<00.4〜5に観た舞台の記録>

  ・泪目銀座『夢から覚めても〜今世紀最大のうたた寝』(2000.4)
  ・ファントマ『アリババと40人のランプの精』(2000.4)
  ・MOTHER『スィート・フラジャイル』(2000.4)
  ・演劇集団キャラメルボックス『MIRAGE〜ミラージュ』(2000.4)
  ・MOTHER『プラシーボ・デパート』(2000.5)
  ・MOTHER『ジャンキー・スクエア』(2000.5)
  ・NODA・MAP『カノン』(2000.5)
 

 

 ・泪目銀座『夢から覚めても〜今世紀最大のうたた寝』

    4/1・2に、大阪茶屋町・シアタードラマシティで公演。
    4/1ソワレ・9列13番(左サイドブロック真ん中あたり)での観劇。
 
    母と娘が住む渡瀬家。
    大学教授だった父は亡くなり、もうすぐ一年。時々、研究室の助手が
   訪ねてくる。長女と次女は嫁ぎ、今は三女だけが家に残っている。
    一周忌の準備が進む中、父の研究ノート――「夢日記」が出てくる。
   彼は夢の研究をしていたのだった。そのノートを読むうちに、いつしか
   うたた寝をしてしまう母……夢の中には亡くなったはずの父、今は家に
   いないはずの娘夫婦たちの姿があった。
 
    非常にアットホームな、家族劇。
    オープニングとエンディング以外は、母の夢の中が舞台。
    家族みんなで暮らしたい、という母の願い。
    夢の中で三女・こずえが言う「ひとりになりたくない」という台詞は、
   きっと母親がずっと考えていることなのですね。三女がもし嫁いで家を
   出ていけば、自分はひとりになってしまう。その淋しさの表現が、夢の
   中のこずえの姿なんでしょう。…………父親が夢の「講義」の中で、夢
   に出てくるものは7つのものに分類される、とか言ってたんですが、何
   と何に分けられるのか覚えてません…… (^^; でもつまり、母の夢には
   7人が出てくるから、それぞれの人物がそういった分類に当てはまると
   いうことでしょうか。7人それぞれが、母の思いの象徴。ちょっと興味
   深かったんですけど、覚えてないんじゃ意味ないですね(爆)
 
    これを観る少し前に、ピスタチオを観ましたが。
    奇しくも、同じドラマシティでの上演で、同じく「夢」を扱った作品
   だったわけですね。
    眠って見る「夢」と、現実の自分が抱えている「夢」。
    ピスタチオでは前者の「不条理さ・不可解さ」、泪目銀座では後者の
   「願い」みたいなものがより強く出ていましたけど、「夢」っていうの
   はどちらの場合も結局は「心の中にあるもののあらわれ」なのだろうと
   思いますから、つきつめれば根源は同じなのかも? ただ表現の仕方が
   違うというだけで。まぁそこまで言うとちょっと極論ですかね。
    早い話、同じ「夢」というものを扱っての、作られる作品の違いが、
   なんだか面白く思えたんですよね。
 
    まだ1回しか観てないのでなんとも言えませんけど……
    いつも、今回みたいな「優しい、あたたかい雰囲気」がただよう作品
   を上演しているのだとすれば、泪目銀座が人気があるのも分かるなぁ、
   という気がしました。
 
    役者さんでおもしろかったのは、長女役の谷川清美さん。
    他の方々もそれぞれにおもしろかったんですけど、なんか注目してし
   まいました(笑)
    そういえば、父親役の石丸謙二郎さんは、9月からの加藤健一事務所
   の公演に出られるんですよね、たしか。ということは、西川さんと共演
   されるわけですね……どんなふうになるんだろう?(わくわく)
                             (00.4.18)
 
 

 ・ファントマ『アリババと40人のランプの精』

    4/14〜17に、伊丹AI・HALLでの公演。
    4/14の夜に行ってきました。
    全席自由席、3列目のやや右サイドの席での観劇。
 
    ファントマは、大学のゼミの友達に「おもしろいらしい」と聞いて以来、
   ずっと気になっていたのですが……一年以上、「観に行こう」と思いつつ
   行ってませんでした(爆)
    しかも今回行ったのも、ちゃんとチケットを買ってではなく、招待券を
   知人が譲ってくれたから、ですし(再爆)
 
