NON FARTI CADERE LE BRACCIA 73(01)/CD/ITA/ITA BMG 74321 862562 *ギターやマンドリンなどでEUGENIO BENNATO、ピアノやオーケストレーションにROBERTO DE SIMONE の名前などが見える。とはいえNCCP風というわけではなく、素朴な明るさのある歌モノで、敢えて言えばマカロニウェスタン風か。
I BUONI E I CATTIVI 74(01)/CD/ITA/ITA BMG 74321 872292 *金ぴかリマスター盤で音は良いが解説も歌詞も何にもなし。タイトルは「善人と悪人」。トニ・エスポジトやエウジェニオも参加、オーケストレーションはロベルト・デ・シモーネ。アメリカナイズされたカントリー風に基調があるようでいて、地中海風だったり歌劇風だったり、独特の搾り出すようなヴォーカルが、色々な曲想に乗って自在に歌い上げる。
LA TORRE DI BABELE 76(04)/CD/ITA/ITA BMG 82876624422(1) *TRYLOGY'S BOX を某店で見かけて、廉価版だとときどき1000円を切ることもあるイタリアン・ポップスの旧盤3枚セット、売れ残って3000円を切ったら買おうと思っていたら、やはりバーゲンプライスで2200円位で買えたのでしめしめです。箱の中身は紙ジャケといってもペラの厚紙の袋兼用で、こりゃやはり一枚千円以上出して買うようなブツではありませんでした。かつての GOLDEN COLLECTION のつもりで開けると拍子抜けします。でも盤のほうはなかなかよいです。いきなりなじみのしゃがれたヴォーカルとアメリカンな響きでいつもどおりだねえと思いきや、"Ma chi e'" なんて面白い曲があったりもして、やはりこの個性は捨てがたいものがあると思いました。
BURATTINO SENZA FILI 77(04)/CD/ITA/ITA BMG 82876624422(2) *TRYLOGY'S BOX に収められた一枚。相変わらずアメリカンなギターとハモニカ、聞きなれた甲高く響く独特のヴォーカル。このアルバムでは "Dotti, Medici e Sapienti" という歌曲風の曲がユニーク。
SONO SOLO CANZONETTE 80(01)/CD/ITA/ITA BMG 74321 845542 *アルバムの数が多いので、なかなかこの人はどういうミュージシャンと言ったらよいのかまだ分からないのだが、単にアメリカナイズされた歌でもない。これはバックにイタリアのジャズロック系で知られた面子が並び、癖の強いヴォーカルがオールディーズやポップのパロディであるかのように、ありがちな展開を壊していく。"ROCKOCCODRILLO" なんて癖になるユーモラスな曲があるかと思えば、そのあとは急に歌曲になったりするのだ。とにかく楽しいし、他には見当たらない作品である。
THREE ODES 84(02)/CD/RUS/SWE ELECTROSHOCK ELCD030 *アルバムの存在は知っていたが、これはリマスタリングされてようやく発売されたCD。かつての「西側」諸国にとっては幻となった、モスクワオリンピックの開会セレモニーのための作品。歓声なども入っているが、まさにその時のライブ録音なのかどうかは分からない。壮大なシンフォニック組曲で、シンセサイザー、バンド、コーラスなどのバランスもよく、メロディも流麗で "Wormth of the earth" で少し感じたような泥臭さもなく、素晴らしい。タルコフスキーのサントラもの(こちらもリマスター再発された)と対にして楽しむべき傑作。なおアルバムの表記は "EDWARD ARTEMIEV" になっている。
WARMTH OF EARTH 85/CD/RUS/FRA MUSEA FGBG4309AR *アルテミエフは私の認識では「タルコフスキー映画のサントラを作っていた現代音楽家」である。一般に知られたのは、モスクワ・オリンピックの開会式の音楽担当としてであろう。もうけっこう高齢のはずだ。しかしこの作品は、女声ヴォーカルとブーメラン・アンサンブルというロック・グループによって演奏されていて、シンフォ系プログレとして完成度の高いアルバムになっている。シンフォ系といっても歌は力強いし演奏力は確かだし、音的にはやや泥臭いところもあるのだが、一曲一曲に変化があるのみならずそれぞれ奥行きも広がりもあって、非常にしっかりした聴き応えがあり、満足感が大きい。
