<99.3〜5に観た舞台の記録>

  ・劇団☆世界一団『ハワイの結婚式』(1999.3)
  ・演劇集団キャラメルボックス・1999ハーフタイムダブルフィーチャー
       『銀河旋律』『広くてすてきな宇宙じゃないか』(1999.3〜4)
  ・劇団赤鬼『スパイ マイ フレンド』(1999.3)
  ・劇団四季『ライオンキング』(1999.5)
  ・NODA・MAP『半神』(1999.5)
   ・Cucina Milano Vol.1『スター・フィールド・カフェ』(1999.5)
 
 


 ・劇団☆世界一団『ハワイの結婚式』

    大阪梅田・HEP HALLで3/1〜3の公演。
    3/3の夜の回、最終ステージに行ってきました。
 
    2月のピスタチオのショートカッツに女優さんが2人客演されてましたし、
   ピスタチオの宇田さんも出演なさるし、でどうしよっかな〜と思っていました
   ら、知り合いの方が招待券を手に入れたというので、便乗させていただきまし
   て(爆)行ってまいりました。
    しかしこの1ヶ月でHEP HALLに4回も行ったのね。キャラメル公演
   で短期間に同じ劇場行くことはもう珍しくないけど、違う3つの公演で連続。
   うーむ、そんなにお手ごろなのかHEP HALLは。まぁ梅田に近いしね〜。
 
    んで感想。おもしろかったです。少なくとも今回は。
    知り合いが観た中では「今回のが一番いい作品」らしいので、他のはどうな
   のか分からないのですが。私も世界一団は初めてですし。
    比較的、初めてでも舞台の雰囲気に入りやすいかな〜と思いました。初めて
   のところだとついつい見慣れている劇団の舞台と比べがちなんですが、わりと
   観ていて違和感を感じなかったというか。
 
    ストーリーは……いろんな意味で「まんべんなく」という感じ。
    事件も全体を通して何かあるし。一日刻みで進んでいってるせいもあるんで
   しょうけど、…………うーんなんて言ったらいいのかな。話が「地道」に進ん
   でいるというか。別に大きな事件が何もない、というのとはまた違ってて……
   やっぱり「一日刻み」ってのが大きいのかな。「積み重ね」がされている気が
   します、展開における。
    主人公の31世紀から来た少年&19世紀の一組のカップルを中心とした人々の
   駆け回る様子が、リアルタイムで分かるように組み立てられているとでも言い
   ましょうか。主人公とカップル以外の登場人物の動向が、「事後説明」の形で
   なしに、合間にちゃんと出てくるんですね。「小説的」って言ってもいいかも
   しれない。
 
    ピスタチオに客演なさっていたお二人は、それぞれに味のある役をされてま
   した。希ノボリコさんはカップルの片割れ(世間知らずなハワイの王女さま)
   で、年清由香さんは主人公少年の恋人・19世紀のアメリカ国務長官・ハワイの
   修道女など数役かけもち。特にアメリカ国務長官…………ちょっと特殊な意味
   でコワかった (^^;
    宇田さんは明治天皇の役。某ピスタチオ関連ページの掲示板でそれを聞いて
   (見て?)、ついおじーさんな天皇を連想してしまったのですが(笑)そんな
   ことはなくて年相応の設定でした。なるほど、「なんかかわいかった」(by某
   掲示板に書いてあった感想)(^o^;
    ……そういや7月のピスタチオ公演に、また世界一団から客演呼ぶとかいう
   話があるらしいです。5人ですもんね今。誰を呼ぶんでしょう……?
    &主人公カップルのもう一人の片割れをやってらした平林之英さんは、5月
   のCucina Milanoに出演なさるそうです。…………ふふふ(たのしみ)。
                                 (99.3.3)
 
 

 ・演劇集団キャラメルボックス
   1999ハーフタイムシアター・ダブルフィーチャーVol.3
          『銀河旋律』『広くてすてきな宇宙じゃないか』
 
        →感想はこちら。
 
             ・東京公演の感想(ネタばれなし)
             ・大阪初日の感想(ネタばれあり)
             ・大阪千秋楽の後(ネタばれなし)
             ・役者さん一言挨拶
             ・それぞれのあらすじ      があります。
 
