<99.10〜12に観た舞台の記録>

  ・惑星ピスタチオ『白血球ライダー2000』(1999.10)
  ・演劇集団キャラメルボックス『キャンドルは燃えているか』(1999.11)
  ・『ウーマン・イン・ブラック』(1999.12)
  ・惑星ピスタチオ・シャトナー研Vol.1『例えばなし砦』(1999.12)
  ・演劇集団キャラメルボックス『キャンドルは燃えているか』東京公演(1999.12)
 
 

 

 ・惑星ピスタチオ『白血球ライダー2000』

    新神戸オリエンタル劇場で10/23〜11/3の公演。
    10/24の夜の回を観てきました。
    N列(前から4列目)20番(センターブロック右寄り)での観劇。
 
    作品としましては、同じ題材を扱ったものが前に2作(『白血球ライダー』・
   『白血球ライダーDX』)ある、一種の「シリーズもの」。しかし芝居そのもの
   の方向性やつくりなどは今までとは全然違う……らしい。少なくとも作・演出で
   ある西田シャトナーさんは、相当な意気込みでこの作品に取り組んでいる模様。
   (そのへんは、ご本人のページの、「N氏の普通日記」というコーナーを読むと
   分かるのですが)
 
    観たままを率直に言いますと。
    分かりにくかったです。
    ピスタチオの舞台で「早く終わってくれ……」と思ったのは初めて。
 
    めまぐるしく変わっていくシーンと一人一人の役柄。
    それは今まで観てきたピスタチオ作品の特徴でもあり、ある程度慣れたはずの
   手法なのですが、今回はそれについていくのが苦しかった。……なんていうか、
   ただ変わっていくだけで、観ているものが心に残っていかない。
    ……登場人物のイメージが薄いのですね、おそらく。「主人公、プラスその他
   大勢」みたいになってて、主人公以外の人物の印象が弱い。こちらの記憶に残る
   だけの「何か」を持っている人物が、いつもに比べて極めて少ない感じ。
 
    世界観も把握し切れませんでした……壮大すぎて。
    「人体の中のミクロの世界」を題材に、あれだけ大きな世界を打ち立てられる
   のはすごいと思いますが(作品設定だけでMOがいっぱいになったとかならない
   とか……)、その世界観を生かし切れてないというか……要素を詰め込み過ぎて、
   表現しきれなかったという気がします。
    2時間前後で表現できる「もの」の「数」には、ほとんどの場合限りがあると
   思うんですね。……その「もの」の「程度」は時として限度のないものですが。
    作った設定を「せっかく作ったから」と、作品の中に「いっぱいいっぱい」に
   入れすぎちゃった感が、個人的には否めません。もっと削ってスマートにした方
   が、作品としての「おもしろさ」を追求できたんじゃないかな、と思います。
 
    前の2作を観ていませんから、余計に分かりにくかったのかも知れませんけど
   ……でもそれらを観た人だけが、今回観に来ているわけではありませんし。
    劇団固有の作品世界を作るのも大事ですけど、ある程度は初心者の入り込める
   余地もほしかったな、と今回は思いました。
                                 (99.11.9)
 
 
 

 ・演劇集団キャラメルボックス『キャンドルは燃えているか』(再演)

            →こちらへどうぞ。
                                (99.12.11)
 
 

 ・『ウーマン・イン・ブラック』

    大阪茶屋町・シアタードラマシティで12/2〜12/5の公演。
    12/4のソワレ(夜の回)を観てきました。
    14列(全体の真ん中くらいの列)29番(センターブロック右端近く)での観劇。
 
