭素分圧が61.4mmHgとなった時は127/76mmHg、6分後に106/60mmHgと低下した。
 第2回脳死判定 無呼吸テスト開始前の血圧は135/80mmHg、4分後に動脈血二酸化炭素分圧が66.9mmHgとなった時は120/72mmHgに低下した。

 レシピエント候補者の意思確認においては、肺移植の第9候補者は、死亡していたことが判明した。肝臓移植の第1候補者は意思確認開始前に死亡の連絡があった。第2候補者はレシピエントの都合により辞退した。腎臓移植について報告書は「第2候補者の移植実施施設側が移植を受諾し、移植が実施された。第1候補者はリンパ球直接交差試験陽性のため、移植が見送られた」と記載している。

当Web注:報告書p12に、北海道大学病院の40歳代男性と市立札幌病院の30歳代女性に腎臓移植の実施が記載されている。腎臓移植を受けたもう1人の患者は、何番目の候補か記載がない。

 


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