BOUND BY THE BEAUTY 89/CD/CAN/USA REPRISE 9-25942-2 *プログレのアーチストとの繋がりがきっかけで、プログレのファンに好まれている女性シンガーが何人かいるが、センス的にはほとんど「プログレじゃない」人も少なくないような気もする。まあよけいなことかもしれないが。ところでこのカナダのシンガー、曲的にも歌的にも彼女のセンスはかなりプログレッシブである。彼女が牛を引きながらあっちこっちを歩くヴィデオクリップが昔あって、曲名は忘れてしまったがたいへん気に入っていた。牧歌的でさわやかだがどこかとぼけた味わいや、歌詞も個性的で、大好きなシンガーである。
AERO 04/CD+DVD/FRA/EU WARNER 825646185122 *ジャケット写真を見てまるでイルヴォーロのファーストじゃんと思いつつ手に取ったら、最新のミキシングでサラウンドが聞けるようにしたセルフカバーバージョンみたいなものなのかと、好きな曲が並んでいるので、DVD付きにしては格安中古だったので買ってみた。ファンから寄せられたイメージ写真がたくさん掲載された洒落たスリーブなので期待してDVD見たら、ジャケット写真そのままで、ずっと「イルヴォーロのファーストのジャケット」(笑)。最後に目を閉じたときにはまぶたがケイレンしてましたよ。というわけでいくらなんでもな映像でしたが、サラウンド持ってないのでわかりませんが、聞き心地のよいベスト盤としては十分お買い得かも。
OLIAS OF SUNHILLOW 76/LP/GBR/JPN WP P10192A, (06)/CD/GBR/USA WOUNDED BIRD WOU8180 *たくさんソロやコラボもあるが結局これに尽きるのではないか。ジャケットもすばらしいし、ストーリーコンセプトの構成、楽曲のバリエーションもなかなか。ヴァンゲリスも参加。繰り返しずいぶん聴いたアルバム。 P. S. *某店のサイトにはリマスターとあるがまさにその某店で訊いたらリマスターではなさそうですがよろしいですかと訊かれた。06年ライノ製なんだけどどこにもリマスターの表示はないし、LPしか聞いたことがないので音のよしあしがわからない(が、あまりぱっとしない音質だとは思う)。ブックレットのちっちゃな写真はスリーブにあるし、目のよい人なら歌詞も読めるでしょう。30周年だし来日もするようだから紙ジャケリマスターを希望というところだけれど、欲を言えばデカジャケでほしいね。でもそれはLPがあるからいらないか。うーん。まあとにかく、これはすばらしいね。
DREAM THEORY IN MALAYA LP/GBR/JPN POLYDOR 28MM0089 *あやしいトランペッター、ジョン・ハッセルの幻想的な作品。ジャケットも美しい。
JON HASSELL & FARAFINA
FLASH OF THE SPIRIT 89/CD/GBR/CAN INTUITION CDP7-91186-2 *ジョン・ハッセルに因んで一応イギリスモノにしたが、ファラフィナはブルキナファソのバンドで、ブライアン・イーノやダニエル・ラノワがプロデュース、録音はアメリカで行なわれている。ハッセルの好きな新世界モノで、ハッセルのトランペットとファラフィナのパーカッシヴな音の掛け合いが快い。
JOSE CID
10000 ANOS DEPOIS ENTRE VENUS E MARTE 78(94)/CD(in a LP jacket)/PRT/USA ART SUBLIME ASCD1194-005 (MARQUEE 9452S) *アイドル、ジャズ、プログレ、ポップスと渡り歩いたポルトガルの国民的歌手が、プログレ時代に残した逸品。見開きジャケットになんだかありがちなSF小説にインスパイアされたという物語のカラーイラストが折り込んであって、アートワークは量的には豪華(質的には・・・フラワーパワー風がむしろ今的?)。もとの意匠を尊重してLPジャケットをサイズも再現しながらのCD再発というのは気合が入っている。英語版の解説リーフレットもカラー写真入りでついているし。これによると、英語で歌うバンドのコピーから入って、ポルトガル語で歌うポップスを認めさせたパイオニアのようで、このあたりは非英語圏ではどこでも事情は似ていると思われる。マスターの後半部をうっかり消しちゃってやりなおしとか、コストに難色を示すレコード会社とか、数奇な運命をたどった作品の話も泣けます。今はすっかりポルトガル系ポップスの大御所らしい。で、この作品だが、イタリアあたりの70年代プログレの典型的な仕上がりになっている。そんなにテクニカルではないがアレンジがかっちりしていて、泣き系のメロディが美しい。もちろんムーグがうぃんうぃん、メロトロンがうわんうわん鳴ってます。内容的な連想もあるのだがオルメのフェローナエソローナあたりを思わせる。
