・『また逢おうと竜馬は言った』再々演・神戸公演の感想。

    初日(9/21)・9/23ソワレ(夜の回)を観ました。
    L列(6列目)20番(センターブロックほぼ中央)席・3階席立ち見
   (セミスタンドシート)での観劇。
 
    とりあえず、ちゃっちゃと本題にいきます (^^ゞ
 
    今回が初主演の、南塚さん。
    いや〜本当にがんばっていらっしゃいましたね。
    とにかくまずセリフが、他の作品の主役と比べても、相当に多いし。
   キャラメルの代表作と言われるし、お客さんの期待も大きい作品だし、
   ……etc。かなりのプレッシャーがあっただろうと思います。
    でも、南塚さんは「できる人」だと私は以前から思ってるので、今回
   もそんなに不安は感じてませんでした。過度な期待もしませんでしたが。
    思ってた通り、こちらが満足できる「岡本」を見せてくださいました。
    スーツ2着(途中で着替えてます)を汗だくにして走り回る南塚さん
   ……これでファンが急増するかな? 前々から隠れファンは多いみたい
   なんですけど(なんで隠れなきゃいけないんだ?(笑))
 
    神戸初日で最初のシーン、東京千秋楽から時間を置いたためか、少々
   声がかすれていて心配だったのですが、芝居が進んでいくうちにいつも
   通りの声に戻りました。よかった。
 
 
    「竜馬」の岡田達也さん。キャラメルの公演はちょっと久々。
    おっかーさんが「竜馬」と聞くまでは、上川さんの「竜馬」が観たい
   な〜と思ってたんですよね。再演ですごく似合ってたし。
    でも、次に『竜馬』を再演する時には、上川さんを出さずに上演する
   という噂がありましたし、出演予定者を聞いた時に、あーやっぱりダメ
   だったのか、と残念に思いました。
    まぁしかし、おっかーさんもそれなりに演じてくださるだろうと思い
   ましたので、この点も一部で言われるほどの心配はしてませんでした。
 
    いろんなところで言われてますが、初演・再演の「竜馬」と比べると、
   「身近な存在」って感じがしました。それこそ部活の先輩とか、近所の
   親しいお兄さんとか……そういう存在に比較的近い雰囲気がありますね。
    人それぞれ好みはあるでしょうけど、私個人は特に不自然とは感じま
   せんでしたし、よかったんじゃないかと思います。
    ……ただ一つ、やめてほしかったギャグ(下ネタ系)がありましたが。
   「竜馬」は決して悪くなかったのに、そのギャグが出た途端、それまで
   の気持ちがいったん引いちゃいましたから……うーむ。
 
 
    それ以外の役者さんは……まぁぼちぼちって感じかなー。
    可もなく不可もない。無難。
    ちょっと気になった何人かに関して、書きます。
 
    きっちり1年ぶりの、細見さん。
    今回の「小久保課長」は……なんだか、今まで演じられたキャラとの
   違いが分からない感じが……『あなたが地球にいた頃』の「岸田さん」
   と、『嵐になるまで待って』の「広瀬教授」の合体だなー、とか思って
   しまいました。……失礼かな。でも本当にそう思ったんです。
    ひさしぶりの舞台なのに、あれじゃちょっともったいない気も。
    いや、ひさしぶりだからこそ、なんでしょうか?
    細見さんて結構、途中で体調(特に喉の調子)を崩されることが多い
   から、あえて「肩慣らし」みたいな感じでやらせたとか……?
    舞台に立つ以上、そんなこと言ってたら本当は甘いんでしょうけどね。
    ま、そもそも実際のところがどうなのか、分かりませんけれど。
 
    客演の方々。
    田嶋ミラノさん……に関しては、もう少し先の話で書きます。
 
    キャラメルは初めての、首藤健祐さん。初演では元・劇団ショーマの
   細山さん(現在は役者を辞めておられるそうです)、再演では西川さん
   が演じた、この作品における悪役の「棟方」。
    悪役そのものとしては、西川さんよりも他のお二人の方がいいんです
   よね、やはり。西川さんが決して下手くそなわけではないのですが……
   ……うーん、なんていうか、雰囲気の問題かなぁ。西川さんはやっぱり、
   「悪役」のイメージでは想像しにくい。再演の「棟方」は、楽しめると
   いう意味では好きなんですけど、私は(笑)
    そういえば、西川さんと首藤さんはギャグが似ている、という話が、
   一部で囁かれているのですが。……確かに、とてもさりげなくギャグを
   言ってしまうところは、そっくりかも? 内容はそんなに似ているとは
   思わないけど。
 
