<97.7以降に観た舞台の記録(〜08.11)>

 <2008年の記録>
 
  ・演劇集団キャラメルボックス『きみがいた時間 ぼくのいく時間』(08.4)
  ・演劇集団キャラメルボックス2008ハーフタイムシアター
        『ハックルベリーにさよならを』/『水平線の歩き方』(08.7)
  ・Riverdance2008(08.7)
  ・『ウーマン・イン・ブラック〜黒い服の女〜』(08.7)
  ・子供のためのシェイクスピアカンパニー『シンベリン』(08.8)
  ・演劇集団キャラメルボックス『嵐になるまで待って』(4演目)(08.9)
  ・演劇集団キャラメルボックス『君の心臓の鼓動が聞こえる場所』(08.11)
 
 
 <2007年の記録>
 
  ・『コンフィダント・絆』(07.5)
  ・TEAM発砲・B・ZIN 15周年記念&解散公演『ジューゴ』(07.5)
  ・演劇集団キャラメルボックス『まつさをな』(07.5)
  ・劇団☆新感線『犬顔家の一族の陰謀〜金田真一耕助之介の事件です。ノート』(07.7)
  ・『ザ・アイリッシュダンス -RAGU'S Show-』(07.7)
  ・子供のためのシェイクスピアカンパニー『夏の夜の夢』(07.7)
  ・『郵便配達夫の恋』(07.10)
  ・演劇集団キャラメルボックス『トリツカレ男』(07.11)
 
 
 
   *基本的に、関西(大阪・兵庫など)の劇場で観た感想です。
    たまに東京で観た時は、その感想も含まれます。
 
   *タイトルの後に付けた点数は、10点満点での個人的評価です。
   *過去の舞台記録(HTML版):1997年〜2006年
   *過去の舞台記録(フレーム版):1997年〜2005年
   ☆(2016.8.3追記)
    一部、フレーム版のリンク自体がつながらない箇所がございます……
    大変申し訳ありませんが、その際はHTML版からご覧ください。
 

 <2008年の記録>

 ・演劇集団キャラメルボックス『きみがいた時間 ぼくのいく時間』:6点

    4/12〜17、新神戸オリエンタル劇場での公演。
    4/12の夜(初日)に観てきました。
    1階G列(11列目)6番(左サイドブロック左端近く)席にて観劇。
    (4/23〜28に大阪公演がありましたが、そちらは行っていません)
 
    ……期せずして長文になってしまいましたが(苦笑)別ページにはせず
   に、以下に続けます。
 
    2005年の『クロノス』から続く、梶尾真治さん原作のタイムトラベル・
   シリーズ第4作。プラス、3年ぶりの上川さん出演&主演舞台……という
   のが、この公演の2大宣伝コピーだったと思います。
    私がキャラメルの舞台で上川さんを見るのはかなり久々で、5年ぶり。
   前回出演の『TRUTH』再演(2005年春)を観ていないので(1999年の初演
   に対する、個人的な思い入れが強すぎたため)。にもかかわらず、久々と
   いう感覚はあまりしなかったのが不思議でした。外部出演舞台で観たのは
   確か『SHIROH』(2005年1月)が最後で、ドラマとかは全く観ていないの
   になぁ。
    まぁ、それはさておき。
 
    この公演を観ることを決める前も決めた後も、不安要素がありました。
   上川さんが出るとどうしてもいつも以上に騒がしくなることからして好き
   ではないし、頭が固いかも知れませんけど、ヒロインを客演の方が演じる
   ことについても私は否定派。内部的事情があるのだろうとは考えつつも、
   根本的には劇団員の女優さんの中から選んで、演じていただきたいと思う
   ので。
    さらに、このシリーズの舞台化自体、個人的にはもうお腹いっぱいだと
   感じていました。もともと「原作もの」は舞台化でも映画化でもアニメ化
   (以下略)でも、好きになれない質です。原作と同レベル、あるいはそれ
   以上におもしろくできていたと思えた経験が、本当に少ないので。
   (結果的にチケットを取った目的は、舞台を観ることよりも、同日に観る
   知人と会うことの方が比重が大きかったぐらいです)
    さらに言うと、原作そのものも、特に好みというわけではありません。
   上演済みの『クロノス』シリーズ3作品の原作、および他の作品を何冊か
   読んでみた結果、梶尾さんの作品というか文章そのものが好みに合わない
   と思うに至っておりまして……簡潔明瞭すぎて逆に心理描写などをわかり
   にくく感じたり、情感や余韻に欠けるような気がしたり、地の文やセリフ
   の細かい箇所に不自然さを覚えたりしてしまうことが、時々あるのです。
   (ファンの多い作家さんですから、ほんとに個人的な好みなのでしょうが)
    なので今回は、この舞台の原作である同名作品は読まないで観ました。
   正確には、発売された頃(確か2006年春)に店頭で、冒頭とラストだけは
   パラ読みしました。が、細かい説明や途中の展開は知らない状態。
 
    前置きが長くなりましたが、以下、やっと今回の舞台の感想(笑)
    上記のような思い、有り体に言えばいろんな不安とともに観たわけで、
   期待はほとんど持っていなかったのが幸いしたのか、案外悪くないように
   感じました。ギャグも泣かせるシーンも鼻につくほど極端ではなく、客演
   のヒロイン・西山繭子さんはそれなりに雰囲気に馴染んでいました。
    原作に沿いつつも少し違う形のハッピーエンドだった点は、よかったと
   思います。
 
    ……しかし終演後には、なんだかもやもやしたものが胸中に残りました。
    正直言って、この「もやもや」については、今でも自己分析しきれては
   いません。理由のひとつに、岡田達也さんが演じた人物の存在があるのは
   わかっていますが……上川さん演じる主人公が、39年前に行ってから深く
   関わることになる人物で、全く好みのキャラクターでないにもかかわらず、
   かわいそうだと感じてしまったのです。手に入ると思っていたものを全部
   失っていく役回りも、それらを取り戻したくて起こしてしまった行動も、
   自業自得な面がないわけではないのに、話が進むごとに観ていて辛くなり
   まして……彼が、主人公を傷つけてしまった後の人生をどう送ったかわか
   らないことも(確か説明されていなかったと思います)、哀れさに拍車を
   かけている気がしてなりません。
    違う意味で「その後の人生」が気がかりなのは坂口さんの役。主人公の
   秘密をただ一人知っていて、望みを叶えるために一生かけて協力した人物。
   歴史が変わった後に、彼女の人生はどう変化したのかが、気になります。
   どんな形ででも幸せであってほしい、と願いたくなるキャラクターだった
   ので。
 
    あと、どうしても気になってしまったのが岡内さんの存在。主人公の妹
   と同時に劇中のナレーション役で、ゆえに舞台に出ずっぱりの状態に近い
   のですが……個人的には、登場もナレーションもしていない場面において
   舞台を歩き回るのはやめてほしかったなぁ、と。そこにいない存在のはず
   なのに目に入るという状況が私はとても気になったし、受け入れ難かった
   です。そういう動きを指示した演出側の意図がどうであれ。
    あえて「個人的には」と書いたのは、同じ回を観た知人は「気にならな
   かった」という意見だったゆえなんですけど……皆様はどうでしたか?
   (役どころ自体は、違和感を感じるほどの不自然さはなかったと思います。
   ぶっちゃけ、キーパーソン向きでない人にしては、無難にこなしていた方
   かと)
 
    演出で思い出したこと。
    今回は2幕構成で、1幕の中盤と2幕の終わりの方で、ヒロインがある
   人物に会う場面があります。正確には、1幕の方では「会うために部屋に
   向かう」ところで途切れて、2幕は「会って話を終えた」時点から始まる
   形。……実は、その2つの場面に挟まれた部分は全て、ある人物が話した
   「改変される前の歴史」という仕掛けなのだとか。
    確かに、その前後の場面が「改変された後」であるならば辻褄の大半は
   合うはずですし、原作と同じ進め方でもあります。
    ただし、一度観ただけでそうだと気づく人は多くないのではないかと。
   ナレーションでの説明などはなかったと思いますし、少なくとも私の周辺
   の人々は皆、わからなかったそうですから。鈍い私も当然(苦笑)わかり
   ませんでしたので、「1幕で話を聞いたはずなのにどうして事故が防げな
   かったのかな?」としばらくは考えていました。
 
