中国二億五千万年、驚異の大恐竜博
中国熱帯
近年恐竜の話題をする際に最も熱く中心に上って来るのは何と言っても中国だろう。恐竜から鳥類への進化を裏付ける有力な証拠となった羽毛恐竜の発見で沸いた遼寧省はその代表格だ。
その鳥類進化に関する紹介に関しては後段に回すとして、ここでは今回の展示でクローズアップされていた別の化石の宝庫、雲南省禄豊県について紹介したい。展示の場はその名も「禄豊大恐竜発掘区」、そして「巨大恐竜復元区」へと移る。
禄豊県は小さな盆地なのだが、厚さ3.4Kmに及ぶ中生代の褐色の地層が地表に露になっているところがあり、何気なく拾った石が化石だったりする事も珍しくない程たくさんの化石が眠っている。特に中期ジュラ紀の地層は世界的にも同年代のものは珍しく、貴重な化石が眠っている可能性が高い事が指摘されていて、質・量共に有数の恐竜化石発掘地となる可能性を秘めている。
その地層から発見された中で今回の筆頭注目株が"チュアンジエサウルス"だ。
この恐竜は全長27mにも及び、現在アジア最大とされる竜脚類だ。この手の大型竜脚類が広く世界に分布したのは実は後期ジュラ紀以降。そこから1000万年遡るこの時代にこのような巨大な恐竜が生息していた事に恐竜大型化の答えを求めようと研究が進められている。
ジンシャノサウルス Jingshanosaurus
前期ジュラ紀の古竜脚類。全長は8.9m程度で禄豊県の古竜脚類としては最大級。この個体は1988年の発見なのだが、同地で1939年に発見されたユンナノサウルスと類似点が多い為、一部の説ではその大型の個体ではないかとの見方もあるらしい。ディロフォサウルス Dilophosaurus
頭部の2枚のとさかが特徴の前期ジュラ紀の獣脚類。この個体の全長は5.4m程度。アメリカのアリゾナ州でも6m程度の個体が発見されており、ここからもパンゲア大陸分化前のアジアと北米との生物の共通性が示されている。[4-1]ジンシャノサウルス
[4-2]ディロフォサウルス
ルーフェンゴサウルス Lufengosaurus
中国で最もよく発見される古竜脚類で時代は前期ジュラ紀。足跡の化石から四足歩行である事は裏付けられているが、後肢ががっしりとしている事から二足歩行も可能だったのではと推測される説もある。成体の全長は6m程度。写真右の標本は2.4m程度でその亜成体とされているもの。[4-3]ルーフェンゴサウルス
チュアンジエサウルス Chuanjiesaurus
先に記した通り中国最大級の竜脚類。その長い首には頚椎の数が19個もある。[別頁参照]これだけ大きな巨体を支える事ができた理由、そのキーワードの一つとして二酸化酸素の増加による地球温暖化が挙げられている。外温性動物と予測される竜脚類が現在のイグアナのように日光浴だけでその巨体の体温を維持できる事は難しいのではという事から、温暖化による理想的な温度環境があって可能になったと考えられている(内温性動物の機能も併せ持っていたのではという意見もある)。食料の面でも温暖化により植物の成長が早まり、栄養価は低くとも量は豊富な環境が大きな巨体に有利に働いたとも考えられている。
[4-4]チュアンジエサウルス