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小児脳死判定後の脳死否定例(4歳児)

脳死否定例の定義は小児脳死判定後の脳死否定例(概要および自然治癒例)を参照


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臨床的脳死例

土浦協同病院:2007年から入院継続

 白井 謙太郎:急性脳症に類似した急激な脳腫脹から臨床的脳死状態となったインフルエンザ菌髄膜炎の4歳男児例、脳と発達、41(6)、447−451、2009

 生来健康な4歳男児、2007年、第1病日の午前4時30分頃に発熱と嘔吐が出現、9時30分、近医で傾眠傾向、11時40分に全身性間代性痙攣が出現し前医に搬送、画像検査で急性脳症を疑い当院に救急搬送、15時30分ICUに収容。発症約20時間後に中枢性尿崩症。第6病日、臨床的な脳死状態と診断。
 2009年3月現在、気管切開・人工呼吸管理のもと経鼻栄養を継続し、当院に入院中である。

 

 

 

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臨床的脳死例

枚方市立枚方市民病院:臨床的脳死の2日後に呼吸管理、維持輸液以外の治療を中止、25日間生存

 田辺 卓也:小児の長期脳死自験例5例とわが国における小児脳死判定の問題点、日本小児科学会雑誌、113(3)、508−514、2009
 原 啓太:小児脳死判定基準に合致した5症例の臨床経過、脳と発達、36(Suppl)、S193、2004

 4歳11ヵ月男児、急性脳炎。12時間の痙攣重積状態で搬送。脳浮腫進行し散瞳固定、4病日に尿崩症、19病日に自発呼吸、脳幹反射、脳波活動が消失。 体動なし。家族の希望から21病日に呼吸管理、維持輸液以外の治療を中止。肺炎が悪化し43病日死亡。

 保護者の気持ちの変化は、単なる延命なら止めて欲しい(19病日)→輸液と呼吸器以外は中止してほしい(21病日)。

  他の症例は6歳7ヵ月男児1歳11ヵ月女児1歳2ヵ月男児6ヵ月男児

 

 

 

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脳死判定例

新潟市民病院:自動運動、ミオクローヌス、脊髄反射あり家族は心停止後の心肺蘇生術を希望、41日間 生存

吉川 秀人:小児長期脳死症例における体動について、新潟市民病院医誌、24(1)、25−28、2003

 低酸素性脳症の4歳男児は、脳死に至るまで4日間。小児脳死判定暫定基準案(1999年)により脳死判定してから、自動運動、ミオクローヌス、脊髄反射が認められ、家族は心停止後の心肺蘇生術を希望した。心停止に至るまで41日間。

 

 

 

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臨床的脳死例

産業能率医科大学:虐待され死亡まで約2ヵ月半

田中 宣幸:ご遺体が医療に語りかけること、日本職業・災害医学会誌、51(2)、101−102、2003

 4歳男児は、母親の内縁の夫から受けた暴行によって急性硬膜下血腫が生じ、血腫除去術を受けたが脳死状態となり、約2ヵ月半後に死亡した。

 

 

 

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臨床的脳死例

北九州市立八幡病院:205日間生存

松石 豊次郎:小児の脳死、小児科、42(5)、880−887,2001

 北九州市立八幡病院において交通外傷(脳挫傷)により脳死判定された4.9歳児は死亡まで205日。

 

 上記と同症例とみられる、市川 光太郎:脳死と思われた小児10例の検討、小児科診療、62(3)、428−432、1999によると女児。自発呼吸・対光反射・角膜反射・人形の眼現象がなく、脳波測定・聴性脳幹反応での無反応所見(48時間以上の間隔で4度施行)により脳死症例と診断。脊髄反射と思われる体動が周期的にみられた。

 家族の現状に対する受容態度は「良好」。「可能性を求めて積極的に加療してほしい」、「脳死状態」と受容したうえで生きてほしいとの意志表示がみられた。「植物状態でよいから命を救ってください、ここに会いに来るのが楽しみ」、死亡宣告後「角膜移植はできませんか?」。

 

 

 