    その仕掛けと、今回のタイムマシンである「クロノス・スパイラル」の
   設定(39年の倍数しか遡れず、行ったきり戻ってこられない)、「現代」
   の登場人物の名前(一部)以外は、原作とは別物の作品になっています。
    原作にこだわりがなかったので、どこが変更されていようと、そのこと
   自体は特に気にしないのですが……変えられた設定や39年前での出来事に、
   あまり意味や魅力を感じられなかったのが残念でした。同じく別物だった
   『クロノス』では、原作と違う&原作に出てこない「人との絆」がすごく
   生きていたと思ったので、なおさら。
    主人公が「歴史を変える時」を待ち続ける姿は、予想しなかったレベル
   の強さで、せつないと感じたんですけどね……特に39年前に行ってからの
   展開の中で。そう思ったが故に、この作品をもう1度観る気は今のところ
   起こらないけど、嫌いにはなれない私。
 
    前作3本のサウンドトラックCDは迷わず買いましたが、今回はどうも
   耳に残る曲がなかったので(使用されていたOCEANLANEの曲は好きですが、
   全部持っていますし)、劇場で売っていたけど購入せず帰宅。……しかし、
   あまりにメロディーも歌詞も覚えていないので逆に「どんなんだったっけ」
   を日を追うごとに気になってしまい、約10日後に公式サイトの通販で注文
   してしまいました (^^;(4/29現在、まだ届いていません)
 
    ☆本日(5/3)CDが届いて聴いたので、少しだけ追記してみます。
     ……劇場で聴いた時も思ったんですが、テーマ曲とされているオープ
    ニングダンスシーンの曲が、なんだかインパクト薄かったんですよね。
    少なくとも、以前の3作品より。「聴くポイント」がどこにあるのか、
    ちょっとわかりにくい感じ。サビとそれ以外の部分の曲調変化が少ない
    (ように聴こえる)からかなぁ……そのためか、これまでのテーマ曲と
    比べると地味な印象も受けました。作品の性質が違うから、わざとそう
    作っているのかも知れませんが(前の3本と今回はタイムマシンの特性
    が違っていて、それ故に、「主人公が過去に行った後にどうなるか」も
    根本的に違うわけです)……イントロの、ミステリアスなメロディーは
    わりと好きなんですけど。
     同じ人が歌っている別の劇中曲(1幕のラスト&2幕のオープニング
    で使われていた曲)の方が、個人的にはテーマ曲っぽく感じたなぁ……
    と思ったら、アーティストさんがこの舞台用に一番最初に作ったのは、
    その曲なんだとか(公演の曲目リストより)。「小説を読んで浮かんで
    きた」のだそうで、そのためか、以前の3作品のテーマ曲に曲調が近い
    気がしました。まぁこちらの曲も、使われる場面からしたら「テーマ曲
    その2」と言えるのでしょうけど。
 
 
    ……これ以下は、今回の舞台とは関係のない話です。
    舞台との違いと書き下ろし作品が気になって、結局は購入した原作本。
   読んでいるうちに舞台の前作を観たくなってきたので、手持ちのDVDを
   久々に再生。『クロノス』は約2時間で長い(どうせ観るなら全編を一気
   に観たい)から余裕ができた時に回すことにして、ハーフタイムの2作品
   『あしたあなたあいたい』&『ミス・ダンデライオン』を観ました。
    約2年ぶりに観ると、『あした』の「いまいちだなぁ」と思った箇所が
   際立った印象でした。原作からの設定も変更した部分もなんだか中途半端
   だなぁとか、『クロノス』ヒロインはやはり出さない方がよかったよなぁ
   とか……ラストでは、当時はそう思わなかったのに、主人公とヒロインの
   ラブラブぶりがやけに恥ずかしく感じたりもしました(苦笑)
    反対に『ミス』は生で観た時よりも「いい作品」に思えて、かなり好き
   になりました。主役カップルが雰囲気でも安定度でも良いと思いますし、
   当時は過剰だと思ったいくつかのギャグも意外に気になりませんでしたし。
   さらに、こちらのラストシーンは、ラブラブである点は『あした』と同じ
   なのに何故か恥ずかしくなかったんですよね。不思議だ(笑)
 
    ちなみに次回公演のハーフタイム2本立て、再々演作品には期待薄なん
   ですけど(ヒロインをやると予想されるのが岡内さんだから)、新作の方
   はかなり楽しみにしています。メインが『ミス』の主役のお二人なので。
                           (08.4.29/5.3)
 
 
 

 ・演劇集団キャラメルボックス2008ハーフタイムシアター
     『ハックルベリーにさよならを』/『水平線の歩き方』:6点/6点
 
    7/6〜13、新神戸オリエンタル劇場での公演。
    7/6(初日)の昼に観てきました。
    1階Q列(1列目)14番(センターブロック左側)席での観劇。
 
    『ハックルベリーにさよならを』は、今回が3度目の上演(再々演)。
    私は再演をビデオで観ています。
    生で初めて観るにあたって、気になっていたのはキャスティング。前回
   からかなり年月が経っていますから、ほぼ総入れ替えの配役なのはしかた
   ありません。……しかし、ヒロイン役が岡内さんであるところは、どうも
   納得がいかない気分でいました。なんというか、ヒロインの「カオルさん」
   は、ちゃんと情緒の表現ができる人にやってほしかったので。
   (ファンの方には申し訳ありませんけど、岡内さんは「象徴」として以外
   のヒロイン向きではないと思っています)
    なので、はっきり言って期待してはいませんでした。
    ……そして実際、ヒロインはやっぱりイメージに合わない感じで(下手
   とまでは言わないにしても、美人系なところも含めて、初演・再演の役者
   さんとは雰囲気がだいぶ違うから……違うこと自体はしかたないんですが、
   必要な「可愛らしさ」が欠けている気がして)いまひとつな印象。
    しかし、メインの少年役だった實川さんが、意外と役柄にはまっている
   ふうに見えたからなのか、再演との違和感は思ったほど大きく感じません
   でした。
    その他の、男性キャラはおしなべてぼちぼちで、逆に女性キャラはなん
   だかいまいちだったかな……少年の母親と、少年に恋する同級生の女の子、
   どちらも演技が合っていない感じがしたんです。特に後者は、声質と服装
   のせいなのか妙におばさん臭いキャラになっていたようで、正直なところ
   くどく思えてしまいました。
 
    1時間の休憩ののち、新作『水平線の歩き方』。
    ……実を言うと、6月に東京で1度観ました。公演期間の前半に。
    少しでも早く観たい気持ちはありましたが、今年いっぱいで閉館される
   シアターアプルでの公演でなかったら、さて行っていたかどうか(苦笑)
   スケジュール上、キャラメルのアプルでの公演はこれが最後なので、記念
   に行っておきたいなと思いまして(10年前、アプルでキャラメルを観たの
   が最初の東京観劇遠征だったので、他の劇場より思い入れが強いのです)
    その時は、14列目24番(センターブロック右端)席で観ました。初見の
   作品を観る上では適当な位置だと思います。
    ……で、わざわざ遠征して観た1回目は、正直よくわかりませんでした。
   それまでに伝え聞いていた(主にネット上での)感想を、鵜呑みにはして
   いなかったつもりでしたが、いつもより期待感が大きめだったことは確か。
   この数カ月前にDVDで観直したら生で観た時よりも気に入った『ミス・
   ダンデライオン』(06年ハーフタイム公演)のカップル、ダブル岡田さん
   が今回もメインだったことが、大きな要因ですね。
    期待が裏切られたとまでは言いませんけど……前半30分の展開(主人公
   の半生の説明)がかなり目まぐるしかったせいもあってか、感情移入しき
   れなかったのです。というか、頭ではその感情に至る理由はわかるけど、
   実感をともなって感じられなかったと言いますか。説明のいらない強さで
   伝わってくる「気持ち」が足りなかったな……という印象でした。
 
    神戸で観る頃には、そのへんがもう少し「がつんと来る」ようになって
   いるといいんだけど、と思いつつ2回目を観ました。
    1ヶ月ほどの間に目にした感想の多くは「泣ける」というものでしたが
   ……2回観ても、泣ける作品とは私には思えませんでした、残念ながら。
   (実際に泣く泣かないは別として、本質的な部分で)
    1回観ておいたおかげで、ストーリーを追うだけで疲れるという事態は
   避けられました(初見では結構疲れました)。しかし数週間前の時点から、
   舞台がレベルアップしているようには思えずじまい。
    何が(少なくとも私にとって)問題なのかな、と考えました。
    ……初見時から漠然と思ってはいましたけど、主人公の青年を魅力的に
   感じられなかったことが、最大の原因ではないかと。泣いていたお客さん
   は結構いたから、かなり個人的な意見でしかないかも知れませんけど……
   人物造型自体が薄く感じてピンと来ないし、ラグビーが生き甲斐でそれを
   失うと辛いのは理解できるけど、それでも怪我が再発してからの言動は、
   主人公のわがままにしか見えなくて。
    ずっと二人で暮らしてきた主人公と亡くなった母親の、お互いに対する
   思いの強さ、それゆえの「失うことへの恐れで人を遠ざけがち」な主人公
   の弱さ。泣けたという人たちの大半はたぶん、そういった部分が気持ちの
   ツボにはまっているんだろうと思います。けれど個人的には、それらの点
   がやはり実感情としては伝わってこなくて、共感できるまでに至りません
   でした。
    もう1点、納得がいかなかったというか疑問に思ったのが「恋人のこと
   を本当に好きなのか?」ということ。なんだか、観ていて気の毒に思って
   しまうぐらい、主人公が彼女を好きなふうには感じられなかったので……
   そのあたりで主人公の情が薄い印象を受けてしまったのも、感情移入でき
   なかった一因かなと。
                              (08.7.31)

