・『風を継ぐ者』再演・大阪公演の感想。

    初日の感想……を書くはずだったのですが、大阪公演もとうの昔
   にすっかり終わってしまいましたので(爆)、全体的な感想を書く
   ことにします(……多くの部分が「観たものネタばれ話の部屋」に
   書いた感想の加筆あるいは修正版ですが。なにせ観てからずいぶん
   経ってしまったので……)
 
    と言いましても、今回私が観たのは大阪公演のみ。
    しかも毎公演行くようになったこの数年間では珍しい、計2回。
   1公演2回、というのは記憶が正しければ、96年冬『不思議なクリ
   スマスのつくりかた(再々演)』・97年春『あなたが地球にいた頃』
   ・昨年秋『また逢おうと竜馬は言った(再々演)』の3公演なんで
   すね(96年冬〜今回の公演の、約4年半・行った18公演中)。それ
   以外の本公演は少なくとも4回、期間が一週間もなかったファンタ
   ジックシアターなんかも3回行ってました。「あんまり好きでない」
   前回公演『エトランゼ』も、東京公演と合わせて結局3回観ました
   からねぇ。
 
    大阪公演初日(5/18)・5/26(土)昼に観に行きました。
    8列28番(中央ブロック右側)席・1列13番(左サイドブロック
   中ほど)席での観劇。
 
 
    この作品、個人的にはすごく思い入れがあります。
    そのへんは簡潔に「キャラメルな思い出ばなし・その2」に書か
   せていただいてますが。
 
    まだキャラメルに対して特別な執着はない頃で、役者さんの顔も
   名前もほとんど知りませんでした。……なので実は、生で観たはず
   の初演の舞台の様子を、ろくに覚えていないのです……ものすごく
   印象の強かったシーンやギャグなどはかろうじて頭に残っています
   が、役者さんの演技などの細かい点はさっぱり。……もったいない
   なぁ、せっかく観たのに(苦笑)
 
    これの初演を観なかったら今の私はいないかも、というぐらいに
   私にとっては特別な作品なので、ぜひいつか再演してほしいと思い
   続けていました。……しかし、いざ再演となると、出演予定の役者
   さんが発表になると、思い入れがあるだけに不安もよぎるのが複雑
   なところ。
    基本的に再演は初演とは別物、と思うのであまり比べたくはあり
   ません。ですが以下、いくつかはどうしても初演と比較してしまう
   部分があります。ご容赦ください。
 
 
    まずはお芝居全体の感想を。
    
    実は初日の3日ほど前から体調を崩していまして、観ている間も
   かなりフラフラの状態でした。観劇中に気分が悪くなることなどは
   めったにないので、色々な意味で相当疲れがたまっていたのだろう
   と思います(5月ごろはまだ就職活動中で、あまりの決まらなさに
   焦っていた頃でもありました)。
    そんな体調でしたが、それでもこの日の舞台は、かなり良い仕上
   がりだったと感じました。
    私の場合、今回の再演が初演を超えたと感じることは、ある意味
   無理なんですよね。何度もしつこいようですが、初演でキャラメル
   の魅力にとりつかれ、それをきっかけにいろんな舞台を観るように
   なった者としては。……ですがそれとは別に、ここ2年(『TRUTH』
   以降)の公演の中では、一番好きだとも思いました。
    全く不満がないわけではありませんが、観てよかったと思います。
   元気な状態で見ればもっとおもしろかっただろうなぁと感じるので、
   ちょっともったいなかったですね。席も結構よかったのに。まぁ、
   26日夜が最前列だったので、そういう意味では埋め合わせしてます
   けど(笑)
 
    例によって、CSで東京の初日が放送されたので、知人にビデオ
   を借りて、大阪初日より前に2度ほど観ました。待った方がいいの
   は十分承知ですが、東京初日〜大阪初日まで1ヶ月半以上あるので、
   さすがに待ち切れなくて(苦笑)
    生で観てませんから確実なことは言えませんけど、ビデオで観る
   限り、今回は公演中の変化が著しかった感じがしますね。東京初日
   の時点では、まだ役を自分なりに消化できていないかなぁと感じる
   役者さんも結構いらしたので。大阪初日ではだいぶ練れてきたかな
   と。……まぁ、ツアーの始めと最後の方で、質に差が出すぎちゃう
   のはどうかとも、最近思うんですけど。
 