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臨床的脳死例

北九州市立八幡病院:虐待され死亡まで80日間

松石 豊次郎:小児の脳死、小児科、42(5)、880−887、2001

 北九州市立八幡病院において虐待による硬膜下出血により脳死判定された4.7歳児は死亡まで80日。

 

 上記と同症例とみられる、市川 光太郎:脳死と思われた小児10例の検討、小児科診療、62(3)、428−432、1999によると男児。自発呼吸・対光反射・角膜反射・人形の眼現象がなく、脳波測定・聴性脳幹反応での無反応所見(48時間以上の間隔で2度施行)による脳死症例。脊髄反射と思われる体動が周期的にみられた。

 家族の現状に対する受容態度は「不詳」。家族からは「可能性を求めて積極的に加療してほしい」との意志表示がみられた。虐待した義父は警察釈放後、面会あるも自主的発言なし、ベッドサイドで涙。

 

 

 

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臨床的脳死例

和歌山県立医大高度集中治療センター:8日間以上生存

中 敏夫:小児の脳死判定と補助診断としての99mTc-HM-PAO-SPECTの有用性、蘇生、11、97−98、1993

 4歳6ヶ月男児はファロー4徴症の根治術後4日目に瞳孔不同と痙攣が出現し、頭部CTを施行。多発性脳梗塞および脳浮腫をみとめ、その後臨床的に脳死状態に陥った。家族の強い要求により、術後16日昇圧剤の投与を中止、同日心停止。

 

 

 

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臨床的脳死例

三重大学病院:約55日間生存

羽場 喬一:キシロカイン局所麻酔医療事故例、法医学の実際と研究、33、275−279、1990

 4歳の男児が遊戯中転倒、右上腕骨顆上骨折を起こし整形外科医を受診した。.医師は局麻剤アドレナリン加1%キシロカイン液を約2時間の間に右腋窩に5回計44 ml注射したところ、けいれんから呼吸停止をおこした。.直ちに大学病院に搬送されるも意識回復をみることなく、55日後脳死状態で死亡した。

 司法解剖の結果、,脳は軟化・自己融解して血塊様泥状塊となり、灰白質・白質の別も困難、小脳は辛うじて赤紅色縞模様を認める。左右心室の筋は心筋線維萎縮し好酸球浸潤、左右両肺は気管支炎の像が認められた。

 

 

 

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臨床的脳死例

関西医科大学病院・救命救急センター:脳波フラットで治療水準を(無断で?)落とし続けたが、
死亡まで30日間、ドパミン中止後も7日間生存

 池田 佳代、谷渕 真理、榊 治子:脳死患児をもつ両親への対応、第20回日本看護学会集録−小児看護−、81−84、1989

 1988年9月1日、4歳男児は川へ転落して溺水。第3病日、自発呼吸消失、瞳孔散大、意識レベル300点、BSRフラット。第5病日、脳波フラットにて医師は脳死状態と説明した。第19病日、時折不随意運動あり。第27病日、ドパミン中止後も血圧60代低値で安定し、第34病日(1988年9月19日)に死亡。

 

 当サイト注:問題点

  1. 6歳未満の小児脳死判定基準が無い時代で、さらに無呼吸テストを実施していないのに脳死宣告したとみられる(第5病日)。第13病日の脳CTで脳底部出血を発見しており、救命治療を尽くした後の脳死宣告であったのか。
     
  2. 第5病日に家族が輸血を希望したが、医師は「脳死状態、いずれ心停止をきたす。輸血適応外」と拒否。第13病日、脳出血に対する手術を医師は拒否。第19病日にも家族が貧血に対して輸血を希望したが、「脳死状態にて輸血適応外、心停止きても蘇生しない」と説明した。
     
  3. 第5病日、頭皮上脳波がフラットになり大脳から脳幹部に向かって障害が進行していたであろう最も救命治療のポイントとなる段階で、人工呼吸器を自動制御のサーボ900Cから旧型CV2000に変更した。
     
  4. 第5病日に抗生剤を終了、第14病日に維持輸液のみに変更、第21病日に蛋白分解酵素阻害剤を中止、家族が治療に関して訴えなくなった第27病日にドパミンを中止など、一連の治療撤退は家族の承諾を得て実施したのか。
     