SOLARIS, THE MIRROR, STALKER 90/RUS/JPN EVA WWCX2021,(02)/CD/RUS/SWE ELECTROSHOCK ELCD012 *タルコフスキーが死んでから、わたしはあまり映画を見なくなってしまった。わたしは自分が映画好きだと思っていたのだが、実は映画が好きだったのではなくて、タルコフスキーが好きだったのかもしれない。さて、これはタルコフスキーの三つの映画からのサントラ編集盤で、さらに「アンドレイ・タルコフスキーに捧ぐ」という、すばらしいオリジナル曲入り。シンセサイザーもののサントラということでイメージする腑抜けたようなムード音楽とも陳腐な電子音楽とも違って、あくまで冷徹で深みのある曲として、一つ一つが美しく煌いている。さらに、正直なところ細かい場面までは思い出せないところもあるが、印象に焼き付いているタルコフスキーの映像が次々に浮かんでくるものだから、聴いていて本当に身震いしてしまうのだ。ストーカーのテーマ、ソラリスの帰還などはもう感無量。 P. S. レム逝去の知らせを聞いてしばらくして、エレクトロショック盤を見かけたので、つい買い足してしまいました。
THE ODYSSEY 97/CD/RUS/SWE ELECTROSHOCK ELCD008 *このアルバムはつづりが EDWARD ARTEMYEV だ。コンチャロフスキー監督のスペクタクル映画オデッセイのサントラ。民族風、現代音楽、さまざまに展開し、オーケストラルでスケール感もよくて申し分なし。やはりアルテミエフはサントラがよいなあ。
A BOOK OF IMPRESSIONS 02/CD/RUS/SWE ELECTROSHOCK ELCD018 *んんーすごく気持ちいいー。要はシンセサイザ音楽で、70年代から90年代まで幅広く集められた作品集ということだが、ふわふわ鳴っているだけのようでいながら、やはりそこはアルテミエフ、ソラリスのサントラやカッチャパッリャのソナンツェに匹敵する奥行きと美しさがある。
EDUARDO BORT
EDUARDO BORT 75/LP/SPA/SPA FONOMUSIC 84.2780 *スペイン・プログレの名盤の一つ。そんなにスペイン臭くはないのですが、かといってイギリスにもイタリアにもフランスにもこういう音はないでしょう。迫力の生ギターに、ややハイトーンでときどき危なっかしいが美しい(しかしかなり怪しい英語の)ヴォーカルは、全体に「サイケ風」ではあるが、力強さや明るさが「いわゆるサイケ」とは違う。エレクトリックギターもメロトロンもミニムーグも大活躍、スピード感はそれほどないものの、テクニックやアンサンブルは手堅いし、メロディや音作りは相当個性的だがヘンではないし、プログレには間違いない。一度聴くと忘れられなくなるタイプのバンドですね。録音も結構よいです。ところで私が手に入れたのは直輸入盤の新星堂の帯がついているLP。新星堂がこういう形でプログレの名盤を扱っていたのは知りませんでした。
HILDEGARD OF BINGEN - THE HARMONY OF HEAVEN 95/CD/USA/USA BISON TALES 001 *ガルマルナのアルバムで知って以来、すっかり気になっているのがビンゲンのヒルデガルト。哲学者であり、音楽家であり、医学にも詳しく、修道院長ということもあってか教皇をはじめとする教会の権威者や国王らとも文通している。このアルバムで歌っている人はヒルデガルトを長らく研究してきた音楽家ということで、これは彼女のライブツアーの録音である。この音がクラシックなのか古楽なのか、そういうジャンルでどういう評価を得ているか分からないが、ひたすら単旋律をあくまでも美しくしっとりした声で歌い続けるのは私などには驚異だ。もちろん気持ちよすぎて眠ってしまいます。
ELVY SUKAESIH
THE RETURN OF DIVA CD/IDN/JPN SME SRCL2371 *インドネシア・ダンドゥットの歌姫。久保田真琴プロデュース。まさかこんなところで「恋のフーガ」に再会するとは・・・。
