<00.8〜10に観た舞台の記録>

  ・SHOCHIKU Presents『阿修羅城の瞳』(2000.8)
  ・演劇集団キャラメルボックス『カレッジ・オブ・ザ・ウィンド』東京千秋楽(2000.8)
  ・『トランス』(2000.8)
  ・演劇集団キャラメルボックス『また逢おうと竜馬は言った』再々演(2000.9)
  ・『Believe』(2000.10)
  ・NODA・MAP番外公演『農業少女』(2000.10)
  ・加藤健一事務所『ラン・フォー・ユア・ワイフ』(2000.10)
 

 

 ・SHOCHIKU Presents『阿修羅城の瞳』

    8/3〜12に、大阪松竹座で公演。
    8/9の夜に観てきました。
    2階7列1番(左端)席での観劇。
 
    劇団☆新感線の方々が主な出演者ですね。
    半分くらいは客演かなーって感じですけど……主役二人からしてそう
   だし。市川染五郎さんと富田靖子さん。
    新感線(プロデュース的なもの含む)の舞台は、96年の『花の紅天狗』
   と99年の『西遊記』に続いて3回目。興味がなかったわけではないけど、
   機会と費用に恵まれず(ってそんなのばっかり……)
    この公演は前評判は異常に高かったんですよね。少なくとも周囲では。
   そう聞くとやっぱりいつもより気になって。チケットが取りにくい取り
   にくいって聞いたので不安でしたけど、あっさり取れちゃいました。ま、
   2等席で平日だったせいもあるのかも。……でも8/9当日は、2等席が
   一番売れてたみたいですが……やっぱ1等席¥10500は高いか。
 
    松竹座は初めてでした。歌舞伎とか観に行ったことなかったので。
    駅からの道が分かりにくかったらイヤだな〜とか思いつつ行ったら、
   かなり近くてちょっと驚き(でも迷わなくてよかった)。
    ……しかし、開場まで外で待ってなきゃいけないのって、辛いかも。
    曇りの夕方だったからまだ良かったけど、雨とか雪とか炎天下とか、
   猛暑や激寒の日だったら、大変ですよね……お客さんには年配の方々も
   結構多そうだし。
 
    休憩30分挟んで、3時間半ちょっと。
    ……けっこう、長いですね。
    私はどっちかというと、長い上演時間は苦手なようです。頭が現実に
   戻りやすい(あんまり集中力がないとも言える……)ので、長すぎると
   舞台への集中が切れちゃうんですね。つい、疲れたな〜とかだるいな〜
   とか、思っちゃうわけです。
 
    2階席は思ったほど舞台から遠く感じませんでしたし(列の位置的に
   1階の花道はほとんど見えませんでしたが……まぁ、それはあまり気に
   しませんでした)、舞台の様々な仕掛けはそれだけでも楽しめましたし、
   迫力のある舞台だったとは思いますが。
    ストーリーと時間の長さが合っていないような……内容のわりには、
   長すぎるんじゃないかと思わなくもなかったです。あるいは、歌舞伎的
   な演出を故意にやっていたせいでしょうか。でもせめて、あと30分ほど
   短くてもよかったかも?
 
    染五郎さんを(ちゃんと)観るのは初めてでしたので、良くも悪くも
   先入観は全くありませんでした。そういう視点で言いますと……周りで
   言われるほど魅力的には感じなかったかな(なんて言ったら、ファンの
   人たちから袋だたきに遭ったりして……あくまで私個人の印象ですので、
   ご容赦くださいね)……役そのものがあまり好みじゃなかったからかも
   知れません。というか、少し(でない場合もありますけど)ガラの悪い
   男主人公は、なんかありがちって感じがして、個人的には面白くない。
   ご本人の歌舞伎役者としての長所も活かされてない気がしたし。
    富田靖子さんの方は、私はわりと気に入りました(今回の役において)
   富田さんの出演舞台で観たことあるのは、NODA・MAPの『パンドラの鐘』
   (しかもビデオで)だけですが、個性的な方々の中でも、決して負けて
   はいなかったと思いました。今回も、一部で言われてるほどに「存在感
   が薄かった」というふうには感じなかったです。まーもうちょっと身長
   が高かったらいいかな? と思うことはありましたが。そうだったら、
   後半部分でもっと、威厳を感じさせることができたかも。
 