    考えてみたら、ランニングシアターダッシュの公演以外で、AI・HALLに
   行くのは初めて……かな。たぶん。まぁダッシュでも、観始めてからまだ
   2回しか公演やってないんですけど、AI・HALLでは。結局はあんまり足を
   運んでないんですね。最寄り駅がJR沿線で、某私鉄沿線の我が家からだと
   ちょっと行きにくいからな……
 
    さて当日。同行予定でなかった、券をくれた知人も一緒でした。
    初めての劇団だからどれだけお客さんが来るのか予想できず、とにかく
   早めに行ったのですが……招待券持ちは早く行こうと行くまいと、入場は
   かなり遅い順番になってしまうのでした。うーん、知人にちょっと申し訳
   ない感じでした。ひとりなら長待ちでも適当に時間つぶすので構わないの
   ですが。
    けっこう、お客さん来てました。普段キャラメル系が多くて、若い女性
   のお客さんが多い状態に慣れている者としては、(少なくともこの時の)
   ファントマのお客さん層にはちょっとびっくり? 年配の、しかも男の人
   もわりと多かったりして……どういった関係の方々なんでしょう。
 
    タイトル的に、最初から「アラビアンナイト」的な世界を予想していた
   私なので、オープニングの戦場シーンには「え?」と思いました。
    ……いや、『ぴ○』を読めば、紹介文に書いてあったことなんですけど
   ね。私ってば読んでなかったんですね…… (_ _;
 
    時は湾岸戦争の時代。
    砂漠の真ん中で連合軍の戦車に囲まれたイラクの兵士。集中砲火を受け、
   気づいてみるとそこはアラビアンナイトの世界。しかも自分は盗賊の首領・
   アリババになっていた! 仲間を殺した奴らの正体を探るため、奪われた
   宝を取り戻すため、ランプの魔人の力を借りて宮殿に潜入するのだが……
 
    いやぁ、衣装が暑そうでしたね〜(笑)
    女性はまだしも、男性陣は相当動き回りますから、アラビアの裾の長い、
   何枚も着こんだ衣装は舞台では暑いし、動きにくそうだし……大変だなー
   と思いました……一部の人は立ち回りもあったし。
 
    なかなか、面白かったです。
    いっぱい気になるところはありましたけど、それへの不満よりも、良い
   意味での勢いを強く感じました。
    雰囲気としては、かなり荒削りではあるんですが、その荒削りなところ
   がかえっていい味を出していたように思います。……そういう意味では、
   昔のキャラメルと同質のものを感じました。細かいこと抜きで楽しめて、
   それなり(もしくはそれ以上)の感動を味わえるというあたりが。
    劇団の中身が成長する、+観る自分自身が変化していくにつれて、こう
   いった「問答無用の感動」とでも言うべきものはなかなか味わえなくなっ
   ちゃうんですよね…………う〜ん。だからこそ、いろんな劇団のいろんな
   舞台を観たいな〜と思うんですが。
    なので、今回、ここを観に行ってよかったと思います。
 
    ……で、誉めた後でなんなんですが(笑)気になったこと色々。
    看板女優さんがちょっと台詞をかみすぎ(印象として良くないです)
    その他の役者さんも滑舌が気になる人、数名。
    音楽の音量が大きすぎて台詞が聞こえないことが結構あり。
    (やっぱり台詞が分からないのはいかんでしょう。いっぺんに面白味が
   減ってしまうと思うので……ミュージカル『回転木馬』がそうでしたし)
    いちおう「死んだ」後なのに、役者さんが荒い呼吸をしているのが思い
   きり分かってしまう(立ち回りの直後ですから、しんどいとは思いますが
   ……舞台が近いからまるわかりなんですよね。やはりちょっとマズイ)
 
    次の公演も観に行ってみようかな。今度はちゃんとチケット買って(笑)
                              (00.4.18)
 
 

