第13例目「脳死」下での臓器提供 日本臓器移植ネットワークの発表資料
平成13年2月26日
社団法人 日本臓器移植ネットワーク
[第13例目の脳死下での臓器提供事例について]
ドナーの方は関東甲信越地方の医療機関に入院中の20歳代の女性の方。
ドナーの方の原疾患は外傷による硬膜下血腫・びまん性脳損傷である。
ドナ一の方は臓器提供意思表示カードに脳死下での臓器提供の意思を表示。提供臓器として心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓、小腸、に○があった。ご本人の署名あり。記載時期は、平成11年3月。
日本臓器移植ネットワーク関東甲信越ブロックセンターに提供施設より連絡があったのは、2月25日14時55分である。
日本臓器移植ネットワークのコーディネーターが説明を行った上で、2月25日20時21分にご家族から脳死判定承諾書及び臓器摘出承諾書を受領。
ご家族からは、心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓、小腸の提供についてご承諾を得た。
2月25日 21時29分、第一回法的脳死判定を開始。
2月26日 0時26分、第一回法的脳死判定を終了。その結果、判定基準を全て満たしていると判定された。
2月26日 6時33分より第二回法的脳死判定を開始。
2月26日 8時39分に第二回法的脳死判定を終了し,法的に脳死と判定された。
日本移植学会の野本理事長 臓器移植法の見直し・子供への移植は、
「20例を越えるまで、国民が信頼できるような臓器移植を実行してから」
NHKラジオ第一放送は午後6時から日本移植学会理事長、日本臓器移植ネットワーク副理事長の野本 亀久雄氏へのインタビューを放送した。同氏の発言要旨は以下のとおり。詳細は日本移植植学会 野本理事長へのインタビューページ。
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過去3年間の脳死臓器移植は、フェア、ベスト、オープンに行われた。
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脳死判定の手順ミスについて現場は、感覚的抵抗があった。「手順のミスであって、医療のミスではない」と主張されるが、今は命の取り扱いに関して、一般市民と医療界と政府とそういうシステムが新しい協定を創ろうとしている。だから新しい協定を創る時には、システムとして約束事が守られるか、ということが非常に大事だ。
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移植成績は、私はあそこまで行くとは、むしろ考えていなかった。世界中の移植術後の成績は、短期の成功率がだいたい90%です。そうしますと、移植を受けた方が40名位おられるわけですから、当然4人くらいは亡くなっているはずなんです。
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情報公開しなければならない。移植例が20例、30例になると本来はプライバシーに属するような悩みもデータ化できる、数値化できると、こういう時には、私は移植された、提供された方々のご家族に相談をして『このような形で国民にぜひ、知ってもらいたい』という形で公開したい。国民全部が「よくわかったけれど」が前提で、賛成や反対であって欲しい。
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臓器移植法の見直し、子供への移植は前提段階として20例を越えるまで、国民が信頼できるような臓器移植を実行していって「こういう集団になら、我々の命は託せる」ということをベースにして子供さんのことを考えて欲しい。だから私は今の段階で、子供さんのことに関して「こうして欲しい、ああして欲しい」という考え方は持っておりません。実績を重ねながら、まず国民の信頼を得てゆく必要がある。そうしながら法律の改正についても、議論を重ねていってもらいたい。
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