    新感線の舞台に限らず、よく批評に名前が挙がる古田さん。
    確かに、この方の演技にはなにやら、有無を言わせない独特の迫力が
   ありますね……根っからの役者、舞台人と言えるでしょうか。
    最近「やや追っかけている」粟根さんも、客演舞台の批評でもわりと
   名前が出てきますね。新感線関連舞台で意識して観たのは初めてですが、
   ほんと、関連舞台だと脇役だし、台詞もあんまりないんですね。今回は
   特に、あまり自分の意志で動く役柄じゃなかったし。もっと印象が強烈
   なのが観たいなぁ。一番好きなのは、この春の『MIRAGE』の時みたいな、
   ヒューマンな役どころなんですが。
 
    渡辺いっけいさんのテレビでの演技は全然(と言っていいほど)知ら
   ないんですが、舞台ではすごく弾ける方なんでしょうか。まぁ作品とか
   役柄にもよるでしょうけど……これを観に行く直前に、渡辺さんが出て
   いらしたNODA・MAP『キル』の初演をビデオで観ましたので、はじける
   渡辺さんの印象が残っていた上に、今回の舞台でしたから……余計に、
   そういうイメージが強くなってしまいました(笑)
    でも、すごくよかったです。おもしろかったという意味だけでなく。
 
    花組芝居の加納さん。役柄が女性(的な男性?)なので、「そんな役
   だったら花組でも観られる」と一部では言われていますが。
    私個人は、あれはあれで好きかな。おもしろいから(←それだけか?)
    どっちかと言えば、『プロパガンダ・デイドリーム』の時みたいな、
   ちゃんとした(というのもなんか変ですが)男性役の方が好みなんです
   けどね。かえって花組の舞台での方が、美しいけど魅力的じゃなかった。
   少なくとも私にとっては。プラス一度だけ観た花組の公演においては。
                             (00.8.12)
 
 
 
 

 ・演劇集団キャラメルボックス『カレッジ・オブ・ザ・ウィンド』(東京千秋楽)

                 →こちらへどうぞ。

 

 ・『トランス』

    8/24〜26に、大阪・厚生年金会館芸術ホールで公演。
    8/24に観てきました。
    G列(7列目)9番(左端)席での観劇。
 
    93年12月に、大阪で上演された、サードステージ版を観ています。
    言ってみればそれが「初演」だったようです。
    その後違う役者さんで2回上演された「再演」は、全く観ていません。
 
    鴻上さんの戯曲で、「初演」が鴻上さんの演出+第三舞台の役者さん
   という顔ぶれだったからか、「初演」を観たら他は観られない、なんて
   意見もどこかで聞きました。そこまで言わないとしても、東京公演の頃
   から、良くない評価をわりと目にしてきました。
    なので、いちおう「初演」を観ている私としては、少々不安でした。
 
    厚生年金会館は初めて行きました。
    地下鉄の「本町」駅が最寄りだったので、よく利用する「御堂筋線」
   で行ったら、えらい目に遭いました。
    というのも、「本町」駅は、「御堂筋線」「中央線」「四ツ橋線」の
   3つの線が重なっている駅なんですが、それぞれの駅のホームが、大体
   徒歩5分ずつくらい離れているんですね……
    厚生年金会館に一番近い出口は、「四ツ橋線」からの出口。
    「御堂筋線」ホームとは徒歩約10分ほど離れています…………
    結構ギリギリの時間で行ったので、マジで焦りました。
    ……出口から会館までは、思ったより近かったので、よかったですが。
    やっぱり余裕をもって行かなくちゃいけませんね〜。反省。
 
    客席は扇形で、両端のカーブがちょっときつい。
    なので、端っこだと、それぞれの舞台サイドが見えなくなります。
    私の席だと、下手がかなり隠れてしまいました。まぁストーリー理解
   の上ではあまり影響ありませんでしたが。
 
