脳死ドナーの変わり果てた姿を見せないため
死化粧を手術室内で実施 手足や顔も温める
家族は患者にすぐ触れ、臓器移植に肯定発言
東京医科歯科大学医学部附属病院
2013年12月25日付で発行された日本救急医学会関東地方会雑誌34巻2号は、p410〜p411に東京医科歯科大学医学部附属病院救命救急センター、プライマリー看護師の永井 志保里、西 奈緒、添野 多恵子、山下 直美の4名による「脳死下臓器提供を決断した家族への関わりの検証」を掲載した。以下の枠内は主要部分。
事例紹介
症例は51歳女性、仕事中にクモ膜下出血を発症、WFNS分類グレードVのクモ膜下出血であることや自発呼吸がないことから手術適応はなしと診断されて当科へ入院となった。第1病日に脳死状態と診断され、脳死下での臓器移植という選択肢がご家族へ提示された。第4病日に家族が脳死下臓器移植を選択したため、第5病日に脳死判定を実施し、第6病日に臓器摘出術を行った。
ご家族は、未成年の子供2人と患者の両親、姉、弟で、キーパーソンは17歳の息子様であった。
看護の実際
ご家族の意思決定を尊重していること、いつでも味方でいることを伝え、患者と家族の側にいる時間を多く作り、共感的理解・受容の姿勢を徹底した。
医師や移植コーディネーターからのインフォームドコンセントの場面には必ず看護師が同席し、理解度や疑問・不安について常に把握して必要な情報提供を行った。
手術室入室時には、他の患者の入室を全て中断して、手術室前室で患者と家族の別れの時間を確保した。
そして摘出術後には、生前の姿に近い形で帰室するために手術室内でエンゼルケアを行い、手足や顔を温めたり、患者が普段愛用していた洋服を着せて、薄化粧を行った。
結果
面会に来ることや患者の顔を見ること、触れることを拒否していた家族が、面会に来ることができるようになり、無表情で感情表出をしなかった家族が、患者に触れて泣くことができた。摘出術後帰室時には、すぐに患者に触れて泣くことができた。また、患者の傍らに寄り添うことができ、笑顔が見られるようになった。
摘出術後帰室時には、すぐに患者に触れて泣くことができた。また、帰室後はエンゼルケアを行ってから帰室したことで、家族と患者だけの時間と空間を中断することなく確保できた。
脳死下臓器移植という選択に対して、肯定的な発言が聞かれた。
考察
(中略)今回の事例では、家族は度重なる衝撃に対して、「患者に近づかない、面会に来ない」という逃避行動を取っており、防御的退行の段階にあったのだと考えられる。
通常、防御的退行の段階では、現実を避けて否認の行動を取ることで自身を守っているため、患者に触れることを強制したり、無理に突きつけたりしないことが最善であると言われる。
しかし、今回の事例では手術室入室時、筆者は兄と妹の手をとって母親に触れることを誘導した。摘出術を行うまでは、脳死判定で死亡宣告は受けたものの患者の心臓は拍動を続けており、見た目上は生きている状態で死亡宣告前となんら変わりない姿で眠っている状態である。しかし、次に患者と家族が会うときには、患者の心臓は止まり本当の死を迎えた状態を認識することとなる。つまり、摘出術のため手術室に入室する時が、生きている大切な家族に触れられる最後のチャンスになる。今回の事例では、家族が「患者に触れない、近づかない」という否認・逃避の行動を取る中でも「もしかしたら患者に触れたいと思っていても踏み出すタイミングを見つけられないのではないか」、「このまま患者に触れずに摘出術を行ったら家族は後悔するのではないか」と考え、触れることを誘導した結果、今まで母親に触れることや泣くことができなかった兄と、面会に来ることすら出来なかった妹が感情表出をすることができた。
以上のことから、手術室入室直前の看護師の関わりとして重要なことは、入室直前の看護を充実させることにより、家族にとって大切な人を喪失するという現実を受け入れることへ繋がっていくと考える。
グリーフケアのなかで、家族と一緒にエンゼルケアを実施することを取り入れている施設は多いと思うが、摘出術後に帰室する母親の変わり果てた姿を見て、家族が「自分たちが患者を殺してしまったのではないか」という自責の念を強く抱くことを懸念し、それを避けるため今回はあえて、手術室内で看護師のみで実施することを選択した。今回は、手術室内でエンゼルケアを実施したことにより、手術室から出てきた患者の姿が普段着で薄化粧をした生前の母親に近い状態であったため、子供たちは恐れることなく寄り添うことができたと考える。