    ストーリー展開上、何度か殺陣のシーンがあります。
    私は元々殺陣は好きで、テレビで時代劇など観ていても無意識の
   うちに見入っていたりします。今回の舞台の場合……オープニング
   のすぐ後、「迅助」と「兵庫」の新撰組入隊試験シーンがあります
   が、そこの殺陣はちょっといただけないものが。(詳しくは後ほど)
    それ以外の殺陣は、少なくとも私はかなり素晴らしかったと思い
   ます。体調が万全でなく舞台に集中しきれなかった初日でも、殺陣
   の間は食い入るように見つめてしまいました。28日夜などは最前列
   だったので、迫力が物凄かったです。ほぼ文字通り、目の前でした
   からね。こんなに近くで観られただけでも来た甲斐があると感じた
   ぐらいでした。
    (……これだけの殺陣を指導できる人が、どうして『また逢おう
   と竜馬は言った』再々演のご自分の殺陣は、あんなにわざとらしい
   ものになったんだろう……すごく不思議です)
 
 
    役者さん&登場人物、それぞれについて。 
 
    今回の再演にあたって特に私が気になったのが、主役「立川迅助」
   とストーリーテラー役の「小金井兵庫」を誰がやるかということ。
    ……それぞれ、細見さんと岡田達也さんだと聞いた時には、正直
   「うーん」と思わずにはいられませんでした。どちらも初演の配役
   がものすごく良かったので。まぁ、「迅助」だった今井さんは退団
   されてしまってるから仕方ないですが、細見さんだとちょっと喉が
   心配でした。今までも何度か公演中につぶして(orつぶしかけて)
   ましたから……実は、当初は南塚さんが「迅助」に決まってたらし
   いのですが、南塚さんも退団という選択を(しかも結構いきなり)
   されてしまったので、急に空席になっちゃったんですよね……こう
   なると、あとは細見さんが一番イメージに近くはあるなぁと思って
   はいました。……でもやっぱり気がかりでした。今回は特に、大阪
   公演が一番後でしたので、それまで喉がもつかなぁと。(でも多分、
   一番気にしていらっしゃるのはご本人だと思うのですけど)
 
    しかしどちらかというと問題は「兵庫」。初演では西川さんで、
   それがすごくお気に入りのキャスティングだったんですよ。普段、
   西川さんは再演でも役が変わることは少ないので「多分大丈夫かな」
   と思っていたら、今回は変わるということで、結構ショックでした
   ね。……比べてしまうのは厳密には正しくないのですが、西川さん
   と岡田達也さんでは、「語り」の重みがまず違うでしょうし、性格
   も全然違う「兵庫」になりそうで。西川さん「兵庫」が好きだった
   だけに、それが不安でした。
 
    で、実際に観てどうだったか。
    細見さんは予想してたよりも良かったと思います。心配したほど
   喉の調子も悪そうではなかったので、ほっとしました。
    今井さんの迅助とは絶対に(少なくとも私の中では)比べること
   はできませんけど、細見さんのまっすぐキャラもなかなか似合って
   いました。こういう「爽やか系(?)」の役をやるのは、細見さん
   的には珍しいのかも。結構いつも、ギャグの力技が目立ってしまう
   役だったりするからなぁ(ご本人や演出側に意図が有るにしても、
   無いにしても)……でも今回は、そういう意味でのギャグの突出は
   さほどなかったと思うので、いい感じでした。ギャグばっかり前面
   に出るのは、表面的には笑えて面白いけど、中身を感じにくくなり
   ますから。
 