    私が観たステージ、1階席は埋まってましたけど、2階席は半分ほど
   空いていました。……チケット代の問題か、はたまた前評判の問題か。
    空いてるともったいない気分になってしまう私は、貧乏性?(笑)
    見た目こぢんまりしてるんですけど、1100人入るホールなんですよね。
 
    精神科医の礼子(ともさかりえ)の元を、ある日、高校時代の友人・
   雅人(河原雅彦)が訪ねてくる。卒業以来、久しぶりに……患者として。
    雅人は、自分が自分でないような気分がする、自分の意識がなくなる
   時さえあると話す。そういう時間がどんどん長くなり、もう一人の自分
   が何かを書いていたりすると。礼子は、一週間に一度、雅人と会うこと
   にする。
    その数日後、雅人は参三(山崎銀之丞)と再会する。高校での同級生
   だった参三は、なんと今はおかまバーで働いていた。参三が雅人を家に
   送っていったその夜、礼子も雅人を訪ねてくる。
    久しぶりの再会に喜ぶ3人。彼らは高校時代、あるきっかけから偶然
   出会った「仲間」だった。
    さらに数日後……雅人が突然、自分は天皇だと言い始める。
    なんとか入院させ、皇居へ行くと言い続ける雅人をはぐらかし続け、
   回復を待つ礼子と参三だったが…………
 
    さて、本題(舞台の感想)。
    私は結構おもしろかったです。
    特に酷評が多かったのがともさかりえさんでしたが……私はそうでも
   なかったです。今までほとんど演技を観たことないんですけど、わりと
   良かったんじゃないかなぁ。役の、精神科医としての落ち着きも出せて
   いたと思うし。「礼子」という一人の女性としての思いも分かったし。
    私が気になったのは、声と、ゲームのシーンの「はしゃぎ方」かな。
    声が細いのかな……もうちょっと声質が強ければいいんじゃないかな。
   というか、今のままだと後ろまで聞こえない。私の席でも、向く方向に
   よっては台詞が聞き取れなかった。
    「はしゃぎ方」は、ちょっと素に戻りすぎ?
 
    この舞台を観に行くきっかけだった、山崎さん。
    とある関西ローカルテレビ番組で観て、舞台でも観たいなーと思って。
    最初は、もう一人の方がこの役をやると思っていたので、山崎さんが
   こっちだと聞いた時にはびっくりしました。テレビで観た時は普通の役
   でしたし。
    ……でもすごくおもしろかったです〜(笑)
    (……いや、それだけで済ませちゃいけないな……)
    おもしろいだけじゃなくて。良かったですよ。
    とあるページで、役者としての評判がずいぶん良かったんですけど、
   それが少し理解できました。数を観ていないんで、「すごく」とまでは
   言えないんですけど。でもちゃんとした実力のある役者さんだとは思い
   ました。
 
    残る一人、河原さん。
    所属劇団がかなりインパクトの強い舞台を創っていると聞いていて、
   河原さんはそこの主宰(総裁と言われているらしい)とのことで、一体
   どんな人なんだろう…………と思ってました (^^;
    まぁでも、今回は自分の劇団とは違うし、結構普通にやってたのかな。
    どういう人なのか、の一端は見たような気もしますが(?)
    わりと、役にはまってたと思います。ちょっとかっこよかったかな? 
   とさえ思ったりしました。
 
    全体的に、観て良かったと思います。
    ラストに近い部分で、全員がそれぞれ「それはあなた(君)の妄想」
   と言うあたりがうるさい気がしましたが、これは脚本上の問題でもある
   かな? あ、でも、いちいちその台詞で直前のシーンの集中が切られる
   のは、演出でなんとかできなかったのかな。あれ、すごく落ち着かない
   気分がしました。それが演出と言われればそれまでですが。
    それ以上に気になったこと……どうしてみんな、あの台詞でいちいち
   笑うんだろう??? 凄い謎。余計に集中が途切れちゃったよ。
 