 
 
 

 ・劇団赤鬼『スパイ マイ フレンド』

     (珍しくあらすじを書いてみました。こちら。でも途中まで・・・)
    神戸新開地・神戸アートビレッジセンター(KAVC)で3/19〜28の公演。
    22日のソワレに行ってきました。
 
    98年の夏頃に、某プロデューサーさんがここを観に行った感想を読んでから、
   気にはなっていました。……でも公演が今のところアートビレッジばかりなの
   で(うちからだと、ちと遠い……)なんとなく行かず。
 
    で先日。とある演劇関連ページの掲示板に書き込みしたら、ここの制作の人
   からメールを頂いて。でもって知り合いの方からまた招待券が回ってきて(笑)
    なんか観に行かなきゃ気になるやんけ〜という感じになってしまいまして。
    約1年2ヶ月ぶりかな? アートビレッジ。行きました。
 
    公演はホールで。ホールは2回目。以前は好きな劇団のトークショーの時に。
    前はわりと後ろの席だったので広く思ったけど、今回は前の方だったせいか、
   こじんまりしてるように感じました。私はあまり大きくない劇場の方がやはり
   好きですね。大きすぎると、なんかもう「舞台を観てる」って気分がしない。
   舞台までの距離が遠いのはイヤ。だから劇場飛天とかは私はダメ。
 
    制作の方が、「テイストがキャラメル(ボックス)や(ランニングシアター)
   ダッシュに似ているらしい」、とおっしゃってましたが…………うん、そんな
   感じ。
    ギャグとかすごいベタなところあるし(笑)
    ストーリーとかも妙にまっすぐだったりするし。
 
    でも私はそういうのすごく好き。
    ストレートでまっすぐでなにが悪いの。いいじゃん。
 
    クライマックスからラスト、半分泣きましたよ。
    主役の少年の純粋さが痛くて痛くて。
    …………最初はね、純粋すぎて「おまえ相手信じすぎ!」みたいに思っちゃ
   いましたけど (^^;
    スパイの青年を、そうだと知った後でも好きでしょうがなかった気持ち。
    明日はもう来ないんだ、とたまらなくおびえる気持ち。
    街のみんなを助けたいのと同じように、スパイの青年も助けたかったのに、
   助けられなかった気持ち。
    青年が死んでしまってから、その本心を聞く気持ち。
    ここを観るだけでも、私は行く価値があると思った。
 
    ……ただ、ダンス的シーンの多さと、台詞をかむ回数の多さがちょっと気に
   なりましたが。ミュージカルじゃないんだし、ダンスは入れるとしても1カ所
   でいいと思う。何回もやると、かえってうっとうしい、あるいはごまかしって
   感じがする(←偉そう?)
                                (99.3.22)
 

 ・劇団四季『ライオンキング』

    大阪ビジネスパーク・MBS劇場での公演。
    5/5に行ってきました。
 
    客席はちょっと傾斜がきつくて、後ろの方でも(私はこの日、2階席の一番
   後ろ・右端でした)比較的舞台が近く感じられる反面、下を見るのが人によっ
   ては辛いんじゃないかなって感じがしました。傾斜がきつい分高さもあるので、
   どうかすると目眩がしそうな気分に陥ります。私も高所恐怖症の気があるので
   ちょっとしんどかったです。
 
    で、お芝居の方ですが……評判のわりには、あんまり……という感じでした、
   私は。
    たしかにアフリカの雰囲気や迫力はあったのですが、ストーリーそのものが
   なんか中身が薄い気がしまして。私はストーリーがしっかりしてない、もしく
   は起承転結のはっきりしないものって、ちょっと苦手なんです。以前、同じく
   四季で『コーラスライン』を観た時も、あーこれは私好みじゃないな〜と……
   オーディションの様子が主ですからね。あまり起承転結がはっきりしてるとは
   言えないように感じられて。
    『ライオンキング』も、視覚的に「見せる」ものに重点が置かれて、ストー
   リー展開や登場人物の気持ちにふくらみが感じられないように思えまして……
    その「見せる」もの自体にも、ムダが多かった気がします。そこ(ダンスや
   フライングなどのパフォーマンス)にそんなに時間をとるなら、もっとストー
   リーそのものをしっかりさせて見せてほしいなぁと……特に後半(第2幕)で
   そんな気がすごくしました。ストーリーが、しっかりさせる以前に、はしょら
   れている気がしてなりませんでした。
    あれだけ外側(衣装やセット)に手をかけておいて、中身がそんなんじゃ、
   もったいないです。うーん。
 