    岡田達也さんの「兵庫」はやはりダメです。好きになれません。
    やっぱりナレーションが板についてないし、キャラクターもこれ
   までに観てきたもののつぎはぎみたいだし(口調が『俺たちは志士
   じゃない』再演をどうしても思い出させるのです)
    こういう、醒めたようなキャラ自体はありかと思うのですが……
    あぁそうだ、それだから「兵庫」らしく思えないのかも。
    「兵庫」って基本的に冷静だし、世の中を達観したようなところ
   もあるけど、迷いや悩みが全く無いわけじゃないですよね、多分。
    岡田達也さんが演じた「兵庫」だと、何もかも悟りきってしまっ
   たような感じで。「見たいものも知りたいことも山ほどある」よう
   には思えなかった。
    「他の隊士になじもうとしてなかった」雰囲気は、西川さんより
   もあったかも……という部分ぐらいですね、良いと思える点は。
   (岡田達也さんの大ファンや、今回の「兵庫」が大好きな方々には
   申し訳ないですけど)
 
    その他、新撰組の面々。
   
    菅野さんの「沖田」(&さつきさんの「つぐみ」)には文句あり
   ません。ばっちり。演じている人が同じせいもありますけど、初演・
   再演ともに、「沖田」・「つぐみ」のお二人は文句の付けどころが
   無いって感じですね。設定としてはサイドストーリーなんでしょう
   けど、そうは思えないぐらいに印象に残ります。あまりよく覚えて
   いない初演の生舞台ですが、「沖田」の姿はしっかり記憶に残って
   いましたし。それで一時は菅野さんファンになってましたし(笑)
   (もちろん今でも好きな役者さんですけどね)
 
    クライマックス、「迅助」とその家族を助けるため、「剣作」に
   斬られようとするシーン。「沖田」が目を閉じて、「剣作」が剣を
   振り上げて。その瞬間、「沖田」は笑うんですね。「ふっ」という
   ような……ちょっと自分自身を笑う部分もあるけど、だけど自分は
   これ(こういう最期)でいいんだと思っているような、そんな笑顔。
   「観たものネタばれ話の部屋」に数人の方が書いていてくださった
   おかげもあって、見逃しませんでした。ドキリとしますね、あれは。
    他、池田屋事件のシーン、「宇部」や「小野田」との斬り合いの
   時……戦う者の本能から来るような、ある意味戦いを楽しんでいる
   ような笑いや、クライマックスで「つぐみ」に手紙を渡す時に震え
   ている手。このあたりにもギクリと。(……もっとも、後者の手の
   震え方は少々わざとらしさが引っかかりましたが。クライマックス
   の「笑顔」もわざとらしい、っていう意見の人もいますし)
 
    キャラメルではあまり台本の変更とかは多くないんですが、今回
   ははっきりと変わっているシーンがありました。後半部分、新撰組
   の屯所に「沖田」を診察するため「つぐみ」が押し掛けるシーン。
    初演ではお互い病気のことを気づいて(知って)いながら知らぬ
   振りをしている遣り取りでしたが、今回の再演ではすでに病名まで
   告げているという雰囲気の会話でした。 
    どっちも有りかという点ではそうなのですが、個人的には初演の
   方が好きですね。直接的な言葉を避ける二人が、何だかせつなくて。
 
    せつない、で思い出しましたが。初演は結構この二人の切なさを
   前に出して表現・重視した演出だったと思うのですよ。今回の場合
   は、特に後半になると、切なさよりも男の(新撰組の)ロマンって
   感じかなぁ。「沖田」、ひいては新撰組の「誠」に重点が置かれて
   いますね。どっちがいいかってのは、ほんとに好みになっちゃうん
   でしょうけど。
    そういうのを強く感じるのが、ラストシーン前とエンディングの
   2曲。特にエンディング、初演は「優しい風」って感じで、現在の
   彼らの平穏さを大事にしているようなイメージ。それが今回のは、
   今までの人生の全て、辛さも過酷さもひっくるめた何もかもを一気
   に表現しているみたいな、そんな感じがします。
    結果的に、今回は「新撰組」にもっと重きを置いた表現、という
   印象ですね。
 
