<01.4〜5に観た舞台の記録>

  ・新ユニットおもちゃ箱プロデュース公演『ロボット公園』(01.4)
  ・転球劇場『Jack』(01.4)
  ・ラッパ屋『斎藤幸子』(01.5)
  ・演劇集団キャラメルボックス『風を継ぐ者』(再演)(01.5)
  ・ランニングシアターダッシュ『夏の魔球 FINAL』(01.5) 


  ・新ユニットおもちゃ箱プロデュース公演『ロボット公園』

    大阪・森ノ宮プラネットホールで、4/4・5に公演。
    4/5の夕方、自由席・階段席で、中段の真ん中あたりで観ました。
 
    ネット知人の「わん」さんが脚本をお書きになった作品です。掲示板
   「伝言るーむ」に何度かご本人が宣伝文を書かれていましたので、覚え
   ていらっしゃる方もいるかと思います。
 
    ある町の、ある公園。そこにはいつからか、一体のロボットが住んで
   いる。フリーライターが雑誌の記事を書くため、取材を試みるのだが、
   ロボットは記憶をなくしているらしい。いつから、どうしてここにいる
   のか、分からないままに、「自分はここにいなければいけない」と言う。
   この公園を含む一帯にマンションを建てるという市の計画があるのだが、
   担当者の説得にもロボットは全く応じない。業を煮やした担当者は工事
   を強行し、止めようとしたロボットはショベルカーに跳ね飛ばされる。
   ……そのショックでロボットの記憶が蘇った。百年前、実験のトラブル
   で消えてしまった、生みの親である博士を待っていると。今日この公園
   に現れるのだと……
 
    ……そうですね、小説みたいだなぁと思いました。それも短編もの。
    中にはいろんなものがつまっているのですが、淡々と進んでいって、
   淡々と終わっていく。お芝居としては、盛り上がりに欠ける印象があり
   ます。素材やところどころの作りはいいと思うのですが……舞台の脚本
   というよりは、やっぱり小説的かなぁと。
 
    役者さんの、というか役それぞれの個性が弱かったようにも思います。
   ライターはもっと情けなく、ロボットは可愛く、担当者は(前半部分で)
   もっと憎々しく……と、キャラの持ち味をもっと強調してもよかったん
   じゃないかな。
                             (01.4.14)

  ・転球劇場『Jack』

    大阪・梅田HEP HALLで、4/5〜15の公演。
    4/14の夜に観てきました。
    自由席・椅子席(前に4列ほど桟敷席)の3列目・真ん中近くで観劇。
 
    大学のあるサークルの面々が学祭の出し物を考えていく、という基本
   設定とおおまかなストーリーラインはあるようですが、それ以外の多く
   はおそらくアドリブ。それほど詰まることもなく進んでいくのはさすが
   だし、またそうじゃなきゃいけないとも思います。アドリブのテンポが
   命ですからね、こういう舞台は。詰まっちゃうと観ている方もちょっと
   苦しいですからね……1・2回+ある程度の長さなら耐えられるけど。
 
    転球劇場は初見です。「以前から気になってはいたけど観たことない
   劇団」のひとつでした (^^;
    今回は元ピスタチオの腹筋さんが気になったので、思い切って行きま
   した(前回公演にも出ていらしたんですけどね)……やっぱり腹筋さん
   は腹筋さんだなぁと思いました。相変わらずアニメネタ多いし(笑)
 
    この手の舞台は評価がある意味難しいかなと思いますが、個人的には
   楽しめました。おなかが痛くなるぐらい笑ったのは久々でした (^o^)
                             (01.4.14)
 
 

  ・ラッパ屋『斎藤幸子』

    大阪上本町・近鉄小劇場で、5/11〜12の公演。
    5/12夜の回(千秋楽)を観てきました。
    E列(5列目・実質3列目)25番(右サイドやや右端)席での観劇。
 
    東京・月島の下町。もんじゃ焼き屋の娘・斎藤幸子は、美人で前向き
   だが少々ピントのずれたところがある。店を仕切る父とアーティストの
   姉、隣の富島父子や幼なじみのソープ嬢、亡き母の双子の妹などに囲ま
   れながら普通の女子高生生活を送っていた。が、ソープ嬢・美奈子から
   もらった毒を持つカエルに刺されて入院してから、幸子の人生は方向を
   変えていく。登校拒否、担任教師との駆け落ち、そして破局、ホステス
   生活から自称実業家との出会い、会社設立をするも詐欺にあってしまう。
   そのたびに周囲も巻き込まれドタバタのくり返し。しかしその中で思い
   がけない出会いや展開もあり、結果的にはみんなそれなりに幸せそうで
   ある。幸子の同級生が語る、そんな下町の人々の物語。
 
    ラッパ屋は初めて観に行きました。4年前に、テレビで放送されてた
   『エアポート`97』という作品を観たことはありますが、生では初めて。
    所属役者の福本伸一さんが何度かキャラメルに客演されていたり、某
   テレビ番組で数人の役者さんを観たりして興味はあったので、以前から
   一度は観に行きたいなぁと思っていました。今回ようやく実現。
 
    よく考えてみるとすごくご都合主義な話だし展開だし、そう目新しい
   素材が扱われているわけでもないんですが、観ている間はそういうこと
   はほとんど気にならなかったですね。幸子と周りの人々の輪、出会って
   いく人々の輪が、なんだかとても明るくて、あたたかくて。事態の最中
   にはそんな呑気なこと言ってられないんですけど(笑)
    幼稚園〜小学生の間に3回引っ越した私には、こういった「小さい頃
   からずっと続いている近所付き合い・生活の基盤」がないので、それが
   うらやましくも思えました。それはそれで、付き合いがあるだけにうっ
   とうしいこともあるだろうと思いますけど、今の時代は特にご近所との
   関係がとっても希薄なので、こういう長い濃い付き合いは、ある意味で
   現代の理想と言えないでしょうか。
 
