SAINT JUST 73/LP/ITA/JPN KING NAS1421 *アラン・ソレンティの姉ジェインのバンドで、ロベルトフィックスやトニ・エスポジトも参加、アランもバックヴォーカルとミキシングで協力している。ジェインの物憂げで透き通った声が淡々と流れ、ピアノ、パーカッション、サックスなどが通りすぎて行く。ジャケットの妖しい雰囲気通りの、クラシカルで物悲しい音だが、アランのアリアほど悲壮ではないし、アヴァンギャルドな味付けも聴き応えのある作品。
LA CASA DEL LAGO 74/CD/ITA/ITA MELLOW MMO194 *セカンドアルバム。完全に独自の世界を作り上げていて、70年代イタリアンの典型的な「名盤」には違いないが、中でも情緒的なメロディがやや聞き手を選ぶかもしれない。
SALIF KEITA
KOYAN CD/MLI&GBR/JPN POLYSTAR P30D10012
SALLYANGIE
CHILDREN OF THE SUN 68/LP/GBR/GBR TRANSATLANTIC TRA176 *サリーとマイク・オールドフィールド姉弟のフォークバンド。きれいな声のお姉さんがいていいですね。
CHILDREN OF THE SUN 68(02)/2CD/GBR/GBR SANCTUARY CMDDD545 *なんとボーナスCD付きで再発。オリジナルデザインの紙ケース入りで、CDケース内のスリーブは再発デザイン。目玉はボーナスCDに入っているマイクのギターインプロで、オマドーンやアマロックのフレーズさえ見え隠れするから驚き。本当にサリアンジー時代のものかと疑わしくなるほど。他の曲は、ジャケットやスリーブの写真からも感じられるように、サリーの存在感が圧倒的で、心なしかマイクの屈折も感じ取れるような。
DOPO IL BUIO LA LUCE 78/CD/ITA/ITA GIALLO SAF031 *シンフォ系の典型的なイタプログの音。ほぼインストで、アレンジや音作り、特にギターソロには、イエスの影響を感じる。テクニックは安定していて、イタモノにしては垢抜けているほう。このバンドならではの個性というかクセ、勢いというか迫力がいまひとつほしい気はするが、アルバムの完成度は高い。最後の曲は突然ヴォーカルとコーラスが入るシンプルなもので拍子抜けする。
TAKE OFF 78/LP/ITA/JPN RCA EDISON CR10062(ERS28012) *イタリアの謎のキーボーディスト、サンジュリアーノのソロアルバム。クラシカルで叙情的、テクニックはあるがひけらかすタイプではなく、全体に非常に緻密な構成の作品になっている。ムーグにアープ、ハモンドにスタインウェイなどの使用楽器の中では、特にメロトロンのヴォイスがきれいなのには驚く(解説にはボコーダーとあるがメロトロンだろう)。立ち上がりが悪くピッチが不安定な楽器なのに、このタイミングの合い方は超絶的だ。何か秘密?があるか、楽器のクセを知り抜いて使っているかだろう。
YOUR DAILY GIFT CD/DNK/DEU POLYDOR 8431872 *オルガンのペラペラしたサウンドに、子どものような女声ボーカル。不思議なバンドです。
25 93/2CD/DNK/DNK MEGA MRCD3222 *どうもこのバンドのイメージを今ひとつつかみ損なっているような気がずっとしていたのだが、この2枚組みベストを見つけて聴いているうちに、ようやく良さがわかった気がする。最初に聞いた"DODENS TRIUMF"に引きずられていたというか、どうしてもユーロプログレやトラッドの文脈に位置づけて聴いてしまっていたのだけれど、もっとブラックミュージックなどに寄せたイメージで聴くべきだった。結局ワタシが好んで聴くタイプではないわけだが、アニセットのヴォーカルの迫力はやはりすごかった。それにしても唯一無二の音だ。
SBB
ZE SLOWEM BIEGNE DO CIEBIE 77/LP/POL/POL MUZA SX1434 *ポーランドのプログレの中では、ドイツ盤なども出たせいかけっこう有名な方かもしれない。90年代にもアルバムが出ているようだが再結成したらしい。これまで機会がなくて聴いたことがなかったのだが、某店のLP100円セールで見つけたので、買ってみた(しかしポーランド盤のジャケットは7インチシングルと同じような、本当にペラペラなやつだ)。アルバムによって作風が違うらしいが、この各面一曲の4枚目は、ポーランドのマグマといった風情のダイナミックな部分もあれば、叙情的な雰囲気のシンフォニックな部分もあって、なかなかけっこう。
