<01.11〜12に観た舞台の記録>

  ・泪目銀座『LOVER SOUL』(01.11)
  ・演劇集団キャラメルボックス『ブリザード・ミュージック』(01.11)
  ・転球劇場『日本の文化』(01.11)
  ・自転車キンクリートSTORE『第17捕虜収容所』(01.12)
  ・G2プロデュース『天才脚本家』(01.12)
  ・PLAYMATE presents 01『シンクロナイズド・ウエディング』(01.12)
 

 ・泪目銀座『LOVER SOUL』

    大阪上本町・近鉄小劇場で11/1〜3の公演。
    11/3(千秋楽)に観てきました。
    G列(7列目・実質5列目)23番(右サイドブロック左側)席で観劇。
 
    泪目銀座(通称ナミギン)を観るのは、昨年4月の『夢から覚めても』
   に続いて今回で2回目。毎回、おおむね評判が良いという珍しいユニット。
 
    ある病院、消灯時間間近のひととき。彼女に電話をする入院患者の内藤
   (小林正寛)、最近病院内に出る幽霊が気になる同じく患者の片桐(相島
   一之)、夜勤の岩泉研修医(佐藤誓)、看護婦の土井(森若香織)と古山
   (柴山智加)……内藤はガンを宣告されて入院2週間目。プロポーズまで
   した彼女との今後に悩んでいる。片桐は毎夜、散歩と称して病院内を歩き
   回っている。消灯後、眠れず喫煙室に居座る二人の前に、ふらりと現れた
   もう一人の患者・我妻(渡辺いっけい)。3週間前から昏睡状態に陥って
   以来ずっと病室から出ていなかった彼を、顔なじみの片桐は笑顔で迎える。
   病気と彼女のことを思い悩む内藤に、我妻は落ち着いた、どこか諭すよう
   な口調で語りかける。話をするうちに、片桐も我妻もガン患者であること
   が分かってくるのだが……
 
    ナミギンの評判の良さが何に起因するのかと言えば、個人的には、作・
   演出の福島三郎さんが作り出す世界の雰囲気なんだろうと思います。まぁ
   それを言うならどこの劇団も多かれ少なかれそうでしょうし、その世界を
   支えるための役者さんが上手くマッチしていなければダメでしょうけど。
    福島さんの物語は、(まだ2本しか観ていませんけれど)人間に対して
   あたたかい、優しいと感じます。観ていて愛おしくなる人間を描いている
   とも言えるかも。笑えるところはくすりと(時には思いっきり)笑えるし、
   心を揺り動かされるものもちゃんと存在する。決して特別なこと、珍しい
   ことを言ってるわけじゃないんですけどね。……でも登場人物はほとんど、
   ちょっとだけ変かも知れない(笑)
 
    と言いつつも、今回の作品、観ている途中からなんとなく少しずつ全て
   が足りない気がしてました。何が、と具体的には言いにくいんですが……
   微妙な違和感というか。「こんな病院、ないでしょ」という意識が働いて
   しまったり(だって医者も看護婦もちょっと変すぎるし (^^;)患者たち
   にリアリティを今一つ感じづらかったりして。最後の告白も、状況として
   は分かるんだけど、言い方が唐突というか少々わざとらしい気もしたしな
   ……ラストシーンもね。
    でも、観て良かったとも思いました。いっぱい突っ込みたい箇所はある
   にも関わらず。うーむ。結局今回もやられてしまったようです(笑)
 
