国葬は、国家の行事として行われる葬儀であり、経費は国が負担するものである。
天皇、皇后および皇太后の葬儀を特に「大喪儀」という(現在では「大喪の礼」と呼ばれている)。
皇太子、皇太子妃、皇太孫、皇太孫妃(皇太子、皇太孫が7歳未満で夭折された場合を除く)および摂政たる皇族の葬儀はすべて国葬である。
また、国家に功績ある臣下が死去したときは、特旨により国葬を賜った。
戦前の場合、葬儀の当日は廃朝(はいちょう=天子が御政務に臨まれないこと)を仰せ出され、全国民が喪に服することになっていた。
葬儀の式次第は内閣総理大臣が勅裁を経て定め、葬儀委員長および葬儀委員が置かれる。儀式は神道の式によった。
また、皇族、親任官(陛下が御自ら任命される親任式を経る官)、親補職(陛下が御自ら補職される親補式を経る職:例えば参謀総長や師団長)以上の者で、特に功績のあった者(現職の国務大臣、前官礼遇を賜った者など)の死去に際しては、弔問使と呼ばれる御使が差遣される。
重臣の場合は弔問使のほか、神道式の場合は霊前に奠榊(いわゆる玉串奉奠)、仏式の場合は焼香のための勅使または御使、さらには葬儀場へ勅使または御使が差遣されることがあった。勅任官の場合は幣帛を下賜された。
戦後、国葬について定めていた国葬令(大正15年勅令第324号)が廃止された。明治11年の大久保利通は準国葬として、昭和50年の佐藤栄作は国民葬として営まわれた。
それらを除く、国葬は明治16年の岩倉具視から昭和42年の吉田茂まで20名である。なお、吉田茂の国葬は閣議決定によるもので、宗教色を排した形式により日本武道館で行われた。