 ・MOTHER『スィート・フラジャイル』

    4/15〜19に、大阪天王寺・近鉄アート館で公演。
    4/19(千秋楽)に観てきました。
    アート館は公演によって舞台と席の位置関係が変わるのですが、今回は
   舞台の四方が客席になっていて、席は4つのブロックに分かれていました。
    その中の1ブロック・Bの3列目、左端の席での観劇。
 
    <ALL AROUND MOTHER 2000>という4本立て公演の、1本目。
    (「2000」はこの場合、ミレニアムと読むようです)
    他の3作品は再演なんですが、これだけは新作だそうです。
 
    MOTHERはよく大阪でも公演やりますし、いろんなところで紹介もされて
   いますが、これまで観に行ったことがありませんでした。興味はそれなり
   にあったのですが……単純にそちらへ回す費用がなかったというか (^^;
    知ってる役者さんが出てるわけでもないし、おもしろいところかどうか
   も分からないし……って、観てないんだから当たりまえなんですけどね。
   でもそういう意味で、あまり強く「観に行きたい!」と思わなかったのも
   本当。食わず嫌いみたいなもんでしょうか。
 
    アート館は舞台と客席の距離がすごく近いので、好きなんですよね。
    お芝居の雰囲気が思いっきり伝わってきますし。
    (ただし、アート館が入ってる百貨店は好きじゃないですが……だって
   エレベーターやエスカレーターの位置が分かりにくすぎるんだもん……)
    今回の4本立ては結構「観客巻き込み型」なところがあるようなので、
   そういうのがわりと好きな私としては、その点も気になりまして。
    でもなにせ一度も観たことのない劇団なので、とりあえず、と1本目の
   公演だけは観てみることにしました。面白かったら他も行こうかな〜と。
 
    開演20分前に劇場に着きました。
    ロビーでうろつく用事もないので、さっさと席に。
    ……すると15分前あたりから、真ん中の舞台でコントらしきものが。
    あまりにさりげなく始まったので「えっ!?」という感じでした。
    (ちなみに、今回が初めての試みらしいです)
    最初は男優さんお二人(座長の升さんと……あとは誰だろう? すみま
   せん顔の判別が…… (^_^;)だったんですが、コントが一つ終わるともう
   一人増えました。3本目に客演のコング桑田さん(リリパット・アーミー
   所属の役者さん)でした。しばらく升さんたちとお話をなさって、1ベル
   (たぶん開演5分前のベル)が鳴ったら、食べたものの片づけをして(笑)
   客席の空いてた席に座られました。……遊びに来ただけじゃなくて、観に
   来られたんですね(笑)
    あーそういえば。片付けたものを持って席に向かう桑田さんに、「それ
   重そうだね」と声をかけた男の方が。反射的にお辞儀を返した桑田さんに
   升さんが「気を使わないでいいですよ、うちの親父だから」……なんつー
   内輪な状態 (^^;;; でもご家族が観に来てくださるって、いいですね。
 
    MOTHERはダンスがひとつの見物、みたいに聞いていたので、どんなのだ
   ろうと思ってたんですが…………どうやら今回は、いつものようなダンス
   シーンはなかったらしいです(とある場所での書き込みより)
    オープニングで、ちょこっとダンスっぽい部分はあったのですが。
 
    ちょっとばかり噛み合っていない、仮同棲カップル。
    今日は引っ越し当日。しかし手伝いとして呼んだはずの面々は、みんな
   どこかズレている。思いきり天然ボケなディレクター、とことん脳天気な
   今時ファッションの女、なんとか引っ越しをやめさせたい管理人。そこに
   乱入してくる浮気調査の探偵……おまけに引っ越し業者までが、なにやら
   パフォーマンス過剰の変な連中。さらにライバル会社に対抗心を燃やして
   大騒ぎ。果たしてこの引っ越しは、約束の時間内に終えられるのか……?
 
