SENZA FRONTIERE 94/CD/ITA/ITA KALIPHONIA KRC008 *デウス・エクス・マキナと同じレーベルなので、アヴァンかなと思って聴いたら全然違った。ギターが主でフルートも入る叙情派プログレといったところ。近い感じなのはキャメルあたりか。シンフォっぽい音作りだが曲がダラダラしていなくて変化もあり、メロディもベタ甘でもなく、演奏もそこそこ上手いので、さわやかに聴ける。
TALKING HEADS
REMAIN IN LIGHT LP/GBR/JPN PHONOGRAM RJ7691 *イーノのプロデュースで、イーノとバーンのコラボレーションの強力さを感じさせる名作。
STOP MAKING SENSE VC/GBR/JPN RCA RPBT1021 *ジョナサン・デミ監督による、コンサート・ライブ・ビデオの常識を覆した傑作中の傑作。確か吉祥寺だったか渋谷だったかで公開されたとき見に行って、完全に参った。ライブが「映像作品」になる、ということに素直に感動しました(デミ監督と言えば NEW ORDER の "Perfect Kiss" のビデオクリップもクール!でした)。ラジカセと生ギターを持って登場するデヴィッド・バーンのかっこよさから、ほとんど無彩色のセットと衣装に浮かび上がる表情や動き、そしてもちろん演奏と映像が、見る人を釘付けにします。でもこれベータのテープで、だいぶ痛んでしまった上に、ついに手持ちのベータのデッキがオシャカに・・・(T^T)。
STOP MAKING SENSE WIDESCREEN 84(99)/VC/GBR/USA PALMVHS3015-3 *15周年記念再発売、DVD版もある。ワイドスクリーン版を買ったが、映像も音もリフレッシュされているようで、あらためて感動。ただしボーナストラックは、かつて持っていた日本盤「完全版」に収録のものと同じものだった。私にとっての「カッコよさ」の基準はこの作品だ!ということを再確認した次第。ラジカセとギターでセット未完成のステージが始まり、ヴァリライトぐるぐるの時代にスポット一個手にして影絵を作っていた演出の大胆さ! ジョナサン・デミもデビッド・バーンも最高です!
DE L'AUTRE COTE DE LA FORET LP/FRA/FRA ARCANE 87014
TARKAN
AACAYIPSIN 97/CD/TUR/TUR ISTANBUL PLAK CD005 *ついに "SIMARIK" の入ったアルバムの日本盤も2000年5月に発売が決まったようだ。たまたま見つけたこのトルコ盤らしきアルバムは少し前のもので、フランス盤も出ているようだが、本格的なヴォーカルアルバムだ。生ギターの力強いカッティング、イエスのロンリーハートを思わせる歯切れの良さ、深い憂愁漂うバラード、エキゾチックなシンセサイザーとコーラスの掛け合い、民族音楽と西洋音楽の楽器のクラシカルな響き合い、・・・さまざまな表情を見せながら展開する、素晴らしい作品だ。音楽的伝統からすればいわゆる欧米など翳んで見えるトルコの実力が、ポップミュージックにもごく自然に現れていると感じる。どんなに西洋のテクノロジーやイディオムを用いても、西洋の物真似ではなく、西洋を呑み込んでしまうのだ。この力はすごい。
VILLANELLE POPOLARESCHE DEL '500 78(05)/CD/ITA/ITA LUCKY PLANETS LKP552 *またまたやってくれましたラッキープラネッツ。幻の?ファーストソロアルバムの再発です。といっても、音楽監督はエウジェニオベンナート。ですから一連のソロアルバムよりはムジカノヴァにつながる流れです。ミュージシャンもベンナートにデリエンツォらが参加。とにかく声が瑞々しい! 最近の彼女の声しか聞いたことのない人は、認識を新たにするのでは。アコースチックな伴奏も練達の技巧を響かせます。音がよいのにも驚きました。ムジカノヴァファン必聴。
TERESA DE SIO 82/CD/ITA/ITA POLYGRAM 558 378-2 *リマスター盤が出ていたので買ってみた。音質最高。おそらくこれはセカンドアルバムだと思う。一曲目の "VOGLIA 'E TURNA' " は彼女の代表曲だと思うが、いい歌である。彼女の独特の歌い方がたっぷりと堪能できる。
AFRICANA 85/LP/ITA/ITA PHILIPS 824 810-1
