フライトジャケット作成講座
    第5章 <パッチの基本を覚えよう!(米海軍編)>

さて、フライトジャケットの花形と言えば、やはり米海軍でしょう。
このNAVYフライトジャケットを作りたい方は多いんでしょうね。
なにしろ、縦横無尽に張られたパッチの数々が、男の勲章のように輝いて見えるというのが、パッチに魅せられた方々の意見でしょうから。

米海軍のパッチフォーマット

でも、初心者にはハードルの高い部分が存在します。それは”パッチの構成”です。
おそらく、初心者の方々で一番判らないのが”何のパッチをどの様に付けたらいいの?”という部分でしょうからねぇ。

そこで、まずはシンプルにここまでは必ず決まってますよ、という部分をまずは解説いたします。
何事も、始めの一歩が肝心ですので、焦って先に進むよりも、基本を固めましょう。

(1)右胸に付くパッチ

米海軍のフライトジャケットでは、海兵隊と同じで右胸に付くパッチが直接所属する飛行隊のメインパッチになります。

戦闘飛行隊 VF 

・VF(戦闘飛行隊) 解散してしまいましたが、F-14トムキャットが充てられていました。
 艦隊防空などを主任務とする、戦闘専門部隊という位置づけになりますね。

攻撃飛行隊 VA 

・VA(攻撃飛行隊) 既に解散していますが、A-6Eイントルーダーや、A-7EコルセアⅡ等が充てられていました。
 攻撃を主任務としており、爆弾投下や、対地・対艦ミサイルなどを運用して、目標を攻撃する部隊です。

戦闘攻撃飛行隊 VFA 

・VFA(戦闘攻撃飛行隊) 最近ではF/A-18C/D/E/Fホーネットが充てられています。
 オールマイティな戦闘能力を持っている多目的部隊です。

電子攻撃飛行隊 VAQ 

・VAQ(電子攻撃飛行隊) 現在はEA-18Gグロウラーが配置されています。
 レーダーのジャミングや、逆探知、相手の電子装備偵察等、現代の電子戦術には欠かせない部隊と言えるでしょう。

警戒飛行隊 VAW 

・VAW(警戒飛行隊) E-2C・E-2C+ホークアイなどが充てられています。
 航空機による艦隊周囲のレーダー警戒を行う部隊です。時には航空管制を代行する事もあります。

哨戒飛行隊 VS 

・VS(哨戒飛行隊) 最近解散されてしまいましたが、元々はS-3Bバイキングが充てられていました。
 艦隊周辺の対潜哨戒を主任務にしていました。

哨戒ヘリ飛行隊 HS 

・HS(哨戒ヘリ飛行隊) HH-60オーシャンホーク、SH-60シーホーク等のヘリが充てられています。
 周囲警戒、不審船臨検など、現代のミッションには欠かせない存在になっています。

電子偵察飛行隊 VQ 

・VQ(電子偵察飛行隊) ES-3B、EP-3等の特殊偵察機が充てられていますが、空母航空団のVQは解散しています。

対潜哨戒飛行隊 VP 

・VP(対潜哨戒飛行隊) P-3Cオライオンが充てられています。
 主に、近海の哨戒活動、ソナーによる潜水艦情報の収集などを任務にしています。

輸送飛行隊 VRC 

・VRC(輸送飛行隊) C-2グレイハウンド等が充てられています。
 空母に対する補給、人員の移動輸送などを行います。

この他にも、サポート関連の飛行隊などがありますが、追々、ご紹介。

(2)左胸に付くパッチ

 左胸には、ネームパッチと空母パッチを付けるのが基本です。ネームタグと肩の上のラインにある縫い目の間が空母パッチの基本的位置になります。

 海軍の飛行隊には”空母航空団”(CVW)所属の飛行隊と、陸上基地での配置飛行隊が存在します。
 そして、空母航空団所属の場合は、その航空団が搭載される空母が存在します。

 例えば、厚木所属のCVW-5は、横須賀基地所属の”CV-63キティホーク”が所属艦ということになります。
 しかし、時期によってこの空母の配置と、CVWの配置の組み合わせが変わるという状況があります。
 その為、いつの時期のジャケットにするかで、この空母パッチが変わる可能性があります。