    簡潔に言うと、「怖くて哀しい、すごい舞台」でした。
    イギリスでロングラン上演(99年で11年目だとか)になるのも分かります。
 
 
    弁護士キップスは、若い頃の恐ろしい経験が忘れられず、今も悪夢にうなされ
   続けている。「悪魔払い」をするために、俳優を演技指導に雇い、家族や友人を
   前にして、経験を綴った手記を自ら劇場で公開しようと考える。その手記の膨大
   な長さのため、俳優の提案により、若き日のキップスを俳優が、キップス自身は
   彼が出会った人々を演じるという形に変更される。話は青年時代のキップスが、
   顧客であった老婦人の遺産管理のため、北イングランドの田舎町へ出かけていく
   ところから始まる……二人だけの芝居稽古が進んでいくうちに、劇場にも変化が
   起き始めていた。
 
 
    弁護士役の斎藤晴彦さんは、この作品の日本での初演から、4公演連続で出演
   し続けていらっしゃるベテラン。対して俳優役の上川さんは、この作品は初めて。
    役者としての経験量もかなり違うだろうと思いますが、決してひけを取らない
   演技を見せてくださいました。
 
    この作品は、素材自体は「幽霊」というベーシックな恐怖の対象なんですが、
   その表現の仕方、見せていき方が絶妙ですね。
    「闇」への恐怖、「一人」の恐怖、「不可解な事態」に対する恐怖、それらが
   少しずつ組み合わされていき、だんだんと怖さが増幅されていくんですね。
    上川さんの演技は、観ていて非常に分かりやすく感じられ、場面ごとの状況も
   把握しやすく、だからこそ舞台の世界に上手くはまっていて、同じ恐怖を感じる
   ことができました。
 
    計7役を演じる斎藤さんも素晴らしかったです。
    中年のキップス、キップスが勤める弁護士事務所の経営者・使用人、電車の中
   で会う一人の男性、町で雇う馬車の御者etc。
    器用だな、という一言に尽きますね。役の変換が早くて上手くて。
    ところどころでちょっと笑わせてくださる場面もありましたし。
 
    1回しか観に行けなかったのですが、もう一度観ていろいろ味わいたかったな
   と思います。再演があったら絶対行くぞー。
                                 (00.1.24)
 
 
 

 ・惑星ピスタチオ・シャトナー研 Vol.1『例えばなし砦』

    大阪・カラビンカで12/14〜16に、シークレットライブとして行われた公演。
    12/14に観てきました。
    全席自由席、一番後ろの列での観劇。
 
    「シークレットライブ」というだけに、当初は会場も秘密になっていました。
    いろんな人からの情報で、カラビンカでやるらしい、ということが2・3日
   前にわかって、同じ頃にピスタチオからもその旨発表がありました。
 
    ちょうど、解散の噂が流れ始めた直後のライブ決定。
    下手に知らせてしまうと人がめちゃめちゃ押し寄せてしまうからか、ライブ
   告知はインターネットと折り込みチラシのみだったようです。
    確かに、この広さじゃいくら詰め込んでも限界がありすぎるよなぁ……と、
   行ってみて思いました。余裕をもって座らせて50人、詰め込んで70〜80人かな、
   という感じでしたので。
 
    カラビンカは、阪急梅田駅からわりと近い劇場……というよりは、小規模の
   貸しスペースですね。大阪造形センターという建物の5階になります。
    初めての所なのでちょっと迷いましたが、近いのですぐに着きました。
    様子見だけ、のつもりで開演1時間半前に行ったら…………狭〜い階段に、
   すでに人の列が! あと2・3人で建物の外へ出るくらいでしたから、20人は
   いたんじゃないかなぁ……あ、受付で整理券もらった時、私で10何番かだった
   気がするから、20人はいなかったか。しかしあの狭い階段で1時間近く立ちっ
   ぱなしは結構しんどかったです。長く待つのを考えて文庫本を持っていたので
   暇ではありませんでしたが。
 
    開場までの間はもちろん、開場してからもどんどん人が入ってきて、最終的
   には70〜80人ほど入ったでしょうか?
    小スペースなので「舞台」がめちゃめちゃ近くて、最前列は文字どおり目の
   前が舞台、役者さんがすぐそこに! といった状態ですから、特定の役者さん
   ファンの人は嬉しかったでしょうね(笑)
 
