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大学編

★ ドイツにきたらパソコンにログインできませーん! なぜ?
★ 黒板の消し方が分かりませんでした。でも慣れればとてもきれいに消せます! なぜ?
★ "27"と黒板に書いたら 「何故急に、2η(イータ)が出てくるんだ!」 と怒られました。 なぜ?
★ 書類に日付とサインを書くように言われましたが、日付を書けませんでした。 なぜ?
★ 拍手する場面がおとずれて、とってもビックリしました! なぜ?
★ 授業は朝の「8:00 c.t.」から始まります! 詳細
★ 毎日ベンツで学校に行ってます! なぜ?
★ お昼は毎日メンザ(学食)へ、でもメンザカードは財布に入れっぱなしです! なぜ?
★ 大学内でコーヒーを飲む機会が増えました! なぜ?
★ ドイツにいると自然に姿勢がよくなる? なぜ?
★ B5サイズでコピーは出来ませんでした。 なぜ?
★ 私の所属しているK教授の研究室のメンバー 紹介
★ 毎週金曜の夜はピザを食べるべし! 詳細
★ 毎週木曜の夕方はコロキウム 詳細


★ ドイツにきたらパソコンにログインできませーん! top

キーワード: 「Y」 と 「Z」

ドイツに到着した翌日、さっそく大学に行ってみることになった。我が(K教授の)研究室の講師(正式にはPrivatdozent)である中国人のZさんが車で大学まで連れて行ってくれて、大学の案内をしてくれた。まだ夏休み中であるし、現在K教授は出張中との事で会えずじまい。それでも講師のZさんは非常に親切にして下さって、同じアジア人がいる事に少しほっとしたのだった。なにより私はドイツ語が話せない、そして英語も得意ではない(実際、日本にいた時は英語を話す機会もほとんどなかったし、自分は英語が話せないと思っていた)。それでもZさん相手には安心してペラペラと英語が喋れた。なぜなら、伝えるのが難しい会話になったり、英語の単語が分からなくなったりしても全く心配はいらないからである。 続き(全文)を読む


★ 黒板の消し方が分かりませんでした。でも慣れればとてもきれいに消せます! top

キーワード: モップ、バケツ、ぞうきん、窓拭きワイパー

私がRegensburgに着いて何日か経ったある日、大学にてK教授から「今日は少し時間があるからこれまでどんな事を研究してきたのか話してみろ!」と言われて、一緒にセミナー室に向かう。丁度一緒にいた(ヒゲもじゃの)Gさんも一緒に聞いてくれる事になり、ヒゲもじゃの紳士二人を相手にセミナーをすることになった。 続き(全文)を読む


★ "27"と黒板に書いたら 「何故急に、2η(イータ)が出てくるんだ!」 と怒られました。 top

キーワード: "ク"と"ヌ"の違い

大学にてセミナー中"1/27"という分数を黒板に書いた。しかし、私の(日本人の?)書く"7"という数字はドイツでは事のほかマズイらしい。すぐに 「η(イータ)はどこから出来たのか」 という質問を受けてしまった。最初、何を質問されているのか全く分からずに 『イータなんてどこにも出てきてないのに!』 と思いながら 「どちらのイータでしょうか?」 と質問し返していたのだが、私の書く"7"の事であった。日本で"7"は、最初に短い縦の棒を書き、次に"7"の部分を書く事が多いのではないかと思う。いわばカタカナの"ク"に似ている。しかし、これはドイツ人(の数学者)には完全に"η(イータ)"に見えるらしい。ドイツ人の書く"7"をよく見てみると、最初短い縦棒は書かずに"7"だけを書く、しかしこのままではドイツでは"1"と解される。よって"7"の後にちょんと短い棒を足して厳格に区別する、いわばカタカナの"ヌ"に非常に近いものであった。これに従って、私はドイツで"7"と書くときは、カタカナの"ヌ"を書くことにした。ドイツにカタカナはないので混同する事もないし、今や私の頭の中は完全に 『7=ヌ』 の状態である。


