信州大学:約40日間生存
田中 秀司:脳死と考えられながら長期生存した溺水症例、ICUとCCU、7(5)、513−517、1983
溺水の8歳男児は心停止約20分間。ICU収容時は深昏睡・自発呼吸停止、対光反射消失・瞳孔散大・平坦脳波を認めた。これらの所見は改善することなく経過し、第13病日以降は、昇圧剤なしでは血圧が極度に低下した。したがって日本脳波学会の基準により脳死と判定した。
しかし一般的な管理@人工呼吸A昇圧剤B利尿C輸液D合併症の治療で、第51病日まで心臓死に到らなかった(脳死以降後およそ40日間)。昇圧剤の点滴静注に血圧が反応したことは長期管理のポイントとなった。本症が長期化した背景に、患者の両親が脳死を死とは認めなかったことがある。またCTスキャンのすぐれた画像は、近親者への脳死の説得に有用である(当サイト注:「CTスキャンのすぐれた画像」は抄録の表現のままであり、田中氏らの見解。田中 秀司:CTを参考にして脳死と判定した2例、日本臨床麻酔学会誌、1(1)、235、1981も同症例かと思われる)。
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