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イタリアの音楽界に特異な才能で影響を与えつづけているバッティアート。デビュー当時はギターを抱えて歌っていたらしいのですが、私は学生時代、"FEED BACK" という初期作品4枚からのベスト盤(今の "LE ORIGINI" が、たぶん同じ内容だと思う)を友人に聴かせてもらって以来、好きになりました。その後しばらく実験的な作品を続けざまに発表しますが、このころリアルタイムには聴いていなかったのが私にとっては幸いしたかもしれません(笑)。現代音楽のカテゴリでの作品はその後も作りつづけますが、70年代の終わりから独特の持ち味のエレクトロニック・ポップな作品を発表し始め、その中の "L'arca di Noe" を聴いたのが私にとっては第二のバッティアートとの出会いでした。たぶん、これがピンと来なかったら、バッティアート作品とここまで付き合うことにはならなかったでしょう。最近の作品はどれも、ジャンルを超越かつ統合したバッティアート音楽の傑作です。ぜひ、多くの方にお聴きいただきたいと思っています。また、アリーチェをはじめ、多くのミュージシャンとの共同作業やプロデュース、楽曲の提供にも活躍しています。
*熱烈なバッティアート・ファン、本多氏のライブレポートはこちら!
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- FRANCO BATTIATO
- アルバム
- FETUS 72/CD/ITA/ITA ARTIS ARCD025
*本作は彼のデヴューアルバム。いきなりセンセーショナルな(タイトル通りの)ジャケット写真に驚くが、じつは内側の現代美術作品もなかなかすごかったのである(笑)。それはさておき、音のほうはと言えば、哀愁の漂うメロディーに、アコースティックな楽器と電子音やエフェクトが入り混じり、クラシックや日常音、アポロとの交信などをコラージュしたり、当時としては斬新な実験だったわけだが、今聞いても作品として古びていないのは、曲があくまでも暖かく美しく哀しいからだ。
- POLLUTION 73/CD/ITA/ITA ARTIS ARCD026
*バッティアートの2作目は、前作の延長線上にある、暖かみと哀愁の漂う歌に実験的な音響やコラージュがかぶさる構成になっている。前作と同様、時代を超えた音楽。
- SULLE CORDE DI ARIES 74/CD/ITA/ITA ARTIS ARCD036
*哀愁あるメロディに、そこはかとなく漂う地中海の香りが絶品。二曲目のサックスとパーカッションのかけあいもなかなか面白い。全体としては、初期の実験作の中ではおそらくもっとも詩的な美しさのある作品。
- CLIC! 74/CD/ITA/ITA RICORDI 74321585512
*初期4部作の中で買いもらしていたのだが、8枚組みボックスがバラ売りになっていて、ようやく入手できた。実験的な作曲が多いが、それはそれで面白いし、多彩な音遣いと叙情的なメロディが魅力。
- FOETUS (English version) 74(99)/CD/ITA/ITA VINYL MAGIC VMCD065
*ついに日の目を見た英語盤。顔の半分が年老いているという、これまた不気味なスリーブ写真。解説によると、アイランドレコードから出されるはずだったもので、イギリスでマグマやアシュラテンペルとコンサートをしていたのだが、自動車事故に遭って失意の帰国、この英語盤もお蔵入りとなったという。事故に遭わなければ、ひきつづきツトムヤマシタやジョンケージとジョイントしたらしい。英語で読んで分かったのだがこのアルバムコンセプトはやはり一筋縄ではいかないものだったのですねえ。それにしても、70年代前半のイタリアンプログレ全盛期、しかももともとそれほど「歌」で聞かせるアルバムではないのに、わざわざ英語盤を出さざるを得なかったというあたり、やはりあくまでマイナーな存在だったのだろう。PFMやバンコですらそうでしたものね。アレンジというか構成がオリジナルと少し違っていて、冒頭の子供の声もなし。英語をしゃべる赤ちゃんが調達できなかったからでしょうか。ちょっと寂しい。
- M.elle LE "GLADIATOR" 75/CD/ITA/ITA ARTIS ARCD041
*アルバムタイトルも、切腹に臨む武士の墨絵というジャケットも、意味不明な不思議さ。一曲目はこれまでの延長線上の、コラージュ&シーケンス風実験音楽。後半の二曲はパイプオルガン・ライブ。しかしここまでくるといささか実験色が濃すぎて、僕などにはちょっと苦しい。
- s/t(ZA) 77/CD/ITA/ITA ARTIS ARCD046
*完全に実験に入っちゃってます。全2曲で、特に1曲目は完全ミニマル。ピアノで単調な和音を延々と鳴らしつづけるのには、さすがに私も死にました(笑)。2曲目はちょっと面白い。変化があって、女性のヴォイスが入って、メロディーも美しい。でもいずれにせよ初心者は避けたほうがよいでしょう。
