中国二億五千万年、驚異の大恐竜博

恐竜前史

「恐竜発見区」と名づけられた最初のコーナーには前期三畳紀、実に約2億5000万年も遡る時代の生物が紹介されていた。まだ恐竜と明確に分類される生物のいない時代だ。
ここで最初に目にしたのは、分類的には更に数千万年も前に分化した単弓類の中の獣弓目に属する生物、"リストロサウルス"と"シノカンネメエリア"だ。哺乳類型爬虫類ともいわれる事もあるこの系統の中からいずれ哺乳類に似た構造の生物が誕生する事になる。リストロサウルス等はその直接の祖ではないが、哺乳類が地上を席巻する時代の遥か昔の隣人として記憶に留めたい。
そしてこちらこそは恐竜の祖となる主竜類へ分化していく中のひとつ、"シャンシスクス"。主竜上目ともいわれるこの分類は、ワニ類、翼竜類、そして恐竜等も含まれ、上位の大別の中で双弓類として同様に分類される蜥蜴や蛇、魚竜や首長竜とは一線を画す大きなグループだ。主竜類の多くは四肢が胴から真下に伸び、大きな体重を支えやすい構造になっていた為このように大型化できたようだ。

ところで単弓類、双弓類という用語を説明も無しに用いてしまったので原則だけ補足。
多くの生物の頭骨には、目や鼻の穴以外に側頭窓と呼ばれる頭骨の側面の穴がある。それを一つ持つものが"単弓類"、二つ持つものが"双弓類"と呼ばれる。で、断ったようにこれはホントに大雑把な言い方であって、もう少し丁寧に説明しようとすると、他にも色々特徴はあるし、分類の方も更に無弓類というのもあったり、先程の双弓類に含まれる主竜類もその特徴として、頭骨に前眼窩窓と呼ばれる穴がある事を特徴としていたりと、生物の分類はとにかく言葉からして難しい。他にも慣れない用語をさらっと用いるが、不親切な内容になっている事はご容赦を。

リストロサウルス Lystrosaurus
ちょっと見間違えると一頃のサラリーマン層がヘコみそうな名前だが、ショベルの様な大きな口が特徴のユニークな顔をした動物である。水中と陸上を行き来する半水生の生活をしていたらしい。時代は前期三畳紀で大きな区分で単弓類に属する為、双弓類へと分化して派生した恐竜とは分類が大きく異なる。こちらは新疆ウイグル自治区の発見だが、同属の種がアフリカ、ヨーロッパ等はじめ南極大陸からも発見されていて、パンゲア大陸の証拠を示す一つだともいわれているらしい。
Lystrosaurus
[2-1]リストロサウルス

シャンシスクス Shansisuchus
ワニの様な大きな頭を持つ中期三畳紀の主竜類。中国山西省での発見。恐竜の様に直立した脚を持っていたが、踵までべったり足の裏を付けて歩行していたので俊敏性は恐竜よりやや劣っていたらしい。
Shansisuchus
[2-2]シャンシスクス

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