通常、退院時は看護師にとっては、家族と接する最後の機会になる。しかも臓器提供を行った遺族に対しては、十分な敬意を表す最後のチャンスとなる。そのため、霊安室における看護を特に充実させる必要があると考える。この時こそ、臓器提供の意思決定への敬意と今後起こりうる周囲からの非難に対し、医療者はいつでも家族の見方でいることや家族の決定に対して敬意を伝えることがグリーフケアとして必要だと考える。(後略) |
当Web注:臓器移植法を問い直す市民ネットワークの第6回市民講座(2014年7月12日)において、臓器提供施設ICU勤務の看護師は、臓器を摘出され手術室から帰室したドナーの体が非常に軽くなっていて驚いたこと、通常の死体と異なり血液就下(血液が背中側に移動し斑状に着色して見える死体現象)がなく紙切れのような状態だったこと、唇の色が他の皮膚の色と同じ土気色になっていたこと、などに驚愕し、「こんなことになってしまった。死んでいなかった。この人を殺してしまったのではないか」と後悔したことを報告した。
この看護師の施設では、家族に「臓器提供とはどういうことか、何が行われたか正確に理解してもらうために」、エンゼルケアを行う前の死体も見てもらった。現在も、医療者側からの臓器提供オプション提示を患者家族に行うことなく、生前意志表示のあるドナーからの臓器摘出しか行っていないとのこと。
循環器内科医:心臓移植はしなくてもよいじゃないか
補助人工心臓を最終治療として世界をリードすべき
12月20日付で学研メディカル秀潤社から発行された月刊ナーシング2014年1月号は、“いま、ナースが知っておきたい心不全 治療・ケアの最前線”を特集し、P68〜P74に加藤 真帆人氏(日本大学医学部内科学系循環器内科学分野)による「心不全治療における新しい機器・デバイス」を掲載した。点線以下のコラムまでが、補助人工心臓と全置換型人工心臓についての記述。
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補助人工心臓(ventricular assist system : VAS)
補助人工心臓(VAS)
とは、患者の自己心臓を温存して、その働きを助けるポンプを中心としたデバイスシステムをさし、体外式と植
込み型があります。日本においてもっとも使用頻度の高いVASは体外式のニプロ補助人工心臓(国循型)です。これは構造が、シンプルである点、また、ポンプ内の様子(たとえば血栓など)が直接観察できる点が優れていますが、ボンプが体外にありますので、送血管、脱血管から感染が生じるリスクが多いのと、何よりも大きな本体を押して移動しなければなりませんので、退院ができません。今後は、植込み型の補助人工心臓によって置き換わっていくことになります。
植込み型補助人工心臓に関しては、以前よりゼオン社およびNovacore社の植込み型VASが保険適用となっていますが、使用頻度の低さから両社ともすでに日本の市場からは撤退しています。その後、移植法の改定がきっかけとなり2011年4月1日より、さらに小型化された遠心ポンプ型のEVAHEARTおよびDuraHearTが、また2013年4月1日より強力な心拍出量を誇る軸流ポンプ型のHeartMateUが保険適応となり、今後はこれらの小型化された植込み型VASが中心になると思われます。
全置換型人工心臓(total artificial heart : TAH)
全置換型人工心臓(TAH)とは、患者の心臓を完全に切除しポンプに置き換えるデバイスシステムをさします。1980年代に空気駆動型のJarvik
7 TAHが米国にて臨床応用されましたが、脳卒中などの合併症で使用中止となりました。最近では電磁駆動のAbioCor TAH
の臨床研究も行われましたが、重症心不全症例についてはVASだけで救命できる症例数のほうが多く、TAHについての開発研究は少な
いのが現状です。以前は東京大学、大阪大学、北里大学、東北大学が全置換型を目指して研究開発を進めていましたが、小型化された植込み型補助人工心臓の成績がよいため、すぐには臨床応用とならない様子です。
しかしながら、日本における心臓移植数は欧米と比較して少なく、患者の平均待機日数は約870日、さらにはVAS補助機関は750日以上にも及び、心臓移植が多くは望めない日本だからこそ、その技術力と患者管理の巧みさを活かし、移植までの補助的な使用(Bridge
to transplantation)ではなく、Destination
therapyとしての補助心臓の開発と臨床に力を入れ、世界をリードすべきである思います。
コラム
植込み型補助人工心臓が目指すのは、「Bridge to transplantation」か「Destination
therapy」か?