    「オリンピックの引っ越し競技」という派手なオープニング。
    それが現実の引っ越しへと、少々無理矢理ながらつながっていく。
 
    各キャラクターの「飛ばしぶり」が笑えますね〜。
    ボケっぷり、脳天気ぶり、管理人のしつこさ加減……もちろんお芝居用
   にデフォルメしてるところはたくさんあるでしょうけど、それでも結構、
   「こんな人実際にいるかもな〜」っていう気になっちゃったりして。
    まぁ引っ越し業者に関しては、さすがにあんなパフォーマンスやる人は
   いないでしょうけどね(笑)
 
    かなりコメディに徹しながら、何ケ所か唐突に見せられるドラマな部分。
    登場人物やその場の雰囲気が「ちょっとぶっとんでる」だけに、ドラマ
   はどこかアンバランスでさえある。でもそのアンバランスさが逆に、観る
   側を引きつけてもいる。本音では「おいおい」ってつっこみたくもなるん
   ですけど、非日常っぽいドタバタが続くだけに、なんか都合のいい展開も
   「ま、いっかぁ」と思えてしまってる自分がいたりしました (^o^;
 
    最後、みんなが帰っていって、二人だけになったカップル。
    この作品のハートフルな部分は、このシーンに凝縮されてるのかも。
    見たところ、女の方が年上っぽいし性格もしっかりしている。男は作品
   中でも何度も怒鳴られているし、普段もたぶんそうなんだろう。
    そんな二人が、ラストに見せる「普通のカップル」らしさ。
 
    しかしこの作品はMOTHERとしては珍しい部類らしいので……他のものを
   観に行ったらもっとダンスがあって、もっと派手なのでしょうか……?
    ……次の2本目も、観に行ってみようかな?
                              (00.4.19)
 
 

 ・演劇集団キャラメルボックス『MIRAGE〜ミラージュ〜』(大阪初日)

            →こちらへどうぞ。☆ネタばれあります

 
 

 ・MOTHER『プラシーボ・デパート』

    4/29〜5/3に、大阪天王寺・近鉄アート館で公演。4本立ての3本目。
    5/2の夜に観てきました。
    前回と同じBブロックの6列目5番(左端)席での観劇。
 
    「プラシーボ」辞書で引くと「placebo」。「偽薬、気休め薬」。
    「死者のための晩課」なんて意味も載ってました。うーん。
    この作品での「プラシーボ」が一体どんな意味なんだか、は想像するしか
   ありませんけど……ねぇ。なんとなく分かるようなわかんないような。
 
    誕生日プレゼントを買うために、そのデパートへやってきたカップル。
    しかし店内はがらんとして、店員の姿も他の客の姿もない。
    うろうろしていると、どこからともなく店員が現れ、品物を薦める。
    訳の分からない薦めにつられ、訳の分からない品物を買ってしまう二人。
    最初は面白がっていた二人も、だんだん外へ出たくなってくるのだが……
 
    ……結論から言うと、1本目の『スィート・フラジャイル』の方が私好み
   でした。はい。
    今回のは、ネタ的には面白いんだけど、ドラマがないって感じで。
    ドラマ的な見せ場に弱いというか……笑えるけど、でもそれだけ、という
   印象が強いかも。いろんなドタバタがあるけれど、ほとんどがその時だけで
   終わるコントみたいなものでしたし。
    主人公がカップルである必然性も特別にはない気がします。最初から最後
   まで、二人の間になにかしらの変化がある訳でもないですし。ただ単に巻き
   込まれるだけの存在なら、カップルである必要はないですよね。
    あと、ラストがなー……それまでとりあえずは盛り上がってた分、ラスト
   の収拾のつかなさに、不満を感じました。「主人公がその後どうなったのか
   分からない」という展開そのものは別にイヤではないんですが(もちろん、
   ちゃんと分かるに越したことはありませんが)いくら訳の分からない、一種
   「自分勝手」なデパートや店員とは言え、出口が見つからないと訴えてる客
   にあの態度はないだろうし、……他にも理由があるような気はするんですが、
   とにかくなんだか、妙〜におさまりの悪い気分になってしまいました。
 
    MOTHERのダンス、ちゃんとしたの(?)は今回が初めて。
    派手……というほどではなくて、アップテンポ(わりと好きな系統)。
    ……でも3ケ所はちょっと多くない? 2ケ所くらいがベストって気も。
 