LE JOUR OU LES VACHES... 74/LP/FRA/JPN ATLANTIC NOTE01L(WPL24) *フランスのプログレの伝説のミュージシャン。他の作品も含めてなかなか手に入らないのだが、セカンドアルバムの日本盤(出てたんですねえ・・・)の中古LPをようやくゲット。音楽劇のような味わいはアンジュやモナリザを思わせるところもあるが、それらのどこかのどかでエスプリな感じとは違って、これは思い入れの強い歌といい、緊張感のある演奏といい、凄絶な悲壮感が覆っている。
DANS QUEL ETAT J'ERRE 79/CD/FRA/? EBCD02 *ブーズの2〜4枚目がCDで出回ったのだが、正規盤ではないらしい(Not for sale. Promotional use only とある)。この作品は、あいかわらずこのヴォーカルの濃さが私にはちょっとキツいのだが、ロックウッドのバイオリンはじめ演奏の緊張感が凄すぎ。
ENGLAND
GARDEN SHED 77/CD/GBR/JPN VICTOR ERC32004 *イギリスの幻の「最後のプログレッシヴ・ロック」。70年代のプログレ、という意味でなら、これは分かる。70年代半ばの、イエスやジェネシスの音である。達者な曲と演奏で、単なるコピーバンドと斬って捨てるにはもったいないことは確かだが、90年代の今となっては、色彩感やスピード感がなさすぎて、当時のイエスやジェネシスのアルバムのような、古びていない魅力というものがあるかどうかは、僕には分からない。
ENID
AERIE FAERIE NONSENSE 77/LP/GBR/GBR EMI INS3012
TOUCH ME 79/LP/GBR/JPN KING K22P510
SOMETHING WICKED THIS WAY COMES 83/LP/GBR/JPN KING K22P505 *エニッド、もしくはロバート・ジョン・ゴドフリーは、クラシック風の曲をクラシック風に演奏してしまう。これはロックをクラシック風に演奏したりクラシックをロック風に演奏したりするタイプの「シンフォニック・ロック」とは違うと思う。"AERIE FAERIE NONSENSE" あたり、ジャケットもきれいだし、嫌いではない。
81-82 06/CD/ITA/ITA WARNER 5051011-4590-2-3 *ブルガリア出身らしい MONI OVADIA という音楽家を中心とし、イタリアで活動した二つのグループ、"Gruppo Folk Internazionale" と "Ensemble Havadia'" がロルケストラレーベルに残した全仕事がCD再発。こちらは2in1になっている。最初のアルバムは、オーケストラのチューニングから始まり、哀愁たっぷりのメロディと重厚なアンサンブル、魅力的な女声ヴォーカルに、まず引き込まれる。歌詞が分からないのが残念だが、何が飛び出すか分からないシアトリカルな展開と、多彩な楽音が弾けるクラシカルな響きは、大いに楽しませてくれる、水準の高い作品。後半は一転して、カリブ風からハットフィールド風までなんでもありの、軽妙でありながら重厚、シリアスさとコミカルさが同居する、目くるめくも正体不明な超絶音楽になる。呆気に取られるとはこのことでしょう。いやあ参りました。
KEY FIGURES 94/CD/SWE/SWE AD PERPETUM MEMORIAM APM9403AT *サムラのドラマーを始め、ギター&ベース、キーボード、バイオリン、クラリネットの5人編成。クリムゾンやマグマにも通じるヘヴィ・プログレッシブで、テクニックは凄いしレコメン系の硬派の音なのだが、クラリネットの響きのせいかどこか温かみもあって、たいへん心地よく乗れる作品である。お勧め。
SCAPEGOAT 98/CD/SWE/SWE TAP RHCD12 *ギター、クラリネット、ドラムス、バイオリンという4人組みで、ドラムスはサムラの HASSE BRUNIUSSON 、ほかに TOMAS BODIN, STOMU IMAZAWA, STEFAN KARLSSON がゲストで一曲ずつ加わっている。サムラ系というよりは、バイオリンやギターが「太陽と戦慄」である。敢えて言えばクリムゾンがちょっとサムラしてみました、というところで、音も曲も凝りに凝っていてたいへん面白い。