日本で心臓移植冶療が認められるようになって10年以上が過ぎます。当初年にひと桁台だった移植手術の件数も2010年の移
植法の改正により、その数は増加しています。しかしながら、その数は年に30件弱とほかの欧米諸国と比較しても少なく、日本では心臓移植待機者の数と比してなかなか数が増えていません。これには日本人の生命観、宗熱感、ひいては日本文化が大きく影響しており、結論を簡単は論じられるものではないし、急ぐ必要もありません。そんな中で期待されるのが「Destination
Therapy」としての植込み型補助人工心臓です。
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これまで補助人工心臓といえば体外式が主であり、体外式補助人工心臓を装着された患者は大きな機械につながれた生活を営むことになります。当然、退院は不可能です。よって心移植をしない限り退院することはできず、その意味で補助人工心臓は「心移植までのつなぎの治療」と決まっていました。
このように、心移植までのつなぎの治療は「Bridge to transplantation : BTT」とよぱれています。しかし、最近では植込み型の補助人工心臓が主流になりつつあり、これらの機械を装着されだ患者は退院し、自宅で移植を待つこととが可能になってきました。
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植込み型補助人工心臓の機能もこの数年で格段に向上しています。そうなると次に出でくるのが「移植しなくてもよいじゃないか」という意見です。つまり「一生このまま植込み型補助人工心臓で人生を過ごす」という考え方です。これは「Destination
Therapy : DT」とよばれています。
以前に比べ、確かに植込み型補助人工心臓の生命予後に関する成績は格段に向上し、心移植後の免疫抑制薬による副作用や、また、生活制限など総合的に考えたときに、補助
人工心臓のままがよいという意見を持っている先生もおられます。
今後、補助人工心臓を「Bridge to Transplant」として利用するか、もしくは「Destination
Therapy」とレて利用するかは、命の考え方、日本の文化、医療経済的見地など総合的に議論されることになると思われます。
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当Web注
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日本臓器移植ネットワークのニュースレター bP7 http://www.jotnw.or.jp/file_lib/pc/news_pdf/NL17.pdf によると、2012年末までに心臓移植を受けた患者148名の平均待機日数は978.3日間。
移植に関するデータhttp://www.jotnw.or.jp/datafile/index.htmlによると、2014年1月6日現在の心臓移植
希望登録者数は288名。心臓移植登録後に死亡した患者は累計217名。
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日本の心臓移植適応患者数の推計値について、澤 芳樹(大阪大学大学院医学系研究科心臓血管外科)は、CIRCULATION UP
to Date 8巻3号(2013年8月)p60〜p68掲載の「日本の心臓移植の現状と課題」において「年間1800人くらい」としている。
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大部分の重症心不全患者にとっては、心臓移植以外の外科的・内科的治療法が、従来からも現実的な主たる治療法だった。植込み型補助人工心臓により、在宅生活などQOLの高い生活が可能となる。
中学生234名に調査、脳死は人の死と「思う」31.4%、「思わない」68.7%
臓器移植看護の倫理的苦悩、移植ありきの医師や家族と準備不足の患者
期待していた成果がない、自己管理できない・重要性に認識ないレシピエント
第33回日本看護学会学術集会
2013年12月6、7日の2日間、大阪国際会議場で第33回日本看護学会学術集会が開催された。以下は講演集から「脳死」臓器移植関連の発表の要旨(タイトルに続くp・・・は掲載ページ)。
*森 浩美、岡田 洋子(旭川医科大学医学部看護学科):中学生の脳死臓器提供に関する認識調査、p518
北海道内に住む中学生を対象に選択式・無記名・自記式質問紙調査を実施した。調査票は中学校長を通じて対象者に配布し、個別郵送法にて研究者が直接、回収した。配布1370部、234名から回答を得た(回収率17.0%)。基本属性に関する回答がない1名を除外し233名を分析対象とした。
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脳死は人の死:「思う」31.4%、「思わない」68.7%
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脳死と判定されたら臓器提供しても良い:「思う」51.5%、「思わない」47.2%
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脳死からの臓器提供は親の判断で良い:「思う」59.2%、「思わない」40.4%
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脳死臓器提供に関する対象者の考えを親は知っている:「思う」39.0%、「思わない」60.5%