★ 書類に日付とサインを書くように言われましたが、日付を書けませんでした。 top

キーワード: 「年月日」 と 「日.月.年」

ドイツに来てしばらくの間は様々な書類にサインをする事になる。例えば、家の契約書、保険に加入、住民登録、滞在許可申請、大学図書館・メンザのカードの作成、大学内でのパソコン関連の申請、銀行口座開設等である。こちらでは印鑑の代わりにサイン(ドイツ語ではUnterschrift)である事はまあ良いとして、その際に一緒に日付(Datum)を書くように求められる事が多い。が、何を隠そう私は日付を書く事が出来なかった。正確には、日付を書いたところ秘書のBさんに非常にびっくりされてしまった。日本では日付を(年月日という位で)2004年9月17日や平成16年9月17日と書く。よって私はDatumの欄に素直に 「04-9-17」 と書いた(もちろん平成はここでは意味を成さない)。しかしこれは大きな間違いであった。ドイツでは順番を全く逆にして 「日.月.年」 と書かなくてはいけなかったのだ。すなわち、私は 「17.9.04」 と書くべきであって、私の最初に書いた「04-9-17」は2017年9月4日を指してしまっているとの事。確かにこれでは秘書のBさんもびっくりである。それでも、最初の書類を書く時に気付いて本当に良かった。1ヶ月ほど気付かずに、様々な書類に「04-9-??」と書いたかも知れないと思うとゾッとする。もう少しで私の書類は全て、??年9月4日付になってしまうところであった。


★ 拍手する場面がおとずれた時、とってもビックリしました! top

キーワード: ゴンゴン

10月某日の月曜日。今日から本格的に学期が始まるというので、いつもより早めに大学に行ってみる。2週間前は閑散としていたキャンパスも、先週から急に学生だらけになったのであった。前もって入手していた授業の予定表によると、(我らが)K教授の授業は月曜日にもあり、それに出席してみようと気合を入れて大学に来たのであった。 続き(全文)を読む


★ 授業は朝の「8:00 c.t.」から始まります! top

キーワード: 「c.t.」 と 「s.t.」

ドイツの大学の朝は非常に早い。授業は朝の8:00 c.t.から始まる。私の日本での所属W大学(イニシャルにしてもあまり意味がない)が9時から授業が始まる事を考えると1時間も早い事になる(この1時間の違いはとても大きく感じられる)。日本は1時限の授業はそれほど多くないように思うが、ドイツでは違う。教授や学生は好んで1時限を選択する事も多いそうである。はっきり言って、ドイツの学生はやる気に満ちあふれている様に見える(例えば授業中も少しおかしい所があるとばんばん質問する。ただ、もしかしたら進級が難しい事が背景にあるのかもしれないが)。私も週に1回は1時限からの授業に参加しているが、早朝にもかかわらず毎回通学バスは(日本の) 「満員電車」 状態である。但し、実は8:00ピッタリに教室に行っても、誰もいない。これがちょっとしたみそで、授業は8:00から始まるのではない 「8:00 c.t.(ツェー・テー)」 から始まるのである。「c.t.」 はラテン語の 「cum tempore」 の略だそうで、簡単に言えば 「15分遅れで」 という意味。つまり(本当は) 「8:15」 から授業が始まる。授業の予定表を見ると 「8:00 c.t.」「10:00 c.t.」「12:00 c.t.」「14:00 c.t.」「16:00 c.t.」 と非常に分かりやすく、我らがW大学のように 「10:40〜」 とか 「16:20〜」 だとかそんな中途半端な表現はない。但し、2時間授業をやる訳ではない。どの時間も 「c.t.」 からであるし、最後の15分は授業をしない。よって 「8:00 c.t.」 と書いてあったら、それは概ね 「8:15〜9:45」 を指している。代わりに、14時丁度からセミナーを行うときは 「14:00」 とは書かれない。これでは多くの人が間違って 「14:15」 に来てしまうからである。ピッタリ始まるときは必ず 「14:00 s.t.」 と記述されるのであった。「s.t.」 (sine tempore; 時間通りに)。