 ・Riverdance2008:7点

    7/10〜13、大阪・フェスティバルホールでの公演。
    7/12の昼に観てきました。
    1階F列(6列目)Rサイド36番(右端)席での観劇。
 
    2回目の来日(2000年)以降観続けていて、今回が4回目になります。
    ダンスが好きではあるものの、積極的にあれこれ観に行くわけではない
   私にとってはお気に入りの舞台なのですが……うーん、正直に言いますと、
   残念ながらあまり楽しめませんでした。少なくとも、これまでに観た3回
   と同じ程度には。
    去年7月に観たアイリッシュダンスの舞台がいまいち好みではなくて、
   久々にリバーダンスを生で観たいと思ったんですよね。その後に来日公演
   決定が発表されたので、楽しみにしすぎていたのでしょうか。はたまた、
   座った席が6列目だけど上手側が完全に見切れてしまう位置で、上演中も
   ずっと気になってしまったからなのか……うーむ。
    今まででしたら、観ながら足で拍子を取ってしまうほどに引き込まれて
   いたんですけど……舞台とDVDで何度も観すぎて飽きた、ってほどには
   繰り返し観てないと思いますし(2種類のDVDのうち、多く観ている方
   でも5回程度だし)
    大阪城ホール公演時(2000年と、たぶん2003年)よりよほど近い位置で
   観ていたのに、なぜだか、舞台が遠く感じられたんですよ。当日に寝不足
   だったとはいえ、2幕終わりの方でうとうとしてしまったのは、我ながら
   ちょっとショックでした(爆)
 
    今回、気になったことをいくつか。
    その1、見えなかった上手側には演奏者がいたのか、いなかったのか?
    パンフレットに挟み込まれていた日本語版リーフレットには、下手側に
   いた楽器の演奏担当者の紹介しかなく、フィナーレでも上手側を紹介する
   仕草はなかったと思うんですけど、下手側にはいなかったギターが入る曲
   はあったはずで、その演奏だけが録音というのもおかしな気もするし……
   知っている限り、今までは全て生演奏でしたから。休憩中にも幕が下りて
   しまうため、自分の目では確かめられませんでした。
 
    その2、プログラムの内容が結構変更された、という話を公式サイトか
   どこかで見かけたのですが、おそらく基本は変わってなかったと思います。
   (まぁ、当たり前かも知れませんが)。2幕で、細かい演出とか歌う人数
   とかは違っていたようにも思ったけど、DVDで確認したら人数に関して
   は記憶違いでしたし(一人で最後まで歌ってたような気がしていたけど、
   以前も途中から複数になっていました)
    逆に、観ている時は気づかなかったけど、踊る人数が以前と違っていた
   曲目が1幕でも2幕でもありました(単純にダンサーの人数確保ができな
   かったのかも知れませんが)
 
    その3。チケット販売サイトやロビーの物販コーナーでは「最後の日本
   公演」と書かれていましたけど、公式サイトやチラシにはそうとは書いて
   いなかったので、どっちが本当なのかいまだにわからないままです……
    今回はいまひとつ堪能できなかったけど、次があればまた行きたいとは
   思うので、本当に最後でなければいいのですけど。
 
    その4。なんか今回は明らかにアジア系っぽい人がいるなと思ったので、
   リーフレットの出演者名を見てみたら、一人だけ姓名ともに日本名の女性
   がいました。外国育ちかも知れないけど、人種的には純日本人なのでしょ
   うか(ちなみに、今まで観てきた中では女性の髪型はほぼセミロング以上
   なのに、その人はショート以上セミロング未満の長さで、それも珍しいな
   と思いました)
    そして、名字だけ日本名の人も。その人はたぶん日系なのでしょうね。
   これまでは気がつかなかったけど、日系人が出てた公演もあったのかな?
   ちょうど押し入れ整理中だったので、パンフ収納場所を片付ける時に過去
   の分を引っぱり出してチェックしてみたら、前回か前々回来日時には今回
   と同一人物と思われる出演者名がありました。意外と出ていたのですね〜。
                               (08.8.24)
    

 ・『ウーマン・イン・ブラック〜黒い服の女〜』:9点

    7/10〜13、大阪のシアター・ドラマシティでの公演。
    7/12の夜に観てきました。
    1階F列(6列目)Rサイド36番(右端)席での観劇。
 
    たぶん初めて、この舞台のパンフを購入しました。
    実を言うと、これまでの公演でパンフ売っていたことあったっけ……と
   思うほど物販の記憶がないんですけど、全く販売していないのも変だから
   おそらくは売っていたのでしょう。単に個人的に、手持ちが心許なかった
   から買ったことがないだけで(苦笑)
 
    2回(1999年2003年に)観ているので、ストーリーも仕掛けの大筋も
   当然わかっています。
    1幕の内容が3分の2、いや4分の3ほどが回想部分より現実(老人を
   俳優が説得したりする)場面の割合が多いことを忘れていて、話の流れが
   途切れてしまうゆえにずいぶんかったるくも感じてしまい、「まさかまた、
   さっきのリバーダンスみたいに肩透かしな気分になったりするんじゃない
   だろうか(同日に観ましたので)……」と不安なぐらいだったのですが、
   回想部分に流れが集中してからは全然違ってきて、いつの間にか、主人公
   が直面する出来事を一緒に体験している気分にさえなっていました。
    演出の細部までは覚えていませんので、たとえば悲鳴ではほんとに心底
   びっくりしたり、響いてくる揺り椅子の音をとても無気味に感じたり。
    ……そして、ラストのどんでん返しは知ってるにもかかわらず、怖くて
   薄ら寒くなりました。暗転が終わるまでが本当に息苦しかった……
    2回目のカーテンコールで、劇中に出てきた犬(二人芝居なのでマイム
   の犬ですが)を上川さんが呼んで、斎藤さんと一緒にいじって遊んでいた
   様子が微笑ましく、場内の空気がいっぺんに和んで、ほっとしました。
    退場する前に、お二人が敬意を表すように礼をし合っていたのも非常に
   良い雰囲気で、3回目のコールで周りの人々が立ち始めた時にはつられて
   私も立ち上がり、久々にスタンディングオベーションをしてしまったり。
    今の私にとっては数少ない、人に「ぜひ」とすすめたくなる舞台でした
   (ただし当然ながら、怖い話が極度に苦手な人は除きますけどね)
 
    余談ですが、リバーダンス日本公演は大阪がラストで、逆にこの舞台は
   大阪が最初だったんだなーと、観劇後に気づきました(笑)
   (ちなみに『ウーマン〜』は、国内公演後の9月には本場のロンドンまで
   行くそうです。どんな評価を受けるのでしょう?)
                               (08.8.24)
 
 

 ・子供のためのシェイクスピアカンパニー『シンベリン』:8点

    8/3、門真市民文化会館(ルミエールホール)大ホールでの公演。
    1ステージ限りの大阪公演を観てきました。
    H列(8列目)12番(左サイドブロック右寄り)席での観劇。
 
    今回はこれまで行ったことのない会場で、しかも門真市という行き慣れ
   ない方面だったので、道中ちょっと難儀しました。電車の乗り換えとか、
   道順とか。幸い、最寄り駅からはとても近くて助かりました。
    余談ですが、午前中はパソコン学校(今月から通学開始)の授業があり、
   その後にすぐ行きましたので電車の中ではかなり眠気に襲われ、爆睡状態
   でした(苦笑)
 
