だぶる厄MAN 椎間板ヘルニアと深部静脈血栓症の闘病記+α
治療記録

1. はじめに
2. 主な症状
3. 原因
4. 検査方法
5. 治療方法
6. 続発症
7. ロングフライト血栓症
8. 日常管理
9. そして......
10. 急性期経過
11. 7/10/2002現在
12. 9/4/2002現在
13. 2002.11.現在
14. 2003.3.現在
15. ストッキングの末路
16. 2003.8.現在
17. 2003.12.現在
18. 2004.5.現在
19. 2004.7.現在
◇ 深部静脈血栓症とは ◇

大腿や下腿の深部、或いは中心部に存在する静脈に血栓(血液の塊り)が生じ、 静脈が詰まってしまった為に血液の循環が悪くなり、下肢がうっ血してしまうこと。

分かり易く言えば、血の塊りが静脈(血管)の壁や弁にくっついて剥がれない状態が生じ、 血液の循環が悪くなった為に、その部分に後から後から流れてくる血栓が更にくっついて、 ついには完全に血管が詰まってしまう、ということでしょう。

専門医の説明によると、深部静脈血栓症が発症しやすい部所は、 各関節(足首、膝、股関節)の上部であるということのようです。

血栓は静脈内の血液の循環を妨げたり、完全に静脈を詰まらせたりします。 そして、この血栓が剥がれて血流に乗った時に、脳・心臓・肺の塞栓を引き起こす場合があります。
所謂『エコノミークラス症候群』は、深部静脈血栓症を発症した後に肺塞栓症を併発したものです。
肺塞栓症については続発症のページで詳しくご紹介いたします。
エコノミークラス症候群については、『ロングフライト血栓症』のページを設けました。



◇ 発症時の様子 ◇

術後約3週間が経過し、右足脹脛の症状(痺れ、灼熱感、疼痛、皮膚が赤い、等)の経過が悪い為、
気分転換を兼ねて一旦自宅に戻り(これを外泊という)、実生活の場で様子を見てみることになりました。
要するに、病棟は程好くエアコンが効いて暖かいが、自宅に帰れば冬の寒さが身に沁みることになり、
そこで他にどのような症状が出るのか、或いは正式に退院する前に退院後の生活がどのような感じになるのか
を経験しておけばいかがでしょう......というものでした。

そして、外泊の朝。
勇躍病棟を飛び出し、病院の近くにあるコンビニで荷物を宅配便で実家に送り......と、 もうこの時点で息も絶え絶え足は縺れるという有り様でした(苦笑)。
この後、コンビニ前でタクシーを拾って京都駅に着き、 ホームに上がる途中から右足の具合が急に悪くなってきたことに気付きました。 脹脛の痛みが強くなってきているし、妙に重くだるく感じるのです。
電車を乗り換え、自宅付近まではバスに乗り、2時間弱をかけて自宅まで辿り付いた頃には、 既に脹脛の痛みは限界で足を引きずるように歩いていました。 おまけに、灼熱感がよりひどくなり、ジーンズと肌が擦れて痛みはより激しくなれば、 履いているジーンズの上から感じる風にも激烈な痛みが生じるのです。
普段なら、バス停から実家までは徒歩約10分のところが、倍以上も時間がかかってしまいました。
それからは、次第に脹脛に強い張りを感じるようになり、 病院に戻る日の朝には、右足の脹脛がパンパンに腫れ上がっておりました。


◇ 主な症状 ◇

次に、主な症状に対して、私の急性期(発症時〜症状が最も激しい期間)の症状をご紹介しましょう。

急性期の主な症状 私の場合
疼痛 急性期の頃は、大腿部の裏側から足首までがひどく疼いて夜も眠れない
ほど痛みが続きました。
鎮痛剤(レンドルミン)を飲んでも効かないくらいです。

圧痛、触ると痛い 急性期は強烈な感じでした。
膝から下の部分は、触っただけで飛び上がるくらいの痛さ!
履いているジャージが肌を擦る、入浴時に水やお湯がかかる、
空気(風)が肌を撫でるだけでも強烈に痛かったのです(泣)。

うっ血、腫脹、緊満痛 弾性ストッキング(後述)を履かずに歩くと、左足の約1.5倍位に右足の脹
脛が腫れ上がります。これに伴う痛みが緊満痛と言われます。
パンパンに張ってしまう痛みと表現すれば分かり易いでしょうか?

灼熱感 『触ると痛い』同様です。
急性期には、強烈な日焼けの如くヒリヒリヒリヒリ......(号泣)。
痛いのか何なのか、感じが掴めないないほどでした。

皮膚が赤くなる、青みを帯びる 急性期の頃は、膝から下が全体的に薄っすらと赤みを帯びていました。
また、足首から下の部分が赤黒くなりました。

不快感 これについては曖昧模糊としております。
何故なら、脹脛を触った時にその感覚がほとんどなかったというものがあ
りました。つまり、先にも述べましたように、これが血栓症に関わるものな
のか、或いは術後の神経障害であったのかは未だに判断がつかないとこ
ろなのです。

足が重く、だるい 下肢がうっ血すれば重く感じるのは当然かもしれませんね。
血液の循環が悪くなるのですから、だるく感じるのも当然のことでしょう。

頻脈、発熱 急性期でも、特に変わったことはありませんでした。
足関節背屈時に腓腹筋部に疼痛 これは、足を伸ばした状態で足首を脛側にグッと押し曲げた時に、脹脛・大
腿部の裏側に感じる痛みのことです(Homans徴候)。

しかしながら、この痛みは健康な人でも大なり小なり発生するもので(筋肉
や関節が硬い等)、全く当てにはならないと思います。



上記の内、いくつかの自覚症状があれば、血栓症を疑った方が良いかもしれません。
血管外科の主治医には、「下肢深部静脈血栓症に痛みはない!」と言い切られましたが、
いろいろと調べてみると上記のような症状があるようです。
要するに、無症状の場合もあれば、上記のような症状が多様な組み合わせで現れる場合もあるそうなのです。
当然、私は医師ではありませんので詳しくはわからないのですが、
術後の疼痛はやはりこの血栓症発症によるものではなかったかという疑いは消えてはいないのです。

また、これは入院中に限ることなのでしょうが、『Hernia/第4週目』の項で触れましたように、
明らかに血栓症が発症したという所見が得られないと、検査・治療には当たって貰えないように感じました。
先の項で「......残念で仕方ない。」と申し上げたのは、このことを意味しております。
何故なら、類似する症例に『表在性血栓性静脈症』という疾患があり、
これは、熱感、疼痛、局所に有痛性の硬い索条(平行する溝の意)を形成するものであるようです。
そして、ほとんどは特別な治療を行うことなく、患部を冷やして経過観察すれば数週間以内に自然治癒するらし
く、神経障害の他には、まずはこれを疑われたのかもしれません。

ですから、手術を予定されている方々にはこうした予備知識を持っていただければと思った次第です。



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