★ 毎日ベンツで学校に行ってます! top

キーワード: ブス,手すり, Öko ticket,Streifen ticket

ドイツに来て、毎日乗る車がベンツになった。ドイツの道路はベンツ、BMW、フォルクスワーゲンで溢れている。かと言って、ドイツに来ても私のお金は増えない。実は、毎日学校に行く為に乗っているバスがベンツなのであった。ちなみに、ドイツでは 「Bus」 は 「ブス」 と発音する。そのため、バス停付近にいると「ブス、ブス」と言っているドイツ人に出くわして、ドキッとする事がある。さて、私が毎日乗っているレーゲンスブルクのバスRVV(Regensburger Verkehrsverbund)は黄色でそして長い、二両編成である [ バスの写真を見る ] (土日や夜などは短い一両編成)。そして街の中心部では石畳の道路をゴロゴロと音を立てながら進んでいく。運転手さんは、かなり狭い道路でも非常にうまく(本当に長い)バスを操り、まさに職人技という感じ。また、バスは左右に傾ける事ができて、時々 「プシュー」 という音と共に、(止まっている時)急に傾いたりしてびっくりする事もある。それが、バスの中央の入り口には車椅子・乳母車用の入口が設けられ、入ったところには専用のスペースが確保されていて、車椅子の方がバスに乗ろうとした際に乗りやすくなるようにとゆっくり右に傾いていくのだった。この様子を見た時は本当に感動だった。こんな状況では、バスに乗っている人がすぐに降りて、車椅子の人が乗るのを手伝ってあげるし、運転手さんが降りてきて車椅子の方の補助をした後、安全を確認して、運転席に戻った事もあった。当たり前の様であり、時には難しい 「誰かが困っていたら、すぐに助けてあげる」 という事はドイツでは自然に行われる。他人に無関心で放っておくという事はまずありえない。とても素晴らしい習慣だと思う。


★ お昼は毎日メンザ(学食)へ、でもメンザカードは財布に入れっぱなしです! top

キーワード: 「スイカ」

毎日12:30になるとお昼を食べにメンザ(学食)へ。私の研究室ではそう決まっている。もちろんこれは強制ではないので、その日によってメンバーは異なるが、とにかく手の空いている(昼ごはんを一緒に食べる意思のある)人はhalb eins(ドイツ語で1時の半分は12時半!)になると玄関に集まり、そしてみんなでメンザに向かう。よって、よっぽどの事がない限り、独り寂しく昼ごはんを食べなければいけない事はなく、非常によい決め事だと思っている。それに私は、研究室の人としゃべっていればドイツ語も英語も上達するかなと勝手な希望を抱いているので、なおさら丁度よい。レーゲンスブルク大学は街の中心から外れた所にあるため、周りにお店等も少なく、ほとんどの学生・職員がメンザを利用している様で、毎日お昼どきは物凄い人で賑わっている。 続き(全文)を読む


★ 大学内でコーヒーを飲む機会が増えました! top

キーワード: 「コーヒーカップ」と「環境問題」

コーヒー好きの私にとって、ドイツはとても居心地が良い。ドイツの人々はコーヒーが好きなばかりか、コーヒーを飲みに行くという行動自体(ゆったりとコーヒーを飲む時間を取ること)が好きなようである。夏の間は、街中いたるところにオープンカフェを発見できるし、多くの人がコーヒーを飲み、ゆったりとした時間を楽しんでいる。大学内も多くのカフェがあって、コーヒーを飲む機会が多くて、うれしい限りである。例えば昼ごはんをメンザで食べた後はメンザ横のカフェに直行するし、よく授業後にいろいろな教授とカフェに行くことがあった。またコロキウム(参照)の45分ほど前にも、みんなでコーヒーを飲み談笑することが習慣になっている(もちろん紅茶も選択できる)。そう思うと、カフェに行く・誘われるという事は 『コーヒーを飲みたい!』 というよりもむしろ 『ゆっくり話しでもしよう』 という意味の場合が多いように思う。よってコーヒーのお誘いは、簡単に断るべきではない。実際、様々な人と仲良くなれたのは、そんな気軽な「カフェに行こう」という一言がきっかけのことが多かった。
さて、(我らが)K教授と研究室のみんなでメンザに行った後は、メンザ横のカフェではなく、散歩がてらに化学科にあるカフェへ行くことがある。しかし、その場合、K教授は必ず自分の研究室に一度戻ってからカフェへと向かう。なぜか??実験前の準備をした後に化学科へ向かうわけではない。実は、自分のコーヒーカップを取りにいくのであった。メンザ横のカフェなど、多くのカフェではファンド制がとられており、コップ代を含む料金を先に払い、飲み終わった後にコップ代を返却してもらう。しかし、化学科のカフェは紙コップにコーヒーが注がれる。これは日本ではごく当たり前の光景だと思う。しかし、このことは飲み終わった後、ゴミが出ることを意味するわけである。環境大国とは聞いてはいたが、実際に教授が自分の部屋までMy コップを取りに行く姿を見ると、自分のこれまでの考え方や現在の日本人の生活習慣について考えさせられる。


★ ドイツにいると自然に姿勢がよくなる?