    2003年に、同じカンパニーで上演された時の舞台も観ています。
    ちなみにパンフレットによれば、日本での上演6回(記録上)のうち、
   2回はここの公演だそうで……本国イギリスでも、あまり上演機会がない
   作品なのだとか。
    今回と前回の比較をしてみようと思い、帰宅後に2003年上演時のビデオ
   (スカパーで2004年に放送された映像)を観ました。細かい動きとか黒子
   (その他大勢の人物)役のセリフ割り振りなどは違っていると思いますが、
   ギャグ関係は意外と、内容を変えていないものが多かった気がします(笑)
    役者さんによっては役と衣装の早替わりが連続する脚本なので、今回も
   該当する方は大変だっただろうなぁと思います。前回上演時に比べると、
   出演者数が一人少なかった(9人→8人)ので、必要な人も回数も増えて
   いたはず。もちろん、着脱しやすい衣装にしているのでしょうが……最短
   1分ぐらいで着替えなければいけないシーンもあったので、裏でのご苦労
   が偲ばれました。
 
    ストーリーを知っている、かつ、それなりに納得のいくハッピーエンド
   ものなので、あまり構えずに観て笑って、楽しんできました。
    来年の演目は『マクベス』とのことですが……さて、どんな内容でした
   っけ(苦笑)……後で作品ガイドで調べてみよう。
    ところで今回、左隣の親子(小学校低学年ぐらいの女の子連れ)が途中
   の休憩後にも席に戻ってこない、という出来事が。近くの席の人が第一幕
   のみでいなくなる状況には何故かほぼ毎年当たっていまして、それ自体は
   今さら珍しくないのですが……今回の場合は第一幕、ある登場人物がした
   賭け(ヒロインを誘惑できるかできないか)に関係したいくつかのシーン
   で、きわどいセリフが少なくなかったせいかな、やっぱり (^^;
                               (08.8.3)
 
 

 ・演劇集団キャラメルボックス『嵐になるまで待って』(4演目):4点

    9/11〜16、大阪・シアターBRAVA!での公演。
    9/14昼に観てきました。
    1階O列(15列目)25番(中央ブロック右端)席での観劇。    
 
    実は、観劇前日まで会場は神戸(新神戸オリエンタル劇場)だと思って
   いました。キャラメルに対する興味が年々薄くなってきていることは自覚
   していますが、ここまで来ると重症でしょうか(苦笑)
    ……正直言いますと、本当にそろそろ潮時が近いのかも、という気分を
   今回の観劇で感じました。再演における差違は、基本的に許容する姿勢で
   いるのですけど(どちらが好きか、という好みはまた別として)、今回は
   どうも、違いを受け入れきれませんでした。
 
    ヒロイン「ユーリ」、及び「波多野」「雪絵」の3名は悪くなかったと
   思いましたが、ヒロインの元家庭教師「幸吉」がなんだか……客演の役者
   さんで(所属劇団は知っていますが名前を何度か聞いたことがある程度)、
   あの役を客演にすると知った段階ですでに「なんか違うんじゃないかな」
   とは思っていました。客演を当てはめるならむしろ(初演では客演だった
   というイメージのせいかも知れませんけど)「波多野」の方がふさわしい
   んじゃないかな、とも。……しかし、別の意味であの人がその役をやらな
   くて良かったと思いました。ぶっちゃけて言いまして、どこに魅力がある
   役者さんなのかわからなかったのです。
    演技が巧いとか、良い意味でのインパクトがあるようには思えなかった
   し、ギャグは面白いかどうか以前に、何をやっているのかがわかりません
   でした。聞こえないセリフも腹立ちますけど、何を言って何をしているか
   不明なギャグもものすごくイライラします……というか、そんな方法じゃ
   やってる意味ないでしょ、と思うわけで。あまりにグダグダすぎて集中力
   が切れてしまった時が何度あったやら。
    さらに、ラストで「ユーリ」に呼び掛けるところ、前から「なんでそこ
   で呼び掛けるのか」と謎なシーンではありましたけど(スタジオ録音中と
   いう状況だから)、今回はますます謎でした。これまでは、「ユーリ」を
   励ましたい気持ちとかで思わず呼んじゃったのかなという解釈ができなく
   もなかったのですが、今回の言い方だと注意しているか怒るか、みたいな
   口調でしたから、彼があの場で言いたかったことを、好意的な解釈でさえ
   も想像できなくなった。
    ファンの人には申し訳ありませんが……なんであの人を出したのかな、
   とかなり本気で思いました。そして、どういう理由で演技に許可を出した
   のか。本番で見せてるってことは誰も、少なくとも演出に口を出せる立場
   の人はおかしいと思わなかったのでしょう……うーん。
    クライマックスも、演出が変だなと感じた箇所です。具体的に言うと、
   「波多野」が「雪絵」に向かって言った最後の言葉が聞こえなかった箇所。
   あのセリフは聞こえてこそ価値があるというか、聞こえてしかるべきもの
   だと思っていたので(初演〜再々演はずっとそうだったから)、嵐で聞こ
   えない(もしくは、言わなかった)設定にしたのかどうかはわかりません
   けど、納得がいかなかったな……同じシーンの「雪絵」の手話はすぐ後の
   シーンで通訳されていますが、あのセリフについては(言っているのだと
   したら)台本読まなくちゃ初見の人は知りようがないわけで、観ている間
   にわかるべきという意味でも、聞こえてほしかったと思います。「ユーリ」
   他2人がそれなりに仕上がっていたと感じただけに、「幸吉」&この箇所
   を不満に思わざるを得なかったのは残念。
    あ、西川さんの「広瀬教授」は相変わらずでした、いろんな意味で(笑)
 
    今回、グッズはポストカードのみ購入。サントラCDは、観る前はどう
   しようかな〜と思っていましたけど、変更された曲があまり好きな雰囲気
   ではなかったし、引き続いている主だった曲はもう持っているので、購入
   せずに帰りました。たぶん、買っても1回しか聴かないし(苦笑)
                              (08.10.19)
 
 

 ・演劇集団キャラメルボックス『君の心臓の鼓動が聞こえる場所』:6点

    11/9〜16、新神戸オリエンタル劇場での公演。
    11/12の夜に観てきました。
    1階H列(10列目)23番(右サイドブロック左端)席での観劇。
 
    当初は11/9昼(初日)のチケットを取っていたのですが、その日に出か
   けられない事情が発生しましたので、日時変更。変更の手続きはほとんど
   (もしかしたら1度も)したことがなかったので、無事終了するまでは、
   少々うろたえました(苦笑)
 
    さて。
    この作品は、作・演出の成井さんが17年ぶりに書いた小説を舞台化した
   もの、と聞いていました。正確に言えば、小説発売と舞台化が同時だった
   (おそらく)わけで。観終わった後に小説は買い、帰りの道中で読破しま
   した。
    ……実は、舞台のラスト30分ぐらいから急に頭痛がしてきまして。その
   せいもあって、最後まで集中しきれず。以下、それを含めての感想です。
    公演前の情報から予想していた、キャラメルに多い「ストレートな幽霊
   ネタ(亡くなった人が大切な人に会いに来る)」ではなく、そうでなかっ
   たこと自体は意外でした。……でも「他人の体を借りる」ネタは過去作品
   で使っていましたね(王道のひとつ、ありがちなネタなのでしょうけど)
    しかし正直なところ、好みの出来ではありませんでした。
    まず、客演の黒川智花さん(ヒロイン、というか主人公の娘役)の声質
   が気になったのですね。あまり響く感じではなく、声量自体も足りなくて、
   舞台向きではない気がしました。「これが初舞台&公演の初期なのだから
   周りの役者さんほどには声が出せていなくてもしょうがない」という意見
   もあるでしょうが、個人的には、舞台に立つ以上は経験がなかろうが公演
   が始まったばかりの時期だろうが発声はきちんとしてくれなきゃ、と思う
   のです。基本中の基本ですし、必要なレベルに初日時点で達していないの
   では、公演初期に来るお客さんに失礼だろうと。
    次に、劇中に出てくるドラマの設定がどうも……完全に内輪ネタという
   か過去作品のまんまで、なんか気持ちが引いてしまいました。もう一人の
   作・演出家である真柴さんが某ドラマの脚本を(全体話数の何割かですが)
   書いていらして、タイトルはそれのパロディだったんですよね。内容まで
   いじるわけにはいかないから(人様の作品ですから)、設定や筋は自作の
   パロディにしたのでしょう。……が、もう内輪ネタを楽しめない心理状態
   であるのか、その部分が全然おもしろくありませんでした。
    そんなこんなで、のめりこめるものを最後まで感じることもできず……
   主役の西川さんはよかったと思いますけど、格別によかったわけではなく
   無難な感じ。ラストの台詞は、西川さんだからあの台詞に効果がある、と
   思えたんですけど。
    ……なんといいますか、正直な印象としては、だーっと走り過ぎていっ
   ちゃった感じで。「展開の速さ」自体はもともとキャラメルにつきものの
   傾向なのですけど、それに加えて今回は、面白みも泣かせどころもどこに
   あるのかよくわかりませんでした。この作品に付けた点数(6点)のうち
   5点までは、西川さんがメインであるが故の評価と言えます。
 