    個人的には、「初演」のイメージがあんまり濃くなかったのが、今回
   観る上でよかったかも知れません。ストーリーは大体知っていたけど、
   舞台としての既成のイメージは「無し」に近かったですから。ある意味、
   「真っ白な気持ち」で観られました。
 
    93年に観た時は、舞台慣れしていなかったせいもあってか、ただただ
   舞台がつくり出す「雰囲気」「パワー」に圧倒されていました。
    あれから約7年。
    今回観て感じたのは……この作品の「優しさ」。
    「癒し」の物語って言われたりもしていたように思いますが。
    私はあえて「優しい物語」と言いたい。
 
    誰かを愛したい、誰かに愛されたい。
    たった一人の存在として。
    彼らが一番求めていたものは、きっとそういうこと。
    ……それが叶う相手が、一度は離れたあの日の仲間だった。
 
    現実において、彼らが愛したい、愛されたいと思う相手は、それぞれ
   別々かも知れない。
    でも間違いなく、3人はお互いを「愛して」「愛されて」いるはず。
    それは彼らにとって「とても優しい現実」と言えるのではないだろう
   か。……ほんとうの現実がどんなに痛みを伴うものだとしても。
 
   (わりとどうでもいい話。
    この舞台、SPIRAL LIFEの音楽(それも結構初期の曲)がすごく合う
   気がしたんですが、どうでしょうね?<両方をご存じの方)
                             (00.8.27)
    
 

 ・演劇集団キャラメルボックス『また逢おうと竜馬は言った』(再々演) 

       こちらへどうぞ。(ネタばれあります)
 
 
 
 

 ・『Believe』

    10/12〜16、伊丹AI・HALLでの公演。
    初日に行ってきました。E列(5列目)14番(ほぼセンター)席での観劇。
 
    惑星ピスタチオで1996年に上演された際に、一度観ました。
    私がピスタチオを知った最初でもあります。
    初めて観る劇団でしたし、当時はまだ、舞台を観ること自体にもあんまり
   慣れていなかったので、かなりドキドキしながら観ました。
    まえがきの中にも書いたのですがとにかくすごかったこと、迫力があった
   ことが印象に強いです。いま考えると、あまり大きくない劇場(近鉄小劇場)
   だったから、余計にかもしれません。
 
    さて今回は伊丹のAI・HALL。ダッシュもよく使う劇場です。ピスタチオも
   数年前までは公演で使っていたみたいです。
    近鉄小劇場よりもさらに小さい空間……そこでシャトナーさん的舞台世界
   (≒躍動的ピスタチオっぽい世界……かな?)がどのように展開されるのか。
    男優のみの5人芝居、というのも気になってました。96年上演時はたしか
   10人前後の出演者、もちろん女優さん含めて、でしたので。まぁ「女役」は
   ない芝居なんですけどね、実は。
 
    前回の公演の時、千秋楽にもかかわらず空席が目立っていたのでちょっと
   心配でしたが、今回はほぼ満員でした。(オリエンタル劇場とじゃ全然席数
   が違いますけどね。ま、気分の問題も大きいということで)
    そういえば、このところ関西よりも東京の公演が先の場合が続いてたので、
   誰の感想も聞かずに観に行くのは、キャラメル以外では久々かも。東京が先
   だと大抵、某演劇関連のページに感想が載っていたりしますので、だいたい
   それを読んでから行くことが多いんですよね。
    開演5分前。今回もシャトナーさんの前説ライブあり。
    時間がなかったのか何なのか、曲とも言えないほど短い替え歌を数曲(笑)
 
    本編。
    はっきり言ってストーリーはほとんど覚えていなかったので、いろいろと
   新鮮でした。これってつまり、シャトナーさんが考える「信長伝説」なんで
   しょうね、たぶん。
    シャトナーさんの作品の緻密さって好きです。厳密な意味で「緻密」とは
   言えないかも知れませんけど……荒唐無稽なところもあるし。でも、なんて
   いうんだろう……書いてる人が、自身の中で筋を通してるというか、実際に
   生かせてるかどうかは別にして舞台背景をかなり丁寧に考えているというか、
   そういう真面目さが窺えるところが好きなんですよ。
 