GARMONBOZIA 00/CD/SWE/SWE TAP RHCD25 *前作の内ジャケがそのまま外のデザインになっていて、ぱっと見たときはブートかと思った(^^;。前作と同じメンバーで、ゲストに TOMAS BODIN, STEFAN CARLSSON (あれ、前作と綴りが違う(^^;)が2曲ずつキーボードで参加。少し肩の力が抜けてきたような余裕も感じられるが、相変わらず緊張と不安をかき立てるメロディとアンサンブルに引きずり込んでくれる。
ID 70/CD/ITA/JPN KING KICP2391 *ディチョッチョがドラムスで参加。ビートポップスからサイケの影響を受けるころのイタリアの音。怪しげなドラムスとメロトロンらしきフルートのタイトル曲からスタートするものの、中身はヴォーカル曲になる。いわゆるラブロック的なベタな感じではなく、やや乾き加減の、軽快でポップな、サージェントペッパーあたりを意識した造りで聴き心地が良い。
TO ASTERI KI HE EUKHE 98/CD/GRC/GRC WEA 3984 25821 2 *紙ジャケなんだけど、ひまわり畑で夜空に浮かぶ地球を見上げるこの絵、すごく気に入った。どういう人なのかはわからないが、たぶんバイオリンを弾く作曲家。キャロライン・ラベルが何曲か参加しているから、私の言うところの美麗残響系にゅうえいじモノ(^^;の恐れは多少感じていたのだが、オーケストラによる大仰にセンチメンタルでメロディアスな映画音楽風の似たような曲がここまで並ぶとさすがに・・・。ただしラベル参加のアレクサンドリアという曲はエスニックな雰囲気の歌モノでかなりよいです。
OCCHI 96/CD/ITA/ITA WARNER 0630-16031-2 *T氏お勧めのフィナルディ、本作はさらに落ち着きと色気のあいまった声を聞かせてくれます。レコーディングはミラノとニューヨークです。バックの音も今風でけっこう演奏が目立っているのに、この声質で埋もれないのはさすがの巧さ。カッコイイおやじだ。曲も味のあるのが多いが、ワタシ的には "Dopo l'amore" がイチオシかな。月並みな表現ですが燻し銀のような味わいです。
IL SILENZIO & LO SPIRITO 03/CD+DVD/ITA/ECC EDEL 0152938ERE *今までT氏にさんざん勧められてきたフィナルディですが、いまいちピンときていませんでした。でもこれを聴いてワタシの中でフィナルディは突き抜けました。傑作です。というか、感動の名盤です。正直なところ、フィナルディの声はあいかわらずで、それ自体はあまり好みではないのです。しかし、ここではバッティアート、デアンドレ、レナードコーエンのカバー、トラッドのアレンジから、なんとバッハまで、ピアノとアコギと笛、チェロが入った古楽風のすばらしいアンサンブルで地中海の風を吹かせてしまっていますから(インストナンバーあり)、そこに割り込む力んだダミ声、もうこれはたまりません。この流れの中でM8のソウルフルなヴォーカルを聴くと、コントラストが強すぎて却ってすっきりと聴けて、ここでフィナルディのヴォーカルが「うまい!」ということに気づくのです。DVDでは本番までの毎日のリハーサル風景、メンバーのインタビュー、一向に上達しないビリヤード、そしてもちろん6曲分のライブ映像まで見られます。この歴史のありそうな洋館(療養所?)がまたすばらしい(そのサロンでのライブ録音なのです)。これでイメージもつかめて二度というか二倍、三倍おいしいです。
MYTH OF THE CHRYSAVIDES 88/LP/ITA/ITA EWLP01 *イタリアンプログレッシブの遅れてきた実力派。オフィシャルサイトもあるし、最近2作目がボーナス入りでCD化されたしで、まだがんばっているのかもしれない。これはデビュー作だが、メロディがすこぶる良い。曲想も幻想味と迫力の取り合わせが絶妙である。演奏もテクニカルで悪くないのだが、ヴォーカルの存在感がやや曖昧だ。頑張って凝ったこともしているのだが、力不足の感。全体としてはやや小味のイエスといったところだが、なかなかの傑作には違いない。
ANCIENT AFTERNOON 90/LP/ITA/ITA ANGEL MF005 *2作目。雰囲気はずばり昔の PFM や MAXOPHONE ですね。英語で歌っていますが、ポンプっぽさもまったくなく、流麗で美しい、スケールの大きな正統派のプログレッシヴ・ロック。曲も演奏もツボを押さえていて、ちょっと悔しい気もするが、抵抗できない(^^;。新しいデザインでCD化されたようだ。