    私はどうも、家族を亡くすというシチュエーションには、単純に弱い
   ようです(多かれ少なかれ、そんな面のある人は結構いるでしょうけど)
    今回も、ソープ嬢の美奈子が、たった一人の家族である祖父を亡くす
   場面があります(ソープで働いているのも、そもそもは祖父の入院費用
   を稼ぐため)。今日もお見舞いに行こうとした時に、電話で亡くなった
   ということを聞いて。幸子の家に来て、富島父子に薄情にも思えるよう
   なことを言ったりして。でも父子は何も言えない。幸子の母の写真に、
   じいちゃんがそっちに行ったら祭りの話をしてあげて、好きな茶碗蒸し
   を食べさせてあげて、と言っているうちに、いきなり泣き伏してしまう。
    「提示するもの」としては古典的だしありがちなんでしょう(厳しい
   批評家ならむちゃくちゃ言うかもね)。でもそういう美奈子の気持ちは
   分かりやすいだけに、一緒に泣いてしまいそうになります。
                             (01.5.17)
 
 

 ・演劇集団キャラメルボックス『風を継ぐ者』(再演)

     → こちらです。(ネタばれあり・長文) 
                             (01.7.15)
 

 ・ランニングシアターダッシュ『夏の魔球 FINAL』

    大阪梅田・HEP HALLで、5/25〜27の公演。
    5/27の昼に観てきました。
    A列(最前列)13番(センター近く)席での観劇。
 
    フジムラミノルはスポーツ新聞の女性記者。3年目になるが、いつも
   後輩の方が高く評価される日々である。現在の取材対象は担当チーム・
   阪神の選手ではなく、甲子園球場のグラウンドキーパー……ミノルの父、
   フジムラエイジ。グラウンドキーパー歴45年。実現しなかった夢ばかり
   語る父親をミノルは嫌っていた。妹・ユタカは父親の反対を押し切り、
   絵の勉強のためアメリカへ行ってしまっている。
    書き上げた原稿を編集長にボツにされ、再び取材に向かうが、ミノル
   にはどうすれば父親を材料にして良い原稿が書けるのか分からない。
    甲子園球場では毎日、阪神ファンの球場スタッフによる、巨人軍への
   嫌がらせ作戦が行われていた。と言っても、かなりセコイ作戦ばかり。
   巨人ファンの売店の息子に見つかり、慌てることの繰り返し。
    そんな彼らの中に、新人グラウンドキーパーが入ってくる。エイジに
   キーパーの心得を教わりながら、いつか選手になるという夢を語る新人。
    ……エイジは若い頃から、阪神の選手になるべく、何年も入団テスト
   を受け続けていた。かつてテレビで観た、長嶋選手と対決するために。
   ミノルたちの母親と出会い、結婚してからもずっと。そして今でも彼は、
   その夢を捨ててはいなかった。
    スタッフたちの口から、エイジが今年の入団テストを受けるつもりだ
   と聞くミノル。野球と阪神が大好きで、娘にも選手の名前を付けた父親。
   亡き母親のスケッチブックに残された、たくさんの父親の姿……
    ……そして、入団テスト当日。エイジはやはり不合格だった。しかし、
   ミノルの原稿は書き上がった。編集長が求めた「色の付いた」原稿が。
 
    ダッシュ旗揚げ当時からのメンバーで、特に内部で「看板役者」との
   評判が高い、ジャージ公三さんの引退公演。ここ数年は表舞台に立って
   いらっしゃらなかったので、最近ダッシュのファンになった方の中には、
   一度も観たことないという方も多いんじゃないかと思います。ちなみに
   私は昨年(2000年)夏の『新・ぼくの先生』で一度だけ拝見しましたが、
   あの公演がたまたま関西・尾道限定でなければ観られなかったでしょう
   し。個人的には印象の良い、のんびりした感じの役者さんでした。
 
    初演・再演を知らないので確実なことは言えませんけど、この作品は
   普段のダッシュの作品とはちょっと違う感じがします。
    いつもの作品が(基本的に)高校生を中心とした熱い物語だとすれば、
   『夏の魔球』は、もうだいぶ「おじさん」になってしまった男のセンチ
   メンタルな物語。若い登場人物もいますけど、ポジションは「おじさん」
   たちを見守る側と言いますか。
    全体の雰囲気もなんとなく、セピア色が似合う印象です。
    だからと言って、古ぼけているわけではなくて。主人公たちの中では
   まだまだ色褪せてはいない、昔の思い出や夢が、子供たちの中で新たに
   色を付けられて蘇る。ただ単に古い思い出でも、若者たちの夢だけでも
   ない。両方が一緒になって、何十年もの時間を越えた「思い」が、勢い
   良くではないけれど、しみじみと確実に、現在の時間にも存在している。
    普段のいかにも元気いっぱいなダッシュ作品も好きですが、たまには
   こんな作品もいいな、と思いました。
 
    ……ただ、中盤あたり、「エイジ」が自分の夢(想像?)を語る部分。
   あそこは少々うるさすぎるかも。なんか、あのシーンが違う意味で印象
   に残ってしまっていますね (^^;
                             (01.7.15)
 
 

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