    男優さん5人中3人は元ピスタチオの役者さん。……まぁ、皆さん相変わ
   らずと言いましょうか(笑)
    ピスタチオ(系の舞台)は、最初の頃はよく台詞をかむという話をわりと
   聞きます。そういう時期に行くのは初めてなんで、そのことを思い出しつつ
   観てましたが……うーん、確かにちょっと不安定だったかな? そういえば、
   とある方がすごく明確に台詞間違えてしまった箇所がありました。他人への
   呼びかけなのに自分の名前を言ってしまって。「……えっ?」という戸惑い
   が客席に生まれた数秒後、他の役者さんがアドリブでフォローして、呼びか
   けられる人が少しシーンを巻き戻して(笑)でもご本人は焦ってしまったの
   か、名前を言い直すことはできませんでした……思わず「がんばれ」と拳を
   握ってしまっていました (^^ゞ
 
    残る2人のうち1人・山浦さんは、前回の公演に出ていらした+よくDM
   の来る劇団・化石オートバイの役者さんなので、ちょっとだけ知ってます。
    今回、クライマックスを担う大きな役(たぶん96年時は腹筋さんがやって
   いらした役)を、なかなか上手くこなしておられました。
    前々から化石オートバイは一度観たいと思っているんですが、今回でさら
   に、できるだけ早く観に行きたくなりました。
 
    残る1人、鈴木田さん。この方は初めて拝見しました。
    最初の方のシーンでは、なんとなく台詞回しがいまいちのように思えて、
   「うーん」という感じでしたが、話が進んでいくうちに馴染んできたのか、
   あんまり気にならなくなりました。
 
    この作品を5人で……というのは、やっぱりかなり大変そうです。
    実質的な役の数が多いので(=シャトナーさん作品の特徴)、おなじみの
   役の早変わりも前回までの比じゃないというか。6人でやっていた『ナイフ』
   よりもめまぐるしかった感じがしました。あれで、もっと広い劇場だったら、
   さらにしんどかったでしょうね……袖に引っ込んですぐ出なきゃいけない時
   もありましたし。
    コンパクトな大きさの劇場で、ほとんどセンターで観ていたので、96年に
   観た時よりも体感する迫力は大きかったかな、と思います。感覚的な迫力は
   おそらく初見の時の方が勝っているでしょうけど。
    総合的には大変たのしかったです。
 
    ……ただ気になったのは、音響のこと。音量が大きすぎて台詞を妨害して
   しまう箇所がいくつかあったんです。あれはちょっとまずい。ただでさえ、
   シャトナーさん作品・演出の舞台は台詞が速くて聞き取りにくい場合がある
   んですし。キャラメルもよく音響が大きいって言われますけどね……あそこ
   は基本的に台詞はちゃんと聞こえるように調節してるので、まぁいいのです
   が(全部を肯定もできませんけれど)
    音と言えば……今回のエンディング曲、なんだかダッシュが使いそうな曲
   だな〜と思っちゃいました。さ、さわやかすぎる選曲……(笑)
    ついでに(?)今回、全ステージでかどうかは知りませんが、アンコール
   のための「おまけ」が。私が観た初日では、5人全員でSMAPの(たぶん)
   最新曲のダンスを、途中まで踊ってくださいました。時間がなくてそこまで
   しか練習できなかったとか……なにせその日に思いついたらしいので(笑)
                              (00.10.19)
   
 

 ・NODA・MAP番外公演『農業少女』

    10/20〜11/8、大阪天王寺・近鉄アート館での公演。
    10/20に観てきました。
    B0列(最前列)9番(真ん中よりやや左寄り)席での観劇。
 
    番外公演は今回で4公演目になりますが、私が観るのは『Right Eye』に
   続き2回目。本公演とは違う、小さな空間・少人数での舞台ということで、
   普段とは違う意味で楽しみでした。前回観に行った時も実は最前列の席で、
   文字どおり舞台が目の前だったんですよね。今回が最前列かどうかは行って
   みるまで分かりませんでしたが(アート館は公演ごとに1階席といえる部分
   の配置が変わるので。ちなみに今回は、向かい合わせの2ブロックでした)
   最前列じゃないにしても、アート館の大きさだとどの席でも舞台は近いし、
   空間がコンパクトだと舞台の雰囲気が伝わりやすいというか、意識が舞台と
   一体化しやすいというか……
 
