旅客自動車運送事業
他人の需要に応じて、有償で自動車を使用して旅客を運送する事業を旅客自動車運送事業といいます。旅客自動車運送事業には、特定の者の需要に応じて、一定の範囲の旅客を運送する「特定旅客自動車運送事業」とそれ以外の「一般旅客自動車運送事業」とに区分され、更に一般旅客運送事業は、「一般乗合旅客自動車運送事業」(路線バスなど)、「一般貸切旅客自動車運送事業」(観光バスなど)、「一般乗用旅客自動車運送事業」(タクシーなど)の区分に従い許可を申請することになります。
【一般乗用旅客自動車(タクシー)運送事業】
一般乗用旅客自動車運送事業の許可は、1人1車制個人タクシー(個人タクシー)や福祉輸送事業限定(介護タクシー)などその事業形態によっては許可基準が異なり、申請書類も多少異なるものがあります。以降は今後、需要が求められている介護タクシーの許可申請を重点にご紹介します。
一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送事業限定)
【介護タクシーの許可申請の流れ】
1.許可要件等確認及び必要書類の準備
2.申請書類の作成及び申請手続き
3.役員の法令試験
4.審査及び審査に基づく許可通知
5.許可書の交付
6.運賃等認可申請
7.車両の検査・登録
8.運輸開始届
【許可要件】
「人的要件」 | |
管理運営体制 |
@法令試験に合格した役員1名以上が専従すること A資格を有する運行管理者・整備管理者が常勤すること (ただし、5両未満は資格不要) B運行管理に関する指揮命令系が明確であること C連絡・点呼等が確実に実施される体制であること D事故防止についての教育及び指導体制が整っていること E事故処理及び報告等の責任体制その他緊急時の連絡体制及び協力体制が明確に整備されていること F適切な運行管理規定が定められていること F運転者に対する指導体制が確立していること G運転者に対する指導要領が定められていること H運転者に対する指導監督を総括処理する指導主任者が選任されていること I利用者等からの苦情処理に関する体制が整備されていること |
運転者 |
@事業計画にあった人数の普通2種免許を有する運転者の確保 A労働関係法令の規定に抵触しないこと B運転者が運輸規則36条第1項各号に該当しないこと C定時制乗務員を選任する場合は、適切な就業規則を定めること |
「設備要件」 |
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営業区域 | 原則、都道府県単位とする。 |
営業所 |
@営業区域内にあること A土地・建物について3年以上の使用権限を持っていること B関係法令の規定に抵触しないこと C事業計画に合った規模であること |
事業用自動車 |
@申請者が使用権限を有するものであること A車いすもしくはストレッチャーのためのリフト、スロープ、寝台等の特殊な設備を設けた自動車、又は回転シート、リフトアップシート等の乗降を容易にする為の装置を設けた自動車であること B Aによらず、セダン型等の一般車両を使用する場合にあっては、下記のいずれかの要件を満たした者が乗務する自動車 @(社)全国乗用自動車連合会等が実施する ケア輸送サービス事業者研修を終了していること A介護福祉士の資格を執していること B訪問介護員の資格を有していること C居宅介護従業者の資格を有していること |
最低車両数 | ・1営業所に1両以上の事業用自動車を配置 | 自動車車庫 |
@原則、営業所に併設 (ただし、併設できない場合は、営業所から直線で2km以内の営業区域内にあって運行管理をはじめとする管理が十分可能であること。) A車両と車庫の境界及び車両相互間の間隔が50センチメートル以上であること B営業所に配置する全ての車を収容できること C他の用途に使用される部分と明確に区画されていること D申請者が土地・建物について3年以上の使用権限を有すること E関係法令に抵触しないこと F自動車の点検、整備及び清掃のための施設が設けられていること G自動車の出入りに支障がない構造であること H前面道路が車両制限令に抵触しないこと |
休憩仮眠施設 |
@原則、営業所又は自動車車庫に併設 (ただし、併設できない場合は、営業所及び自動車車庫のいずれからも直線で2kmの範囲内にあること。) A事業計画に合った規模と適切な設備を有すること B他の用途に使用される部分と明確に区画されていること C事業計画に照らし、運転者が常時使用することができること D申請者が土地・建物について3年以上の使用権限を有すること E関係法令に抵触しないこと |