TOLEDO E REGINA 86/CD/ITA/ITA MERCURY 830 542-2 *この人の声を、聞いたことのない人に説明するのは難しい。ほんのりと甘く暖かいのにきらきらと明るく、しかも自在にびりびりと共鳴する・・・。あえて洗練されることを拒んだ、絢爛な声とでも言うか・・・まあとにかく一度聞いてください。好き嫌いはあると思いますが、うまさという点で納得しない人はいないでしょう。ポール・バックマスターの指揮でオケがつく曲も、少ない楽器でしっとりとまとめる曲も、それぞれ彼女の声が本当に生き物のように音楽にまとわりつくのです。なんと怪しくも力強いのでしょうか。
SINDARELLA SUITE 88/CD/ITA/ITA PHILIPS 834 301-2 *6作目のアルバム。明るくきらびやかな音作りが、はりのある声を引き立てている。小曲は、メロディ的にはややマンネリに感じられるところもないではないが、16分あまりの組曲 "LA STORIA VERA DI LUPITA MENDERA" は、語りやミニマルな演奏、アンビエントな響きが織り交ぜられた異色作。
LA MAPPA DEL NUOVO MONDO 93/CD/ITA/DEU CGD 4509-93545-2 *9枚目のアルバム。生ギターやピアノなどの素朴な響きに彼女の声がよく引き立つ。歌い上げるとアクの非常に濃い声なので、これくらいのしっとりした情感がバランスよくて、けっこう好きなアルバムである。
UN LIBERO CERCARE 95/CD/ITA/DEU CGD 0630-11376-2 *10枚目のアルバム。コラージュ風のジャケットの写真の雰囲気がとてもよいのだが、中味もその通りで、肩の力を抜いて楽しめる曲が並ぶ。タイトル曲ではファブリツィオ・デ・アンドレ、M6ではフィオレッラ・マンノイアも歌う。ヴィットリオ・コスマ、マウロ・パガーニなどなど、サポートメンバーもあいかわらず豪華。
A SUD! A SUD! 04/CD/ITA/ITA LUCENTE LUCE009 *旗持ってギター背負ってタイトルも「南へ! 南へ!」・・・この勢いに一瞬、引くが、中味はすばらしく充実。自作曲やダンジオの曲が並び、それはもう勢いに乗ったアレンジで、巧みに歌い聞かせる。「南の」曲が好きな人には無条件におすすめです。ベンナートファミリーは元気だ!
PACE E MALE 04/2CD/ITA/ITA MANIFESTO CD132 *この人たちは誰? バンド名は「木の頭=ばか」という意味のフランス語。一枚目は超本格派の演奏力にフレンチなセンスでアヴァンジャズともエスノポップスとも決めがたく、曲はオリジナル中心にデアンドレ、ブラッサンス、レオフェレなんかもあり。ピッキオ風に聞こえるところもあったり、パガーニのヴァイオリンがしんみりと泣いているM10やデアンドレのM11は絶品、CD2はライブも含み人声を多用して徹底的にアヴァンギャルドに展開し、さらに只者で無さを突きつける。
ORFEO 9 72/2LP/ITA/ITA FONIT CETRA - VINYLMAGIC LPP427 *TITO SCHIPA JR. 作詞作曲による、ポップ・オペラということだが、オーケストラ指揮に BILL CONTI、ナレーションやキャスト、演奏に LOREDANA BERTE、 RENATO ZERO、 TULLIO DE PISCOPO といった名前が見える。かなり大掛かりな作品のようで、ストーリーが分からないのでいささか印象が結びにくいものの、キーボードの音などに当時のイタリアのプログレシーンの息吹が感じられる。
IO ED IO SOLO 74(06)/CD/ITA/JPN ARCANGELO ARC-7144 *名盤の名高い一枚がついに紙ジャケCD化。バンドにオーケストラ、ファルセット風のヴォーカルで、アラン・ソレンティやマウロ・ペローシに通じる、しかしそれほど陰鬱でもない情緒的な雰囲気は、私の好みではないのだが、70年代イタリアの濃い味を味わえる。
PROCESSIONE SUL MARE LP/ITA/ITA NUMERO UNO ZSLN55686
STORIE D'AMORE CON I CRAMPI 96/CD/ITA/ITA SONY CGM481720 2 *映画のサントラで、ヴォーカルも担当している SASA FLAUTO という人との共作曲が多い。前半は歌モノ、後半にはインスト部分をメドレー風にまとめたものが入っている。どういう映画かわからないが(舞台はアフリカの砂漠で二組の若いカップルが主人公かも)、音楽はアコースティックでなかなかよい感じだ。
GLI OCCHI DI UN BAMBINO 73(03)/CD/ITA/ITA BMG 82876544112 *マルチ・キーボーディストであり、おそらくクラシックの素養も深いと思われ、オーケストラも導入された作曲やアレンジがとても凝っている。ピアノやオルガンのプレイは申し分なくテクニカルかつカッコイイ。しかしコンセプトや歌い方からは非常にソウルフルなものが感じられて、クラシカルな曲の合間にもろゴスペルな曲もあったりでそれはもう個性的。音楽的な品位の高さも含め、当時の作品群の中でも際立って存在感のある一枚。
