2000年に非合法・未届け「脳死」下臓器摘出が、少なくとも4例?
2000年1年間に実施された「脳死」下の臓器摘出は、公表されている5例だけでなく、これ以外に少なくともドナー数にして4例以上、摘出された腎臓数にして8個あることがわかった。
2000年に法的脳死判定後に臓器摘出された腎臓数は、3月29日2個、4月16日2個、7月8日2個、11月5日1個の計7個。日本臓器移植ネットワークもData Fileページで臓器移植に関する提供件数と移植件数(平成12年)に月別移植件数に※内、脳死下(n=146)として同様の記載をしている。
しかし2月10日付で発行された日本移植学会雑誌「移植」
Vol.37 No.1
p1〜p11掲載の「腎移植臨床登録集計報告 2000年実施症例の集計報告(2)」によると、献腎・脳死体腎(腎移植症例数 n=146)の臓器摘出時の条件として記載したのは、脳死15(10.3%)・心停止123(84.2%)、記入なし8(5.5%)だった。公表されている法的脳死下の腎臓摘出数より8個も多い。記入なしも脳死下と見ると、非合法・未公表の脳死下臓器摘出はドナー数にしてさらに4例増え、8例以上行われていたことになる。
温阻血時間は平均5.4分、内訳は0〜4分が83例(56.8%)、5〜29分が45例(30.8%)、30分以上2例(1.4%)、記入なし16例(11.0%)となった。脳死摘出15個との記載から、温阻血時間0分があきらかなのは15腎。温阻血時間が平均5.4分×移植腎数146=788.4分。146腎−15腎=差し引き131腎で温阻血時間合計788.4分を割っても、平均6分となる。
人工呼吸器の停止から心臓死まで10〜50分間かかる。その後の3徴候死の確認に最低でも5分間、病室から手術室までの搬送にさらに数分間、そして冷却灌流用のカテーテル挿入・灌流開始までさらに10〜20分間を要することから、「心停止後」と称する臓器摘出のほとんどすべても、3徴候死後の臓器提供ではないことが明らかだ。
小児からの臓器摘出も0〜9歳から摘出した腎臓は4個、10〜19歳からは3個だったことを記載している。
1980年代で既に腎臓摘出の35.4%が「脳死」下摘出だった。「脳死」判断にもとづいて治療をやめドナー管理を開始した症例も、「脳死」・臓器摘出とみなさなければならないことから、「心停止」下臓器提供と称する移植は、ほぼすべてが「脳死」・臓器摘出になる(上記の臓器摘出時条件からみた4例だけの話ではない)。臓器摘出直前のカテーテル挿入、ヘパリン投与なども、臓器提供患者の救命に無関係で侵襲性のある行為は、死体でなければ正当化できない。臓器摘出をするならば、「一般的な脳死判定」ではなく、改めて法的脳死判定をしなければ違法行為になるのではないだろうか。
「脳死」移植レシピエントの死亡5例目、「脳死」肺移植では初めて
免疫抑制剤使用下、移植肺ではない左肺への感染症が原因
2001年1月8日に法的脳死判定11例目のドナーから「脳死」肺移植を受けた新潟県の男性患者(40歳代、小児外科 2001年9月号によると44歳と推定される))が3日午前9時、死亡した。移植したのは右肺だったが、移植を受けていない左肺上部に感染し炎症を起こしたため左肺を摘出、その後、薬物治療をしたが、心機能障害、敗血症、多臓器機能不全などを併発した。移植された右肺には拒絶反応や感染症の兆候はなく、良好だった
男性は東北大医学部付属病院(宮城県仙台市)において移植手術を受けた後、昨年10月に新潟県内の病院に転院、その後、自宅で療養していたが、今年1月18日に吐血し東北大病院に再入院していた。臓器移植法の施行後、「脳死」移植レシピエントの死亡は5例目、「脳死」肺移植の死亡例は初めて。
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