- JUKE BOX 78/CD/ITA/ITA ARTIS ARCD048
*副題によるとTV映画のサントラだが、一連の実験作のなかでは比較的聴き易い部類に入る。カッチャパッリャ、カミサスカ、ピオらが、声、ピアノ、バイオリンをフィーチャーした現代音楽を奏でる。
- L'EGITTO PRIMA DELLE SABBIE 78/CD/ITA/ITA RICORDI 74321585572
*これまた完全に実験です。ピアノでときどき和音を弾くというやつです。A・B面各一曲ですが、B面は連弾になりますがやはりときどき和音です(爆)。バッティアート初心者にはこれも勧めません。
- L'ERA DEL CINGHIALE BIANCO 79/CD/ITA/ITA EMI 0777 7 46796 2 6
*実験的な作風から、いわゆるバッティアート風ポップスへの転換を見せた、画期的な作品。ジュスト・ピオのバイオリンとオーケストラアレンジ、ラディウスのギター、ファーマーのベース、デ・ピスコポのドラムスなど、バックも豪華な実力派揃い。曲想もアレンジも案外素直で、ギターソロが渋いロックンロールナンバー、クラシカルなインストなどもあって、バッティアート・ポップスのクセに偏見を持っている人にこそ聴いていただきたい作品である。
- PATRIOTS 80/CD/ITA/ITA EMI 0777 7 46797 2 5
*時期的にはバッティアートがすっかり居直って?ポップスにはまり込んだ作品とでも言おうか。歌い方は淡々としているのに、アレンジは凝っている。この不思議な不整合感がバッティアート・ポップスの個性であり、引っかかりなのだと思う。名曲 "PROSPETTIVA NEVSKI" もあるし、バックのメンバーも豪華。しかし相変わらず一枚が短い(^^;。
- LA VOCE DEL PADRONE 81/CD/ITA/ITA EMI CDP7463572
*正直なところ最初一曲目を聴いたときはハズしたかと思ったが、チープなオルガン風の音も計算されていて、このキッチュさはかえって今風かもしれないと思えてくるほど。ユーモラスな "CUCCURUCUCU" も良いし、クラシカルな "GLI UCCELLI" や哀愁漂う "SEGNALI DI VITA" などは実に名曲である。いずれ劣らぬ、美しく楽しいバッティアート・ポップスが続く。ギターにアルベルト・ラディウスなど、バックも実力派。
- L'ARCA DI NOE 82/LP/ITA/DEU EMI 1C06418597, CD/ITA/ITA EMI 746798 2
*これはクラシカル・エレクトロ・ポップの傑作。ラディウスらのバックの実力、オーケストラサウンドの仰々しさ、わりとシンプルなリズムに、哀愁漂うバッティアート節と、今日に到るバッティアート・ポップスの基本形が完成している。"RADIO VARSAVIA" など本当に素晴らしい。
- ORIZZONTI PERDUTI 83/CD/ITA/ITA EMI 746799 2
*STUDIO RADIUSでの録音で、ミキシングはALBERTO RADIUS だが、前作と違って本作ではギターは使われず、プログラミングキーボードとパーカッションのみのバックとなっている。まるでバッティスティの晩年の作かと思わせるような出だしの6曲目などにはびっくりするが、しかし前作もわりとエレクトロニクスは前面に出ていたので、それほどノリが変わったわけでもない。エスニックな味付けが凝っていて、不思議なエレクトロ・ポップ・ミュージックになっている。
- MONDI LONTANISSIMI 85/CD/ITA/ITA EMI 746800 2
*前作でエレクトロニクスをバックにしたバッティアートだが、本作では再びバンドスタイルに戻り、オーケストラも付いている。格調の高さというか気品に満ちた仕上がり。録音はスタジオラディウスだが、ミキシングはなぜかロサンゼルスなのは、英語版("Echoes of...")の布石か。80年代バッティアート作品の中ではまずお勧めできる一枚で、"IL RE DEL MONDO"(この曲、大好きです!)や "CHANSON EGOCENTRIQUE" などなど、バッティアート自身もライブなどで繰り返し取り上げる名曲揃い。
- ECHOES OF SUFI DANCES 85/CD/ITA/ITA EMI 5 31629 2
*スペイン語盤は多く出しているが、ファーストアルバムで懲りたのか?英語盤は珍しい。もっとも、このアルバムにもスペイン語盤があるというのがナゾ。バッティアートの名曲の数々が、わかりやすい(・・・わけでもないが)英語で楽しめるので、気分転換にはよいです。"Mondi Lontannisimi" からの曲が多いが、雰囲気はオリジナルに及ばないというのが正直な印象です。しかしこの「自己中心の歌」の英詞の一節("I sing for EMI records...")・・・皮肉なのだろうか?
