メイン » » » 高橋シュン
たかはし しゅん

高橋シュン

たかはし しゅん

1914.4.29(大正3)〜 2013.7.17(平成25)

昭和・平成期の看護師、聖路加の看護の象徴

埋葬場所: 15区 1種 3側 4番
〔聖路加国際病院禮拝堂附属墓碑〕

 北海道出身。牧師の家庭に生まれる。幼少期は日高地方の平取で育つ。香蘭女学校を経て、1935(S10)聖路加女子専門学校卒業。卒業後、聖路加国際病院に勤務し看護婦として内科看護に専念。
 '43 フィリピン・マニラ聖路加病院副総師長 兼 看護取締として派遣され、敗戦後は現地でアメリカ軍の捕虜となり、174兵站病院で日本人捕虜の看護にあたった。
 '46.1 帰国。帰国後は聖路加国際病院に再び勤務。'48.6 米国ウエイン大学に留学。翌.9 帰国。帰国後は、'50 東京看護教育模範学院の教員として、新しい看護学と教育法を実践し、看護学研究科長や学部長を歴任し、看護学教育の質向上に貢献した。模範学院解消後は、築地の地に戻り、聖路加短期大学で教員を続けた。
 この間、厚生省の審議会委員や日本看護協会の教育委員を歴任。文部省の大学設置審議会委員や看護学視学委員も務められた。看護制度の確立と看護学の体系化、看護教育カリキュラムの充実・強化等に寄与した。'64 聖路加看護大学教授に主任されて以来、大学院での教育も含めて18年間(それ以前も含めると33年)、ベットサイドで、科学的根拠に基づいた看護実践の模範を示す中で、大学の中核となる愛の精神、看護の本質、使命等を教授した。
 熱心なキリスト教信徒であり、日曜日の礼拝をきちんと守り、チャペル委員として礼拝堂の活動や維持管理の面で礼拝堂の牧師の活動を助け、信徒の教母として多くの人を信仰に導かれた。
 日本看護科学学会発起人のひとりであり、学術集会の開催に尽力した。'82 聖路加看護大学を停年退官し、名誉教授。日本看護科学会名誉会員。'89.11.1(H1)勲4等瑞宝章受章。日本の看護界に大きな功績を残し、聖路加の看護の象徴と称された。
 '97(H9)看護界における世界最高の栄誉、第36回フローレンス・ナイチンゲール記章を受賞。日本赤十字社名誉総裁を務められていた皇后陛下からナイチンゲール記章授与式で、「高橋さんが看護に注がれた真摯な情熱と、病み苦しむ人々に寄せられた深い慈しみの心が、どうかこれからも広く看護の世界に受けつがれ、傷病者一人一人が、かけがえのない人生を生きぬく上の支えとなることを願います」と述べられた。
 看護は三つの「H」が必要と指導した「看護は心(Heart)、頭(Head)、手(Hands)を融合させ、他の医療メンバーと協力して働くことです。このすばらしさと満足、喜びをあなた方に味わってほしいと願っています」とメッセージを送っている。
 晩年は松江に住む妹家族のもとに引っ越した。日曜日には妹と一緒に教会への出席を欠かさず、教会での活動や島根県に新設される看護短期大学への支援、そのほか多くの看護協会の講演会や老人大学の講師として多忙な生活を送った。しかし、妹夫婦が体調を崩し、一緒に住めなくなり、教会に近いところの高齢者住宅に引っ越す。2008.9(H20)95歳のとき、群馬県高崎市榛名山山麓にあるケアホーム「新生の園」に移り、この地で逝去。享年99歳。

<聖路加看護教育のあゆみ>
<高橋シュン その人生と看護>


墓所

*墓石正面「聖路加国際病院禮拝堂附属墓碑」。「正面左」に30名、「左面」に4名、「正面右」に30名、「右面」に8名(2023.7現在)の名前が刻まれている。「正面左」の一番下の段の右から二番目に「高橋シュン」と刻む。

*この聖路加国際病院の墓所には聖路加国際病院に尽力された医師や看護師など著名な方々が多く眠る。


正面左 (←クリックで拡大)
<正面左>
日野原重明の他に著名な人物は、上林敬吉(日本聖公会の信徒建築家)、ミセス・セント・ジョンアリス・C・セントジョン:聖路加国際病院附属高等看護婦学校開設・初代校長、聖ルカの母)、小篠暉(聖路加国際病院麻酔科医)、菅原虎彦(4代目 聖路加国際病院長)、瀧野賢一(慈恵医大・ 聖路加気食科医師)、湯槇ます(看護婦・総婦長・日本看護協会長)、関武矩(聖路加事務長、広報部長、チャペルの聖歌隊長)、高橋シュン(聖路加の看護の象徴)、竹田眞二(牧師・司祭)


左面
<左面>
内田卿子(聖路加同窓会名誉会長 看護師・教育者)、松谷美和子(国際医療福祉大学看護学部長、聖路加国際大学教授、聖路加看護学会理事長)


正面右 (←クリックで拡大)
<正面右>
久保徳太郎(3代目聖路加国際病院理事長・2代目 聖路加国際病院長・聖路加国際大学 3代目校長)、久保いよ(看護教育者)、橋本寛敏(3代目聖路加国際病院長)、中村徳吉(聖路加病院外科医長、臨床外科医学会の権威)、平賀稔(聖路加病院皮膚科医長)、糸井一良(看護學講座 婦人科學教授)、上中省三(外科部長)、栗田静枝(聖路加国際病院診療記録管理主任)、松下和子(看護師・教育者)、野辺地篤郎(5代目 聖路加国際病院長)


右面 (←クリックで拡大)
<右面>
湯本きみ(看護師・教育者)、松岡美久里(看護師・教育者)、檜垣マサ(看護師・教育者)、久城孝(実務)、常葉恵子(聖路加国際大学 8代目校長 小児看護学)


関連リンク:



| メイン | 著名人リスト・た | 区別リスト |
このページに掲載されている文章および画像、その他全ての無許可転載を禁止します。