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*尾谷 綾:閉じ込め症候群患者の看護について コミュニケーションの工夫、第43回京都病院学会集録、142、2008
60代男性は2007年12月11日入院、12月25日頃に「うなづき・首振り」ができるようになってきたので、《言葉カード》と《50音文字ボード》を作成した。
《言葉カード》は5cm×25cmの型紙に入院生活に必要な最低限の簡単な単語や文章をカードに書き、1枚1枚めくり伝えたい言葉があると「うなづき・首振り・まばたき」といった仕草で表現してもらうようにした。例えば「痛い」「かゆい」「ベッドを下げる」などである。これは看護者に早く伝えたい時効果があった。また、カードの内容は身体面のことからだんだん「車イスに乗る」「テレビをつける」「電気を消す」などの環境に関したものに広がっていった。
次に《50音文字ボード》を使い、「うなづき・首振り」などで伝えてもらい、その一文字一文字をホワイトボードに書いていき、言いたいことを文章にしていった。この方法では時間がかかるため自分で文字を示すことができないか考え、口に消毒用綿棒をくわえてボードの文字を示す方法を試みた。しばらくは綿棒をくわえることが難しく、指す文字にばらつきがみられた。上手く伝えられない事や理解してもらえない事などから、怒りや苛立ちを顔に出すようになった。このような状態がしばらく続いたが、リハビリを続けていくうちに綿棒もしっかりくわえられるようになり、少しずつだが四肢も動くようになってきた。リハビリで使用しているアーム・スリングをベッドの横に設置し、右手を吊り上げ固定することでオーバーテーブルに置いた《50音文字ボード》を上手く右手で指すことができ、自分の思いを伝えることができた。
その結果、言葉を発する事はできないが会話ができるようになった事で患者様だけではなく、家族も同様に喜ぶ事ができた。また、右上肢がやや上がり、示指がかすかに動くようになってきていたのでパジャマにナースコールを貼り付けると、かろうじて押すことができたが、貼り付けただけなので簡単に外れたり、位置がずれたりしていた。そこで右手にコールを握ってもらい、包帯で固定した。固定したことで安定し押すことが可能となり、昼も夜も問わず患者様自身でスタッフを呼ぶ事ができるようになった。 |