    これを観に行った目的の半分くらいの、粟根さんですが。
    『MIRAGE』とはやっぱり全然別人でしたね〜、いやはや (^o^;
    あまりに別人すぎたので、かえって前のイメージを引きずらずに観ること
   ができて、よかったと言えばそうなのですが(笑)
    ……ていうか、あれが普段の粟根さんなんでしょうね。動きとかいろいろ
   ハードだけど、楽しそうでした。
    そういえばたくさん歌ってたなー。キャラメル大阪後半ではネタの関係で
   歌ってるのをよく観たので、そのへんはオーバーラップしてたかも(笑)
                                (00.5.5)
 
 

 ・MOTHER『ジャンキー・スクエア』

    5/5〜5/9に、大阪天王寺・近鉄アート館で公演。4本立ての4本目。
    5/6の夜に観てきました。
    Cブロックの5列目4番(左側通路寄り)席での観劇。
 
    ある夜、ジョギングをしていて「そこ」に迷いこんだ一人の青年。
    「ジャンキー・スクエア」と呼ばれるその場所には、様々な中毒患者が
   集まっていた。クイズ、不健康、スポーツ、洗濯、スリル、……etc。彼ら
   は皆、それを続けていないと死んでしまうのだという。数えきれないほど
   のジャンキーたちは、管理人とオーナーによって監視されている。
    かつての恋人と、この場所から出たがる少年に会った青年は、なんとか
   3人で監視の目をかいくぐり、出口を見つけようとするのだが……
 
    MOTHER好きの知人が「おすすめ」と言っていた作品。
    3分の2くらいまでは、『プラシーボ・デパート』と同じようにコント
   的部分が多い「だけ」、みたいな作品なのかと思ってました。
    しかしいきなりドラマっぽくなって……でも思いっきり外されて。
    とにかく主人公の青年だけでも脱出できるのか? …………脱出できた!
    ……と思ってほっとしていたら。
    実はそうじゃなかった……という、ブラックなラストでした。
 
    普通の世界に戻ってこれた、と安心しているところに、「ジャンキー・
   スクエア」の中にまだいる……とじわじわと突きつけられる、その「間」
   が、かなりコワイです。ぞわぞわ〜っと来ます。
 
    なんで青年は出ていけなかったのだろう……?
    「ここから出ていきたいと思ってない者には出口は開かれない」
    …………本当は、現実の方から逃げたいと思っていたってことなのかな。
 
    『スィート・フラジャイル』は「ハートフル」。
    『プラシーボ・デパート』が「喜劇的」。
    『ジャンキー・スクエア』は「ブラックユーモア」。
    3作品を私が受けた印象で表すと、こんな感じでしょうか。
                               (00.5.6)
 

 ・NODA・MAP『カノン』

    5/19〜28に、大阪上本町・近鉄劇場で公演。
    5/24の夜に観てきました。
    G列(7列目)10番(左サイドややセンター寄り)席での観劇。
 
    生で観るのは一年ぶりの、NODA・MAP。
    昨年大阪でやった『半神』があまり好みではなかったので不安があった
   反面、テレビで観た『パンドラの鐘』がわりと良かったので少しの期待も。
    東京公演を観た人々の感想が千差万別、みごとに賛否両論だったので、
   かえって余計な先入観を持たずにいられたかも知れません(笑)
 
    先行予約の電話をかけたのがだいぶ遅かったにもかかわらず、かなり前
   の方の席を取れました。NODA・MAPでは一番前かな。平日の回だったから、
   でしょうけど。
    しかしさすがNODA・MAPと言うべきか、開演前には立ち見が出るほどに
   人が来ていました。平日でそれほどなんだから、土日・千秋楽はすごいん
   でしょうね〜、今さらながら。
 
    天麩羅判官(野田秀樹)の屋敷を襲う、盗賊団の一味。しかし警備隊の
   予期せぬ待ち伏せに遭い、返り撃ちにされてしまう。……誰が、自分達を
   売ったのか。猫(須藤理彩)が語るひとつの話。
    それは、太郎(唐沢寿明)が判官屋敷の牢番だった頃。盗みのかどで牢
   に入れられている女・沙金(鈴木京香)に言葉巧みに誘われ、太郎は女を
   逃がしてしまう。沙金を捜し出すように命ぜられた太郎。盗賊団の住処を
   探し当てるが、追い返されてしまう。責務のためなのか、沙金に会いたい
   ためなのか……太郎は盗みをはたらき、判官屋敷に捕らえられた弟・次郎
   (岡田義徳)を助け、かつての同僚を殺し、どんどん深みにはまっていく。
    二人の兄弟がすっかり盗賊団の一員となったある日、次郎が「判官屋敷
   にある『自由』を盗み出そう」と言い出す…………
 
