・『カレッジ・オブ・ザ・ウィンド』(再演)東京千秋楽を観て。

    長〜い50ステージの公演も、8/20で終了。
    でも目の前に次の公演が迫ってるし、クリスマス公演の詳しい案内も
   発表されたし、あんまり「終わったなー」って感慨は……感じてる暇が
   少ないような、変な気分。
 
    なんか、当日はものすごいことになるんじゃないかと思ってましたが、
   とりあえず来た人は全員劇場に入れたようです。昨年の『TRUTH』の時
   みたいに、近くのホールを借りてそこに中継するということはできない
   状態だったので、入れない人がいたら大変だなーと思ったんですけど。
 
    まぁある意味ものすごいことはありましたが。前説で。
    上川さんと菅野さんがいらっしゃったんですよ。
    そういえば、神戸の初日でも上川さんが来たなー。東京公演がベース
   ではない私にしては、5回行って2回会うってのは、遭遇率高いですよ
   ね。ちなみに、菅野さんは昨年の『キャンドルは燃えているか』の東京
   千秋楽前説にもいらしたし(観に行ってたし、私)。うーむ。
    それだけでも十分盛り上がるところへ、途中から岡田達也さんが登場。
    総勢5人の、私が知る限りでは最大人数での前説でした。
    いやーにぎやかだったなー(笑)
 
    東京公演では、小川さんの喉の調子が長いこと良くなかったとのこと。
    だいぶ回復したとは聞いたのですが、このステージでも、なんとなく
   声が出しづらそうでした。嗄れてるというよりは、大きい声が出せない
   って感じ。声の調子そのものはどうしてもトーンダウンしがち。
    それの影響なのかどうなのか、周りの役者さんたちもどことなく声が
   抑え気味……に聞こえました。いつものキャラメルだと、とにかく声を
   前へ前へ、みたいな勢いがあるんですけど、この日はそう感じなかった。
   声の面だけでいうと、いつもより「おとなしい」ステージだった。
 
    でもその分……と言うと語弊があるかも知れませんけど……
    役の気持ちが、より前へ前へ出ていたのではないかと思いました。
    特に「ほしみ」と「鉄平」。
    彼らのせつない気持ちが、すごく伝わってきた。やはり、舞台は登場
   人物の気持ちが観ている側に伝わることが大事だと思うので(必ずしも
   それを第一としない作品もあるでしょうけど)その点は良くなっていた
   と思います。観に行って良かったとも思います。
    それが、声の問題の影響なのか、お芝居自体の成長なのかは、分かり
   ませんが。
    神戸よりも確実に「泣ける」舞台になっていたように感じました。
    私も、涙がにじんでくる箇所が、神戸で観た時より多かったですし。
 
    結論としては……この作品の初演と再演はやっぱり別物なんだな、と。
    当たり前なのかも知れませんが。
    でも、結果的にそう思った、という感じなんで、個人的にはちょっと
   複雑。
    …………初演を超えた、とは思えないので。結局。
    そういう意味で「別物」なんですよね、私にとっては。
 
 
    最後まで、「菊川」はしっくりこなかったな……「あやめ」もあまり
   好きにはなれなかった。
    「あやめ」というキャラクターそのものは、元々好きじゃないんです
   けど。だってちょっと無神経すぎる……というか鈍感すぎて。「鉄平」
   に対しても「菊川」に対しても、気持ちの配慮がほとんど感じられない。
   彼らの気持ちに気がつかなさすぎます……
    それでもこのキャラが気になるのは、極限状況において「あやめ」が
   見せる「鉄平」への思いがまっすぐで、せつなくて、純粋なものだから。
   だから、早く二人が会えればいいと思うし、「鉄平」の姿が「あやめ」
   に見えてほしいと思う。
 
    ……でもなんか、さつきさんの「あやめ」は、大森さんの時ほどには
   感情移入できなかった。当然ご本人は一生懸命やっていらっしゃるので
   しょうけど……うーん、なんて言うのかなぁ。
    さつきさんの演じた「あやめ」だと、どうも「しっかりしすぎている」
   ように見えてしまって。彼女だったら「菊川」を頼らなくてもひとりで
   できてしまうんじゃないか、とまで思いそうになるほど。
    そういう意味での「弱さ」が感じられなかった、とも言えるかな。
 