- GENESI - Opera in tre atti 87/CD/ITA/ITA WARNER FONIT 3984 27261-2
*バッティアートの作品ではクラシックジャンルのオペラだが、これが変化に富んでいてすばらしい作品。タイトル的にはキリスト教かと思ったがデザイン的にはより神話的であるし、サンスクリット、ペルシア、ギリシア、トルコのテキストを含み、ブックレットには旋回ダンスの写真もあって、何やら壮大なコンセプトのようだ。オーケストラやコーラスにコンピュータも加わっての演奏だが、あらゆる時期のバッティアート作品のあらゆるエッセンスが込められている。いわゆるクラシック音楽に抵抗のない人がバッティアートに触れるには絶好の一枚かと思う。
- FISIOGNOMICA 88/CD/ITA/ITA EMI 07777903142
*いつものバッティアート節に、アラビア音楽、クラシック風コーラスなど、彼の持ち味がそれぞれの曲にちりばめられています。わりとポップだし、最初に聴くのにいいかも。
- GIUBBE ROSSE 89/CD/ITA/ITA EMI 5 31631 2
*ジャケットの装丁から、なんとなくサントラか何かと思い込んでいて、聞き逃していた作品。かのシチリアのカンタウトーレ初のライブアルバム! とタイトルにまであるくらいなもので、すごいライブアルバムだった。最初は2枚組みだったようだ。M2, M8 といったドラマチックな名曲もすばらしいし、M9, M10といった初期アヴァンギャルド作品も新鮮なアレンジで聴かせてくれる。スタジオ盤でなじみの曲も、いずれも個性的に仕立て直されていて、バッティアートのライブの人気がわかる気にさせられる。ファン必聴の傑作。
- Musiche per il film su BENVENUTO CELLINI "UNA VITA SCELLERATA" 90/CD/ITA/ITA EMI 795620 2
*サウンドトラックなので曲は細切れだが、幻想的で実に壮大な現代音楽作品。といってもミニマルではなく、さまざまな展開を見せるので退屈しない。作曲、演奏、録音は作者によるとあるから、オーケストラやコーラスの音もサンプリングなのだろうが、なかなかそうは気付かせない入念なつくりである。カッチャパッリャのファーストが好きな人なら間違いなく気に入る美しさと奥行きである。
- COME UN CAMMELLO IN UNA GRONDAIA 91/CD/ITA/ITA EMI 0907981212
*今度は歌曲集に挑戦、というところなのでしょうか。オリジナル4曲にワグナー、ベートーベン等が4曲。他人の曲を取り上げるにしてもいきなりこれだから驚かされるが、聴いていて不自然さはない。たぶん、後のFLEURS路線はここで味をしめたあたりから出ているのだろう。
- CAFFE DE LA PAIX 93/CD/ITA/ITA EMI 82748229
*これはエスニック・ポップです。わりと聴きやすい方かも。
- GILGAMESH - OPERA LIRICA IN 2 ATTI 92/CD/ITA/ITA EMI CLASSICS 7547592
*ギルガメシュ叙事詩をオペラにしたもののようで、レーベルがクラシックであることからわかるように、現代音楽ジャンルの作品。美しいメロディが繰り返し漂い、壮大なオーケストラもコーラスも入るから、とても聴き心地よい。メゾソプラノはサカモト・アケミ。バッティアートもちゃんと衣装を着て参加している。
- MESSA ARCAICA 94/CD/ITA/ITA EMI 5551582
*これもクラシックジャンルで、ミサ曲。ギルガメシュと同じサカモト・アケミがメゾソプラノでソロをとっている。
- UNPROTECTED 94/CD/ITA/ITA EMI 724383164127