    オープニングや第2幕の最初では役者さんが客席からも出てきたり、ドラム
   (パーカッション?)が生演奏だったりして、雰囲気にもっと浸れればきっと
   楽しめるのでしょうが……そういう意味では1階席の方がいいんでしょうね。
                                (99.5.6)
 
 

 ・NODA・MAP『半神』

    大阪上本町・近鉄劇場で5/7〜16の公演。
    5/9に行ってきました。
 
    11時半頃に劇場に着いてみてびっくり。当日券の人の列がずらーーーっと。
    さすがNODA・MAP、と言うべきか。
 
    席はN列のセンターで距離的にもちょうど見やすい位置。
    劇場内に入ってみてまたびっくり。……どこかの稽古場のようなセットの中、
   役者さんがすでに数人、舞台の上に。トレーニングウェア姿でストレッチなど
   している。音楽もかかっていて。だんだん人数も増えてくる。開演時間が迫る。
   あれあれ、いつ着替えるの? 着替えなくていいの?
    と思っていると、いきなり勝村政信さんが台詞を始めた。
    ……それが開演の合図。
    すこしずつ客席の照明が落ちて、舞台の照明がついていく。
 
    容姿も内面も全く対照的な、腰のところでつながったシャム双生児の物語。
    流れの中で時折入る、稽古の風景。
 
    双子を演じるのはともにNODA・MAP2度目の深津絵里さんと加藤貴子さん。
    深津さんが醜い姉の役、というのでどう演じるのかと思っていましたが……
   いやいや、ちゃんとそれらしく見えました。頭は弱くても愛される美しい妹へ
   の嫉妬、愛されることへの渇望が感じられて。
 
    野田さんは相変わらずですね。跳ねる跳ねる。
    どんな役でも、一旦しゃべったり動いたりし始めたら、観る人の集中はほぼ
   そちらにいってしまいますね、たぶん。
 
    勝村さん、私の中でヒット(という方は多いと思いますが)。
    さすが元・第三舞台というべきか。
    いろんな意味で、すごかった。
 
    すごかったと言えば山下裕子さんと明星真由美さんもそうだな。
    このお二人は「迫力」の面で相当でした(笑)
 
    鷲尾真知子さんもさすがの貫禄。双子の母親役、みごとです。
 
    佐々木蔵之介さん、ビデオでは何度も観ましたが生では2回目。しかし最初
   の(惑星ピスタチオ『Believe』96年)はほとんど忘れているので初めてに近い
   かも (^^;
    ……うーん、生で観ると大きい人だなぁ(笑)実際、身長かなりありますが。
    声も迫力があった。なんか存在感感じますねー。
 
    それぞれの役者さんはすごく魅力的で良かったと思います。
 
    …………でもなんだか、それがまとめ切れていない印象を、どうしても受け
   てしまいました。
 
    どうもあまり、展開にも気持ちが入り込めなかったというか……
    ところどころの、稽古の様子は必要なかった気が。なんのためのもの?
    時間合わせのためだけだったら、切り落としても何ら問題ないように思う。
 
    2時間あるわりに、中身が薄い気もしたな〜。
    お笑いも結構だけど、そこに時間をかけすぎるよりは、もっと話そのものを
   掘り下げた方がよかったんじゃないだろうか。
    いつも野田さんの戯曲は難しいのだけれど、今回それとは別に、自分の中で
   消化しきれない部分が残ってしまった。うーん。
                                (99.5.13)
 