キーワード: 背が高い

メンザにならんでいた時のこと。ある事にびっくりしてしまった。いつものように、昼ごはんを食べるため行列に並んでいたのだが、周りを見回して何か違和感が。実は私の前に並んでいる十数人のドイツ人男性は全員私よりも背が高かったのである。私は178cmなので、日本では決して背が低いほうではないのであるが、ドイツでは行列に並んだら、私が一番背が低いということがありえるのだった。こう、みんな背が高いと、私も背筋を伸ばして姿勢良く歩こう、という気にすらなる。そして、『人生、下を向かずに、かといってふんぞり返らずに、重心を中心に保って生きて行きたい』 と思うのであった。


★ B5サイズでコピーは出来ませんでした。 top

キーワード: A4, B5, キャンパスノート, 環境先進国

大学でコピーをしようとして気付いたこと。それは、B5サイズが存在しないという事である。どうやらB5というのは日本独自の規格らしい。よくよく考えてみると、学生のノートは全て大きいA4サイズで、大きなバインダー(リング・ファイル)に留めて持ち歩いている人が多い。ときどき、女性の学生が500枚は留められるであろう分厚いバインダーを持ち歩いているのを見かけては、すごいなーと感心している(しかし、もちろん中身は知らない)。
実は私は日本のB5サイズのいわゆるキャンパスノートが非常に気に入っていて、この点については日本のノートの方がいいのでは思っていた。しかし、ドイツでA4のノートを買ってみて、あることに気付かさせられた。ノートにはバインダーの穴が最初から開いていて、さらに左端に点線の切れ目が入っている。なるほど、確かに日本のノートはがっちりとした作りで、持ち運びも非常に便利だが、授業の教科ごとにノートを使って、偶然(なる幸運)が起こらない限り、最後は数(十)ページを使い残してしまう。その点、ドイツの学生達は、書いては切り取り、書いては切り取りと、せっせとバインダーに移していて、最後に一枚の紙も無駄にすることなくノートを使いきっているのであった。


★ 私の所属しているK教授の研究室のメンバー top

キーワード: 数学はみんなの「共通語」

私が所属するK教授の研究室は、個性豊かな人々がたくさん所属していて、いつもにぎやかである。おかげで、助けられることも多いし、色々と勉強になって非常に嬉しい。K教授の(元)お弟子さんの中国人で講師のZさん、ドイツ人の研究員Mさん、助手のTさん、助手兼博士課程の女性Dさんがいる。また、それに加えて研究員としてフランス人のVさん、イギリス人のTさん、イタリアから来ている女性Tさんがいて、その中に日本から来ている日本人(私)がいる。女性2人以外の6人はみんな学位(=博士号)を持っている研究者で、これだけの人が1つの研究室に所属しているのだから、なかなかすごい状況である。こんなにいろんな人がいるから、基本的にはみんな英語で会話する。よってドイツ語が話せない私にとってはとても助かるのであった。しかし、もちろんドイツ人だけしかいない場合はドイツ語を話すし、中国人Zさん、フランス人Vさん、イギリス人Tさんなどはドイツ語をペラペラ話すので、いつの間にかドイツ語での会話になったり、英語になったり、さらにはVさんとTさんはフランス語で話しているし、私とZさんは漢字で筆談して意味を伝えたりする。よってみんなで話していると時々何語を話しているのか訳が分からなくなってきて、異文化交流の渦の異様な世界へと突入していき、笑ってしまうことすらある。それでも、数学(記号、数字、概念、...)はみんなの共通語。これだけ様々なバックグラウンドを持っている人々が集まって、同じ学問を学び、(英語やドイツ語で)議論できるのだから、わくわくするし、とてもすばらしい!と思うのであった。