*バッティアートのライブって、どんな事やってるんだろうと思うと、オケをバックに淡々と歌っているのだ。どれもメロディーの美しさでは名曲ばかりだし、歌詞が分からないからということもあるが、ライブアルバムという意味ではもうちょっと変化が欲しい気もする。
- L'OMBRELLA E LA MACCHINA DA CUCIRE 95/CD/ITA/ITA EMI 832898 2
*これはすばらしい。エレクトロ・エスノ・クラシックなバッティアート・ポップスの、もっとも洗練された形がここにある。90年代後半によりロックンロールに突き抜けていく過渡的な作品と聴くもよし、しかしあるいはその気位というか気品においてはもっとも高みに立つ作品として聴き込むこともまたお勧めしたい。瑣末な事ながら、サンプリングではアレアのファーストのアラビア語の朗読と同じモノが使われていたり、邦楽で思わずマティアバザールを思い出したり、という楽しみもある。
- L'IMBOSCATA 96/CD/ITA/ITA MERCURY 534-091-2
*大傑作。ギリシア語の朗読からいきなりロックンロールなギターになる。スタイルとしてはわりとストレートな曲が多くてかっこよく、一聴したところでは聴きやすくさえ感じる。しかし、じっくりと曲作り音作りのワザを聴きこんでいくと、一分の隙もなく構成され練り上げられた、すごいアルバムだということが分かる。アントネッラ・ルッジェロが2曲参加。
- GOMMALACCA 98/CD/ITA/ITA MERCURY 558-907-2
*バッティアート風ポップスの集大成的大傑作。バッティアート風ポップスというのは、ちょっと他に比べられるものを思いつかないのだが、リズムはシンプル、メロディーはドラマティック、そしてやはり何と言ってもその音作りに特色があると思う。エレクトロニック、エレクトリック、アコースティックな楽器や音やエフェクトが、そしてクラシカル、ポピュラー、エスニック、アヴァンギャルド等の技法や発想やアレンジが、なんの境界もなく飛び交い、溶け合い、あるいはぶつかり合い、跳ね回る。これは面白すぎます。僕が聴いた98年モノでは一番かも。24ページの歌詞付きブックレットもかっこいい。
- SHOCK IN MY TOWN 98/CDS/ITA/ITA POLYGRAM 566 378-2
*公式サイトにある "SHOCK IN MY TOWN" のシングルはライブ2曲を含む4曲入りなのに、これはジャケットも色違いでライブ抜きの2曲しか入っていない。何かのプロモーション用だろうか。"STAGE DOOR -DEMO" は語り調のしみじみとした良い曲だが、アルバムには入っていない。それにしても剣道ジャケットの "IL BALLO DEL POTERE" のシングルが欲しい・・・。
- IL BALLO DEL POTERE 98/CDS/ITA/ITA POLYGRAM 566 706-2
*このシングル盤、上にも書いてありますが、剣道着のジャケットが気になってずっと欲しかったのですが、まず手に入らないだろうとあきらめていました。ところが、私がホームページで紹介しているあるアルバムが手に入らないかという問い合わせをイタリアから受けて、それがたまたま手持ちがダブっていたアルバムだったものだから、ウォントリストを見せたら、これなら手に入るという。偶然が重なってトレード成立、ついに手に入れることができました。ところが、これまた "SHOCK IN MY TOWN" 同様、公式サイトに載っているのは4曲入りなのに、これは2曲・・・。ジャケットも、公式サイトのものを見ると、こっちはちょっと横が短い。たぶん、この2枚のシングル、4曲入りが限定盤か何かで、デジパックかプラケース入りで出て、後からこれらの紙袋ジャケット2曲入りが出たかしたのでしょう。まあ、ラジオエディットだし、二曲目 "EMMA" はデモヴァージョンということで、それはそれでいいんですけど。というわけで、これらのシングル盤のそれぞれ4曲入り、引き続き募集中です(^^;。ところでこの剣道着・・・剣道をやっている妻&次男によると、前垂れの位置がおかしいし、袴が後ろ前だそうです(^^;。