    ちなみに、小説と舞台の相違点ですが、
    (1)舞台に出てきた人物が小説にはいない、もしくは設定が違う
    (2)ストーリー展開の細部
   の2点は、まぁ基本的に当たり前の違いですし、そんなに気になったわけ
   でもありません。しかし、ただ1つ不満だったのが、舞台ラストの主人公
   の台詞が小説にはなかったこと。これは、先に舞台を観た(&それなりに
   西川さんファンである)という事情に大きく左右されているのかも。
                              (08.12.23)
 
 

 <2007年の記録>

 ・パルコ・プロデュース公演『コンフィダント・絆』:6点

    5/10〜31、大阪OBP・シアターBRAVA!での公演。
    5/12昼の回を観てきました。
    B列(2列目)31番(右サイドブロック端から2番目)席にて観劇。
 
    三谷幸喜さん作・演出の舞台を観るのは3回目。最初は『オケピ!』の
   再演で、2回目は『なにわバタフライ』でした。前者はわりとお気に入り
   作品ですが、後者は一人芝居が好みに合わなかったのかラスト30分ほどは
   「早く終わらないかな」と思い続けてしまうという、もったいない結果。
    以降、自分の都合とチケット確保の機会、及び観に行きたい気分が合致
   する時がなく、ご無沙汰していた三谷作品。
    今回は、上記の3つの条件がたまたまそろったので(勢いで予約に挑戦
   してみたらチケットが取れたので)、観に行ってきました。
 
    シアターBRAVA!に来るのは約1年2ヶ月ぶり。去年8月にキャラ
   メルが公演していましたがそれは観ませんでしたし、他の舞台はそれにも
   増して観ない最近ですから (^^;
    さておき。チケットが来てから「おや?」と思っていましたが、やはり
   というか、かなり前の列でかなり端っこの席……首はそんなに痛くはない
   ものの、角度的にはやっぱりちょっと斜めになり過ぎる位置。全ての席を
   似たような角度の位置にはできませんから仕方ないですけどね……まぁ、
   舞台に近いという雰囲気をなるべく楽しもうと思いつつ、着席。
 
    本編の感想。簡潔に言うと、前半は笑いまくり、後半は観ていて辛いと
   感じる時が多かったです。……登場する画家4人のうち、3人は後に一流
   となる人物。そのあたりで「感情の激しすぎるぶつかり合い」は予想して
   しかるべきだったと、観劇後に思ってしまった私でした。確かに「絆」の
   話ではあるけど、最終的には守るんじゃなくて崩壊しちゃってるんですよ
   ね……これについては(違う方向に)予想外。
    当時は無名だった彼らと、絵のモデルになった女性の短期間のドラマ。
    前半はまだ、危ういながらも5人の関係の均衡は保たれていて、だから
   こそ笑いの比率も多かったわけですが(本当に、かなり笑いまくりました)
    後半で、彼らが見せる「感情」は本当に生々しくて、それは鋭いナイフ
   のようであったり、あるいは締め付けるロープのようでもあったり。努力
   だけではどうにもならない「才能」の世界に生きる彼らにとって、自分が
   到達できない位置にいる相手は、憧れでもあるけど、時には嫉妬が高じて
   憎しみの対象にもなり得る。
    後世に名を残すだけの「才能」をそれぞれに持った人物であるが故に、
   自分に無いものを持つ相手が、羨ましいと同時に憎くて仕方がない。その
   「感情」を抑えられずに親切めかして相手を潰そうとしてしまう者、自分
   の「才能」を認められないことに絶望して去っていく者、自分の存在意義
   を「生活能力に欠けた人間を支える」ことで保とうとする者。本当の意味
   での「才能」が無いが故に彼らの「才能」にも思いにも気づけず、崩壊を
   招いてしまう者。そして、4人の真実を垣間見て、崩壊を見届けた女性。
 
    客観的に思い返せば、非常に密度の高いドラマだったと思います。観客
   の評価が高いことも無理なく頷けるぐらいに。
    ……なのですが、あくまで今の私個人にとっては、人間ドラマの重さが
   辛くて、終演後の気分も重たかったです……特に、「いい奴」なんだけど
   「画家としての才能」は無いと「宣告」されてしまう登場人物の存在は、
   ある意味で我が身に重なる部分が結構ありまして、妙な具合に感情移入も
   してしまって、思わぬところで気力を大量に消耗したのでした…… (^^;;;
    願わくば、次に観る三谷さん作品は、もう少しさっぱりした部分の多い
   内容であってほしいな、と希望。
 
    ところで、1幕と2幕の間の休憩が終わる前に、「お楽しみ」があると
   人づてに聞いてました。三谷さんが出るのかな、となんとなく予想はして
   いたら、やはりそうでした(笑)。アコーディオンの鍵盤を無くして簡略
   化したような楽器を手に、1曲演奏。2幕が始まってもしばらく舞台上に
   いらして、出演者にいろいろ話しかけていましたが(「昨日(の出来)は
   どうだった?」とか)、答えてもらえないのですごすごと去っていく、と
   いう手の込んだ流れ。2幕が始まったのに気づかず出演者がすぐ横にいる
   ことに驚いた、という細かいことまでやっていらっしゃいました(爆笑)
    ちなみに、まぁ考えれば当然なんですが、大阪公演では毎ステージ出演
   なさっていたわけではないとのこと。知人に(観た回では)出てきた、と
   話したところ「それはラッキーだった」と言われて初めて、「そうだった
   んだー」とラッキーさを認識した私でありました(苦笑)
                              (07.5.26)
 
 

 ・TEAM発砲・B・ZIN 15周年記念&解散公演『ジューゴ』:8点

    5/12〜13、大阪OBP・松下IMPホールでの公演。
    5/12夜の回を観ました。
    J列(10列目)10番(センターやや左寄り)席にて観劇。
 
    この劇団の存在を知ったのはちょうど10年前、1997年。
    演劇集団キャラメルボックスの番外的な公演に、劇団員数名が出ていら
   したのをビデオで観たのが最初。
    初めて観た発砲の公演は1998年冬の『カケルエックス』でした。
   (厳密な意味での初見は、97年『トランスホーム リフォーム』のビデオ)
 
    ……知ってからはそれなりに長いのに、公演はあんまり観てないような。
   上記1本と、1999年・2000年に1本ずつ、2001年に2本、2002年と2004年
   に1本ずつ……で、今回の解散公演。合計8本か。
    プラス、ビデオで4作品ぐらい観てると思うので、作品数で言うと12本?
   うーん、多いのやら少ないのやら、微妙な数ですね(笑)
    もちろん観に行ってない公演もあるわけですが、公演数自体がそんなに
   多くはなかったんですよね、たぶん。公演期間も短いし(関西では特に)
   ……まぁ、関東拠点の小劇場系劇団ならこれぐらいで標準的なのでしょう。
   いろんな意味で桁外れな某劇団を基準に考えちゃいけません (^^;
 
    さて。
    この劇団の作品、大半は上演時間が1時間半〜2時間弱ぐらいで、他の
   劇団その他と比べれば短かめだと思います。……しかし何故か、私の場合、
   1時間ぐらい経ったあたりで時計を見て「え、まだ1時間?」とほぼ毎回
   感じてました(ビデオでも同じく)
    なんというか、良く言えば濃い、悪く言うと要素がごちゃごちゃしてる
   というのがTEAM発砲・B・ZIN作品の印象。時間内にかなり目一杯、セリフ
   も設定も詰め込んでるって感じなので、観てるこちらも油断するとすぐに
   脳内がいっぱいな感覚になってしまうのかも。登場人物それぞれにドラマ
   を持たせるのは良いと思いますし、作・演出のきださんの設定及び表現は
   (観てきた範囲内では)あまりドロドロしてないので、個人的には好きな
   方なんですけど。……良くも悪くも、観る側にある程度の元気がないと、
   展開についていくのが大変なのは確かかなーと。
 
