いよいよドライブのスタートです。朝6時30分にサンタモニカ通りと海岸通の角で記念撮影をして、スタートです。2号線と呼ばれる道を東に向かいます。資料によると、サンタモニカからロサンゼルスを抜けるRoute66はいくつかあるようですが、もっとも北側の道を走ることにしました。道路の所々に、Historic Route66の看板があります。
コロラド通り(2号線)を走り、West Hollywoodを目指します。West Hollywoodを通過し、道は101号線をくぐり、Pasadenaに向かいます。Pasadenaは小さく、静かな町で、カリフォルニアの青い空と、緑の街路樹が美しくマッチしていました。Pasadenaは想像していた以上に素敵な町で、小さいのですが、何か時が止まったような印象を受けます。日本にいるときは時間に追われるような生活をしている私にとって、このパサディナの風景、町並みは、
「人間って、こんなところで生活するようになっているのじゃないかな」、
と思わせてくれるものです。大都会や観光地ではありませんが、町そのものもが清涼剤、そんな雰囲気でした。
おだやかというのでしょうか、清楚とでもいえばいいのでしょうか、とにかく素敵な街です。
Pasadenaからは、210号線に平行するように走り、DuarteからAzusaに向かうため、ハンティントン通りに入ります。しばらく行くと美しかった家並みがなくなり、小さな橋を渡ります。この橋の東端の道にRoute66の標識が描かれています(結構右左折を繰り返しますが、西に向かえば、最終的にこの橋を渡ることになります)。
なんとも嬉しくなりますが、この道路に描かれた標識を見ると、本当にRoute66を走っているのだ、と再確認させられます。Glendoraを抜け、SanDimasという街から、地図にも載っているRoute66を走ります。Claremont、Upland、Fontanaといった小さな街を抜け、Rialtoの先、San BernardinoでこのRoute66がなくなってしまいますので、215号線をNorth、さらに、15号線をNorthに向かいます。Victorvilleで15号線を降りるのですが、最初の降り口で降りると降りたところの交差点が複雑で間違えてしまいそうです。
実は、ここで私はいきなり道を間違えてしまったのです。18号線に入ってしまい、どうも様子がおかしいとのことで、ガソリンスタンドに入り、現地の人に聞くと、反対方向だ、というのです。
とにかく戻らなければ、ということで、15号線を降りた交差点まで戻り、降りたときとは反対方向に進みます。少し走るとHistoric Route66の看板がでました。どうやら、正しい道に戻ったようです。しばらく走って分かったことですが、15線を降りる場所をもう一つ先にしておけば問題がなかったのですが。
15号線を走っていると、Victorvilleには4つの出口があると表示板にでます。私は前述したように、一つ目で降りてしまったのですが、2つ目の出口ですと旧の15号線(Route66)に直接出てきますので、ぶつかったら左折します。あとは道なりに、Barstowまで走ります。道路標識はビジネス15号とありますが、これがHistoric Route66ですので、標識が違っていても心配せずに走ってください。
このBarstowで一度一般道を離れ、I-40(EAST)に乗ります。最初の出口で降ります。出口の手前に、「Route66は次の出口」、という案内がありますので、出口の名前がなくとも最初の出口で降ります。Nebo通りという道ですが、これがRoute66になります。
サンタモニカから東に向かっている間は、家並みが続いていたので、あまりRoute66を走っているという感覚はありませんでしたが、このあたりから、雰囲気が変わってきます。右側にI-40、左側に鉄道の線路といった関係をしばらく続けるとNew SpringでI-40をくぐり、しばらくI-40と併走します。ここまでくるとほとんど砂漠といった風景の中を走ることになります。
しばらく走ると、突然この先は行き止まりという標識に出会います。見た目には道が続いているのですが、かなり先で道がなくなっているようです。そこでI-40EASTに乗り、Route66のあるLudlowで降りました。降りたところにLudlowカフェという小さなレストランカフェがありましたので、立ち寄ることにしました。感激したのは、この店のメニューです。なんと表紙がRoute66の標識になっているのです。ここでアイスティー(2ドル)をいただき、Route66を再び走ることにします。このお店を出たところの道路にも、やはりRoute66の標識が描かれていました。