- FLEURs 99/CD/ITA/EU MERCURY 546 775-2
*12曲中10曲が他人の曲で、うち2曲がファブリツィオ・デ・アンドレの作品なのは、追悼の意味もあるのだろうか。私はバッティアートの現代音楽っぽいヒネリの効いたポップスが好みで、「しっとりとした歌モノ」はこれまであまりしっくり来ていなかったのだが、このアルバムにはすっかり聴きいってしまった。選曲の良さはもちろんだろうが、最初は気づかなかったのだが、弦楽カルテットを含むバックがそれぞれ曲ごとに繊細かつ緻密に練られていて、決してうまいわけではないバッティアートのヴォーカルを実に渋く聴かせる。コテコテのイタリアンポップスファンにはウケないだろうが、純粋に歌好きの人に勧めてみたい作品。なお最後にはちゃんと例のバッティアート・ポップスのサービスを忘れていないのもうれしいです。
- CAMPI MAGNETICI 00/CD/ITA/HOL SONY CLASSICAL 89280 2
*これはすばらしい。なにやらバレエ音楽らしいのだが、このところ続いていたバッティアート・ポップスの追究は前作 "Fleurs" で落ち着いたと見えて、その成果を生かしつつ、あらためて現代音楽作品として高い完成度を求めた作品になっている。アンビエントな部分もあるが、ロックンロールもエスニックもありのバッティアート・ポップスのリズムやイディオム、哀愁のメロディも飛び出して、変幻自在、実に面白い作品になっている。ラストにラメールを歌っちゃうところは・・・相変わらずですなァ(^^;。
- FERRO BATTUTO 01/CD/ITA/ITA SONY COL 502295 2
*またまた文句なしの大傑作。もう何をやっても完璧ですねこの人は。作品としては "L'IMBOSCATA", "GOMMALACCA" の流れで、正直なところ似たようなメロディも出てきますが、今まで時々(わざと?)覗かせていたような隙や間延びがまったくないといってもよい完成度です。徹頭徹尾バッティアート・ポップス。コセンティーノ、ピスケトラやフィドリゴッティらのバックのほかに、ジム・カーなどもゲストでヴォーカルを聞かせます。赤と金を基調とするアートワークも怪しげで最高。
- RUNNING AGAINST THE GRAIN 01/CDS/ITA/AUT SONY COL 671129 2
*3曲入りCDシングルで、他に SARCOFOGIA 、前作から IN TRANCE 収録。いずれもアルバムと同じバージョンでした。デザイン買い(爆)。
- FLEURS3 02/CD/ITA/ITA SONY COL 508884 2
*んー、美しい。特別声がよいとか歌がうまいということもないのに、なぜ惹かれるのだろうか。選曲のよさ、アレンジの稠密さ、一つ一つの要素が完璧に仕上げられていて、そこにいつものバッティアートの声が乗るというだけで素晴らしい。PFMの "IMPRESSIONI DI SETTEMBRE" 、驚きの "Sealed with a kiss"、BATTIATO - SGALAMBRO の "COME UN SIGILLO" ではアリ−チェとのデュエットなど、選曲のユニークさに聴き所もいっぱいです。
- LAST SUMMER DANCE 03/2CD/ITA/ITA SONY COL513706 2
*満を持してという印象の2003年夏ライブツアー二枚組。ロックバンドと管弦楽を引き連れての贅沢な構成で、バッティアートの世界をたっぷりと堪能できる。一枚目は比較的新しい曲を、アルバムに忠実なアレンジで、二枚目は80年代からの名曲を中心に、迫力ある演奏で盛り上げる。聴衆が手拍子で歌っちゃってるのはバッリョーニのライブだけじゃないんだ(^^;と、バッティアートのライブの人気を納得。あえて言えば、アルバムの構成として終わりがあっさりしているのは拍子抜け。余計な演出なしと考えればむしろよいことだが。SACD盤もあるようだ。