  5. 同施設における同様の他患者例あり

 

 

 

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脳死判定例

藤田学園保健衛生大:臨床的脳死の1ヵ月後に自発呼吸、死亡まで約半年

 石山 憲雄:小児脳死例(臨床および諸検査上脳死状態と診断されうる)の特殊性について、救急医学、12(9)、S477−S478、1988

 脳波上平坦波で臨床的には脳死状態と判定できた4歳男児は、脳波、ABSRは完全に消失するも1ヶ月後に一時的ながら自発呼吸を認めた。その時点でのCT所見上、脳幹部脳槽に異常な造影効果を認め、血管写上、intradural anastomosis (直訳:硬膜内の交通)を認めている。この症例は178日生存した。

 

 阿部 守、神野 哲夫(藤田保健衛生大学脳神経外科):脳蘇生と脳死、Geriatric Medicine、26(4)、501-507、1988

 「臓器移植」との関係で、「心臓死」か「脳死」かと社会的に大きな話題となっているが、実際の臨床に携わるものとしては,先に報告された、厚生省「脳死に関する研究班」の提示した判定基準で十分満足のいくものである。ただし、脳死判定基準に「小児例は除く」とあるように、小児の場合は確かに長期化し,不可解な臨床経過を辿る場合もあり、細心の注意を要する。筆者らも、脳死状態で178日間という、長期小児生存例の貴重な経験をもつので、一部の画像検査所見を含め提示する。
 入院時において、年齢を除けば「脳死」と判定できたが、生存期間中、脳波、聴性脳幹反応は全く平坦波でありながら、約1ヵ月後から一時的に自発呼吸を認めた。
 その時のCT所見は、入院時と比較すると、右脳幹周囲脳漕に著明な異常造影効果を認め、脳血管撮影ではintra-dural anastomosisとともに異常血管網が描出されており、さらにIMP-SPECTでは、脳表の一部を思わす所見を認めた。このような臨床経過ならび検査所見を含めた異常な現象については、今後の長期生存の脳死状態の病態解明の一助となると思われる。

 

 

 

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 臨床的脳死例

中央鉄道病院:66日間生存、体に触れると膝を立てたり手を動かした

村山 隆志:長期にわたって管理しえた脳死の1女児例、臨床小児医学、34(6)、329−337、1986

 4歳3ヶ月女児は、初診前日に寒気、頭痛を訴えた。入院当日、嘔吐、頭痛、全身硬直性痙攣が発来したため受診した。入院翌日に呼吸停止。眼底左乳頭浮腫、血管怒張、瞳孔散大、睫毛反射消失、対光反射消失、脳波上平坦波を認め、CT上頭蓋内出血を認めた。この時点で脳死あるいはそれに近い状態と考えたが、両親の強い希望もあり可能な限りの処置を行なうこととした。経過後半になって腹壁反射、あるいは脊髄反射が認められた。

 入院 3日目:血圧75(80)−60、脈拍95/分、体温36℃台に安定、体動まったく無く、反射はすべて無く、まったくダラリとしている。

 入院 4日目:前日とほぼ同様、午前中はっきりしなかったバビンスキー反射が午後(+)となった。

 入院 5日目:収縮期血圧が60以下になるためドーパミンをドブトレックスに変更した。しかし、脈拍は増加するが血圧に影響なかった。

 入院 7日目:尿量>輸液量のためDDAVP使用開始した。

 入院12日目:心停止が1度あったが、心マッサージで回復した・

 入院22日目:上肢はまったくだらっとしているが下肢が大きくびくつくような反射あり。

 入院23日目:CTスキャン

 入院29日目:体位の少しの変動でも血圧、脈拍に影響、体に掛けてあるタオルをめくるなどの刺激で反射的に下肢が動く。一時は右上肢も同様の動きを認めた。

 入院41日目:体に触れると膝を立てたり手を動かした。角膜混濁を認めた。

 入院45日目:眼球陥凹著明

 入院56日目:両下肢を伸展させてもすぐに屈曲位となる。便常時排出。

 入院66日目:心停止、剖検できず。

 


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