    肝心の内容ですが……
    まず西田シャトナーさんと、毎回ピスタチオの音響を担当されているAlain
   Nouveauさんによる、ギター演奏+歌。1曲目はたしかビートルズ。それから、
   来年の2月いっぱいまで仕事がないらしいAlainさんのために売り込みがあって
   (当日パンフの折り込みチラシにも宣伝が入っていました)、それに少々時間
   がかかりすぎたために他に用意してきた曲を演奏する間がなくなって (^^;
    ……仕方ないので(?)お二人が別々の曲を同時に演奏+歌われました(笑)
 
    シャトナーさんの予想よりもお客がいっぱい来たらしく、なんだか戸惑って
   おられた様子。ご本人いわく「10人くらいを相手に、お酒でもつぎながらやる
   つもりだった」らしいですが…………それはいくらなんでも無理ですよね (^^;
    「酔っぱらった状態で観ていただければ」的なお気持ちだったらしいです。
 
    その次が劇……というか、かなりアドリブの入ったエチュード(即興演劇)
   性の強いもの。
    とある状況下で、仲間うちで生き残った二人がなんとか逃げのびたものの、
   隠れているところから出ていくか出ていかないかで口論する。一方は今はまだ
   危険だと言い、もう一方は出ていかなければ何も変わらないと言い、どちらも
   譲らない。そこへ「助けに来た」と軍人らしき者が。そのうち敵の使者や新興
   宗教の布教みたいなのまでやって来て……という流れ。
    最初の二人がシャトナーさんと保村さんで、その後に宇田さん、末満さん、
   腹筋さん、福岡さん、ゲストの人たちの順に出てこられました。
 
    なにせ台詞はその場のアドリブがほとんどなので、詰まっちゃったりヤケに
   なったりの場面も多々。しかしヤケになった時の方が面白いことも多いんです
   よね(笑)
    どこまでこの滅茶苦茶さ加減が続くのだろうかと、時間を計って次の場面へ
   進めるための指示を出す池口さん(ピスタチオのプロデューサー&シャトナー
   さんの妹さん)の動作もやけに気になってしまったり。
    しかし、役者さん方よりも、シャトナーさんが一番上手く進めていらしたの
   には、ちょっとびっくり。まぁ役者の経験はあるし、もともと頭の良さそうな
   方ですしね。
 
    そうそう、出てくる役者さん方も全員なにか楽器を持っていらして、場面の
   合間合間に一曲、その時舞台にいる全員で演奏なさいました。シャトナーさん
   ・保村さん・宇田さんの3人で「ペッパー警部」を歌われた時には、爆笑して
   しまいました……
 
    最初の二人以降に出てくる者のことごとくが一方の「例え話」による存在で、
   元々の話自体が「ヤマアカアリとオオクロアリ」(だったかな?)の補食関係
   から発想した「例え話」だったというオチ。そうくるかーって感じで、なんか
   脱力しちゃいましたけど…………まぁめったに観られないものが観られた、と
   いう意味では、それなりに面白かったです。
 
    「僕たちの今後の活動について、いろいろ話が出回っているようですが……
   しばらくそっとしておいてください」と最後におっしゃったシャトナーさん。
    解散の噂で、インターネットで見ただけでもずいぶん騒がれていましたから
   ね。ピスタチオ側としては、自分たちからきちんとした形で発表したいのに、
   それをする前に騒ぎになっちゃって、とっても嫌〜な、悲しい気持ちになって
   いらしたのだと思います。……私自身、自分のページの掲示板で少々無神経な
   書きこみをしてしまったので、大いに反省しなければという気持ちでした。
                                (00.2.12)
 
 
 

 ・演劇集団キャラメルボックス『キャンドルは燃えているか』(再演)東京公演

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                                (00.2.16)
 
 

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