- DIECI STRATAGEMMI 04/CD/ITA/ITA SONY COL 5185565 2
*イタリアに注文したら品切れで再プレス待ち、日本で輸入盤買ったほうが早かった。日本人が買い占めたか(根拠なし)。「10の戦略」とは思わせぶりなタイトル。毎度M1はつかみバッチリの重めの曲で納得しているとM2はびっくりもの。三味線風の音に日本語が出てくるが、ネタは中国か? でもこれすごく感動的な曲。なんだか涙でそうで。繰り返し聞いてしまう。他の曲には英語やドイツ語も使われている。ロックンロールのりの曲もこなれた感じでよりかっこよく聴き心地よし。いつものことだが捨て曲なし。M10リリースの極端に長いピアノと朗読でシメるあたり渋い。音楽は35分あまりで短めだが、ライブ、クリップ、朗読のビデオトラック3つが入ったハイブリッドで飽きない。というか、ちょうどよい感じかもしれない。スリーブのアートワークもカンペキ。バッティアートとズガランブロの機内写真があるのだが、ロックミュージシャンには見えないやなあ(ロックミュージシャンではないか)。
- UN SOFFIO AL CUORE DI NATURA ELETTRICA 05/CD+DVD/ITA/ITA SONY 82876741632
*フィレンツェで開催されたネルソン・マンデラ・フォーラムで行われたライブということで、CDとDVDのセット。なおパッケージはCDデジパックとDVDトールケースの2タイプがあるらしい。私のはCDタイプ。このライブもまたかっこいいのだ。モノトーンでまとめられたステージセットに、一瞬手甲姿の税務署のオヤジと見まがうみたいなファッションも、よく見ると実に渋くおしゃれで、短めヘアのバッティアートが、かつてないほどリラックスしているように見える。ストレートでハードなアレンジで、ヴォーカルも含め "DIECI STRATAGEMMI" とほぼ同じメンバーがバック。このバックの若いロックバンド、特に "CUCCURUCCUCCU" でヴォーカルもとるタートルネックのテレキャス弾きのおにいちゃんがめっちゃかっこいい。ヴォーカルの女性もまた個性的。"VOGLIO VEDERTI DANZARE" あたりのオーディエンスとの掛け合いも盛り上がり、 "CUCCURUCCUCCU" で絶頂に。時折さしはさまれるビデオも面白い。
- IL VUOTO 07/CD/ITA/ITA MERCURY 1722972
*これまでのアルバムが傑作でなかったわけではない。しかしこのアルバムは確かに、いまのところ、バッティアートの最高傑作である。7曲目を除いて、バッティアートとズガランブロのコンビによる作品。1曲目を聞けば、このアルバムがこれまでのバッティアートの近作の延長上にあることがすぐにわかる。しかしすでにこの曲からして、さらに完成度があがっていることに驚かされる。歳を重ねて自己完結に陥ることなく、若い力を取り入れるところもさすがで、このアルバムでも、FSCに加えて、UZEDAやMABというバンドが加わっている。UZEDAもかなり激しい音だが、MABにいたっては女性ばかりのスラッシュメタル?みたい(なんたってリーダーの名前がサイコ・ジェレミーですぜ!)で驚くが、クレジットを見る限り7曲目の、チャイコフスキーとトルストイの「それは早春のことだった」でバッティアートと歌っているのもこのおねえさんたちなのだが・・・何やらせちゃうんでしょうまったく。全体に、音作りや構成でさらに突き抜けた印象で、オーケストラ、ロックバンド、エレクトロニクスの面白いところ、快いところを、きわめて巧妙に融合させている。3曲目で生ギターを際立たせたり、6曲目でモンゴルのホーミーをコラージュしたり東洋風のメロディを漂わせたり、そして9曲目のラスト、70年代すら思い出させられそうなクラシカルでエレクトロニックな響きでアルバムを結ぶ流れ、まさに感涙モノだ。この密度の濃さで空虚 "il vuoto" とは、やってくれますね!