TUTTO DEVE FINIRE 7?/CD/ITA/ITA MELLOW MMP188 *メロウの発掘ものだが、これはなかなか変化に富んでいて聴き応えがある。管担当が入った5人組で、サックスが暴れるあたりは前衛ジャズを思わせるが、ギターとオルガンとフルートが掛け合ってヴォーカルが入るという王道のロックンロール、キーボードが活躍するややダークな8分もののプログレ組曲、アコギの美しいメロディー重視の曲もあって、飽きさせない。当時のイタリアものとしてはドラムスがわりと堅実なので、70年代の音ではあるが古臭さを感じない。
SECRET OYSTER
STRAIGHT TO THE KRANKENHAUS 75/LP/DNK/NLD CBS 81434 *疾走感のあるジャズロック。かなりかっこいい。
ASTARTE LP/DNK/NLD CBS 81208
SEMIRAMIS
DEDICATO A FRAZZ 73/CD/ITA/ITA VINYL MAGIC VM007 *イタリアンポップのトップ歌手の一人として活躍し、先ごろ来日もしたミケーレ・ザリッロがかつて在籍したプログレバンドの傑作。怪しげなジャケットの絵や仰々しいグループ名から暗黒系と思われがちだが、ミケーレの曲と歌に厚みと同時に独特の明るさというか軽みがあって、実はメロディアスで美しいプログレッシブ・ロックである。しかしこのころのミケーレ、なんと16歳だったとは!
NIIN AINA 97/CD/FIN/FIN POHJOLA PELPCD9 *ペッカのグループで腕前を聞かせてきたギタリストのソロアルバム。で、これがめったやたらと面白いのです。一曲目はフリーフォームに近いどろどろの暗さ、二曲目は軽快なヴォーカル、三曲目はしんみりとECM風、四曲目はブラスがはじけてノリノリ、五曲目はテンテケテンテケ、六曲目はおしゃれな女性ヴォーカルが・・・ああもう、まあちょっと一回聴いてみてください。ワタシはこのアイデアのとっちらかったようなアルバム、はまってます。
PER PROTEGGERE L'ENORME MARIA 72/CD/ITA/ITA VINYL MAGIC VM052 *バンドにパガーニという名前を見て、マウロ・パガーニだと早合点して買ったのだが、よく見たらアルド・パガーニという別人であった。しかしこれが怪我の功名、このジャケットながら、ヴィニルマジックが再発しただけのことはあって、なかなかよいのである。70年代初期の、プログレブームが沸き起こるころのイタリアのカンタウトーレで、女声のバックヴォーカルの雰囲気やオルガンの入り方は当時を偲ばせるものもあるが、ソウルフルな歌い手で、スローなバラッドもアップテンポのロックンロールも、ギターのインストもそれぞれ巧くて、凝った音作りにまったく頼ることなく、暖かさと強さのある歌を聞かせる。
CA VA 97/CD/GBR/GBR V2 VVR1001662 *スラップ・ハッピー名義のオリジナル・アルバムとしては、実に20年以上振りの新作。相変わらずのダグマー、ブレグヴァド、ムーアのトリオが奏でる、明るく気楽でありながらちょっと引っかかりのある、不思議なアヴァンポップの乗りは、時の経過を超えて健在である。肩の力を抜いて楽しめる上質の曲が揃っていて、聴けば聴くほど癖になる。アートワークもシンプルで素敵。
MARMAROMENOS BASILEAS 98/CD/GRC/GRC WARNER SSCD8 *全部ギリシア語で書いてあって、まったくもってどういう人のどういう作品なのかわからないのだが(何かご存知の方、教えてください)、シンセや民族楽器にオケやコーラスも入った壮大な叙事詩風の、完成度の高い音楽。ヴァンゲリスのサントラやジェラルド・カルディナーレあたりの仕事に通じる、耽美的なメロディと重厚なアンサンブルが聴かせる。
STEFANO TESTA
UNA VITA UNA BALENA BIANCA E ALTRE COSE CD/ITA/ITA MELLOW MMP227 *ジャケットの雰囲気は暗いが、まず何といってもメロディが美しいし、声質もわたし好みのわりと淡々として枯れた感じで、情感豊かな作品である。楽器はアコギが主体なのだが、キーボードの音作りや入り方が絶妙だったり、無個性なフォーク伴奏っぽくならないバンドの演奏もアレンジも実にうまい。イタリアのカンタウトーレものでは名盤の一枚に数えられるのも納得がいく。