    私の感想ですが……
    誉める人の気持ちも批判する人の気持ちもわかるような気がします。
    でも個人的には、総合点は結構良い方です。
 
    「言葉遊び」が過剰に思えるのも、役者さんの声が聞き取りにくいのも、
   野田さんが出すぎなのも(笑)、分かります。
    でも、あの絵本のようなおもちゃ箱のようなカラフルで圧倒的な、同時
   にひどく儚いような美しさに彩られた世界。舞台の様々な大仕掛け。
    あれはすごく独特だし、観る価値があるように思いました。
    ……もちろん好みによりけりですし、それを差し引いてもマイナス面が
   目についてしまう場合もあるでしょう。
 
    野田さんの作品ははっきり言って「難しい」し、氾濫する「言葉遊び」
   や、ものすごい速さ+大量の台詞についていくのは、舞台を見慣れている
   人であっても、大変だと思います。
    あの台詞を言う方もめちゃめちゃ大変ですよねぇ……速く、かつ全員が
   聞き取りやすい声でしゃべるのは、すごく難しいでしょう。聞き取れない
   ところが結構あったのは、確かに「観せる側」としてはいけないのだろう
   と思いますが、(少なくともこの回では)誰も一度も台詞をかまなかった
   のはすごいなぁと後から思いました(まぁ、それも「当たり前のことだろ」
   と言われそうですが (^^;)
 
    ともかく私個人は、マイナス面も確かに目につきましたし、途中で台詞
   についていけない時もありましたけど、それ以上に、楽しんで観ることが
   できました。先入観少なく、さほど期待もせずに行ったのも良かったかも。
 
    テレビでもよく観る役者さんたちが、メインの役どころに多いですね。
    唐沢さん、鈴木京香さん、須藤さん、岡田義徳さんetc。
    吉本の「雨上がり決死隊」も出ていたり(なんかすごい)
    そういう人たちの舞台での存在感が、ものすごく大きく感じられたのが
   印象的でした。
    テレビで売れている人たちが、みんな舞台でも成功するわけではないと
   思いますが、今回の場合はかなり皆さんいい線いってたように感じました。
    特に唐沢さん……かっこいい系の役しか(私は)知らないので、舞台で
   弾ける様子が新鮮というか、何といいますか(笑)……声、動き、表情、
   その全てが「太郎」という役を芯から演じていることを感じさせました。
    岡田義徳さんは昨年の「いつわりとクロワッサン」でも観ました。今回
   でまだ2回目の舞台なのですが……あの弾けっぷりは只者じゃありません
   ね。すごいもん、表情が(笑)
 
    あれだけ舞台で、自分の全てを使って表現することはとても大変なこと
   なのでしょうけど、反面、それができた時にはすごく気持ちいいだろうな、
   とも思いますね。なんだか、うらやましくなってしまうくらいに。
 
    野田さんは、いつも思うのですが、ずるい人ですね〜相変わらず(笑)
    考えてみたら(ほぼ)毎回キーパーソンの役をやってますし。
    そうでなくてもあの声、あの動きで、視線が集まりやすいのに (^^;
    アドリブだか意図的だか分からない言葉を発するし、よく観客で遊んで
   もいるし……出番自体も、今回は特に多かったんじゃないでしょうか。
    「役者・野田はもういい」という声もあるようですが、個人的にはあの
   人は貴重だと思うなぁ。あんな役者さん、なかなかいませんもの。
 
    あ、そうだ。私の観た作品に限るのですが……
    NODA・MAPのラストって、男の主人公が一人で舞台にいて、長ーい台詞
   を喋って終わっていく場合が多いんですね。今回もそうでしたし。
    ちょっとワンパターンな気がしなくもないかな、そろそろ。
                              (00.5.24)
 
 
 

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