    渡辺いっけいさんはさすが、と思いました(今までにそうたくさん観て
   いるわけではないのですけど)。落ち着きに深みがある、いい演技でした。
   ラスト近く、気がついたら涙が出そうになっていたのは、渡辺さんに拠る
   ところが大きいと思います。
    ポジションとしてはヒロインの柴山さん、申し訳ないんですけど「下手」
   だと感じました(苦笑)台詞回しに強弱がなくて……実際にはああいう人
   もいるかも知れませんけど、舞台の人物じゃないなぁ。台詞を喋るよりは
   朗読向きなのでは、とも思ったり。いい台詞もあるのにな。(実はパンフ
   によれば、『夢から覚めても』にも出ていらしたようで……その時の役と
   して思い当たるのは、結構インパクトのあるものだったように思うのです
   が、今回の柴山さんとはなんだか繋がらないです(苦笑))
    佐藤さんは今年8月の『リチャード二世』で一度観ているんですけど、
   その時はあまり(多分)笑わせどころの無い役柄だったんですよね。今回、
   あまりに違う弾けっぷりでびっくりしました。すごく面白かったんですが、
   さすがにあんなお医者さんはいないでしょう (^o^;
    初見のお三方はそれぞれに、それなりによかったです。いや、小林さん
   は正確には初めてじゃない……というのはNODA・MAP『カノン』に出ていら
   したようなので。覚えてないんですけど(爆)……「内藤」さんは彼女と
   これからどうするのか、が気にかかるところですね。相島さんの「片桐」
   さんは死にたくなくて生きたくて精一杯もがく人間、森若さんの「土井」
   看護婦は自分でもバカだと思ってしまうような恋愛にもがく人間。
 
    いきなりですが、人間ってバカですよね。良くも悪くも。今回の場合は
   良い意味の、どこか愛すべきバカさ加減。(命そのものでもお互いの関係
   でも)先が見えてるのに、長くないと分かっているのに(いや、分かって
   いるからこそ)諦められなくて、捨てきれなくてもがいてしまう姿。傍目
   からだけでなく、自分自身でもバカみたいだと思ってしまうようなことが、
   実は生きてることを一番実感させてくれたり、生きるための支えになって
   たりもするんですよね。彼らの、病院という特殊な場所における「恋愛」
   も、一見不毛なことのようだけど、彼ら彼女らが「生きていく」ためには
   必要だったんですね、きっと。
                              (01.11.3)
 

 ・演劇集団キャラメルボックス『ブリザード・ミュージック』(再々演)

    新神戸オリエンタル劇場で、11/7〜18の公演。
    11/7(初日)に行ってきました。
    L列(6列目)17番(センターブロック真ん中)席での観劇。
 
    ……観て思ったのは、私には再演(94年上演)のイメージがものすごく
   強いのだということ。自分でもちょっと驚くぐらい。
    ……なので(キャラメルの皆さんやこの再々演がお気に入りの方には)
   申し訳ないですけど、観ていて随所で辛かったです。
    細かく書き出す時間がないので、特に気になったいくつかの点を。
 
    「清吉」さんの年齢設定。初演・再演では80歳だったのが、今回90歳。
   初演から10年経ったということで老けさせたのでしょうけど、個人的には
   非現実さが強まった印象。こんなじいちゃんいないだろ、って突っ込みを
   マイナスの意味でしたい気分になった。
    「ミハル」のキャラクター。大森さんでしか観ていなくてそのイメージ
   を壊したくない私としては、正直なところ、今回も大森さんでやってほし
   かった。でも大森さんヒロインは年齢的問題が大きくて多分もう無いんだ
   ろうな……『広くてすてきな宇宙じゃないか』とかを除いて。今回の小川
   さん、知らずに観ればきっとそこそこ無難。私も先入観を捨てれば観れな
   いことはない。しかしどうしても嫌な箇所が一点……役者たちにおだてら
   れてその気になるシーンのギャグが行き過ぎ。調子に乗りすぎというか、
   なんか下品な感じさえした。
    オリジナル音楽。ZABADAK自体はわりと好きだし、ZABADAKのアルバムと
   して聴けば悪くはない。……でも『ブリザード・ミュージック』の世界に
   は合わないと感じる。前半はまだしも後半。どちらかというと『風を継ぐ
   者』『TRUTH』なら結構はまるかもしれない、と聴いてて思った。妙に
   シリアスチックで悲劇的な色が濃い感じがして。古くても再演までの音楽
   の方が良かった。
    小ネタの多さ。……こういう言い方は失礼かも知れませんけど、舞台が
   熟しきってないのを小ネタで笑わせることで紛らわそうとしているように
   思えてしまう今日この頃。昔からギャグは積極的に入れようとして、かつ
   実際に入れてますけどね、キャラメルは。……なんでしょうね、見慣れて
   きたから変に違うものを求めようとしてしまってるんでしょうか、私が。
   でもそういう偏見というか、考えを省いたとしても、なんか気になってし
   まうんですよね……最近のキャラメルはなんかズレてるなぁと。私だけ?
                              (01.12.2)
 