LORENZO 1999 CAPO HORN 99/CD/ITA/ITA MERCURY 546 178-2 *今更ですが、イタリアン・ラッパーのジョヴァノッティのヒット作。私はラップといっても昔ランDMCくらいしか興味を持って聴いたことがないので、果たしてこれがラップとしてどういう作品なのかは分からないのだが、一曲目あたりを普通の歌モノのように聴いてしまって、そのあとも流して聴いていると、確かにぺらぺらとイタリア語が並んでいることに時折気づくことは気づくのだが・・・なんだか、私が勝手に抱いているラップのイメージにはそぐわない。ベースやドラムスが普通に(というかかなり)うまいし、AORな雰囲気のオーケストラも生で録っているから、ローファイなどそれらしいエフェクト処理が施されていても、音楽的に十分に聴けてしまう。ちょっと後半は正直なところ飽きてくるが・・・これ見よがしのサンプリングやわざとらしい盛り上げのない、これだけ聴き心地の良い音楽をラップと呼んでよいのなら、私もラップ、そこそこ好きかも。
LORENZO LIVE AUTOBIOGRAFIA DI UNA FESTA 00/2CD/ITA/EU SOLELUNA 542 972-2 *2枚組みのライブ。中古で450円で落ちていたので買い。ワールドものの中古評価はなんとも低い。買うときはこういう思わぬ拾い物に出会うからよいのだが、中身の評価を考えれば複雑な気持ちである。さて本作は特殊ジャケットに匂い付きの分厚いブックレット(ただしアートワークはいささかチープ)、通し番号の付いた2枚の会員証までついていて遊び心十分。超人気アーチストだけあって、一緒に歌ってしまう会場の盛り上がりはすごい。ラップといっても、少なくとも音的には攻撃性がほとんどなくて、ゆったりとしていて聴き心地は悪くない。しかしやはり言葉の分からない私には、"Per te" のような曲らしい曲はよいが、ほとんどが同じように聞こえてしまい、ちとつらい。
NE PARLONS PAS DE MAHLEUR 86/LP/BEL/BEL IGLOO IGLO 042 *相変わらず比類のない美しさとユニークさで、徹底してチェンバーの可能性を追求する彼らの傑作。すばらしい。
LE RETOUR DU CAPTAIN NEMO 92/CD/BEL/FRA IGLOO IGL089 *"A NEUF" から6曲と "NE PARLONS PAS DE MAHLEUR" から4曲、それに新録音が2曲のベスト盤。美しい世界がたっぷりと堪能できます。まず一枚という方にはお勧め。
LE PAVILLON DES PASSIONS HUMAINES 00/CD/BEL/BEL IGLOO IGL0152 *何とジュルヴェルヌの再結成盤である。やはりこれはチェンバーロックではなく独自のチェンバーミュージック。歌なしは寂しいが、その分さらに洗練の極み。典雅、重厚にしてかつ真の意味でユーモラス。この高貴な遊びに付き合う楽しみが再び訪れたのである。
VIETATO AI MINORI DI 18 ANNI? 73/CD/ITA/JPN PHILIPS UICY-9114 *ストレンジデイズ企画の紙ジャケシリーズ、オルメやイビスなどの定番は聴いたことがあるのだけれど、このバンドは、名前が名前なので聴いたことはなかった。で、買ってみたのだが、かなり良いではないですか。あくの強いヴォーカルは好き嫌いがあるかもしれないが、バンコやPFMを思わせる雰囲気やアレンジもときおり顔を出して、当時のイタリアの音がぎっしり詰まっている感じだ。
LA FINISTRA DENTRO 74/CD/ITA/ITA ARTIS ARCD028 *BLA BLA から発表されたたぶんデビュー作。シングル時代のバッティアートやクラウディオ・ロッキの初期作品あたりに近い、アジア風味のサイケデリックな音。キーボードにバッティアート、プロデュースはバッティアートとピーノ・マッサラ。
TE DEUM 88/LP/ITA/ITA EMI 7915291 *バッティアートらとよく仕事をしている多才なアーチスト、カミサスカの、よく分からないのだが中世の古歌を歌った作品のようだ。ジャケットのイコンもカミサスカの名がクレジットされている。カミサスカの他にソプラノとコーラス、キーボードとコンピュータという編成で、奥行きのある典雅な作品。
IL CARMELO DI ECHT 91/CD/ITA/ITA EMI 090 7972022 *Massimo Spinoza との共同プロデュースで、スーパーバイザーには Mauro Pagani の名があり、Walter Calloni, Paolo Costa らのバック。アレンジ的にはクラシカルというかシンフォニックな方向でありながら、カミサスカの声が聴きやすく、メロディアスな美しくドラマチックな佳曲が並ぶ。バッティアートのポップ系とクラシック系の中間のような雰囲気。けっこう沁みます。