    で、本編について。
    ……と言いつつ、実はあまりちゃんと覚えていないのです(爆)
    同じ日の昼に観たのが1つ上に感想を書いた『コンフィダント・絆』で、
   それで結構気力を消耗したものですから……ストーリーはだいたい記憶に
   あるんですけど……観てて自分がどう感じたかがかなりあやふや(←おい)
    うーんと、最後までTEAM発砲・B・ZINらしかったとは思ったような気が。
   セリフや設定の多さも、説得する箇所が多いところも、そして最終的には
   ハッピーエンドなところも。実際の上演時間以上に長く感じて少々疲れる
   のも同じでした(苦笑)
    まぁしかし、そういうのがこの劇団作品の良さでもあるかな、と同時に
   ちらっと思ったり。荒削りでストレートでごまかしも裏表もほとんどない。
   それが鼻につく時もあるけど、この日この時の私の気分だと、その部分に
   安心できたりもしました。観た結果として、下降気味だった気持ちが少し
   ですけど上向きになれたということで。登場人物がこの先どうなるのかな、
   と気にさせられる&ちょっとしんみりしたラストでしたけど、希望は感じ
   られましたし。
    ありがちな言い方ですけど、飛び飛びにでもこの劇団の舞台を観てきて、
   観ることができて良かったと思います。
    7月から9月までスカパーでTEAM発砲・B・ZIN特集をやるらしいので、
   チェックしてみる予定です。この作品も放送されるそうなので、もう一度
   観てみようかな。
                               (07.6.10)
 

 ・演劇集団キャラメルボックス『まつさをな』:6点

    5/18〜27、新神戸オリエンタル劇場での公演。
    5/19昼の回を観ました。
    1階N列(4列目)24番(右サイドブロック左寄り)席にて観劇。
 
    ベースに使われた作品は山本周五郎さんの短編ですが、要素のいくつか
   は藤沢周平さんの作品に似たところがあるように思いました。登場人物の
   名前とか、ヒロインの剣の技とか、ある人物が追われるようになった状況
   とか……まぁ、時代物にはめずらしくないネタなのかも知れませんけど。
   (藤沢さんの作品を去年から今年にかけてよく読んでいまして、個人的に
   記憶に新しいせいで、余計にそう思うのかも)
 
    さて本編ですが……うーん、前半はまだしも、後半が観ていてなんだか
   居心地悪かったというか……今回、真犯人予想を変に掘り下げすぎまして
   (もしかして三浦さんの役? と途中まで思ってました)、結果間違って
   いたのですけど、そのせいで犯人役(大内さん)の演技に余計に苛ついて
   しまったんですね。そのせいなのでしょうか。
    後日あらためて考えていて、あの役柄&演技の場合、悪役というよりは
   ひたすら嫌な奴って感じだなーと思いました。そういう役だと言われれば
   それまでですが、悪役としての凄みには欠けていたような。そんなふうに
   考えるのは、この作品が発表の段階から「女性版『TRUTH』」と銘打たれて
   いたからだろうと思います。つまり、無意識に『TRUTH』の悪役と比較して
   しまうのですね。その点を気にしなければ、ああいう人物なのだと、まぁ
   それなりに納得していたでしょう。
    そして、さらに後日思ったこと。元ネタの作品では、悪役の人物が姉の
   自殺に関係している上に姉に似たヒロインを口説こうとする箇所が、この
   作品だと逆方向の設定になっているあたりはキャラメルテイストだなーと。
   姉とは悲恋だったが故にヒロイン(温井さん)の存在を憎むようになって
   しまうわけで、そういう意味では一番可哀想なのは大内さんの役という気
   がしてきます。この話で最も「悲劇的」なのは実は彼なのかな、とも。
 
    そういう事情をまるで知らず、根本的にお坊っちゃん育ちの人の良さも
   あるからか、友人のことをほとんど最後まで疑わない。それ故にヒロイン
   が友人を疑う言動が理解できずに、彼女に対して不信感をあらわにする。
   そういう展開であるせいか、今回はヒロインの相手役(岡田達也さん)が
   どうも魅力的に感じられなかったです……不器用だけど優しい人、という
   設定は理解できるけど、納得はできなかったというか。与えられた見せ場
   の中で、残念ながら充分に魅力を表現できていないと感じてしまいました。
    そして剣術の若先生(畑中さん)の喋り方が、最初から最後までカンに
   障り続けました……思えば、去年冬の『少年ラヂオ』で畑中さんが主役を
   やった時も、喋り方に引っかかったというかイライラし通しだったのです
   ……何故? 単純に好みの問題なのかなぁ……しかし少なくとも今回は、
   なんか役柄にそぐわないというか、合ってない感じもしたんですよね……
   菅野さんが「沖田」を悪役として演じた時の口調にちょっと似てるんです
   けど、菅野さんではそれほど感じなかった嫌味さ・皮肉さが、何故か畑中
   さんだと、聞いていて疲れるぐらいに嫌味さを感じてしまったのでした。
   ……うーん、やっぱり好みも大きいのでしょうか? 別に畑中さんが嫌い
   なわけではないんですけど(好きなキャラもあるし)。
 
    ストーリーそのものは……まぁ最初から、上にも書きました通り「女性
   版『TRUTH』」と銘打たれていましたから、展開に近いものがあるのかな、
   とは思っていましたけど。でも似てると言えるのはクライマックスシーン
   ぐらいだったかな……ベースの作品が違うのだからむしろ似てなくて当然
   なのですけどね。
    さてそのクライマックスシーン、似ているわりには、『TRUTH』のような
   ギリギリの緊迫感はなかったと感じました。まぁ設定とか展開とかが違う
   んですからしょうがないと言えばしょうがないかも。しかし、説得のため
   に岡田さんの役が持ち出す話は、『俺たちは志士じゃない』でポイントと
   なる部分の流用みたいな感じでしたし、ヒロイン・温井さんが大内さんの
   役に最後に言うセリフも、綺麗ごとすぎる気がして微妙な印象……結局の
   ところ、全体的にそれほど「悲劇」ではない雰囲気でしたし、それ自体は
   それで別にかまわないのですが(基本的にはハッピーエンドが好きだし)、
   なんか今ひとつ引き締まってないというのか、全体的に中途半端な感じが
   したのでした……ベースの短編小説や『TRUTH』と比較して、この作品の方
   が勝ってる(もしくは好み)と思える部分は、今考える限りでは思いつか
   ない状態。
    面白かった・良かったとはっきり言えるのは、ヒロインが養女になった
   家の人々のやり取りぐらいかな……両親役の粟根さん(客演)&坂口さん、
   家臣役の左藤さん、女中役の岡内さん。全員がそれぞれにいい味を出して
   いたと思います。ギャグ方面も含めて(笑)
                               (07.6.3)
 
 
 
 ・劇団☆新感線
   『犬顔家の一族の陰謀〜金田真一耕助之介の事件です。ノート』:4点
 
    7/17〜8/4、大阪OBP・シアターBRAVA!での公演。
    本公演日程より前、7/14・15にプレビュー公演というものがありまして、
   それを観ました。主にスケジュール、次に予算の都合で(苦笑)
    7/14昼、1階F列(6列目)6番(左端)席での観劇。
 
    当日は台風が心配でしたが幸い暴風雨にはならず、上演中止にもならな
   かったので一安心。新感線系の舞台では1度(2001年?の夏)上演中止の
   遭遇経験があるので(その時の原因は天候にあらず)。そしてチケットを
   取り直すほどの情熱は無かったのでその舞台は結局観ずじまい。
    あまり新感線は観に行かない私なので、今回のような「ネタもの」芝居
   で観たことがあるのは、確か1996年の『花の紅天狗』(初演)のみだろう
   と思います。
 
    まだ東京公演がありますので、感想は以下のリンクに隠しておきます。
    ……感想が否定的な内容だという理由もありますが (^^;
    なので、良い感想を読みたくて検索などでいらした方は、以下はお読み
   にならない方がよろしいかも……もしくは、それをご了承の上でどうぞ。
 
      → こちらになります。
                               (07.8.4)
 
 

 ・『ザ・アイリッシュダンス -RAGU'S Show-』:5点

    7/21・22、NHK大阪ホールでの公演。
    7/21のステージを観てきました。
    1階F4列(実質3列目)8番(左ブロック中央)席での観劇。
 
    『Riverdance』の感想や「その他の趣味」のページを読んでいただいた
   ことのある方々はご存じかと思いますが、私は2年前までダンスを習って
   いました。踊るのも、そして観るのも好きなのですけど、実際にはあまり
   公演をチェックして観に行くことはありません。観た経験があると言える
   のは上記『Riverdance』と、友人のバレエ公演ぐらいでしょうか(笑)
    『Riverdance』は初来日時には知らなくて観ていませんが、2回目以降
   の来日公演(たぶん3回)は全部観ました。初めて観た時にダンスと音楽
   の組み合わせがすごく気に入ってしまい、持ち合わせがなかったので偶然
   同じステージを観ていた知人にお金を借り、CDを買ってしまったぐらい
   です (^^ゞ
 