STERN-COMBO MEISSEN
WEISSES GOLD 78/LP/(E.)DEU/JPN KING K22P475
STORMY SIX
LE IDEE DI OGGI PER LA MUSICA DI DOMANI 69/CD/ITA/ITA VINYL MAGIC VM042 *アルバムとしては最初の作品で、クラウディオ・ロッキが参加、曲作りにもほとんどの曲でフランコ・ファブリと共作している。生ギターの音にグワングワンしたリバーブと、サイケデリックの雰囲気が強く、後のストーミーシックスよりもロッキのソロアルバムに近い仕上がりと言える。やがてストーミーシックスとロッキは別々の道を歩むことになるわけである。
UN BIGLIETTO DEL TRAM 75(04)/CD/ITA/ITA VMCD096 *全体のカラーとしては、アコースティック、深い悲しみと静かな暗がり。バイオリンと生ギターのワルツで幕を開け、鄙びた男声のヴォーカルにコーラスがかぶさる一曲目から、社会批判の歌詞を民衆音楽の響きに乗せるかのように軽やかに、しかし陰影のグラデーションを使いこなしながら描きあげていく腕前にはただならないものがある。これ以後のバンドの音とは明らかに違う。
SUSANNA PARIGI 95/CD/ITA/JPN KING SPCR31001 *私が持っている日本盤は、オリジナルのイタリア盤とは違うようだが、MIAOというレーベルからディストリビュートされたもの。彼女は作詞作曲にキーボード、ツアーメンバーとしてはコッチャンテやバッリョーニのバックを務めてきただけあって、実力は十分。このアルバムではプロデュースとキーボードでヴィンチェ・テンペラが参加し、完成度の高い仕上がり。ギターはマッシモ・ルカだ。声量のあるストレートな歌い方に独特のかすれ感のある高域が魅力的で、歌い上げ型の曲が多いのだが叙情性や甘さに流れそうなところをしっかりと支えている。
SCOMPOSTA 99/CD/ITA/ITA CARISH CL75 *これがたぶん二枚目のアルバムで、わたしはファーストと "IN DIFFERENZE" を先に聞いていたので、そのミッシング・リンクがやっと埋まった。で、彼女はこのアルバムからかなり凄かったのである。歌唱力、個性、曲やアレンジのすべてがうまくいっている。マティアのアントネッラのような迫力と艶のある声に、キーボード奏者としての実力が二つながら備わって、この確かな完成度の高い作品が生まれたのだろう。
IN DIFFERENZE 04/CD/ITA/ITA ZELDA SOZLD-S-005004 *3枚目のアルバムになるらしい。ヴィンチェ・テンペラのプロデュース、比較できるのがデビューアルバムだけなのであるいはセカンドから凄かったのかもしれないが、これはファーストアルバムからは大化けした感じだ。ファーストではマイナーな叙情性が支配的だったのが、曲想にも歌い方にもぐんと幅が出て、色気も力強さもともに一桁増した感じ。声の張りも増し、音的にはアントネッラ・ルッジェーロに進んで欲しかった方向に突き抜けた作品だといいたいくらいだ。しかしこの厚みは、自らの中に湧き上がるテーマ性から来る迫力なのだろう。最後の曲までくると目頭が熱くなってしまいます。
FALSE 04/CDS/ITA/ITA ZELDA SOZLD-S-007004
IN DIFFERENZE IN CONCERTO 06/DVD/ITA/ITA EDEL NARDIV 0106 9 *まさかのライブDVD。動く彼女はさらになんというか、良いですねえ。ピアノも良いがファルフィサのアコーディオン弾きながらがなんとも魅力的な風情。ストーリー性というかメッセージ性のある構成のようですが、語りが分からないのが残念。
SIC 99/CD/SWE/SWE AMIGO AMCD0741 *イギリス出身とスウェーデン出身の混成バンドで、トラッドに根付いた自作曲を中心にアコースチックに奏でる。暖かなフィドルの音色と澄んだ女性ヴォーカルが特徴だが、浮揚感のある循環するメロディと陶酔を誘う軽快なリズムの心地よさは、コンテンポラリー・トラッドのバンドではこれまでありそうでなかったアプローチ。