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改正臓器移植法:「知っている」11.6%、「知らない」88.0%
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法律内容:「知っている」16.7%、「知らない」83.3%
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(法律内容を質問紙上で説明したうえで)法律内容の賛否:「賛成」48.9%、「反対」48.9 %
各質問においてにおいて学年間、男女間による有意差はみられなかった。「脳死からの臓器提供は親の判断で良い」と「脳死臓器提供に関する対象者の考えを親は知っている」において有意な関連があり、「親は対象者の考えを知っていると思う」と考え、かつ
「脳死からの臓器提供は親の判断で良いと思う」者が有意に多かった。また、「法律内容の賛否」と「親は対象者の考えを知っている」において有意な関連があり、「親は対象者の考えを知っていると思う」と考え、かつ「法律内容に賛成する」者が有意に多かった。
中学生と親が普段から脳死臓器提供について話し合い、お互いの考えを伝え合うことの大切さが示された。また、中学生が法律を含めた脳死臓器提供に関する知識を獲得し、意思表示できるような支援が重要であると考える。
当Web注:大学生とその保護者に行なった調査で、臓器提供について話し合う機会を持ち意見の一致したのは、93組のうち10組であったと報告されている。
*谷水 名美(大阪医科大学看護学部)、林 優子、赤澤 千春(京都大学大学院医学研究科):臓器移植看護の倫理的場面における看護者の苦悩、p592
研究参加者は、臓器移植看護の経験があるレシピエント移植コーディネーターや看護師である。データ収集では倫理的な問題を感じた場面において生じた迷い、悩み、葛藤について半構成的面接を1時間程度行った。参加者は女性10名、移植看護経験年数は4年半〜13年であった。
臓器移植の看護場面において、看護者が倫理的状況に苦悩し、対応していたこととして7つが浮かび上がった。
「対レシピエント・家族・ドナー・他患者との対応場面での苦悩:立場の異なるドナーとレシピエント、状況の異なる腎移植者と腎透析患者の狭間での関係の取り方の難しさ」
「臨床現場での移植導入・受容時の苦悩:移植ありきの医師や家族と準備不足のレシピエント、肯定的になれない病棟とあるべき姿との狭間で鬱屈」
「個別レシピエントでの移植選択・推進時の苦悩:レシピエントや家族の移植受入れ能力の評価の不十分さ、ドナー選択の安易さとあるべき姿との狭間でのやりきれなさ」
「対移植リスクとレシピエントの態度との対応場面での苦悩:絶対的な成功保証のない経験と違和感を覚えるレシピエントの態度の狭間で移植とケアの思いが委縮」
「移植推進に伴う葛藤解消への思い:レシピエント・ドナー・家族に責任を持って関われるサポート体制の整備」
「移植推進の原動力の源:レシピエントのQOL改善を目の当たりにした移植の威力の実感」
「移植推進の世論形成への思い:正しい情報の発信の必要性と社会の反応への危惧」
これら7つの苦悩は、看護者が家族間や医療者間などの関係性を重視してケアする立場であるからこそ生じるものであった。また、臓器移植は他の医療よりも社会化の強い医療であることから様々な倫理的な問題が生じ、その中で看護師が苦悩しながら、奮闘する現状が明らかになった。
*今西 誠子(中京学院大学看謹学部)、習田 明裕(首都大学東京大学院人間健康科学研究科)、赤澤 千春(京都大学大学院医学系研究科)、谷水 名美、林 優子(大阪医科大学看謹学部)、萩原 邦子('大阪大学医学部附属病院):臓器移植医療で看護者が遭遇する倫理的場面での悩みとその程度、p593
対象は、脳死もしくは生体移植を実施している79施設に勤務し、移植に何らかの形で関わった看護師569名。調査方法:郵送法による無記名自記式質問紙調査。4段階(とても悩んだ−全く悩まなかった)からなるリッカート法にて回答を得た。有効回答数218名(回収率38.3%)。職種は看護師192名、コーディネーター24名、移植看護経験は4.58±4.2年。生体および脳死移植双方の移植看護経験者は101名(46.3%)おり、腎臓以外の臓器移植看護経験者は105名(48.2%)であった。
看護者が遭遇した倫理的場面での悩みの程度における上位項目(とても悩んだ、少し悩んだ)は「移植後に期待していた成果が得られないレシピエントの家族に対して、厳しい状況におかれていると感じたことがあった(91%)」と「移植後に自己管理が行えないレシピエントをみた時、移植を受けたことに疑問を感じたことがあった(79%)」「移植治療の決断に際し、レシピエントが移植後の自己管理の重要性を認識しないまま、移植を決断したのではないかと感じたことがあった(75%)」であった。
また、下位項目(あまり悩まなかった、全く悩まなかった)は「レシピエントに強い思い人れを持っているがために、看護者として冷静な判断ができないのではないかとあんじたことがあった(21%)」「一人の看護師が、レシピエントとドナーを同時に受け持つことに困難さを感じたことがあった(30%)」「生体移植の場合、レシピエントとドナーの続柄(子から親、夫婦間など)で移植をすべきではないと感じたことがあった(37%)」であった。
臓器移植看護における看護者の悩みの程度は、移植の意思決定に関する問題への看護者の関わり方に依拠する可能性が高いことが考えられ、レシピエントやドナー、家族が移植決定時に遭遇する様々な葛藤や、移植後に起こりうる様々な問題に十分に対時するためのサポートの必要性が示唆される。
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