 

 ・転球劇場『日本の文化』

    大阪・扇町ミュージアムスクエアで11/23〜26の公演。
    (別に、神戸アートビレッジセンターで11/30〜12/2の公演もあり)
    11/25の昼(といっても午後3時)に観てきました。
    全席自由、前から4・5列目の真ん中あたりで観劇。
 
    あるイベント会場、縄文時代の人々の暮らしを解説しながら実演して
   見せる、という催しを行っている4人組。男3人は首にならぬよう様々
   な工夫を凝らしつつ、紅一点の女を巡って恋の鞘当て(?)を繰り広げ
   てもいる。しかしその女は、ちょっと素性や性格の読めない妙なところ
   が。そのせいで、彼らの微妙な関係は少しずつバランスを崩していく。
    ……なんて書くとシリアスな感じがしてしまいますが(え、しない?)
   実体はやっぱりドタバタです。ラブコメディ、と言えるかどうかはとも
   かく(苦笑)。どっちかというと可笑しくて少し哀しい、かも。
 
    サードステージの旗島伸子さんが客演なんですけど、初めに聞いた時
   はちょっとびっくりしました。なんでかなぁ、と思ってたら大学の先輩
   後輩のつながりだそうで、旗揚げ公演にも参加なさってたとか。ほぉ。
    ……しかしまぁ、今年はこれで4回旗島さんの出演舞台を観てるわけ
   なのですが、観るたびにイメージが違うなぁ。前にも書いたような気が
   しますが。今のところ、観ていて飽きない女優さんです。今回は、狭い
   舞台で男優さん方に突き飛ばされたり蹴られたり、ずいぶんな扱いを受
   けていらっしゃいました (^^; 狭いわりに結構セットが大きいですから、
   怪我しないように気をつけるのが大変だったでしょうね……
 
    今回もずいぶん笑わせていただきました。席の位置もちょうど良くて
   観やすかったし。
    日記にも書いたように、合間合間のだらだら〜とした会話とか、話の
   終わらせ方が無理矢理で唐突っぽいところは、個人的には少々食傷気味
   ですけどね。それ自体はアドリブ中心の構成にするとありがちなのかも
   知れませんが……なんか、観てきた4公演、前向きなオチが少ない気が
   するのは気のせいでしょうか。
                             (01.12.2)
 

 ・自転車キンクリートSTORE『第17捕虜収容所』

    大阪上本町・近鉄小劇場で11/29〜12/2の公演。
    12/2(千秋楽)に観てきました。
    F列(5列目・実質3列目)21番(右サイド左端近く)席で観劇。
 
    自転車キンクリート(じてキン)は、劇団というよりはNODA・MAPや
   泪目銀座の形態に近いのでしょうか。作家・演出家の人が、公演ごとに
   いろんな役者さんを集めて上演するという。じてキンの初期は知らない
   ので、その頃どうしてたかは分かりませんが。
 
    第二次世界大戦中。ドイツにある第17捕虜収容所にはアメリカ人兵士
   が多く収容され、苛酷な扱いを受けていた。何かしら楽しみを見つけて
   少しでも日々を過ごしやすくしようとする兵士たちだが、やはり脱走を
   試みる者もいる。……とあるバラックからその夜、二人が脱走を図るが、
   待ち伏せしていたらしい警備兵に射殺されてしまう。そのバラックでは、
   隠していたラジオの在り処が何故かドイツ兵に知られていたりと、以前
   からおかしなことが続いていた。捕虜兵たちは自分たちの中にドイツ側
   のスパイがいるのでは、という前から薄々持っていた疑いを強めるよう
   になる。彼らの大半は、単独行動やカンに触る言動の多い一人を疑うが、
   確かな証拠は何もなかった。そんな中、彼らのバラックに新しい捕虜が
   二人入ってくる。新しいニュースに飢えている捕虜兵たちに彼ら二人は、
   前線にいた頃、ある仕掛けでドイツ軍の貨物列車を爆発させたという話
   を語る。……その翌日、爆破の実行犯である方の新人捕虜が、所長室へ
   連行される。外にバレるはずのない話だったという思いが、内部スパイ
   説の信憑性を、そして例の人物への疑いを深めさせていく……
 