「資金的要件」 |
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資金計画 |
@所要資金の見積りが適切で、合理的な資金計画があること。 A下記の所要資金の50%以上、かつ事業開始当初に要する資金の100%以上の自己資金があること。 (1)所要資金は下記の各費用を計算します。 (イ)車両費 取得価格(未払金を含む)又は1年分のリース料等 (ロ)土地費 取得価格(未払金を含む)又は1年分の賃借料等 (ハ)建物費 取得価格(未払金を含む)又は1年分の賃借料等 (二)機械器具及び什器備品 (未払金を含む) (ホ)運転資金 人件費、燃料油脂費、修繕費の2か月分 (ヘ)保険料等 保険料及び租税公課(1年分) (ト)その他 創業費等開業に要する費用(全額) (2)事業開始当初に要する資金は下記のものを計算します。 (イ)車両費 (1)(イ)に係る頭金及び2か月分の分割支払金 又は、2か月分のリース料等 (一括払いによる取得の場合は、(1)(イ)と同額) (ロ)土地費 (1)(ロ)に係る頭金及び2か月分の分割支払金 又は2か月分の賃料及び敷金等 (一括払いによる取得の場合は、(1)(イ)と同額) (ハ)建物費 (1)(ハ)に係る頭金及び2か月分の分割支払金 又は2か月分の賃料及び敷金等 (一括払いによる取得の場合は、(1)(ハ)と同額) (二)その他 (1)(二)〜(ト)の合計額 |
「その他」 |
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・社会保険等の加入義務 ・申請者・常勤役員の法令遵守 ・損害賠償能力など |
上記許可要件は、九州運輸局の公示する審査基準を簡略して掲載していますので、多少誤解を招く表記が含まれている場合もございます。
審査基準の詳細につきましては、 ⇒ 国土交通省 九州運輸局 をご確認ください。
【許可取得後の届出】
一般乗用旅客自動車運送事業(福祉輸送事業限定)許可の有効期限はありませんが、自家用自動車有償運送許可は有効期限2年です。また、毎年5月末日までに輸送実績報告書及び移動等円滑化実績等報告書の提出が法定されています。
特定旅客自動車運送事業
介護タクシーに類似する事業として、「特定旅客自動車運送事業」の許可があります。これは、許可対象として訪問介護事業者や居宅介護事業者に限定され、さらに医療施設等との間の送迎輸送等目的地も限定されていますので、許可要件としては、「一般」よりも緩和されています。
自家用自動車有償運送事業許可
「一般乗用旅客自動車運送事業」又は「特定旅客自動車運送事業」の許可を取得した場合、その事業所に勤務する訪問介護員等が自家用車(白ナンバー)を使用して有償運送を行うための許可です。
福祉有償運送事業登録
経営の主体がNPO法人や医療法人、社会福祉法人等の非営利法人のみに限定される福祉有償運送事業登録もまた類似の制度です。
【当事務所の報酬額】
当事務所の一般的な報酬額は下記のとおりです。個別事案については別途お見積もりを提出いたします。
福祉輸送事業限定許可申請 | 法人・個人 | 250,000円(消費税別) |
特定旅客自動車運送事業 | 法人・個人 | 180,000円(消費税別) |
福祉有償運送登録 | 法人・個人 | 180,000円(消費税別) |
自家用自動車有償運送申請 | 法人・個人 | 50,000円(消費税別) |
実績報告書 | 法人・個人 | 30,000円(消費税別) |
【業務エリア】
当事務所の業務エリアは現在下記の区域となっています。なお、区域外に本店のあるお客様のご依頼に付きましては上記報酬額の他に別途日当交通費をご負担頂くことでご依頼に応じることは可能です。
熊本県 | : | 熊本市、八代市、人吉市、水俣市、八代郡(氷川町)、 球磨郡(錦町、あさぎり町、多良木町、湯前町、水上村、相良村、 山江村、五木村、球磨村)、葦北郡(芦北町、津奈木町) |
【ご依頼方法】
電子メール相談を除きご相談・ご依頼はお電話で受付けています。日程を調整した後に貴社にお伺いして許可申請までのご説明とお見積もりを提出いたします。了解頂けましたら業務に着手いたします。