    「土方」の大内さん。初演時も神戸(+福岡)公演では大内さん
   「土方」だったのですが(東京公演は上川さん。ビデオでも同じく)
   例によって(?)私はまるで覚えてません(苦笑)。再演が始まる
   までは、大内さん「土方」を観たことは結構貴重と思われていたの
   ですが、今回は全ステージそうだったし、初演の映像もほんの少し
   だけ『風を継ぐ者』初演DVDに入りましたから、もうそんな話も
   出なくなりますね。
    さて、今回の大内さんは……ぼちぼちですね。それ以上はあまり
   何も言うことはない感じです。ですが、最近の大内さんの役って、
   ちょっといまいちなのが続いてましたので(少なくとも個人的には
   『また逢おうと竜馬は言った』再々演」『エトランゼ』」間はあまり
   好きじゃない)、今回はかなり確固たる「自分」を持ったキャラを、
   わりと違和感なくできていたかなと思います。そういう意味では、
   良かったかなと。
 
    勘定方「三鷹」の篠田さん。
    ある意味、初演とキャラの違いが一番あるのは「三鷹」でしょう
   か。初演の細見さんは強烈、篠田さんは「濃い」……どっちも力技
   という点では同じか(笑)
    篠田さんらしい三鷹さんだったと思います。……しかし篠田さん
   らしさがたいがいの場合、オヤジができてしまう見た目や濃い力技
   ギャグに依存してしまってる現状はどうかな、とも考えるんですよ
   ね……もっと違った役柄もできなくはないと思うんですが。
 
 
    「迅助」の家族、桃山診療所の面々。
    従姉妹で医者の「つぐみ」に関しては上でも触れましたが、本当
   によかったです。初演よりもこなれたなって感じ。……ただ、時々
   余計なギャグがあるなぁとも思いました。「つぐみ」さんにギャグ
   はあまり必要ないですね。本来の台詞と演技だけで、十分観る側を
   惹きつけられるんですから。……ただしこの役をやってるのが岡田
   さつきさんだから、ですけど。さつきさんは気丈な・健気な女性を
   やらせるととても上手いと思います。
 
    「つぐみ」の父親で医者の「桃山鳩斎」の西川さん。
   ……CSの東京初日を観た時、西川さんのあまりの存在感の薄さに
   びっくりしました。というか、この役の出番の少なさ、台詞の少な
   さに。初演の篠田さんの時はキャラクターがめちゃめちゃ濃かった
   せいか(笑)そんなことには思い至らなかったのですが。
       大阪で生舞台を観て、ビデオで感じた存在感の薄さはある程度は
   払拭。ですがやっぱり……もったいないなぁ。できるなら「兵庫」
   で出ていただきたかった……まぁいつまでも言っていてもしょうが
   ないんですが。
    西川さんの力でこそ、今回の「鳩斎」先生の静かなキャラクター
   は支えられていますが、他の人が同じようなキャラ作りをしたら、
   たぶん全然目立たないでしょうね。
    今回がダメというわけでは勿論ありませんが、個人的にはやはり、
   もっともっと西川さんの存在が前に出てきてほしいです。
 
    「鳩斎」先生の妹「たか子」の大森さん。
    またCS東京初日の話になりますが、同じシーンで2回、明らか
   に台詞に詰まっていらっしゃいました。びっくりしました。記憶の
   限りでは、大森さんに関しては今までそんなことなかったですから。
    どちらかというと私は、初演の坂口さん「たか子」が好きですが、
   大森さんなりに良かったと思います。この頃はお母さん役とか少し
   年配の女性の役が多くて、大森さんのヒロインが好きな私としては
   ちょっと淋しくもあります。今年(2001年)の冬公演『ブリザード・
   ミュージック』再々演では、できれば大森さんにヒロインをやって
   いただきたいのですが(初演・再演ともにヒロインで、それが大森
   さんにすごくはまっているので)。
 