    ……笑いは思いっきり笑えるけど、もともと相当にシリアス度が深い
   物語。ラストの後味すっきりとかハッピーエンドとは全然違うし、登場
   人物のその後がものすごく気になってしまう。SS(ナチス親衛隊)に
   引き渡されるはずの人物を逃がしてしまった彼らの今後は、どう考えて
   も明るいとは思えないわけですから……逃げようとした二人が結局どう
   なったかも明かされないまま終わるので、ほんとに気になります。彼ら
   が毎日を、辛い不自由な思いばかりしながら、それでもなおわずかでも
   楽しみを見つけて生き延びようとしている姿を見続けているので。
    本来の戦場とはまた違う意味で、生きることと死ぬことが隣り合わせ
   な世界。そこには無理にでも笑える瞬間と、否応無しに現実を認識する
   瞬間が混在する。そういう彼らの現実はとても過酷で、時に苦しいほど
   の重量感も感じさせられる。……でも意外と、観終わった後が嫌な感じ
   ではない。夏に観た『悪霊』にその点は似ている。物語のタイプ自体は
   だいぶ違うと思いますけど。
    舞台としての質はかなり高いんだろうと思う。役者さん方にそれぞれ
   安定感を感じるから、そういう意味では安心して観ていられる類の舞台。
 
    この作品、もとは映画らしいです。私は知らないのですが、けっこう
   昔の映画で、コメディだったとか。……映画ではどんなふうにコメディ
   だったのかなぁ。舞台化される際にどれだけ変えられてるかによって、
   全然印象が違うもの同士になっていそうですね。
 
    ……余談ですが。これを観に行く直前、とあるネットの掲示板に書か
   れていた、誰がスパイなのかってネタばれを目にしてしまったんですよ
   …… (^^; ただし役名でなく役者さんの名前で書いてあって。私はその
   役者さんの顔を知らなかったので、結果的には劇中で分かるまで知らず
   に済みました。あー知ってる人でなくて良かった。
                             (01.12.29)

 ・G2プロデュース『天才脚本家』

    大阪梅田、シアター・ドラマシティで12/13〜16の公演。
    12/16(千秋楽)に観てきました。
    20列24番(センターブロック真ん中あたり)席で観劇。
 
    やらせ専門番組のディレクターは、あるきっかけから連続男性失踪
   事件の裏に、事件を操作する存在がいるのではないかと疑いを持つ。
   彼が「天才脚本家」と呼ぶその人物は、国家安全のために様々な事件
   や計画を別の事件などを隠れ蓑にして人々の記憶から消し去る、通称
   「イレイサー」。ディレクターはその存在について番組で取り上げる
   が、世間では別の事件が話題になり始め、さらに番組自体も打ち切り
   となる。当然イレイサーの仕業だが、その彼が計画の次段階として、
   知らずに自分のボスを告発しようとしたことから、イレイサー自身も
   存在を消され命を狙われる羽目に陥る。自分を取り戻すためにディレ
   クターとイレイサーは手を組み、その目論見は上手くいくかに見えた
   が……
   
    結構巷での評価が両極端で、どんなものかとちょっと不安に思って
   いましたが、個人的には楽しめました。(たぶん)看板役者クラスの
   方が多いので、基本的なレベルは高いと思います。役者さんに詳しい
   マニア(と言うか、役者さんに重点を置いて観る人?)にとっては、
   全体的に物足りない面があるようです。まぁ、そう(マニア)でない
   私でも若干つっこみたいところがあるにはあったし。一部のキャラは
   どう考えても無理があるだろう、とか(笑)
    ストーリー的には……んー、詰めがちょっと甘いかも? なんか、
   展開のわりにはあっさり終わっちゃった感じもしなくないです。一部
   のお客さんが言うほど「ありきたり」とは思わなかったですが。まぁ
   物凄く独自性があるとは言い難いのかも知れませんけど、少なくとも
   観ている間は物語の世界に引きつけられました。それだけの力はある
   と思います。
 
