14歳男児、過去に「臓器提供は無理だ」と発言
家族は臓器提供拒否、在宅予定 豊橋市民病院
2012年10月28日、第256回日本小児科学会東海地方会が藤田保健衛生大学で開催され、豊橋市民病院小児科から患者本人の過去の発言から、患者家族が法的脳死判定・臓器提供を拒否したケースが発表された。
症例は14歳男児、早朝自宅浴槽内で溺水、心肺停止状態で豊橋市民病院に救急搬送された。入院16日目に無呼吸テスト以外の脳死判定項目をすべて満たし、法に規定する脳死判定を行なうならば脳死とされうる状態と判断された。虐待対策委員会、倫理委員会等と連携し、院内マニュアルに従い脳死下臓器提供の候補者として不適格でないことを確認の後、家族に脳死下臓器提供のオプション提示が行なわれたが、児の「臓器提供は無理だ」という過去の発言から法的脳死判定、臓器提供は希望されなかった。
現在、5ヵ月を経過し状態はおおむね安定、患者家族の希望に従い在宅医療に向け準備中だ。
出典=橋本 千代子(豊橋市民病院小児科)ほか:「脳死とされうる状態」と判断した症例の経験、日本小児科学会雑誌、117(1)、168、2013
法的「脳死」臓器移植患者の死亡は累計91名
心臓移植患者、肺移植患者、各1名が死亡
日本臓器移植ネットワークは、10月16日に更新した移植に関するデータページhttp://www.jotnw.or.jp/datafile/offer_brain.htmlにおいて、法的
「脳死」臓器提供にもとづき心臓移植、肺移植を受けた患者の死亡が、それぞれ1名増加し、法的「脳死」臓器移植患者の死亡は、心臓7名、肺30名、肝臓31名、膵腎同時6名、腎臓13名、小腸4名の累計9
1名に達したことを表示した。
これまでの臓器別の法的「脳死」移植レシピエントの死亡情報は、臓器移植死ページに掲載。
澤 芳樹(大阪大学大学院医学系研究科心臓血管外科)は、「ICUとCCU」38巻2号p97〜p105掲載の「心臓移植におけるICU管理 わが国の心臓移植の現状と課題」において、2012年末までの国内心臓移植146例中7例が死亡(死因は多臓器不全3例、4ヵ月・4年感染症各1例、10年胃癌、11年腎不全各1例)としている。
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