    今回の公演も、アイリッシュダンスということなので、『Riverdance』
   に近いものを無意識にも意識的にも期待していました……が。
    それがおそらく良くなかったのでしょうけど、正直、私にとっては期待
   外れでした。ダンスの割合が意外に少なかった(20前後のプログラム中、
   半分は音楽のみの演奏)というのもありますが……肝心のダンス自体にも
   あまり感動できなかったのです……うーん。伝統的アイリッシュダンスも
   ケルト音楽も、それ自体はもちろん苦手なわけではないのですけど。
    ダンスプログラムが少なかったのは出演者数が14名と少なめだったから
   なのでしょうが、そのせいもあってか『Riverdance』よりは地味に見えて
   しまったり、ダンスのバリエーションも少ない気がしたり(アイリッシュ
   ダンス公演としては間違っていないのでしょうし、ショーの方向性も違う
   んでしょうけどね)……贅沢な言い分ですが、席が舞台に近すぎて(3列
   目でした)、個人的に好きな全体風景が観にくかったのも一因かも。
    あと、私が舞台の雰囲気に浸れないうちに、両隣の人が異様に(しかも
   1曲目から)乗って観ていたため、こちらは逆に気分が引いてしまったと
   いう状況もありますね、たぶん (^^;
    それやこれやで集中できなかったので、全く関係のない考え事を長々と
   してしまっていたほどでした……いやはや。
    せっかく観に行ったのにもったいなかったですよね、こんな感想になっ
   てしまうんじゃ(苦笑)
                               (07.8.14)
 
 
 
 

 ・子供のためのシェイクスピアカンパニー『夏の夜の夢』:5点

    7/29昼、大阪OBP・松下IMPホールでの公演。
    E列(5列目)5番(左ブロック中央寄り)席での観劇。
 
    個人的にはここ3年ほど、内容が悲劇だったり妙にセクハラ的(苦笑)
   だったりというのが大きな要因で、終演後の後味が良くない印象が続いて
   いました。今年は喜劇で有名な作品だし、少なくとも「笑い」の部分では
   期待できるのかな? と思いつつ観てきました。
    …………確かに笑えはしたんですけど。でも。
 
    メインストーリーとして若い男女や妖精の恋模様、サイドに素人劇団の
   稽古風景。2つの話が交互に展開していき、後半近くで重なるという構成
   なのですが。
    正直、後者が作品に占める割合がこんなにたくさん必要なのかな……と
   私は思いました。本来の台本でも、全体の半分ぐらいは素人劇団のシーン
   らしいですけど(読んではいないので定かではありません)……うーん。
    私がこのカンパニーで気に入っている点のひとつが、ギャグとシリアス
   のギャップ、それにより生まれる緩急のバランスが好み(個人的には)と
   いうことなのですけど、今回はなんだか無駄な部分が多かったような……
   特に素人劇団シーンは、ギャグが頻発しすぎるせいか雰囲気もだらだらと
   感じられ、観ていてうっとうしくさえ思えてきて、集中が何度も途切れる
   心理状態になってしまっていました。同じように感じたのか、はたまた、
   恋愛関係できわどいシーンが第1幕終盤に続いたせいか(そういう場面も
   ここ3年の作品ではちょっと多いかも)、15分の休憩が終わって第2幕が
   始まっても、隣の席の親子は戻ってきませんでした……うーむ。そういや
   一昨年もそんなことがあったな(あの時は夫婦だったと思うけど)
 
    残念ながら、今まで観てきた7作品のうちで、一番つまらなかったかも。
   恋模様はいちおう丸く収まる展開ですけど、そうなって素直に「よかった」
   と思える話運びじゃなかったしなぁ……泥沼になりかけていたのがあまり
   にもあっさり収束させられてしまって、ハッピーエンド好きの私でも逆に
   納得いかない感じがしたので。
    そこで終わる展開ならまだしも、その後に素人劇団の舞台上演シーンが
   入ってきて、なんかもうそれがひたすらだるかったです……下手さを笑い
   のネタにしているシーンなのでしょうけど、それゆえに相変わらず不必要
   なほどギャグ満載だし、個人的にはシーン自体が必要ないと思いました。
   ほんとに観ていてだるかった (>_<)
 
    来年は2003年上演の『シンベリン』が再演だそうです。このへんまでは
   かなり好きだったんですよね〜。どうしようかな……まぁたぶん、期待と
   不安半々で観に行くとは思いますが。
    今回楽しめたのは、実に余談的なことばかりでした。開演前のお楽しみ
   (出演者全員による余興「イエローヘルメッツ」)で、ボーカル役の人が
   ○○大学(私の母校)出身という話をしていて、卒業生の人はいませんか
   と客席に振ったらその時は私しかいなかったようで、手を上げたらやけに
   注目されてしまいました(笑)
    そして、効果音代わりに毎作品やっている、出演者による劇中の手拍子。
   今回はそれに客席もちょっとだけ参加できるシーンが、ラスト近くにあり
   ました。初めて観た時からずっと、一緒に手拍子してみたいと思っていた
   ので、かなり嬉しかったです (*^^*)
                               (07.8.14)
 

 ・『郵便配達夫の恋』:8点

    10/7〜8、新神戸オリエンタル劇場での公演。
    10/7の夜に観てきました。
    1階G列(11列目)20番(センターブロック右端近く)席にて観劇。
 
    キャラメルボックスの西川浩幸さんが出演するのと、同じくキャラメル
   の役者兼脚本・演出の真柴あずきさんが原案者であることが、観に行った
   大きな理由です。4人芝居なので、西川さんの出番も結構あるんじゃない
   かと思って。
    10年前の初演を観に行かなかったのは、上演が東京だけだったからだと
   記憶していますが、どうもうろ覚えです(苦笑)……再演希望の声はそれ
   なりにあったらしいのに、これまで1回も再演されていなかったのが少々
   驚き。当時主演だった女優さんが現在は活動していないせい?
    そしてセリフの中の、「10年ぐらい前に(ハレー)彗星が来た」とか、
   今なら絶対メールorネットと言うはずの会話内容で「パソコン通信」とか、
   時期のずれたものがそのままになっているのは何故かと思ったら、脚本を
   書いた方が2年前に亡くなっているのですね(パンフレットに書いてあり
   ました)……それであえて手を加えなかったのでしょうか。
    で、本編。とりあえず西川さんはどこへ行ってもほぼ(観てきた限りに
   おいては)、ギャグ担当でせつないんだなーと(笑)。同時に作品の性質
   なのか役柄のせいなのか、癒される気分にもなったりしました。
    他3名は……まぁどの方も程よくはまっていたかと。初演のメンバー、
   特に主役はどんな雰囲気だったのかなーと思います。今回の人はタイプが
   だいぶ違う感じで、プラス女優メインではないタレントさんだったので、
   正直ちょっと心配でした。結果的にはそれほど悪くはなく、役(シンガー
   ソングライター)の設定的には今回の方が案外イメージは近かったかも、
   とも考えたり。
    ストーリー的には、人物関係や背景が把握できる段階までは話の動きも
   ほとんどなく、本音を言うとかったるかったです。最初の50分ぐらいまで
   はそんな感じだったんですが……次に時計を見た時には1時間半が過ぎて
   いて、「いつの間に?」という気分に。そして終演後は「いいものを観た」
   と思える心境になっていました。
    上にも書きましたが、せつないながらも癒される、優しい雰囲気の舞台
   でした。いろんなことがスムーズにいかない日々だったことも影響して、
   かなりしんみりとしました。観に行ってよかったと思います。
    観劇後の勢いで購入したパンフレットも読みごたえがあり、買いでした。
                               (07.11.11)
 
 

 ・演劇集団キャラメルボックス『トリツカレ男』:8点

    11/15〜22、新神戸オリエンタル劇場での公演。
    11/17の夜に観てきました。
    1階G列(11列目)4番(左サイドブロック左端近く)席にて観劇。
 
    作家・いしいしんじさんの同名作品(新潮文庫刊)が原作です。
    原作がある場合、ついつい早くストーリーを知りたくなってしまう私は、
   たいていの場合観る前に読んでしまいます。今回も早い段階で購入はして
   いたのですが……導入部とクライマックス以降をパラ読みした後は放置で
   (単純に時間がなかったのが主な理由で)、通して読んだのは観劇後。
    そのため、作品に対する思い入れは特になかった状態で、観ました。
 
    原作を深く読み込まなかったのがよかったのか、舞台の出来は悪くない
   と思いました。最近の作品の中では、むしろ好みの方かも。
    オリジナル登場人物やエピソードは挿入されているものの、基本的には
   展開&台詞は原作に忠実でした。
 