 ・Cucina Milano Vol.1『スター・フィールド・カフェ』

    新神戸オリエンタル劇場で5/14〜16の公演。
    ちょっと突発的に、初日に行きました。……まぁ、前から時間が空いてれば
   初日にも行くつもりでしたが。
 
 
    ある島の、老人と孫娘が営むカフェ。
    そこはもうずいぶんと古くなり、昔のような活気はない。老人と孫娘は毎日、
   店の将来について話している。
    二人はある日、かつて作っていた草野球チームのメンバーたちに連絡を取る。
    もう一度集まって、みんなで野球をしようと。
    人気者だったマネージャーを除いて、カフェに戻ってくるメンバーたち。
    昔の彼らの風景とそれぞれの事情を抱えた今の彼らの姿が交錯する…………    
 
 
    私たちが目にするのはそこに集った彼らの表情と言葉、そして一つのチーム
   であった頃の彼らの思い出。
 
    今、彼らが何をしているのか、どういう状況にいるのかは、本人たちの語る
   内容以上のことは分からない。あくまで断片的な今、そして思い出の一端しか
   知ることはできない。
 
    彼らの思い出の風景は懐かしく楽しく苦くはかない。
    「今」という現実を過ごしていくことに疲れていればいるほど、苦しいほど
   に焦がれる「昔」…………手を伸ばしても決して届かない時間。取り戻せない
   からこそせつなく愛おしい。
 
    昔に戻ることは決してできない。
    けれどつかの間取り戻す、「昔」のようなひととき。
    あの頃の自分たちに戻ることはもうできないけれど、今だけは、あの頃のよ
   うな楽しさを一緒に感じている。程なく終わってしまう時間なのだと分かって
   はいても(いや、分かっているからこそか)彼らのその姿はひどく無邪気で、
   しあわせに見える。
 
    観る人によって好みはきっと分かれるでしょうけど、キャラメルとは別の意
   味で、心が疲れている時に観るといいだろうなって思いました。
    キャラメルは、観た後で元気になれる。
    『スター・フィールド・カフェ』は観た後で、懐かしさが一緒になった幸福
   感で、心が満たされます。
                                (99.5.14)
 
 
    というわけで(?)当初予定していた千秋楽も、観てきました。
 
    千秋楽、そして公演自体も終わりという状況のせいか、あるいはリピーター
   が予想以上に多かったのか……とにもかくにも、カーテンコールはえらい盛り
   上がり方。スタンディングオベーションが起きましたし、挨拶の時に役者さん
   からミラノさんコールが始まっちゃうし、当のミラノさんは涙ぼろぼろで声を
   つまらせていらっしゃいましたし、もう大変。
 
    同じ空間にいることが幸せで、もっと観ていたいなと思わせてくれる舞台が
   こんなふうに終わっていって、よかったような寂しいような複雑な気持ち。
 
    で、2回観て、他の人の感想も聞いたりして、思ったこと。
 
    おおむね『スター・フィールド・カフェ』が好きなのって女の人で、男の人
   はもうひとつのよう。
    あるいは、比較的感覚的に受け止める人と、比較的冷静な心で受け止める人。
    この作品が気に入られるのは前者のタイプだなという気が。
 
    極端に言えば、普通のお芝居が「小説」ならば、この作品は「詩」でしょう。
    明確な始まりや終わりを必要としない。
    純粋な完成度を問題にするなら、この作品は不合格かも知れない。
    でもそういう次元ではかるものではないと、私は思うのです。
 
    登場人物の思い出の世界。
    今だけもう一度つくられる、かつての仲間たちとの時間。
    その空気に浸ること、雰囲気を感じること、そんな彼らの姿を「見る」こと
   に、意味を(求めようとするならば)求められるのではないでしょうか。
 
    一緒の時間がなによりも長かった仲間。
    今は会うことさえもなかなか叶わない仲間。
    ふとした時に戻りたくなる時間を共有した仲間。
 
    時間は決して戻せないけど、たとえもうこの先二度と会えなくなったとして
   も、仲間たちの存在と共有した時間の思い出は、きっと永遠に残る。
    それはこれからも生きていく上で、どこかで何かしらの力にきっとなるはず。
 
    そのことを私はとてもとても、観ていてうらやましく思いました。
                                (99.5.16)
 
 
 

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