    とにかく、そんなこと考えつつ行きまして。
    席を探してみたら今回も最前列。しかも……
    足下が舞台! 自分が立っているところと舞台の高さが同じ!
    ……うーんこんな言い方じゃ分かりにくいですかね (^^;
    普通は舞台の部分ってある程度高さがあるじゃないですか。舞台や客席の
   形をアレンジできるアート館でも多くの場合(私の知ってる限り)ではそう
   です。でも今回は、あえて舞台を高くしていない。というか、そもそも高さ
   を設けていないんです。お客さんが歩く平面の部分がそのまま舞台。だから
   役者さんが寝転がったりしゃがみこんだりすれば、私たちはそれを見下げる
   形になるんですね。
    さらに、客席と舞台の境界線が引かれているわけでもないので、私たちに
   ぶつからないギリギリの距離のところまで(NODA・MAPで時々あるお客さん
   いじりの時はこの限りではありません(笑))役者さんがめいっぱい使って、
   歩いたり走ったり踊ったりする。まさに目の前で、手を伸ばせば届くところ
   で、演技なさってるわけです。他の公演でも、最前列と舞台の距離が近けれ
   ばそういうこともありますが、この公演は舞台との境界が明確にはない分、
   よりリアルに役者さんを目の前の存在として感じます。今回最前列で観る人
   は、それだけである意味贅沢な時間を味わえると言えます。
 
    東京の某所。「都市農業の会」を主催する一組の男女。そこへ銃を持って
   乱入してきた男。彼らに銃を突きつけながら、男はある少女のことを男女に
   尋ねる。そして語り始める……彼女を愛した毒草学者のことを。
    生まれ育った「農業」を捨てて東京へ出る決心をした少女・百子。
    東京へ向かう夜行列車の中で、百子と学者・山本は出逢う。
    しばらく後に東京で再会した二人は、百子のペースのままに一緒に暮らす
   こととなったが……
 
    …………うーん、けっこう難しかったです(苦笑)
    いや、もともと野田さん作品って難しいし、どれだけ理解できているかは
   毎回怪しいんですけどね。
 
    大衆扇動の恐怖、というものがテーマに含まれていますが、私個人はそれ
   よりも、少女と学者がたどり着く末路の哀しさ自体に気持ちが傾きます。
    それも「扇動」された「大衆」によって引き起こされた結果のひとつなの
   ですが。
    そこに至るまでの部分の「笑い」が多いほど、哀しさも際立ちます。
 
    東京で出会った初めての事柄に、ボランティアに、熱にうかされたように
   のめり込んでいく少女。そして最後にたどり着いたのは、嫌いで嫌いで捨て
   たはずの、農業。もう誰も見向きもしない「新しい米」を作り続けるのは、
   何のためなのか……彼女は何を、誰を、故郷で米を作りながら待つのか。
    米を買う人も、一緒に頑張ったはずの仲間も、誰も来なくなっても。
 
    最後に少女に会いに来たのは、あの毒草学者。
    だが彼女には、その声は聞こえない。彼女が待つものの中に学者はいない。
 
    ……ともに、一番愛したものに背かれた。
    それぞれの最後の台詞は、とても哀しい。
 
 
    役者さんそれぞれ。
 
    深津絵里さん。『半神』で観た時とはイメージの全く違う役。
    少女の無邪気さ・無垢さと、それゆえの「毒」。見事でした。
    目の前で思いっきり観たんですが、やっぱりキレイですねぇ。「アフリカ
   のイメージの声」で派手に踊られた時には、ちょっとどうしようかと思って
   しまいましたが。ギャップがありすぎて(笑)
 
