・『キャンドルは燃えているか』(再演)東京で観た感想。

    東京池袋・サンシャイン劇場で、12/25(東京公演千秋楽)に観ました。
    1階18列(実質16列目)13番(センターブロックの一番左端)での観劇。
 
    この日は公演全体の最終日。
    いつものごとく、劇場前も劇場ロビーも、ものすご〜い人・人・人の波。
    クリスマス公演ではイブと各公演の千秋楽に、役者さん自らキャラメルを
   全員に配ってくださるので、それを目当てに来る人も最近は増えてきている
   と思われます。もちろん、最終ステージの出来ばえを観たくて来る人もいる
   でしょうけれど。
    …………この日の「客入れ」がどのような様子だったかは、ネタばれ掲示
   板のログ(「記録・7」の一番下を参照)で読んでいただくとしまして(笑)
 
    舞台そのものの感想にいきましょう。
    …………結論から先に言いますと。
    1:全体的にはそんなに「成長したな〜」と思えなかった。
    2:大内さんの「壊れ具合」が良くなっていた。
    3:ミラノさんの演技は(少なくとも私の感覚では)ダメ。
 
   ○1に関して
    …………これは、ですねぇ。サマーツアー『TRUTH』の影響が自分自身の
   中でまだ大きかったのかな〜、と思う面もあります。神戸で最初に観た時か
   ら「すごい!」と思ってて、東京の千秋楽直前に約一ヶ月空けて観て、その
   「凄まじさ」の成長ぶりにめちゃめちゃ胸打たれましたから…………
    その印象が自分の中で強く残りすぎていて、ある意味いけなかったのかも
   知れないですね。
    ……まぁそれでもやはり、個人的にはあまり成長を感じなかったです。
    …………なんていうんでしょう、確かに全体的に「破綻のない」舞台には
   なっていったのかも知れません。でもいい意味での「勢い」に、どことなく
   欠けるような印象が残ってしまいました。
    これは、神戸公演終了後にも書いたことですね。最後の最後まで、少なく
   とも私からはその印象が取り払われなかったみたいです。
    もちろん、再演がすごく面白かった、という人もいらっしゃるでしょうが。
 
    あと、途中から変わったというラストシーンですが。
    ………………うーん、これも私は変える前の方が良かったですねー。
    席が少し遠かったので生でははっきり見えなかったのですが、先日ビデオ
   で観てみたら、向かい合って見つめ合った後、照明が消える寸前に、お互い
   手を握り合ってたんですね。……その握り方が、なんだか「何年も付き合っ
   てきた恋人同士」みたいに「ラブラブな雰囲気すぎて」、この二人にはそぐ
   わない気がしたのです。お互いへの気持ちを思い出してそんなに経ってない
   二人が、いきなりそこまでするかなぁと、疑問に思ったので……しかも他人
   の家で。
    以前の、微妙に距離を置いて見つめ合うだけの方が、「これからの二人」
   を想像させて良かったと思うのですが……どうでしょう?
 
 
   ○2に関して
    神戸公演終了後、「まだ大内さんにこの役は荷が重いかも……」と書いた
   かと思いますが。
    なにせ初演が上川さんでしたんで、そのイメージも強かったんですけど。
    東京千秋楽で観てみたら、結構いいんじゃないか、という感じでした。
    普段の「感情の見えにくい、淡々とした」調子。
    タイムマシンへの情熱が暴走してきて「壊れかかってる」様子。
    夢を断たれて完全に「壊れた」時。
    神戸の時はそれらの間にあまり波が感じられなかったんですけど、この時
   はその違いが分かるようになっていました。
    初演の上川さんは「すごく無感情」な感じでしたが、大内さんのはどちら
   かというと「イヤな奴」な印象があるかな。でもところどころで見せる仕草
   や言葉の調子に、どこか「常軌を逸しかかった人間の空気」を感じさせられ
   ました。この変化が見られたのは、東京公演観劇の収穫だと思ってます。
 