- ビデオ
- DAL CINGHIALE AL CAMMELLO THE VIDEO COLLECTION 1979-1992 04/DVD/ITA/EU EMI 724354442698
*装丁は同時期に発売された3枚組みベストアルバムに似せているが、中味はこっちは断然おすすめ。ヴィデオクリップが25曲入りで、トルコあたりのロケがふんだんに使われ、イスラームな香りがバッティアートの味をさらに豊かに楽しませてくれます。曲間のブリッジにコメントのテロップが出るなど、構成も凝っているようだ。
- CONCERTO DI BAGHDAD 06/DVD/ITA/ITA EMI 9463593649
*ついにDVD化された幻の名演。92年バグダッド国立劇場での、イラクの子どもたちのためのチャリティ・ライブ。イタリアとイラクのオーケストラをバックに、絨毯に座るひげもじゃのバッティアートが歌う。最後はかわいい女の子をステージに招いてイラクのトラッド。
- LA CURA LIVE 04(97)/DVD/ITA/ITA UNIVERSAL 982 022 9
*1997年、"L'INBOSCATA LIVE TOUR" の模様を納めて発売されたビデオのリマスターDVD版。80年代から90年代の名曲の数々を、弦楽も含めた豪華なバックバンドを従えて、背広姿で歌う。女声ヴォーカルのニコラウォーカースミスもすばらしい声だ。ズガランブロも朗読で登場。どの曲も、アルバム以上に厚みのある演奏ですばらしすぎ。新たに追加されたオマケのビデオクリップも一つ一つ個性的で面白い。"La cura" は映像が実に美しい。"Shock in my town" 剣道着の着方はやはりめちゃくちゃだった。それにスネが丸見えだって。
- ベスト盤、企画盤等
- 1974 SULLE CORDE DE ARIES & CLIC 73&74/CD/ITA/ITA RICORDI CDOR8128
*3枚目と4枚目からのベスト。
- SHADOW, LIGHT 96/CD/ITA/ITA EMI 8372342
*HEMISPHEREというワールド・ミュージック・シリーズ(なのかな?)の一枚として発売された、90年代のベスト盤。収録曲は名曲 "MESSA ARCAICA" 全曲他、英語対訳にライナーノーツもついてかなりお買い得(というか、彼の通常のアルバムの収録時間は30分台が多いので・・・(^^;)。
- LE ORIGINI 96/2CD/ITA/ITA BMG 74321 383052
*かつて "FEED BACK" のタイトルでLPで出ていた、初期4枚からのベスト。オリジナルアルバムとミックス違いなどがある。初期作品のエッセンスが詰まっているのでおすすめ。
- BATTIATO STUDIO COLLECTION 96/2CD/ITA/ITA EMI 7243 8 53555 2 3
*リマスターということだが、特に聞き比べていないのでどれほど音がよいかは分からないが、2枚組み31曲、80年代から90年代半ばまでの幅広い作品が選ばれている。代表曲も万遍なく拾われていて、ベスト盤として納得のセレクション。
- BATTIATO LIVE COLLECTION 97/2CD/ITA/ITA EMI 821157 2
*ちゃんと聞き比べていないのだけれど、クレジットを見る限り、"GIUBBE ROSSE" と "UNPROTECTED" の二枚のライブアルバムをまぜこぜにしたもの。「コレクション」というにはいささか安易なつくりだが、お買い得には違いない。
- LA CONVENZIONE 03/CD/ITA/ITA DA1008
*これはファンにはうれしい、バッティアート関連のアルバム未収録のシングル曲などを集めた、40分あまりのミニアルバム。バッティアートの曲は紛れもなく70年代初期の音なのだが、シンプルなリズムがシングルを意識していたとしたら微笑ましい。カミサスカの曲が、一つ一つに叙情的な深みがあってこれがなかなかよい。オサージェ・トリーベの曲はギターバンド風ロックなのだがやっぱりちょっとヘン。最後にタイトル曲の97年の再演が入る。企画盤には違いないが、曲がかなり楽しめるのでお勧めです。
- PERDUToAMOR 03/CD/ITA/ITA SONY COL511235 2
*なんとバッティアート監督の映画作品"PERDUToAMOR"のサウンドトラック。予告編を見る限りでは、どうもシチリアを舞台にしたバッティアート自身の半生記のようなものではないかと思うのだが、違っていたらごめんなさい。バッティアート自身の曲は、"FLEURS3" から "PERDUTO AMORE" と "BEIM SCHLAFENGEHEN" の2曲で、新曲はない。"SETU SAPESSI" や "SIGILLATA CON UN BACIO" は、"Fleurs3" ではバッティアートが歌っているが、こちらはおそらくイタリアでのオリジナルなのだろう。あとはダリダやニールセダカなどのポップス、クラシックなど。バッティアート関連で言えばSgalambroの "Non dimenticar..." なんかなかなかよい。あくまでもこれはサントラで、バッティアートのアルバムとして聴こうとするのは無理だけれど、"Fleurs" などで見せてきた選曲センスそのものを楽しむならば、元唄がそのまま聴けるということで、これはこれで興味深い。