    松尾スズキさん。生では初めてです。
    『パンドラの鐘』(テレビ)で観た時から印象的な役者さんだと思ってい
   ました。今回もやっぱりそうでした。現代における大衆扇動者の一人。その
   うさん臭さ(苦笑)と、でもなんだか話を聞いているうちに信じてしまいそ
   うな感じ……扇動者はつまり、独裁者になり得るわけですね。ただ扇動者も、
   大衆に見放されればそれで終わりであり、彼が「農業少女」のようになって
   いく可能性もあるわけなんですよね。
    今度は松尾さんの劇団、観に行ってみようかな。機会があれば。
 
    明星真由美さん。深津さんと同じく『半神』に続き2回目。
    はっきりした固定キャラクターを他の3人ほど明確には持たないからか、
   ちょっと存在が浮き上がってこない感じがしました。演技はいいんですけど
   ね。見せ場がもうひとつなかったのが、もったいなかったかも。
 
    野田さん。演技に関するコメントは置いておきましょう(笑)
    ……うーんそれ以外で気になったことがあったんだけどな。何だっけ……
    …………ちょっとストーリーの時間軸が分かりにくかった、かな?
    時間・空間があちこちに飛ぶのはいつものことなんですが、それがすこし
   今回はうるさかった、バタバタしすぎたかも。特に前半部分。
                              (00.10.27)
 
 

 ・加藤健一事務所『ラン・フォー・ユア・ワイフ』

    10/27〜29、近鉄小劇場での公演。その他いろいろな場所で公演。
    10/28の夜に観てきました。
    E列(5列目・でも実質3列目)22番(右サイド、センター寄り)席。
 
    加藤健一事務所は初めてです。評判はいいので、興味はあったのですが。
    今回はキャラメルボックスの西川さんが客演なさるということで、やっと
   実際に足を運ぶこととなりました。
 
    普段から多いのか、西川さん効果なのか分かりませんが、客席はほぼ満員
   でした。まぁ土曜日の夜だったし。
    開演前にパンフレット買いました。終演後だと混むかも知れないし、次の
   日は忙しい予定だったから観終わったら早く帰りたかったし。値段(800円)
   のわりには、しっかりした作りのパンフでした。あれだったら他の公演では
   1200円くらいで売ってると思います。万年金欠(爆)なので、千円以下だと
   有難いのです(苦笑)
 
    本編。上演時間1時間45分+途中15分休憩でした。
    最初から最後までドタバタ続きのコメディ。
 
    平凡なタクシードライバーのジョン・スミスには、誰にも言えない秘密が
   あった。それは二人の奥さんを持ち、二つの家庭があること。仕事のシフト
   を最大限に利用し、両方をうまく行き来していたのだが、ある日暴漢に襲わ
   れるおばあさんを助けたことから、スケジュールが狂い始めてしまった。
    とにかくスケジュールを修正しようとするジョンだったが、二人の妻――
   メアリーとバーバラがすでに、帰ってこないジョンを心配して警察に連絡し
   ていた。おまけに事件がらみで新聞に取材されて顔写真が載ってしまうし、
   近所の住人も巻き込んで大騒ぎ。なんとかその場を取り繕おうと口にする嘘
   が、さらに混乱を呼び……果たしてこの事態の収拾はつくのか?
 
    いやー、笑わせてもらいました。おもしろかった。
    ……でもそれだけかな、って気がちょっと。
    あれだけ事態をかき回すネタ(嘘)を全編に盛り込んだのは、すごい発想
   力だなーって思いましたけど。役者さん方もよかったし。
    でもラストに納得いかなかったんだよな……あれだけかき回しておいて、
   終わりがそれかい、と思っちゃって。うーん。
 
    さて、西川さん。
    心の準備はしてたし、どういう格好で出てくるかの予備知識も一応入って
   いました……にも関わらず最初に出ていらした時、一瞬分かりませんでした。
    声を聞くまで(いや、聞いても)ちょっと信じられません、あれは (^^;;;
    役どころとしては、はっきり言って完全に脇役で、ストーリーに関わって
   くる度合いも一番低いので、ファン的にはちょっと残念かな。
    でもああいう、いわゆる「色モノ系」の役は、キャラメルではまず回って
   こないでしょうから、そういう意味では貴重ですね(笑)
                               (00.11.4)
 

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