※以下の相続税関係の改正は平成23年4月1日以後の相続から、贈与
税関係の改正は平成23年1月1日以後の贈与から適用されます。
<相続税関係>
● 相続税の基礎控除の引下げ
相続税の基礎控除が次のように引き下げられます。(この基礎控除の引下げにより平成21年分で4.1%であった相続税の課税割合が6%台程度になる
見込みです。)
(改正前) 5000万円+法定相続人数×1000万円
(改正後) 3000万円+法定相続人数×600万円
● 相続税率の引下げ
相続税の税率について、最高税率を50%から55%に引き上げ、税率構造は6段階から8段階になります。5000万円超1億円以下(30%)までの税率は変わりませんが、
2億円以下の金額は40%、3億円以下は45%、6億円以下は50%、6億円超は55%になります。
◇改正後の相続税の税率表
法定相続人の取得金額 |
税 率 |
控除額 |
1000万円以下 |
10% |
- |
1000万円超3000万円以下 |
15% |
50万円 |
3000万円超5000万円以下 |
20% |
200万円 |
5000万円超1億円以下 |
30% |
700万円 |
1億円超2億円以下 |
40% |
1700万円 |
2億円超3億円以下 |
45% |
2700万円 |
3億円超6億円以下 |
50% |
4200万円 |
6億円超 |
55% |
7200万円 |
● 死亡保険金の非課税限度額の見直し
死亡保険金の非課税限度額が次のように見直されました。
(改正前) 500万円×法定相続人数
(改正後) 500万円×「未成年者、障害者又は相続開始直前に被相続人と生計を一にしていた相続人の数」
● 未成年者控除と障害者控除の引き上げ
未成年者控除と障害者控除はそれぞれ1人あたり6万円でしたが、これが1人あたり10万円に引き上げられました。
<贈与税関係>
● 贈与税税率の見直し
贈与税の最高税率が50%から55%に引き上げられます。
また、生前贈与による子や孫への財産移転を促進するために、20歳以上の者が直系尊属から贈与を受けた場合の贈与税率は、一般の贈与税率と区別され、税率が緩和されます。
改正後の贈与税率は、次のように「直系尊属からの贈与」と「一般の贈与」の2本立てになります。
◇直系尊属からの相続税の税率表
基礎控除後の課税価格 |
税 率 |
控除額> |
200万円以下 |
10% |
- |
200万円超400万円以下 |
15% |
10万円 |
400万円超600万円以下 |
20% |
30万円 |
600万円超1000万円以下 |
30% |
90万円 |
1000万円超1500万円以下 |
40% |
190万円 |
1500万円超3000万円以下 |
45% |
265万円 |
3000万円超4500万円以下 |
50% |
415万円 |
4500万円超 |
55% |
640万円 |
◇一般の贈与の税率表
基礎控除後の課税価格 |
税 率 |
控除額 |
200万円以下 |
10% |
- |
200万円超400万円以下 |
15% |
10万円 |
400万円超600万円以下 |
20% |
25万円 |
600万円超1000万円以下 |
30% |
65万円 |
1000万円超1500万円以下 |
40% |
125万円 |
1500万円超3000万円以下 |
45% |
175万円 |
3000万円超4500万円以下 |
50% |
250万円 |
4500万円超 |
55% |
400万円 |
● 相続時精算課税制度の見直し
相続時精算課税制度の適用対象となる受贈者は、推定相続人のみですが、この受贈者の範囲が拡大され、
20歳以上の孫も加えられます。また、贈与者の年齢要件も65歳以上から60歳以上に拡大されます。
孫が20歳以上になれば相続時精算課税制度を適用して贈与することも可能になりますが、
相続時に2割加算の対象になることに変わりありません。一方、改正後の直系尊属からの贈与についても孫も対象になるので、
どちらが有利かを検討することも必要になってきます。