    関西方面の劇団の役者さんが多かったですね。もしかしたら大半が
   そうだったかも……正確にどの劇団がどこ出身か知らないので、少々
   あやふやです(苦笑)
    最近は比較的いろいろと観に行くようになりましたが、あまり観た
   ことない役者さんはまだまだ多いです。当たり前ですが。しかし今回
   の場合、関西の演劇好きなら何度も観ていておかしくない方々ばかり
   のはずなんですが……名前だけなら私もよく知ってる人ばかり。でも
   実際に観た回数は少ないんですよね (^^; M.O.P.を観に行ったこと
   がないので、三上市朗さんなんか今回が(生では)初見ですし。神野
   美紀さん(劇団離風霊船)もTVで一度観ただけで。それ以外でも、
   一度しか観たことのない人が4人、二回が2人……出演者12名のうち、
   何度も観たことあると言えるのは腹筋善之介さんぐらいですね (^^;
   MOTHERの若手のお二人は観る前は顔と名前が一致してなかった
   し(多分4回観てますけど、毎回キャスト表が配られないのでどの役
   が誰なのか私には見分けがつかないのです)。コング桑田さん(リリ
   パットアーミー・)は三回なのでやや微妙ですかね(笑)
 
    どの役者さんも、基本的には、役柄と自分の持ち味を両方生かせて
   いたと思います。難を言えば、悪役の「長官」(イレイサーのボス)
   が周りに比べて幾分弱いのと、腹筋さんと久保田浩さん(遊気舎)の
   キャラがぶっ飛び過ぎということでしょうか。……悪役はまだしも、
   あの2人はなぁ。きつい言い方をすればあそこだけ浮いてたもんなぁ。
   特に二人芝居のシーンが。……面白いんですけど、ちょっと長すぎと
   感じましたし(10分以上あったと思う、たぶん)そもそもそれと作品
   がマッチするかどうかは別問題ですし。ま、お遊びキャラと言われて
   しまえばそれまでですけどね。意図的なものだったら「そーですか」
   としか言い様が無いです (^^;
 
    席が遠かったわりには不思議と隔絶感を感じませんでした。なので、
   私としては、かなり面白かったと言っていいのではないかと思います。
   だから役者さん方の表情が見えにくかったのは残念ですね。
                            (01.12.29)

 ・PLAYMATE presents 01『シンクロナイズド・ウエディング』

    2001年12/28〜2002年1/9・恵比須エコー劇場での公演。
    12/30の夜に観に行きました。
    XB列(前から2列目)2番(左端近く)席での観劇。
 
    2001年、夏。純子(小松田昭子)が家政婦としてやって来たのは、
   新築間もない小金井家。妻・潮里(津田匠子)は芸能プロダクション
   の社長として忙しい毎日。対して夫・達也(小須田康人)は何をする
   でもなく日がな一日家に閉じこもっている状態。結婚して13年、互い
   に微妙なずれ、ぎこちなさを感じている。
    遡って1988年、夏。当時の達也(ますもとたくや)は映画監督を目
   指す大学生、仲間の史郎(櫻井章喜)や馨子(武藤陶子)と自主映画
   を撮り続けていた。ある日、馨子が古い友人の潮里(日高ひとみ)を
   連れてくる。映画を観てファンになったという彼女と達也は急接近し、
   潮里の兄・海人(近江谷太朗)の反対を押し切って同棲するまでに。
    2001年と1988年、周りでいくつかの事件があり、二人の関係も少し
   ずつ変化していく。そしてクリスマスイブ、それぞれの結末と結論が。
 
    キャラメルの近江谷さんプロデュースの公演。昨年第一作の上演が
   やはり東京のみでありましたが、いろんな都合で行き(行け)ません
   でした。良かったという評価が結構多かったので残念でしたが……
    今回行きましたのは前作の評価も多少ありますが、津田さんが久々
   に舞台に出るということも大きかったです。99年秋のキャラメル公演
   に出て以来お休みでしたので。最近好きな役者さんである小須田さん
   や武藤さんが、どんなふうに近江谷さんや津田さんとからむのかも気
   になりましたけどね(笑)
 