    普段は殺陣の先生をなさっている、佐藤雅樹さん。役者自体をやった
   ことがあるかどうかも知りませんが、とりあえずキャラメルへの出演は
   初めてですね。「棟方」が憧れる、想像(空想?)の「土方歳三」の役。
    その経歴上、どんなかっこいい殺陣を見せてくださるのか……と普通
   期待しますよね?
    あぁそれなのに。
    あのわざとらしい動きは………………いったいなんだったんだ???
    いや、役者としての技量は全然求めてなかったですけどね……
    なんか、殺陣さえも不自然でわざとらしくて……おっかーさんの方が
   よほど自然に見えました。
 
 
    以下は、作品・舞台全体の感想を中心に。
 
    はっきり言って、今回は期待してなかったんですよね。
    南塚さんとおっかーさんに関しては、上述のように、一部が心配する
   ほど不安には感じてませんでした。……でも期待し過ぎるとコケるかも
   なー、とはちょっと思ってましたし。
 
    客演さんの一人(って今さら隠すこともない? 田嶋ミラノさんです)
   には、個人的にかなりはっきり不満がありましたし。いや、ミラノさん
   本人にと言うよりは、ミラノさんを使い続けるキャラメルの姿勢に。
    『キャンドルは燃えているか』東京千秋楽の感想にかなり書きました
   けれど、私はあの公演の頃から、ミラノさんがキャラメルの公演に出る
   こと自体に良い印象を持っていません。加えて、ミラノさんの役どころ
   がだんだんヒロインに近くなってきていることにも、不満を感じてます。
   今回なんか完全にそう(ヒロイン)ですしね。
 
    なにが嫌なのか、あらためて言いますと。
    1:フリーになって以来、出演している舞台の大半がキャラメルか、
      ネビュラ関係であること。どうしても、キャラメル・ネビュラに
      寄り掛かって(甘えて)いる感じがしてしまう。
      キャラメルはプロ意識の高い集団のはずだから、そういう「甘え」
      を認めるような真似をしてほしくない。
    2:ミラノさんの演技がキャラメルの舞台の雰囲気と合わない。
      『キャンドル』の時、公演中にだんだん変わってくるかと思って
      いたら、東京千秋楽の頃にはさらにそぐわなくなっていた。
      観客側で「ミラノさんが浮いてる」と思ってる人は少なくないの
      に、キャラメル側は全く気にしてないように見える。キャラメル
      側は、本当にミラノさんの今の演技を全面的に認めているのか?
 
    ……今回の仕上がりがこれまでと印象変わらないようだったら、本当
   にキャラメルとのつきあい方を考え直さなきゃ、とまで思ってました。
 
 
    その「期待しなさ加減」が逆によかったのか。
    私が予想する以上に皆さんがレベルアップしていたのか。
    もしかしたら、両方かも。
    とにかく、観る前に感じていた不安は、ほとんどが消えました。
 
    ミラノさんの演技に関してさえ、観終わる頃には、これまでのような
   不満はなくなっていました。
    ……ただし、この点は、成井さんの演出が良かった(変わっていた)
   からだと思うのですけどね。ご本人の演技が大きく「キャラメルに合う
   ように」変わったわけではありませんから。少なくとも私の印象では。
 
    ヒロインの「ケイコ」としては、再演の坂口さんの方が絶対に合って
   いたと思いました。ヒステリーさ加減とかは特に (^o^;
    ミラノさんははっきり言って「落ち着きすぎ」。要所要所のセリフは
   まだしも、それ以外のところではどのセリフも、あんまり変化がない。
   「現実の日常会話」ならあれでいいんでしょうけど、「舞台のセリフ」
   としては何か足りないんじゃないでしょうか。特にキャラメルの舞台に
   おいては。
    そういえば、ミラノさんはほとんどギャグもやりませんね。ギャグと
   いうか、唯一客席を笑わせるのが、「急にむちゃくちゃパワフルになる
   時」。……でもこれって、厳密にはギャグじゃないよね。ミラノさんの
   それまでのキャラ的に、いきなりそうなるのが面白いってだけで。
    (それを言うと、全ての内輪受けネタがそうなっちゃいますけど)
    ……キャラメルって、基本的に役者さん全員にギャグを入れてもらう
   んじゃなかったっけ? ミラノさんだけ、やらなくてもいいってこと?
   それはなにゆえに???(マジで気になってきた……)
 
