関西医大救命救急センター 交通外傷・脳挫傷の15歳男性
脳死から心停止まで16日間 腎臓提供は母親には隠して?
関西医科大学救命救急センターの千代 孝夫氏らは、11例の脳死判定後・心停止後腎臓提供を、今日の移植、5巻5号、p493〜p497に「救急施設からみた移植臓器提供と移植コーディネーターの問題点と将来像」として発表した(このうち7提供例について同氏らは同誌2巻6号、p445〜p450、1989年に報告している)
それによると同センターの腎臓提供の端緒となったのは、1986年に12歳男児が脳死となった後に家族から申し出があったこと。しかしその後は同施設側からの臓器提供の「説明」によって家族が承諾して提供している。3回の「説明」で提供を承諾したのが4例ともっとも多いが、17歳男児ドナーの場合は脳死5日後から2日後の心停止提供までの間に、5回の「説明」が熱心に(2巻6号)行われた。
最初の説明で父親は6例中5例が賛成したが、母親は8例中7例が逆に反対であった。今日の移植2巻6号では「父親の説得が承諾への鍵となることが示されていた」としている。15歳男性ドナーの備考欄には「母親には内密に」、20歳男性ドナーの備考欄には「家族以外には内密に」、20歳女性ドナーの備考欄には「近所には内密に」とある。
1986年1月〜1989年8月の44ヵ月間の死亡症例304名のうち腎臓提供可能な腎疾患のないものは54名。このなかで最終的に、腎機能が良好で脳死期間がある程度あった臓器提供適応症例は13名だった。
脳死から心停止までの期間は11例平均で5.6日。1週間以上のケースは、麻痺・ショック・心停止の12歳男児は7日間(2巻6号では8日間)、交通外傷・脳挫傷の17歳男性は7日間(同13日間)、交通外傷・脳挫傷の20歳女性は8日間(同9日間)、交通外傷・脳挫傷の20歳男性は9日間、自殺・頸部切創の56歳男性は9日間(同8日間)、交通外傷・脳挫傷の15歳男性は11日間(同16日間)。
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