    作・演出の川上徹也さんの作品は、数年前に1作だけ観ています。
   偶然ではありますがその時も近江谷さんが出演なさってました。
    それと、これも偶然でしょうけど、どちらも男女や夫婦の関係が主
   な要素になってます。あ、昨年の『いとしのエミ−』も(観てないの
   ではっきりとは分かりませんが)一応そうなのかな。
    観て思うのは、川上さんの人間関係の書き方は一見マイルド、でも
   実は結構ハードだなぁって印象ですね。淡々と書いてるだけに起きる
   事件が衝撃的に感じるというか……うーんなんかうまく言えない (^^;
    結婚問題とかって、私個人にとっては遠いようなそうでもないよう
   な、微妙な位置にあります。そういう私でもこの作品は、心の一部に
   ちくりと来るような、ほんの少しの痛さを感じさせられました。自身
   の境遇や結婚という問題が近い人ほど、痛みも大きくてシビアだった
   かも。実際、近くに座ってた人などは帰り際「痛いな〜」と苦笑いで
   言ってましたし。劇中2001年の夫婦と同じ年頃(30代半ばぐらい)の
   ようだったので、余計に?
 
    お一人ずつちょっとコメント。(うろ覚えですが)登場順に。
    小松田さん。キャラメル96年夏の公演で一度観たきりなので、もの
   すごく久々。『いとしのエミ−』チラシで写真を観た時にも思いまし
   たが、キレイになられましたねぇ……私と同い年なんですが (^^;
    津田さん。観たところお元気そうで安心しました。やはり「女性」
   を演じさせると上手ですね。強烈な役も似合いますけど(笑)
    小須田さん。劇中でラスト一番可哀相な人(苦笑)。今年はどうも
   暗めというか性格的に内にこもる系の役が多いような……って今まで
   のをそんなに知ってるわけじゃないですけどね。しかしそういう暗さ
   が妙に似合う……なんて言うと怒られるでしょうか (^^; ラスト後
   どうしたのか、一番気になる役でもありました。
    武藤さん。発砲の時と比べるとかなり普通の役でしたが……役回り
   的にはあまり変わらないかも?(笑)『天保十二年のシェイクスピア』
   にも出演なさるようなので、そっちも楽しみです(あまり出番が多く
   ないとは思いますが)。
    日高さん。初見です。今回観た限りではあんまり台詞回しの上手い
   人ではないなぁ、と思いました。役の雰囲気は出ていたと思うので、
   また観る機会があったら認識変わるかも。
    櫻井さん。この方も初見。おもしろい人でした(笑)。今度「遊◎
   機械/全自動シアター」系の舞台に出演だそうですが……関西公演は
   ないのかなぁ(……どうも無さそうな感じです)。
    ますもとさん。MOTHERの時には、役によっては何をなさってるのか
   認識できずに終わっちゃう場合もあるんですが(苦笑)、今回はじっ
   くり観てきました。いろんな意味で、いかにも大学生っぽかったです。
   個人的にはこの方のとあるギャグが一番ツボに来ました(笑)
    近江谷さん。……そう、出番遅かったんです。初登場までに30分は
   かかったんじゃないでしょうか。何の役をやるのかなぁぁと思い続け
   ていたら……まぁ1988年シーンでの登場は普通でしたが、2001年では
   …………びっくりでした。近江谷さんのああいう格好とか台詞とか、
   初めてでしたから。前のシーンとのギャップも凄いですしねー (^^;
   出番は決して多くないのに、インパクトは一番でした。ずるい(笑)
 
    総合評価としては、東京まで観に行って良かったと思います。席が
   かなり前の方でしたので、表情等もはっきり観ることが出来ましたし。
    クライマックスの収束のさせ方が少々強引に感じたのと、ラストが
   かなり「あとは観た側の想像におまかせ」的だったのが、物足りなく
   はありましたが。でもビデオが出たらたぶん買うでしょう(笑)
                            (02.1.14)
 

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