    「迅助」の妹「その」の温井さん。
    細かい点(表情や台詞など)は、覚えている限りでは温井さんの
   方が、初演の小松田さんより良いと思う部分もありました。……で
   すが、生で観た際の小松田さんの演技を全然と言っていいほど覚え
   てませんので、ビデオとの比較になっちゃうんですよね……それは
   ちょっと比較対象としては不公平な気がするので、あんまり比べて
   は言えません。うーん。
    温井さん個人としては、そこそこかな。大森さん・さつきさん・
   坂口さんというベテラン勢の中においては、わりと良くやっていた
   方ではないでしょうか。まだ出演2回目ですからね。これからです。
 
    ……この感想を書いている最中(7/9)に聞いたニュース。
    西川さんと大森さんが、9月下旬に結婚式を挙げるとのこと。
    驚きましたー。……というか、お二人が付き合ってるかもという
   ような話は、小耳に挟んだことが以前ありましたので、ご結婚なさ
   ること自体は実はそんなに驚きじゃないんですけどね。
    本決まりになったということ、それを西川さんご自身がご自分の
   日記(caramelbox.net内「Nishikawa.net」の「Hiroyuki Voice」)
   で発表なさったことにびっくりしました。
    話を聞いたのは何年も前で、その時点である程度の長さはお付き
   合いがあるような感じでしたので、かなり長いこと付き合っていら
   したのではないかと思います。お付き合いしているのなら、また仮
   にお二人同士でなくてもお相手がいるのなら、早く結婚なさったら
   いいのになぁと思っていました。お二人とももう30代後半でしたし
   ね(大森さんは今年の4月29日で40歳になられましたが)
    やっと実現か、という思いも多少はありますが、なにはともあれ
   おめでたいことです。このところキャラメルに関しては消化不良な
   思いを感じることが多かっただけに、なおさら嬉しいです。
    キャラメル15年の歴史のうち、特に初期から中期にかけて、作品
   中でカップル・ペアの役どころで頑張られることの多かったお二人。
    そのお二人が本物のご夫婦に……作品中のお二人もとても好きで
   すが、現実のお二人はもっと好きな、もっと素敵なカップルになら
   れることでしょう。そう確信しています。
    末永く、いつまでもお幸せでありますように。(祈)
 
 
    敵方、長州藩の面々。
 
    「沖田」に旦那を殺された女性「美祢」。初演では津田さん。
    当初この役は、客演の田島ミラノさんでした。
    ……ミラノさんに関しての云々はここでは省略するとしまして。
    (話がよく分からない方は『キャンドルは燃えているか』再演・
   『また逢おうと竜馬は言った』再々演の感想をご参照ください)
    要するに私はキャラメルにミラノさんが出演することに納得が
   いかなくて、今回もはっきり言って嫌だったのですが。
    「病気」ということで、東京公演も終わり頃、確か5月2日の
   回から急遽降板して、坂口さんが代役に立ちました。
    ……なんか、初日前から実は病気だったみたいで、そんな状態
   でも出ていたというのはいろいろ思うところがあるのですが……
   それは置いとくとしまして。
    結局、ミラノさんの「美祢」を観たのはCSのビデオでだけと
   いうことになりました。発売される上演ビデオ・DVDもたぶん
   ミラノさんの回だろうとは思いますが。
 
    というわけで、私が生で観たのは坂口さんの「美祢」。
    よかったです。「復讐に燃える女」という雰囲気が、ある意味
   津田さんよりも分かりやすかったかも。
    厳密には生で観てみないと判断できないし、個人の好みもある
   でしょう。でもバランスの面で言えば、私としては絶対、ミラノ
   さんよりも坂口さんの方がいいと思いました。
 