Ludlowはフリーウェイの出口に数軒の家がある、といった村で、ひとかたまりの集落の向こう側には砂漠が広がっているだけです。Old Route66ですが、タダひたすらまっすぐ砂漠の中に伸びています。とても人が利用している道には見えません。ほんの少しの間だけで併走するフリーウェイを走る車の姿が、何か幻のように感じられます。
●走っている車の窓ガラスが暑い
初めて体験する熱さです。気温は45度を超えているのではないかと思われます。クーラーをかけた車の窓ガラスが暑くて、長い時間触っていられないのです。湿気はないのですが、異常な熱さです。そういえば、Ludlowカフェのおばさんが、
「ここから先のRoute66は何もないよ、車も通らない。車にトラブルが発生したら生きて帰れないからI-40を使いなさい」
と話していました。確かにその言葉を裏付けるかのような熱さです。アスファルトの照り返しの熱さがありますが、あの熱さが空気全体にある、といった感じでしょうか。いくら言葉で、灼熱の熱さ、などと表現しても、想像は難しいと思われます。語彙の乏しい私では、言葉で表現することができません。唯一共通体験の言葉として思いつくのが「サウナ」です。本当にサウナ
(もちろん、湿気はほとんどありませんが、強烈に暑いのです)に入っているような熱さでした。
そして、本論のRoute66ですが、砂漠の中、本当に何もありません。それでも、30分に1台、反対側から走ってくる車に出会いました。途中通る田舎町、と思っていたAmboyやEssexなど、地図に街の名前はあるものの、5件ぐらいしか家がないような街です。それにしても、この熱さの中、どのように暮らしているのか、不思議で仕方がありません。それでも学校がありました。この気温ですと、プールの水も温水になり、水泳どころではないでしょう。
もう一つこの道を走っていて感じたことがあります。「恐怖心」です。まず周りに何もない。生き物の気配がないのです。こんな体験ははじめてで、知らず知らずのうちにアクセルを踏む足に力が入ってしまいます。スピードメーターをみると80mphから90mphの間を指しています。130km〜140kmの速度で砂漠の一本道を走っているのです。もちろん走っている道はRoute66、一般道ですが、砂漠の中では、この速度で走っていてもあまり景色が変わりません。
●Route66を離れ、ラスベガスに向かう
当初の予定通り、95号線を使ってラスベガスに向かうことにしました。距離は100マイルですので、約2時間の行程になります。道は1本道ですので、間違うことはありません。このあたりは、日が暮れるのが7時半ぐらいで、8時近くまで薄明るいのですが、途中でヘッドライトを付け、ラスベガス到着は夜の9時を少し回っていました。本日のドライブ時間は13時間。途中道を間違えたりしたのでちょっと時間が予定より掛かってしまいました。走行距離は、450マイルですので、720Kmということになります。
ラスベガスに入る直前まで、真っ暗な道をただひたすら走るのです。所々明かりが見えるのですが、周りが真っ暗なため、なんでぽつんと電気が点いているのか不明です。また、周りの景色がどのようになっているのかも全く分かりません。ラスベガスの直前で道が突き当たり、左折します。しばらくは山越え(といっても丘を越える感覚ですが)になり、登りが続きます。
これは7月4日にRoute66に戻るときに分かったことですが、ラスベガス近くの95線の周りは砂漠なのですが、その砂漠の中に数え切れないほどの電柱が敷設されていました。フーバーダムからの電線で、遠くはロサンゼルスまで電気を運んでいると何かの本で読んだ記憶があります。
ラスベガスが近くなったところで、カジノが1軒右手に突然現れます。そのまま車を進め緩やかなカーブすぎると、眼前にラスベガスの街が出現します。ここは是非夜に通っていただきたい。香港の夜景が100万ドルと呼ばれますが、ラスベガスのそれは、宝石をちりばめたような美しさです。
写真を撮るため路肩に車を止め三脚を取り出して撮影です。しかし、道路が車の通行で揺れるため、結果は失敗でした。しかし、目を瞑ると鮮明にラスベガスの街が浮かんできます。
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