- LE STAGIONI DEL NOSTRO AMORE 03/2CD/ITA/EU UNIVERSAL 9814558
*これは面白い盤が出ました。二枚組みで、一枚目は比較的最近の作品からのリマスター・ベスト16曲。問題は二枚目で、何と60年代の最も初期のシングル曲のリマスター10曲に、97年ツアーの映像が3曲。初期シングル曲は残念ながらコンプリートとは行かないが、それでも貴重な音源で、バッティアートの出発点を見極められる。ビデオトラックも見もの・聞きもの。ノーネクタイのスリーピーススーツでフラフラして歌う様子は、本当にイカレタ大学教授みたいです(^^;。ファンにもマニアにもうれしい組み合わせ。
- THE PLATINUM COLLECTION 04/3CCCD/ITA/EU EMI 8646982
*この3枚組みベスト、スペイン語盤から二曲、英語盤から一曲取り上げているほかは、オリジナルアルバムからで、全53曲。しかもCCCD。価格は安く設定されているようだ。"L'era ..." から "L'ombrello..." までのアルバムからの選曲で、ブックレットにはその間のディスコグラフィやカラー写真が満載(歌詞はなし)というわけで、ついつい買ってしまった。しかし私にとっての初物はスペイン語盤からの2曲だけ。もちろん名曲ぞろいではあるが、CCCDでもあるし、ベスト盤として積極的にお勧めしたいものではない。
- THE PLATINUM COLLECTION 2 06/3CCCD/ITA/EU EMI 9463593562
*3枚組みベストの第二弾。スペイン語バージョンが5曲、3枚目はライブ(おそらく"GIUBBE ROSSE" と "UNPROTECTED" から)。CCCD。
- FREQUENZE & DISSOLVENZE 06/2CD+2DVD/ITA EMI 94638065029
*スタジオ、ライブそれぞれのベストモノに既発売の "DAL CINGHIALE AL CAMMELLO" と "CONCERTO DI BAGHDAD" の2本のDVD、合計4枚組のセット。二つ折りの曲目リスト以外、解説も歌詞まったくないのだが、パッケージとしてはコンパクトでデザインも上品だから、ダブらないヒトにはCD二枚分ほどの価格で超お買い得であるが、CDほとんどそろえていてDVD二枚とも持っている人には無用の長物。それにしてもこの手のベストを立て続けによく出すわ。
- トリビュート等
- BATTIATO NON BATTIATO 96/CD/ITA/ITA POLYDOR 529 206-2
*これは楽しめる作品集。知らないアーチストも少なくないが、さすがにこうして集められるだけあって、どの曲も個性豊かにアレンジされていて飽きさせない。音響系の作品の多くはおおむねバッティアートのオリジナルに遠く及ばないというか、単につまらなくしたような印象。バッティアートに近い感じで美しいのは Luca Madonia の "Summer on a..."、DE-MO "Segnali di vita" など。CSI や Bluvertigo もいかにもな出来。一方、この手があったかと思わせる解釈で楽しいのが Yo Yo Mundi "Il re del mondo", Kaballa "Voglio vederti danzare" など。Carmen Consoli や NADA trio の聴き心地のよさもうれしい。
- VOLI IMPREVEDIBILI - TRIBUTO A FRANCO BATTIATO 04/CD/ITA/EU NUN 0150402
*個人のトリビュートというか「BATTIATOを歌う」アルバムはいくつかあったが、これは16人/グループによるトリビュートアルバム。16曲中、2004年のものが10曲、よく知っている(ちょっと意外な)人もいれば、あまり聞いたこともない人もいる。あまり聴いたことのない人には、エレクトロニックなものがわりと多く、これはもともとのバッティアートのアレンジと引き比べることになるので、なかなか個性を感じさせるのは難しいかもしれない。こうなると CARMEN CONSOLI や PAOLA TURCI は味わい深い歌でさすがに聴かせる。知らない人だが FILIPPO CATTI とか LELE BATTISTA, ピアノをバックに歌い上げる GIUNI RUSSO あたりも、バッティアートのメロディのよさをうまく昇華している。旧録では ALICE(03), BLUVERTIGO(98), PFM(02), CSI(96) など、錚々たる顔ぶれ。これらはどれもさすがの貫禄。
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関連盤 |
ALICE,
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BLUVERTIGO,
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"THE DIFFERENT YOU",
"LETTERE CELESTI",
"MAGIC BITPOP vol.8",
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"TRIBUTO A FABRIZIO DE ANDRE'",
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