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★ ドイツにきたらパソコンにログインできませーん!

キーワード: 「Y」 と 「Z」

ドイツに到着した翌日、さっそく大学に行ってみることになった。我が(K教授の)研究室の講師(正式にはPrivatdozent)である中国人のZさんが車で大学まで連れて行ってくれて、大学の案内をしてくれた。まだ夏休み中であるし、現在K教授は出張中との事で会えずじまい。それでも講師のZさんは非常に親切にして下さって、同じアジア人がいる事に少しほっとしたのだった。なにより私はドイツ語が話せない、そして英語も得意ではない(実際、日本にいた時は英語を話す機会もほとんどなかったし、自分は英語が話せないと思っていた)。それでもZさん相手には安心してペラペラと英語が喋れた。なぜなら、伝えるのが難しい会話になったり、英語の単語が分からなくなったりしても全く心配はいらないからである。もちろん、私は中国語が理解できるわけではない。しかしながら我々は共通の文字 「漢字」 を操る事ができるのだ。(当たり前の事だが)漢字はそれぞれの文字が意味を持つから、相手の話を理解できなくなっても筆談によってすぐに分かりあう事ができた。『必ず最終的に分かり合う事ができる』 。これは我々にとって非常に大きなAdvantageであった。また、K教授担当の秘書Bさんとも会う事が出来た。日本にいる時から家の手配をして頂いたり、書類や地図を送って頂いたり、非常にお世話になっていたので握手した後にお礼を言う。昼食をメンザ(学食)で取った後Zさんの部屋で中国茶をご馳走になりながらゆったりとする。パソコンを使わせて下さるとの事で早速Webメールのチェックをしてみる。さすがに中国人のZさんのパソコンだけあって、漢字は問題なく表示されて安心したのも束の間、ログインする事ができなかった。Zさんにログイン出来ないと訴えても 「日本からの長旅でパスワード忘れた?」 と冗談を言われるだけであった。もう一度注意深く、1文字づつパスワードを入力してみる。ん、すると途中である事に気付く 『Yの場所にZって書いてあるじゃないかー!』。慌てて 『Yはどこにいった?』 と探してみると、なんと 「Z」 の場所に追いやられていた。つまり 「Y」 と 「Z」 が入れ替わってしまっているのだった。講師のZさんにこの現状を訴えたがこれがドイツでは標準とのこと。確かにドイツ語ではYで始まる単語は非常に少ない気がする。やはり 『使えないから君は隅っこね!』 という事なのだろうか。まだこれが、パソコンのキーの世界であるからいいようなものの、ドイツでは 「Y」 はいわゆる窓際族である。[ キーボードの写真を見る ]
たった2つのキーが入れ替わっているだけではあるが、これが結構大変であった。パスワードを打つときは慎重に、ゆっくりと打たなくてはいけないし、よく間違える。多くの人はパスワードを打つ時、頭の中にアルファベットを思い浮かべるよりも指が動作を覚えているのではなかろうか。その動作を崩される事によってミスを多発してしまうのだ(既に私のWebメールのパスワードのうち1文字が 「ばればれ」 ですが、パスワードは定期的に変更されます)。また、私が日本にて常日頃から持っていた疑問 『ウムラウトはどうやって打っているのだろう?』 もこちらに来て一瞬で解決に至った。日本のキーボードは右手の方に 「K」 「O」 「L」 「P」 とあって後は記号となるが、「P」 の続きとして、たいそうにも 「Ä」 「Ü」 「Ö」 とウムラウト付のキーが並んでいるのだった。日本にいると「ae」「ue」「oe」等で代用する事が多いが、やはりドイツではウムラウト付の文字も1つのアルファベットとして(当然のように)市民権を持っているようである。[ キーボードの写真を見る ]

追記1:レーゲンスブルク大学の数学科では数人の教授に対して1人の秘書さんがいる。私はこれに驚いたのだが、ドイツでは1人の教授に1人の秘書さんがつくのも珍しくはないとの事。また、教授は数人の助手を従えていて、助手さん達は授業のサポート等で非常に忙しそうである。ドイツでは 「大学教授はすごい!」 という印象。さらに、もっと1つの研究室の規模が大きい隣の化学科では1人の教授に対して秘書さんが3人いる事があるとか。本当に「すごい!」。

追記2:ある日Zさんと話していたら、たまたま窓際族の話になった。説明しようとすると 「日本の窓際族でしょ、知ってるよ」 と黒板に漢字を書かれてしまった。ドイツ語、英語、(もちろん中国語)がペラペラで、ドイツで教鞭をとるアジア人。『世界の何億人と会話が出来るのだろう』 と思ってしまった。ちなみに 「ひらがな」、「カタカナ」 もご存知で、ひらがなは元になっている漢字を考えれば良いとのこと。おそるべし。

追記3:ドイツの隣国、フランスのキーボードを見る機会があった。が、更に驚きだった。左の方の 「A」 「Q」 「W」 「Z」 等の配列がメチャメチャで 「M」 は 「L」 の向こうに左遷されていた(右側なので昇格か?)。しかも数字はシフトしないと打てないそう。ただ2つのキー交換で混乱した私には、ものすごい世界に見えた。解決法は2つあるかとも思う。1.フランスには行かない(あきらめる)。2.フランスにも住む(慣れるまで)。

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