    ものすごく好きな『風を継ぐ者』の初演ですが、ビデオで何回
   も観ていると、どうしても納得のいかない・辻褄を合わせにくい
   点というのもいくつかはありまして。
    クライマックスの最後、一番「沖田」に復讐することに燃えて
   いたであろう「美祢」が仲間たちに、この場は引こうと言う態度
   もその一つでした。
    今回の坂口さんの場合……最終的には弟を思う気持ちが、あの
   時点での復讐の気持ちを抑えたんだと思いました。「剣作」が、
   「とうに捨てた命じゃ」と新撰組に向かって叫んだ時、はっと弟
   を見て、顔を上げる。このまま弟を死なせたくない、死んでほし
   くない。そんな気持ちがきっとわき上がってきたんだろうと思う。
   だから、あの場を引くことを決意したんだと、私は感じました。
    ……たぶん、初演の津田さんもそういう演技はなさっていたん
   でしょうけど。ビデオにはその部分が映らないので(+生の時が
   どうだったかも覚えていないので)、ずっと消化不良だったんで
   すよね。今回ようやく、自分の中でのおさまりがつきました。
 
    「美祢」の弟「剣作」の佐藤さん。
    ……うーん、大内さんと同じく、ぼちぼちって感じでした。
    具体的には言いにくいですが、もう一歩なにかが欲しいな、と
   思います。全体的には初演の岡田達也さんよりいいかな? って
   思ったりもしましたが。
 
    長州藩士で「美祢」の亡き旦那の仲間「宇部」=客演2回目の
   首藤さん。
    役柄上、ギャグの全く無い今回ですが……この方は特別ギャグ
   をやらなくてもいいんじゃないかと思う最近。渋いストイックな
   キャラとか似合いそうだし。「宇部」もわりとそういう感じだな。
 
    同じく長州藩士で仲間の「小野田」=去年入団の畑中さん。
    今回が初舞台ですが、新人さんおよび初舞台としては、とても
   堂々としていましたね。やはり去年一年間、前説に出ていらした
   効果でしょうか。声がよく出ていたと思いますしね。
    設定上アピールしどころがほとんど無い役なので、そのへんは
   次回以降に期待。
 
 
    さて、総合的な評価ですが。
    2回観た結果では、85点〜90点。変に微妙だな。このへんに、
   初演にこだわってしまう心境が反映されてるかも。(もっとも、
   最近のキャラメルで手放しに90点以上つけられる公演って、個人
   的には無いのですけど)
    しかし今回、2回目が最前列でしたからねぇ。最前列って劇場
   によっては首が痛くなって仕方ないんですが(痛くならずとも、
   首の疲れる列ではありますね)、台本上の台詞がない役者さんの
   「台詞」が聞こえてきたり、表情の本当に微妙な変化が見えたり
   して、面白い位置でもあるんですよね。私は結構、そういう部分
   に気持ちのツボを刺激されることが多いので、今回でもかなり、
   いろいろ面白かったです(笑)。そういう意味では高得点に傾く
   思いもあるのですが、それは特別ケースですからねー。
 
 
    ……ここまで書き終わったのが、7/15。
    そして5日後には、サマーツアーの初日が来ます……
    書くの遅すぎるっちゅうねん(自爆) 
 
    サマーツアーには、上川さんが2年ぶりに出演。そのこと自体
   は大変楽しみなのですが、そのためにチケット取りが物凄ぉぉく
   大変になってしまっている現状…………東京はよく知りませんが、
   神戸公演は、前日予約席や当日券さえも補助席が若干数、残りは
   立ち見しかないという状態。指定席の可能性はめちゃめちゃ低い
   らしいです…………異常ですな。
    あんまり大騒ぎにはなってほしくないんだけどなぁ。仕方ない
   のかなぁ? …………でももうちょっと安心して観に行けるのが
   望ましいと思うのだけれど。プラス、今はすごい盛り上がりだけ
   れど、こういう「上川さん効果」もその時限りって気がします。
   毎回毎回こんな盛り上がりでも困るけれどね。しかし、良い意味
   での「活性化」も、上川さんが出ない時はまた無くなっちゃうん
   じゃないかと……最近の状態を考えると、不安になってしまう私。
 
    まぁとにかく第一に、いい舞台を観たいですね。
    心からそれを願います。
                           (01.7.15)
 


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