 もし、CVW-5の日本での部隊ジャケットを作成する場合は、日本に配置されていた空母になります。

”CV-41ミッドウェイ(1973-1991)”

”CV-62インディペンデンス(1991-1998)”

”CV-63キティホーク(1998-2008)”

”CVN-73ジョージ・ワシントン(2008-2015)”

”CVN-76ロナルド・レーガン(2015-2024)”

”CVN-73ジョージ・ワシントン(2024-)”

 のいずれかですので、時期によって5隻のどれが居たかを確認しましょう。

 ネームタグは、空軍同様、部隊専用の布製ネームと、革製のネームがあります。やはりフォーマルでは革ネームが使われるようです。
 革ネームのウイング形式は、エビエーターウイングと、NFOウイングの2種が主に使われます。

(3)右腕に付くパッチ

 右腕は、特に決まっていませんので自由に使っているようです。

 部隊の記念パッチですとか、航空機のパッチ、ミサイルの射撃経験がある方はミサイルパッチなどをつけている方が多いようですね。

 F-14時代ですと、三角のトムキャットの上面図を刺繍した部隊オリジナルのパッチなんかが多かったですね。
 F/A-18E/Fでは五角形のライノ上面図パッチを使っている部隊も結構あります。

(4)左腕に付くパッチ

 左腕に付くのは使用航空機のパッチです。F/A-18E/Fなどは”ライノ”のマスコットパッチが付きますし、
 F-14であれば、”・・・BABY!”なんて事を書いた、トム猫パッチが付きます。

(5)その他に付くパッチ

 海軍の場合、パッチに対する規定が少ない為、基本である上記4点を守ってあれば、ほとんど自由です。

 背中は、もう、表現の自由を満喫している方々が数多く見られます。

 海軍エビエーターの場合、着艦記録というのは勲章ですので、空母100回着艦等は付ける方がほとんどです。
 大抵はCWUの場合であれば、ポケットのフラップに付くサイズですので、その辺りが狙い目かと思います。

 また、”着艦トップテン”という制度があり、空母航空団でもっとも着艦の上手いエビエーターは表彰されます。
 その記念パッチも大変に名誉なので、付ける場合が多いです。
 これはサイズの関係で、ジャケットの袖部分などにも付ける方がいらっしゃいます。

写真

VFA-131のジャケット例

 これは、VFA-131WILDCATSのシンプルなパッチで構成したジャケットです。
 右胸にはVFA-131のスコードロンパッチ、左胸にはネームとCVN-73ジョージ・ワシントンのパッチ。
 右腕はF/A-18C/D”Ninja”パッチに、左腕はVFA-131部隊オリジナルF/A-18パッチです。

 この構成は、まったくの基本部分のみで、私の場合は、どんなジャケットもここから作成の考察を始めるようにしています。
 ここから年代を逆算していく訳ですね。(笑)

 このジャケットを着るエビエーターはどんな経歴でここにたどり着いたかと考える。
 これだけでも、結構ジャケットとしては決まっていると思いますけどね。
 ただ、あまりに考察が行き過ぎると、こうなる訳です。↓

写真

VFA-94のジャケット(正面図)例

 これ、全く同じジャケットです。その証拠に右胸のVFA-97の下にVFA-131が見えますね。
 そして、ネームもそのままですし、右腕のF/A-18C/D”Ninja”も同じ物が付いてます。
 初心者の方は、まず上のVFA-131のようなシンプルな構成を目指しては如何でしょうか?

 その後で、色々と変化を考える。その過程を楽しむのもジャケット製作の醍醐味だと思います。 背中をこういう風にキメテみるとか・・・。

写真

VFA-94のジャケット例(背面図)

 海軍のパッチに関しては、超老舗のダイヤモンド商会さんとか、ヤフオク、メルカリ、インターネットショップなんかで、
 かなり手に入れる事ができると思います。
 西海岸物だと、eBayとかも必要かもしれませんが。

 好きな絵柄のパッチを探すだけでも、楽しめるのが、海軍ジャケットの良さでもありますね。
 ( ^ω^)ノ

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