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愛知、静岡の5病院 10歳の脳死小児から臓器摘出
1992年1月末まで 脳死ドナー死体腎移植が25例
名古屋記念病院、社会保険中京病院、小牧市民病院、市立岡崎病院、静岡済生会病院は、1983年1月から1992年1月31日までに脳死ドナー死体腎移植25例を行ったことを論文にまとめ、日本移植学会雑誌「移植」29巻4号p396〜p402に「死体腎移植における高齢者ドナーの検討」として公表した。
脳死ドナーの年齢は10歳〜54歳が20例、60歳以上が5例。「まとめ」では「脳死ドナー死体腎移植ではその移植腎予後は、心臓死ドナー死体腎移植に比べ良好であり、年齢による差は認めなかった」としている。
この論文の執筆者は以下のとおり。
名古屋記念病院泌尿器科=西山 直樹、藤田 民夫。社会保険中京病院泌尿器科=大島 伸一、松浦 治、竹内 宣久。小牧市民病院泌尿器科=小野 佳成、加藤 範夫、山田 伸。市立岡崎病院泌尿器科=絹川 常朗、服部 良平。静岡済生会病院泌尿器科=佐橋 正文
当Web注:この論文は、心臓死ドナー死体腎移植167例の温阻血時間が平均4.8分〜11.5分であったことも報告している。このような短時間で腎臓を冷却するには、生前にカテーテル挿入などを行うしかない。生前にドナー候補者の救命に反する処置を行った医師が、傷害罪・傷害致死罪から免れるには「カテーテル挿入時に、ドナー候補者は死体であった」という虚構が必要なため、心臓死ドナー移植167例についても、実際には脳死判定基準を満たしたことで死体扱いをした脳死臓器摘出とみなされる。
脳死ドナー死体腎移植の温阻血時間の記載はなく、心臓が拍動中に脱血した温阻血時間0分のケースとみられる。
上記5施設の医師らは、1992年に日本泌尿器科学会雑誌83巻2号p225〜229の「死体腎移植におけるdonor腎摘出術の検討」において19例の死体腎提供者の概要を表にして掲載している。1987年9月から1990年12月までに温阻血時間が0分のドナーは、54歳女性(脳出血)、44歳男性(クモ膜下出血)、17歳女性(脳出血)、19歳女性(小脳梗塞)、45歳女性(脳出血)、55歳女性(脳出血)、68歳女性(自殺縊死)、62歳男性(脳出血)、15歳女性(頭部外傷)、47歳男性(脳出血:クモ膜下出血)、31歳男性(頭部外傷:クモ膜下出血)、66歳女性(脳出血:硬膜下出血)の12例、摘出腎臓数は17個。
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