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かねこ りゅうぞう

金子隆三

かねこ りゅうぞう

1886.1.28(明治19)〜 1979.1.14(昭和54)

大正・昭和期の大蔵官僚、クィーン塔の生みの親

埋葬場所: 10区 1種 10側

 北海道出身。大蔵官僚・政治家の土屋大次郎の子として生まれる。旧姓は土屋。実弟の土屋計左右は第一ホテルの創業者。甥で土屋計左右の長男の土屋計雄(16-1-1)は日本ホテル協会会長を務めた人物。
 1911.7(M44)東京帝国大学法科大学政治科卒業。大蔵省に入省し、税務監督局属・宇都宮税務監督局に配属された。同年秋に文官高等試験に合格し、'12.10(T1)東京税務監督局属 兼 大蔵属として主税局に配置換えされた。この時期に実業家で政治家の金子元三郎(同墓)の娘の美代子(同墓)と結婚し婿養子となり、金子姓となった。
 '14.11 司税官となり品川税務署長、'15.8 永代橋税務署長、'17.3 税関副事務官として大阪税関監視部長 兼 総務課長、'18.11 税関事務官として大阪税関監視部長 兼 総務課長を務めた。
 '20.2〜'21.7 英国留学。帰国後、'21.11 大蔵事務官として主税局、'23.6〜'24.12 大蔵書記官を兼務、'27.5(S2)大蔵事務官 兼 大蔵書記官として預金部監理課長、'29.7 預金部運用課長、大蔵書記官を歴任した。
 '32.1(S7)第22代 横浜税関長に就任。関東大震災で倒壊したままであった横浜税関を建設を指示。建物はイスラムのモスク風であり「クィーン塔」として現存している。
 '34.12.26 預金部長。'36.8.14 大蔵省を退官し、朝鮮殖産銀行理事となり、'40.8〜'45.9 朝鮮殖産銀行副頭取を務めた。


墓所 金子隆哉家之墓

*正面墓石は和型「金子家之墓」、裏面「昭和二十七年八月 金子隆三 建之」。墓所右手側には墓誌が建ち、隆三の二男で戦死した金子元威から刻みが始まる。元威には「海軍少佐」と刻む。次は金子元三郎で「元貴族院議員」と刻む。次は元三郎の娘の金子美代子で「金子隆三妻」と刻む。その後に「昭和三十二年七月先祖徳善院殿より五代目徳樹院殿まで及び金泉家先祖両霊等十四霊を小樽墓地より改葬埋骨し畢ぬ」と刻む。なお墓誌はその後、10才で亡くなった金子三郎長男の金子光正、元三郎の妻の金子太津子、金子隆三には「元朝鮮殖産銀行副頭取」、金子三郎の妻の金子直子、金子三郎(T11.7-H22.11.17)には「元第一火災海上保険相互会社社長」と刻む。

*墓所左手側には和型「金子隆哉家之墓」、裏面「昭和四十八年十一月 金子龍太 建之」。右面が墓誌となっており、金子隆三の4男の金子隆哉、妻の金子香代子(H23.10.13歿)が刻む。隆哉は45歳の若さでくも膜下出血にて急逝(T15.3-S47.1.27)。有能な社員であり社葬で報いた。隆哉の妻の金子香代子は「金子香代」の名義で伝記的エッセイ『没落家族のゴールデン・デイズ』(2006)を刊行。「波濤短歌会」の第一同人、「日本歌人クラブ」会員、またエッセイでは世田谷文学賞(随筆)3年連続受賞した。他にも毎日新聞や北海道新聞でも受賞している文筆家である。


【クイーン塔】
 “クイーン”塔とは横浜税関の別称である。神奈川県庁の“キング塔”、横浜市開港記念会館の“ジャック塔”をあわせて、「横浜三塔」と呼ばれ、横浜港のシンボルとして親しまれている。
 関東大震災で税関庁舎が倒壊し、その後、財政難のため税関は平屋のバラック建であった。1932(S7)金子隆三が横浜税関長に着任。当時の大蔵大臣であった高橋是清(8-1-2-16)が「失業者救済のために土木事業を起こすべきである」と発言したことを受け、失業者救済のために、横浜税関庁舎建設に乗り出した。'34.3(S9)竣工。設計者は大蔵省の建築局技師であり国会議事堂を設計した吉武東里とされる。
 設計図を見た金子は当初の予定であった塔の高さ47メートルを、「日本の表玄関たる国際港横浜の税関の庁舎とするなら高くしよう」と言及し、神奈川県庁の49メートル、横浜開港記念会館の36メートルを上回る51メートルにて完成した。税関庁舎としては3代目となる。
 優美で気品がある緑青のドームが特徴で、西欧建築様式が混在し、それをベージュ色の磁器タイルが覆う。入口の半円形のアーチの造形はロマネスク様式の基本要素であり、現在も残る正面玄関の表札は高橋是清の直筆で「横濱税関」と書かれている。 終戦後は一時、連合軍総司令部に接収され、税関長室は司令長官のマッカーサー元帥が使用したといわれる。現在の館内は密輸品、偽ブランド品などが展示されている。

クイーン塔:遠景 クイーン塔:近景
クイーン塔(横浜税関)

クイーン塔:玄関 クイーン塔:表札
看板「横浜税関」の筆は高橋是清(8-1-2-16)

ジャック塔:横浜市開港記念会館
ジャック塔(横浜市開港記念会館)

キング塔:神奈川県庁 キング塔:神奈川県庁
キング塔(神奈川県庁):神奈川県知事であった池田宏(2-1-2-5)の呼びかけで再建され、設計を公募し当選したのが小尾嘉郎(2-2-6)。


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