    「菊川」は……神戸よりはマシになってる気もしましたけど、やはり
   役の感情の「波」が少ない、というか分かりにくい印象。
    極端に言うと、ちょっと無愛想すぎるというか。
    「不器用」とはまた違うんですよねー。いや、そういうキャラクター
   だとは思うんですけど、「菊川」って。
    でもね……上川さんの「菊川」は、「不器用だけど愛すべきキャラ」
   だったんです。対して、木下さんの「菊川」は「愛すべき」性格が最後
   までほとんど見えてこなかったんです……うーん。
 
    それ以外の人たちは……まぁ、ぼちぼちかな。
    目に見えるほど良くも悪くもなってなかった、というか。
    あ、大森さんの「松倉」はちょっと印象変わりました。「怖い主任」
   のイメージが神戸よりもはっきりしていた感じ。
 
 
    7度目の東京での観劇。3度目の東京千秋楽。
    その中で、本当に観てよかったなと思ったのは、実は『TRUTH』だけ。
    じゃあ他のは? と聞かれると、ちょっと考えてしまう。
    『キャンドルは燃えているか』とか、今回のは、東京まで足を運んで
   よかったと思う部分があるのでまだいいんですが……それ以外のは……
    まぁそれは結果論ですけど。行ったこと自体は後悔してないし。
 
    それよりも、強く考えていること。
    「千秋楽を観に行くの、やめようかな」
 
    1997年夏の『嵐になるまで待って』再演から今回まで、まる3年間、
   千秋楽を欠かさず(関西公演限定)観てきました。
    可能な限り観られる「最後のステージ」まで観たくて、「一言挨拶」
   が好きで聞きたくて、必ず確保していた千秋楽。
 
    ……でも最近、千秋楽に行くことが、とても疲れてしまうことである
   のに気づきました。
    当初は、そんなことなかったんですけど。……いや、千秋楽は確かに
   「疲れる」ものではあります。好きな舞台であればあるほど、終わって
   しまったという空虚感は大きいんです。気持ちにぽっかりと穴があいて、
   急には埋められない。現実に戻るまでが、ちょっと一苦労。
    しかし最近の疲れ方は、そのせいだけではなくて。
 
    自分のテンションと、他の観客のそれとの違いを、大きく感じるよう
   になっちゃったんですね。
    客層自体が、私が通い始めた頃と比べて、いろいろ変化してもいるで
   しょうし、私自身の視点もかなり変わってきている部分がありますが。
    しかし、一番感じるのが、お客さんの熱狂の質の違いなんです。
    ありていに言ってしまえば、「ミーハー」な方向に傾いてきている、
   そんな気がしてしまうんです。
    私はもともと、あまり「ミーハー」な部分はなくて。
    だから、キャラメルをこれだけ好きになったことが、自分でも意外で。
    自分のわりには「ミーハー」になってたかな、と思いますけど。
    ……けど、世間一般の「ミーハー」とは、やっぱりちょっと違ったの
   かも。少なくとも、何でも肯定しちゃう性質の「ミーハー」にはついて
   いけない。
    この頃、そういう人が前よりも増えてきている気がしてます。
    そういう雰囲気の中にいるのは、今の私には辛いのです。
 
    あと、一言挨拶もね……まぁこれは完全に個人的な問題なんですが。
    (上の問題が個人的じゃないわけでもありませんが……)
    最初は友達への報告メールだけだったのが、いつの間にかページにも
   内容を載せるようになって。
    おもしろかったから記録に残しておきたい、と思ったんですけど。
    どうも近頃、それを勝手に「義務」と感じてしまっているらしい私が
   存在して……千秋楽のその時間が来るのが、楽しみでもあり不安。
    「覚えなきゃ」なんて思ったら、ダメですね。純粋に楽しめない。
    行ったら気になってしまうから、いっそのこと行かないでおこうかと。
 
    というわけで、次回からは千秋楽、行かない可能性が強いです。
    できるだけ最後の方まで観に行くとしても、千秋楽前日の回までかな。
    少なくとも次回公演は行きません。公演自体にあまり期待していない
   し、チケット取ってないし。
 
    ………………うーん、どうもこの頃、終わりが重たいなぁ。
    キャラメルの今後が気になり続けている精神状態だから、しかたない
   といえばしかたないけど。
    読んでる人にとっては、あんまり(?)楽しい話題じゃないですよね。
    どうもすみません………… m(_ _)m
                              (00.8.23)
 
 

      →神戸初日時点の感想を読む方は、こちらへ。(ネタばれなし)

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            *千秋楽での役者さん一言挨拶付き・ネタばれあり*

 


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