    観劇後の満足感がそれなりに高かったのは、メインの二人=畑中さん&
   岡内さんに対して、昨年冬の『少年ラヂオ』の時ほどには違和感を覚えな
   かった、というのが理由その1。個人的に、なぜか畑中さんのしゃべり方
   と声の組み合わせが少々苦手で、岡内さんは申し訳ないけど感情表現の幅
   が狭いと思っています、普段から……1年前はそれらの、個人的に苦手な
   部分がどちらもあからさまに出ていると感じられ、観ていて居心地が良く
   なかったのです。
    ご本人の成長なのか役の性質のせいかはわかりませんけど、今回は観て
   いてしんどい気分にはならず、まぁそれなりに合っているんじゃないかな、
   とさえ思いました。……辛く言うと、岡内さんは去年ほどに能動的な役柄
   ではなかったからまだマシに感じたのかな、とも考えていますが。
 
    今回、他の役者さんもそれぞれ、役に結構はまっていたように思います。
   特に、キャラメルでは1年半ぶりに拝見する西川さん(今年の春の公演は
   観なかったので)とか、1年ぶりの菅野さんとか。西川さんの役が事故に
   遭う場面は一番衝撃的でしたし(原作で読んでいなかった部分だったので
   余計に)、菅野さんの役の前半の悪役ぶり&後半の弾けっぷりはなかなか
   良かったと思います。あ、2年ぶりの大森さんも、出番自体は少なかった
   ですけど雰囲気のある役が似合っていました。
    そして、人間でない役(笑)の岡田達也さんや渡邊さんは、役どころの
   おいしさを存分に生かして、ご本人も楽しんでいた感じでしたね。
 
    全体的に、カラフルな舞台だったなぁという印象。視覚面(主に衣装)
   がそうだったせいもあるでしょうが、架空の国設定の童話やファンタジー
   みたいな雰囲気がわりと強い感じがしたのも一因かなと。一応、国の設定
   はイタリアとロシアになっているんですけどね。
    ある程度の内容を頭に入れていたおかげか、展開はそこそこ早かったの
   ですが、それについていくのが普段ほどしんどくはなかったです。久々に、
   素直に笑えるギャグも多かったし。まぁ、いくつかは「どうかなぁ?」と
   思うネタもありましたけど……少なくとも5年以上前の過去作品ネタとか
   は内輪すぎて、わからない人にはちょっと気の毒だと思ってしまいました。
 
    実は今公演、なりゆきで東京へも観に行く予定を入れております。
    観る前は「好みでない出来だったら東京行きは辛いなー」と不安でした
   が、もう一度観てもいいかと思える程度には楽しめましたので、行くのも
   少し待ち遠しくなりました。チケットと予算がムダにならなくてよかった
   です(本当に)
    毎公演は買わなくなったサウンドトラックCDも、今回は東京にて買う
   つもりです。ダンス曲&エンディング曲をかなり気に入ったので。
                               (07.12.2)
 
  
 
 

  ・06.3〜11に観た舞台の記録

    (キャラメルハーフタイム06/キャラメルチャレンジシアターvol.4

      /子供のためのシェイクスピア/『プライベート・ライヴズ』/キャラメル冬)

  ・05.1〜11に観た舞台の記録

    (『SHIROH』/『なにわバタフライ』/『お父さんの恋〜Family Tale』

     /キャラメルハーフタイム05/子供のためのシェイクスピア/キャラメル夏

     /Riverdance THE 10th ANNIVERSARY/キャラメル冬/ランニングシアターダッシュ)

  ・04.1〜11に観た舞台の記録

    (TEAM発砲・B・ZIN/ランニングシアターダッシュ/キャラメル春・1

     /キャラメル春・2/『イット・ランズ・イン・ザ・ファミリー』

     /『空色勾玉』/キャラメル夏/子供のためのシェイクスピア/キャラメル冬)

  ・03.2〜12に観た舞台の記録

    (トレランス/キャラメル春・1/『オケピ!』/NODA・MAP/キャラメル春・2

     /子供のためのシェイクスピア/劇団M.O.P./ランニングシアターダッシュ

     /『ウーマン・イン・ブラック』/キャラメル夏/サードステージshowcaseシリーズ

                 /RIVERDANCE2003/キャラメル冬/『天使は瞳を閉じて』)

  ・02.7〜12に観た舞台の記録

    (TEAM発砲・B・ZIN/ランニングシアターダッシュ/キャラメル夏/グローブ座カンパニー

      /PLAYMATE/劇団G:フォレスタ/キャラメル冬/サードステージshowcaseシリーズ)

  ・02.4〜6に観た舞台の記録

    (キャラメル春・1/加藤健一事務所/『ダブリンの鐘つきカビ人間』

      /キャラメル春・2/KOKAMI@network/キャラメルチャレンジシアター/地球ゴージャス)

  ・02.1〜3に観た舞台の記録

    (二兎社/『お正月〜女傑版』/ランニングシアターダッシュ・ダンディリーグ

      /MOTHER最終公演/自転車キンクリートSTORE/『天保十二年のシェイクスピア』)

  ・01.11〜12に観た舞台の記録

    (泪目銀座/キャラメル冬/転球劇場/自転車キンクリートSTORE

              /G2プロデュース/PLAYMATE presents 01)

  ・01.9〜10に観た舞台の記録

    (月影十番勝負第六番/転球劇場/第三舞台

                  /TEAM発砲B・ZIN/MOTHER/カクスコ最終公演)

  ・01.7〜8に観た舞台の記録

    (スズキビリーバーズ・1/転球劇場/キャラメル夏/showcaseシリーズ

      /スズキビリーバーズ・2/グローブ座カンパニー/ランニングシアターダッシュ)

  ・01.4〜5に観た舞台の記録

    (新ユニットおもちゃ箱プロデュース公演/転球劇場/ラッパ屋

              /キャラメルボックス春・2/ランニングシアターダッシュ)

  ・01.2〜3に観た舞台の記録

    (TEAM発砲B・ZIN/キャラメル春・1/『ファンレターズ』/KOKAMI@network

     /劇団そとばこまち/ランニングシアターダッシュ/キャラメル春・1東京/劇団☆世界一団)

  ・00.11〜12に観た舞台の記録

    (キャラメル冬/ランニングシアターダッシュ/カクスコ

       /リバーダンス2000/劇団赤鬼/キャラメル冬クローズド・サーキット)

  ・00.8〜10に観た舞台の記録

    (『阿修羅城の瞳』/キャラメル夏東京/『トランス』/キャラメル秋

             /『Believe』/NODA・MAP番外/加藤健一事務所)

  ・00.6〜7に観た舞台の記録

    (いるかHotel/KOKAMI@network/劇団扉座

      /ドナインシタイン博士〔最後〕の世紀末学会/キャラメル夏

      /ランニングシアターダッシュ/TEAM発砲・B・ZIN/『熱闘!!飛龍小学校☆パワード』)

  ・00.4〜5に観た舞台の記録

    (泪目銀座/ファントマ/MOTHER4-1/キャラメル春

                /MOTHER4-3/MOTHER4-4/NODA・MAP)

  ・00.1〜3に観た舞台の記録

    (花組芝居/ランニングシアターダッシュ/『ララバイまたは百年の子守唄』/

                     キャラメル春東京/惑星ピスタチオ最終公演)

  ・99.10〜12に観た舞台の記録

    (惑星ピスタチオ/キャラメル冬/『ウーマン・イン・ブラック』/

                     惑星ピスタチオ・シャトナー研/キャラメル冬東京)

  ・99.8〜9に観た舞台の記録

    (ランニングシアターダッシュ/G2プロデュース/キャラメル夏東京/

                       キャラメル秋/ランニングシアターダッシュ)

  ・99.6〜7に観た舞台の記録

    (芝居屋坂道ストア/TEAM発砲B-ZIN/惑星ピスタチオ

               /キャラメル夏/キャラメルビデオライブ/鴻上ネットワーク)

  ・99.3〜5に観た舞台の記録

    (劇団☆世界一団/キャラメル春/劇団赤鬼/劇団四季/NODA・MAP/Cucina Milano)

  ・99.1〜2に観た舞台の記録

    (NODA・MAP番外/ランニングシアターダッシュ/惑星ピスタチオショートカッツ/『西遊記』)

  ・98.11〜12に観た舞台の記録(キャラメル冬/惑星ピスタチオ/TEAM発砲・B・ZIN)

  ・98.8〜9に観た舞台の記録(ランニングシアターダッシュ/キャラメル秋)

  ・98.6〜7に観た舞台の記録(宝塚北高卒業公演/キャラメル夏/『唇からナイフ』)

  ・98.1〜3に観た舞台の記録

      (『SWAP』/『ルチャドーラ!〜女子プロレスの男たち〜』/キャラメル春/『BRIDGE』)

  ・97.7〜12に観た舞台の記録(キャラメル夏/リリパットアーミー/ラッパ屋/キャラメル冬)

 
 
 
 

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