★ 毎週金曜の夜はピザを食べるべし! top

キーワード: オーバーセミナー

大学では多くのセミナーが行われている。特に、Oberseminarと呼ばれる大学院生以上の人が対象のセミナーが、各研究室(あるいは研究室を横断したグループ)ごとに行われている。廊下には必ず「今週のセミナーの予定」が張ってあり、興味のあるセミナーに自由に参加できるので非常に都合がいい。また、なぜか(我らが)K教授はOberseminarを水曜日の午前中と金曜日の夕方に2つ持っていて、「水曜の午前中はあんまり講演者が決まっていないから、適当に3,4回講演して」と言われてしまった。それでも非常によい機会なので、「分かりました!」と二つ返事で答えるのであった。
さて、W大学にいたときもそうであったのだが、金曜日の夕方のセミナーが終わるとみんなで食事会に行くのが習慣になっている(食事会というか、ビールを飲む会ですが)。時々、遠出をしたりもするのだが、たいがいは大学内にあるピザ屋(ピッザリア)にいって談笑をする。
今はもう慣れてしまったが、最初にピザを食べに来たときには結構な衝撃をうけた。なぜなら、店に入るとK教授が大きなピザとビールを頼む、大きなピザをみんなで食べるのかと思いきや、となりのMさんも大きなピザと飲み物を頼む、そのとなりのZさんもピザと飲み物を頼む・・・というようにして、各自大きなピザを頼んだものの、それを一切れでも誰かに分け合おうという気は毛頭無いのである。よって、私も自分が食べたい大きなピザとビールを頼むのであった。少しずつ分け合えば、色んな味が食べれるのに、と思うのは私だけなのだろうか?それでも、自分が食べたい味のピザ(のみ!)をたらふく食べれるのだから、これでよいという事なのか。
実は、驚いたことは大きなピザを一人一枚食べるという事だけではない。もちろん、ピザ以外のものを頼んでもよいのだが、最初にピッザリアにきたとき、一人だけ若い(修士の?)学生さんがいた。そこで、彼だけはサラダにおかずが乗っているプレートのようなものを注文したのだが、当然まっ先に出てくる。こんなとき、日本ではそれ以外の人(特にボスであるK教授)の注文が出てくるまで、少し待ってみようという行動に出るような気がする。あるいは、「お先にどうぞ」なんて言われた後に、少しゆっくりと食べ始めるのではないか。しかし、ここではそんな事は一切起こらないのだ。一番若い彼は、ボスであるK先生の羨ましそうな眼差しをものともせず、なんとK先生のピザが出てくる前に完食、そしてとても満足気であった。ボスの食事が来る前に、いちもくさんに一番若い学生さんがごちそうさまと言ってしまったことに、とても驚いたのだが、その事に驚いているのは私だけのようであった。


★ 毎週木曜の夕方はコロキウム top

キーワード: お茶代

毎週木曜日の夕方にはコロキウムがある。いったいコロキウムとは何なのだろうか?と最初は思っていたのだが、毎週参加するにつれて段々様子が分かってきた。
「毎週行われるコロキウムのため、お茶代を払ってください」とK教授の秘書さんに請求されて、お茶代を払ったからには、コロキウムとやらには必ず参加してやろうとある部屋に行ったのが、最初にコロキウムに参加したきっかけであった。その部屋には確かにコーヒーと紅茶があって飲み放題だし、さらにはチョコやらクッキーやらお菓子をみんなでつまむ会が開催されていた。お茶会か!と心の中でつぶやいたとき、ある先生が登場し、次々と会場にいる人々と握手し始めた(ドイツでは、握手する瞬間に自分の名前を言えばよい)。どうやら今日の主役はこの先生のようだ。
実はこのコロキウム、お茶会ではなく、ある一人の先生を数学教室全体で招待し、数学の各分野の垣根を越えた講演をしてもらうというのが趣旨であって、このお茶会はあくまで講演前の交流のひとときに過ぎないのだった。
毎週出席してみると、多くの講演者は最初の数十分は自分の研究分野の紹介に時間を割いてくれて、また最初から他分野の研究者にその面白さを伝えようというスタンスで講演をしてくれるので、非常におもしろいことが分かってきた(但し、ドイツ語で講演されるとよく分からない事が多い)。これだけ、(各分野のエキスパートである)数学科の教授陣が終結して、各分野の視点から一人の講演者の話を聞くという交流会が、毎週のように開かれているということに、私はとても感動したのだった。
講演の内容も用意周到に準備され、視覚的にも分かりやすいものが多く、また講演の端々に笑い所(!?)があったりと、非常に興味深い。また名前しか聞いた事のないような、有名な研究者の講演を直接聞ける機会でもあり、本当に貴重な経験である。

追記:ドイツ滞在中に、私も一度、ザール大学の数学教室のコロキウムで講演する機会があった。いざ自分が招待されてみると、講演前のお茶会からして、教授陣が私のために集まってくれていると思えてきて、とても緊張した。しかし、緊張するのは最初の一瞬だけであって、とても温かく迎えて頂いて、日本の話もしたし、なによりお茶会はそんな講演者の緊張をほぐすのにも役立っているのだと感じた。講演前に色々と話をしたこともあって、講演中にウケを狙ってみる余裕も生まれたし(ウケたかどうかはご想像におまかせします)、非常に講演しやすい雰囲気でとてもありがたかった。言うまでもないことではあるが、講演後の食事会のビールは とても おいしかった。


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