    それにもかかわらず、前回のような違和感をほとんど感じなかったと
   いうことは……お芝居全体の雰囲気が、ミラノさんの演技の雰囲気と、
   あまり「違い」がなかったのだろうと思います。まぁある意味「大人の
   芝居」になっていたんじゃないでしょうか。良く言えば。
    (あくまで「良く言えば」です。あんまり「いい意味での大人の芝居」
   とは思ってないのですが、他に言葉が思いつかないので)
 
 
    初演・再演と比べて、今回の再々演で一番違うなぁと思うのが、そこ
   なんですよね。
    お芝居の「質」というか……「色」が違う。
    たとえば再演を明るい水色だとすれば、今回は濃い紺色。
    初演は空の青かな。再演よりは色が濃い。でも、紺色ほど深く静かな
   色じゃない。
 
    役者さんのレベルは上がってきてますし、お芝居全体の出来もかなり
   良い方だったと思います。
    ……ただ、初演・再演ほどには、なんていうか「うぉぉ」って感じの
   勢いがないかも知れません。一種の「若いパワー」とも言えるかな?
    それは役者さんのせいではなく、劇団および演出が「大人」になって
   きた(良く言えば)ということなのかな……パワー自体がなくなったと
   までは言いませんけど、パワーの質が変わってきたというか。やっぱり、
   どうしたって20代の頃と今とでは、内面的なこともいろいろ違ってきて
   いるはずですし。純粋な意味での「20代の若さ」は多分無いでしょうし。
    別に、それが悪いと言ってるわけじゃないんです。
    それが良い方に作用する場合もあれば、あまりよくない方へ転ぶ場合
   もある。どんなことだってそうです。
 
    もっと手っ取り早く言えば。
    たしかにおもしろいし、いい舞台ではあった。
    でも1回観たら、それで満足できちゃう。そんな感じでしょうか。
    もちろん、人それぞれですけどね。
 
    人の受け売りになりますが、「キャラメル風の良くできたお芝居」を
   観た感じがするんですね。
    出来はいいんだけど、なにか物足りない。
    「キャラメル自身が持つ味」が、どことなく活かしきれていない。
 
    私がキャラメルの舞台を好きなのは、まぁ語れば長くなりますけど、
   かいつまんで言えば「登場人物が必死にがんばる気持ち、誰かが誰かを
   思う気持ち、その他いろんなことが、時に残酷なくらい純粋でまっすぐ
   で、こちらの心にもストレートに伝わってくるから」なんですね。
    それがキャラメルの最大の持ち味だと思うんですよ。
 
    …………でも、今回はそれが足りなかった。
 
    今回感じたおもしろさって、どちらかというとギャグの方向に偏って
   いたんじゃないかな。もちろん、役者さんたちが頑張っていらっしゃる
   ことはすごく評価できますけど……でも、ギャグに力が入ってしまって、
   ストーリーそのものが上滑りしている感じもしました。……だからかな、
   あまり登場人物の気持ちも分かりやすくなくて、伝わってこない。
 
    作品自体の完成度で言えば、前回の『カレッジ・オブ・ザ・ウィンド』
   よりも『竜馬』の方が上かも知れない。だけど、「キャラメルの舞台と
   しての完成度」を考えた場合、『カレッジ』の方が「キャラメルの舞台」
   として成立していたような気が、します。登場人物の気持ちがせつなくて、
   痛かった。
 
    『風を継ぐ者』とか、『TRUTH』とか。
    あれらの作品を観た時みたいな、心に「がつん!」と大きく響いてくる
   なにかがある、問答無用でこちらの意識を持っていってしまう、そういう
   舞台を観たいなぁ……
    この頃、けっこう切実に、そう思う私です。
                               (00.9.27)
 
 


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