中央鉄道病院:66日間生存、体に触れると膝を立てたり手を動かした
村山 隆志:長期にわたって管理しえた脳死の1女児例、臨床小児医学、34(6)、329−337、1986
4歳3ヶ月女児は、初診前日に寒気、頭痛を訴えた。入院当日、嘔吐、頭痛、全身硬直性痙攣が発来したため受診した。入院翌日に呼吸停止。眼底左乳頭浮腫、血管怒張、瞳孔散大、睫毛反射消失、対光反射消失、脳波上平坦波を認め、CT上頭蓋内出血を認めた。この時点で脳死あるいはそれに近い状態と考えたが、両親の強い希望もあり可能な限りの処置を行なうこととした。経過後半になって腹壁反射、あるいは脊髄反射が認められた。
入院 3日目:血圧75(80)−60、脈拍95/分、体温36℃台に安定、体動まったく無く、反射はすべて無く、まったくダラリとしている。
入院 4日目:前日とほぼ同様、午前中はっきりしなかったバビンスキー反射が午後(+)となった。
入院 5日目:収縮期血圧が60以下になるためドーパミンをドブトレックスに変更した。しかし、脈拍は増加するが血圧に影響なかった。
入院 7日目:尿量>輸液量のためDDAVP使用開始した。
入院12日目:心停止が1度あったが、心マッサージで回復した・
入院22日目:上肢はまったくだらっとしているが下肢が大きくびくつくような反射あり。
入院23日目:CTスキャン
入院29日目:体位の少しの変動でも血圧、脈拍に影響、体に掛けてあるタオルをめくるなどの刺激で反射的に下肢が動く。一時は右上肢も同様の動きを認めた。
入院41日目:体に触れると膝を立てたり手を動かした。角膜混濁を認めた。
入院45日目:眼球陥凹著明
入院56日目:両下肢を伸展させてもすぐに屈曲位となる。便常時排出。
入院66日目:心停止、剖検できず。
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