 
   ○3に関して
    …………以下、「キャラメルの舞台のミラノさんがめちゃめちゃ好き!」
   という方は、読んだら「なにぃぃ!」と怒るかも知れません。そんな内容に
   なっている可能性が大です。…………了承の上ならば、とりあえず最後まで
   黙って読んでやってください。
 
    では、いきます。
 
    元々私は、ミラノさんがこの公演に出ることにいい印象を持っていません
   でした。加えて、2000年9月の公演にも出ることを知って、以前から薄々感
   じていた「ミラノさんのキャラメル・ネビュラ寄り傾向」をさらに強く感じ
   るようになり、ミラノさん及びキャラメル・ネビュラのそういった姿勢に対
   しての疑問が大きくなってもいました。
    ですから、そういう意味で点が辛いのだと言われれば、その通りです。
    しかし、たとえそれを排除して何も考えずに観たとしても、納得できない
   部分を感じただろうと思います。
 
    ビデオで見直してみて思ったんですが、キャラメルのテンションとミラノ
   さんのそれとは、そもそも違うなぁと思いました。多少語弊があるかも知れ
   ませんが、キャラメルではギャグでもシリアスな場面でも、基本的に台詞に
   「テンションの高さ、元気さ」が感じられるんですよね。でもミラノさんの
   場合は、そうじゃないんです。元気の度合いが足りないというか、落ちつき
   すぎているというか……とにかく、周りのテンションの高さについていけて
   ない、合わせることができていない感じなんです。だからどこか違和感。
    ピスタチオの看板女優やってたくらいなんだからそんなことはない! と
   いう意見もきっとあるでしょう。……でも私が思うに、確かにピスタチオも
   パワーのある舞台を見せてくれていますが、シリアスな場面は、キャラメル
   よりもある意味「静か」ではないかと。……別に、キャラメルがシリアスを
   ちゃんとできていないというわけではなくて。「見せ方」がきっと違うのだ
   と思うんです。ミラノさんの「見せ方」は、キャラメルに合う「見せ方」に
   なってない時が目につくんですよね……
 
    でもそれはまだいいんです。もっと許せなかった部分があります。
    ……それは、ミラノさんの「台詞に感情がこめられていない」という部分。
    全てがそうだとは言いません。
    登場のシーンから、ところどころ気になる部分はありましたが、まだそれ
   は個人的な印象として置いておくこともできます。
    問題は、クライマックス。
    「でも、あなたは撃たなかった」〜「それが許してもらえないなら、私は
   死ぬ」までの一連。
    みごとに、気持ちが感じられませんでした。
    ここは一番、「泉」の「竜野」に対する気持ちが出ていなければいけない
   場面なんじゃないでしょうか???
    それなのに、「ただ読んでるだけの台詞」にしか聞こえませんでした。
    …………公演の最終日まで来て、これは、いかんでしょう。絶対に。
 
    同時に、ここまで来てこんな演技を許している演出側にも、大きな疑問。
    私は確かに、大勢の観客の中の一人です。個人的な感想だと言われれば、
   それまでです。
    でも知人の何人かに聞いてみたところ、同じようなことを感じているのは、
   私一人だけではないんです。
    演出側は本当に、全面的にミラノさんの演技を認めているのでしょうか?
    誰か一人ぐらい、キャラメルの中で、「あの演技はおかしくないか?」と
   思った人はいないのでしょうか?
 
    もしああいう演技がこれからも続くとしたら。
    そしてミラノさんがその状態のままで「劇団員化」したりすれば。
    私はキャラメルとのつきあい方を、考え直そうかと思ってます。真面目に。
 
 
    …………どうも、しんどい感想になってしまいましたね。
    これを読まれた方で、「『キャンドル』再演、私は素晴らしいと思ったの
   に!!!」と不愉快になられた方がいらっしゃいましたら、すみません。
    所詮、私個人の感想にすぎません。適当に受け流してくだされば幸いです。
    (え、「ここまで書いておいてそんなこと言うか」? ……ですねぇ (^^;)
                                (00.2.16)
 


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