TRÄD GRÄS OCH STENER
AJN SCHVAJN DRAJ 02/CD/SWE/SWE SILENCE SRSCD4758 *「木と草と石」というこのバンド、69年にバンド名タイトルのアルバムを出しているが、その後活動があったのかどうかわからない。謝辞の羅列の中に「孫」まで含まれているところや、ギター2本、ベース、ドラムスの四人というあたりまえな構成からは想像のつかない、怪しい音楽を紡ぎだすバンド。サイケやアヴァンギャルドには当然繋がるが、この冷たく深い湖にたゆたうような、鋭くもけだるい雰囲気はなんだろう。案外、クリムゾンあたりが好きな人にいけるかもしれない。英語とスウェーデン語、それに一部だがなぜか日本語の解説もついていて、意味も字体も比較的自然な日本語で、落款まで押してある(印影は読めない)。とにかくナゾのバンドである。
TRANSIT EXPRESS
PRIGLACIT 75(01)/CD/FRA/FRA PIANO BASS MUSIC PBME03 *ようやく3枚のアルバムがCD化された。これがおそらくデビュー作なのだと思うが、とてもそうは思えない。オーソドックスな四人編成のジャズロックで恐ろしくタイトな演奏である。といっても、音がびっちり詰まっているというのではなくて、たとえばピアノだけが淡々と鳴っているようなところでも息を呑むような美しさがあったりする。
OPUS PROGRESSIF 76/LP/FRA/USA PETERS PILPS9015 *かつて日本盤で聴いて以来ずっとご無沙汰だったのだが、アメリカはなつかしのピーターズ盤でようやく再会。あらためてこの硬質な、がっちりとしたジャズロックを堪能すると、「天然色」の軽みが実は計算され尽くしたものだということがよくわかる。
LOU PAROUR ??/LP/ITA? (no number) *アルプス地方の民俗音楽を演奏する。アルバムとしてはこのバンド名ではファーストらしい。ジャケットは見開きでオールコーティングとなかなか綺麗で立派だが、発表年もレコード番号も入っていない。後年の作と比べてあまり構成に凝っていないので、素朴な歌声と演奏が楽しめる。
ROUMIAGE 86/LP/ITA/? OC004 *なにやら家庭生活の一こまのような始まりから、透明感のある女声ヴォーカルと暖かな演奏が心楽しませてくれる好盤。CD化された "A TOUN SOULEI" よりもはっきりとトラッド寄りで、和やかな雰囲気。バランスやまとまりはむしろこちらのほうがよい。
LOU PAN CROUSIA 89/LP/ITA/ITA JUMP OC005 *語りがずいぶん入るので、まったく内容を理解していないが、やはりおそらくはストーリー仕立ての作品なのであろう。トラディショナルではあるがどちらかといえば演劇性を感じる。前作の延長上にある作品。
A TOUN SOULEI 95(02)/CD/ITA/ITA TARGET/VINYL MAGIC VM CD 074 *長らく品切れで悔しい思いをしていましたが、VM2000シリーズとしてついに再版。旧作もCD化されたら幸せなのですが。フランスとの国境に近いあたりの民族音楽バンドらしく、言葉もフランス語ともイタリア語とも違う独特の方言。ゲストの豪華さで有名なアルバムですが、そんなことよりも中身が抜群。というのも、聴き始めはいかにもトラッドらしく、少女風のヴォーカルがなかなか愛らしい、などと思っていると、タイトル曲M3はまるでシンフォ系、続いてELPじゃあるまいしの歪んだオルガンロック、次はジャズ風のバック、といったあんばい。ムシーダのギターのアルペジオをバックにデ・アンドレ夫妻の掛け合いが美しいM7など涙モノ。他にはタゼンダ、アラン・スティヴェール、ガブリエル・ヤクーブなど有名どころも。もちろん、基本はトラッドなのですが、この面白さには脱帽です。ところでスリーブの写真の男の子が連れている動物は何でしょうか(妻に見せたら、ロッキーチャックじゃないの、と申しておりましたが)。
SININEN AJATUS 88/LP/FIN/FIN OLARIN OMLP14 *共鳴胴のある小型ハープ?のような民族楽器カンテレ奏者のアルバム。これまでバンドの中の一楽器としては耳にしてきたはずなのだが、一曲だけタブラが入っているほかはカンテレのソロであるこのアルバムを聴いて、改めてその味わいを確かめることができた。響きは儚げだが、表現力は奏者の技量もあって実に豊かで、一つ一つの曲毎にさまざまに、移ろい易い時や人々の営みに想いをいたらせる雰囲気がある。